ルヴァイオ



ぎしっ

「……?」
ルヴァイドは、腹部に重みを感じて、目を覚ました。
何かが、腹の上に乗っている?
ゆっくりと目を開ける。
見下ろす紫の瞳。
淡い金の髪が、月明かりを受けて輝いていた。
「イオス…」

あのときの約束が、果たされようとしているのか。

イオスは、切ないような、悲しいような顔をして言った。
「ルヴァイド様……僕は…っ」
ぎし
ベッドの軋む音がして、イオスの上体が傾いた。
すーっと白い手が伸びてくる。

殺されるんだな…

その手を受け入れるように目を閉じたルヴァイドの口元には、諦めとも、自嘲とも採れる笑みがこぼれていた。


──甘い香りの残る部屋で


「お茶でも入れましょうか」
いつもの午後。
何をするでもなく、ただ外を眺めていたルヴァイドに、イオスが話しかける。
「ああ」
短い返事を聞くと、イオスは微笑んで、部屋を出て行った。
しばらくすると、かっちゃかっちゃとリズミカルな音が聞こえてきた。
ノックの後にドアが開き、うれしそうな顔をしたイオスが、プレートにティカップを二つと、少しのビスケットを載せ、小脇に何か抱えて戻ってきた。
「それはなんだ?」
「あ、トリスに貰ったんです、香炉。お茶、どうぞ」
テーブルにお茶を並べると、窓際の背の低いチェストの上に、香炉をセットし、火を入れた。
もったりとしつこい、甘ったるい香りが広がる。頭が痛くなりそうだ。
「……う」
「……甘いな」
イオスの顔が曇る。
「す、すみません、すぐ片付け──」
「でも、まあ、嫌いではない」
ぱぁっと明るい顔になる。
「ふふっ」
「もうっ、笑わないでくださいよ」
ころころ変わるその表情に、ルヴァイドが思わず笑みを漏らすと、イオスは拗ねたように頬を膨らませて見せて、すぐに笑顔になった。


──昼間のそれもすべて嘘だったということか





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