レックス×アリーゼ



「わたし、先生が、好きです」
柔らかい亜麻色の髪が天井から吊るされた灯りを反射し揺らめいた。
洗いたての肌からは石鹸の良い匂いがする。
華奢な身体は同じ年頃の女の子と比べても細い方だろうか。レックスには妹も年下の女友達もいなかったので、今現在腹に乗っかられても判らない。
「アリーゼ……まずは降りてくれないかな」
ぶんぶん頭が振られて濡れ髪がレックスの胸の辺りをはたき、水滴がベッドのシーツに染みをつくる。
「嫌、って……」
「だって、こうでもしないと先生は話を聞いてくれないから」
「そんな」
「そんな事あります!」
腹部にかかる体重が上へと移動する。思わず仰け反るとベッドにますます沈む体勢になった。
「先生は」
アリーゼは風呂あがりらしく大きめのナイトシャツ一枚という格好だ。ボタン留めきっていない襟元から覗く鎖骨から目を逸らせば、長い丈を捲り上げる肉づきの薄い太腿が視界に飛び込んでくる。
「先生は、わたしのこと生徒としてしか見てくれないから」
小さな手がレックスの上着を握り締める。成人男性の力をもってすれば直ぐに振り払える。
そうすべきだった。
「仕方ないって思ってたんです。わたしは生徒で、先生は先生で。それでも先生の
 最初の生徒だって―――特別なんだって思えてれば良かった! けど!
 あのアズリアっていう人が仲間になって先生の側にいるのを見てると苦しくなるんです!
 わたしの知らない先生を知ってることとか、先生の隣に立ってるとすごくお似合いだとかが
 くやしいんです。あの人よりわたしの髪のほうが綺麗だとか、わたしの方が女の子らしい
 とか下らないこと考える度に自分が最低な子だって思えてそれがすごく嫌で……!」
涙が上着へと染み込むのと連動するように、アリーゼの言葉はレックスの脳へと伝わる。
振り払おうと置いた手は固まってしまい動かない。
制止の台詞すら出てこない。
まるで何かに堰き止められたかのよう。
「ごめ…なさっ……こんな、こんなことじゃなく、て…せんせえに好きだって言いたかっただけ……なのにいっ」
どうしよう。どうすれば。
というかこんな状況なのにアリーゼの襟元からちらつく桜色見てシャツ一枚なのかと関係ない妄想働かせるのとか、それで股間の辺りが少々やばいことになってるのとかどうよ俺? などとレックスは混乱する頭で自分ツッコミを入れた。
アリーゼは自分の生徒だ。十も年下だ。少女偏愛者の代名詞にもなってる小説のヒロインより幼い。
なのに彼女に欲情している。
確固たる事実に気が遠くなりかけた。
『教師と教え子』というフィルターがひっぺがされて、目の前にいるのは自分のことを好きだと言ってくれる女の子。
彼女が口を開く。
「だから…先生の、気持ちが知りたい……わたしのこと単なる生徒だって思うなら
 ちゃんと……言ってください。そしたらわたしも、先生のこと先生だ、って、
 先生と、して、好きになる…から……っ」
その言葉に、自分で最後の逃げ道断つ覚悟を決めた。
「アリーゼ」
今にもシャツが滑り落ちてしまいそうな程かぼそい肩がびくっと震える。
おずおずと上げた顔には薄く涙の痕が残り、大きな瞳は潤んでいる。
レックスは一度深呼吸し、駄目な息子みて泣くか呆れるかしているであろう両親と、その駄目男を信用して一人娘を預けてくれたマルティーニ氏に、心の中で謝った。
「俺も好きだよ」
茶色の瞳が丸くなる。
「生徒としてもそうだけど……いや、それ以上に一人の女の子として君が好きだ」
うそ、と呟くのに、嘘じゃないって、と苦笑する。
「でもアズリアさんだっているのに」
「アズリアは親友だよ。大事な存在には違いないけど、恋愛じゃない」
「わたし、ずっと年下で子どもなのに」
「……自分でも駄目な奴だなあって思うけど、止められなかったみたいだ」
情けなく笑うのに、涙目のままアリーゼが抱きつく。
「嬉しい……先生、大好きです!」


このまま終われば綺麗だったのだが。


「あの、先生」
「どうかした?」
顔を赤らめるアリーゼの視線を辿れば。
……
(しまったああっ!)
ズボンを押し上げる脹らみ。
レックスの顔色が青と赤を行ったり来たりする。
「あのその大丈夫です。男のひとがこうなるのは知ってますから」
「え、あ、そうなんだ知って……知ってる?」
「はい。―――どうすればいいのかも、ちゃんと分かってます」
恥じらいながらすり寄せられる身体の柔らかさに理性ぐらつきかけて、どうにか踏み止まる。
「待って待って待って! どうしてアリーゼがそんなこと知ってるんだい!」
「スカーレルさんに借りた『恋する乙女は片手で龍をも殺す』にちょっとだけ載ってました」
「あれに?!」
(恋する乙女シリーズってそんな内容だったっけ?!)
学生時代、クラスメイトの女生徒に勧められた際に流し読みした限りでは、完全に恋に恋する女子向けの甘ったるい恋愛小説だった気がする。
思わぬところでジェネレーションギャップを感じてしまうレックスだった。
じー。
視線に目を合わせようとするとアリーゼは慌てて俯いてしまう。
(……やっぱり怖いんだろうな)
「こ、怖くないですから。先生とだったら怖くないです」
心を読んだかのようにアリーゼが宣言する。
「本当に?」
「本当です。先生になら……はじ、初めてを」
緊張のあまりどもるのに愛しさがこみ上げた。
細い腰を抱き、よっと掛け声かけて腹筋使って起き上がる。
横抱きにされたアリーゼが可愛らしい悲鳴を洩らした。
ベッドに腰掛けたまま強く両手で抱きしめる。子ども特有の高い体温が心地好い。
「―――先生」
「うん」
「わたしを……貰ってください」
「……俺でいいんだね」
「レックス先生がいいです」
頬に残る涙の痕を指でなぞり、顔を近づける。
アリーゼがぎゅっと目を閉じた。そのすべすべのおでこにキスをする。
予想とは違う場所への接吻に驚き目を開けたところに今度は唇へ。
触れるだけの軽いものだったが、それでも身を引いてしまい、
「あ…ご、ごめんなさい……」
「気にしてないよ」
もう一度、合わせる。幾度か繰り返した後、アリーゼが突然、
「先生、その……舌、とか入れないんですか?」
「……それも『恋する乙女』?」
こくんと頷くのを見て、明日スカーレルに文句言わねばと決意する。あっさり流されそうだが。

苦笑しつつ再度のキス。ただし今度は舌先でアリーゼの唇の合わせめをなぞる。
離す。なぞる。離す。少しずつ深く舌を入れ、
「んう……っ」
口内へと侵入を果たす。
おずおずと絡んでくる温かさ。唾液を混ぜあい塗りつけた。
苦しくなってくる頃合を見計らって解放する。
ぼうっとしたまま呼吸を整え終えたところに、更に、深く。
まぎれるようにしてナイトシャツの襟元へと手を差し込む。一瞬硬直したが、抵抗はない。
肌のぬくもりが感じられる。やはりシャツ直着だったらしい。
喘ぎ声をからめとるようにキスを繰り返す。こぼれた唾液が頤を伝い首を濡らした。
微かなふくらみと、中心で色づくこりこりとした感触を楽しむ。
掌で優しくつぶすように揉みほぐしたかと思うと、指の腹でつまむ。
固くなった場所に軽く爪を立てた。合わさった舌がびくりと震える。
充分身体がほぐれたかと思い、裾のなかへと手を入れて、その下の布に手を掛ける。
「おしり浮かせて」
力の入らないながらもどうにか持ち上がる腰から下着をおろす。
途中で膝を折り曲げさせ抜き取りやすくして、最後は床に落とした。
少し重めの音は、湿り気を帯びていた証拠。
せんせい、と淡く艶を含んだ声。
応えるべく一番やわらかい場所を指でひらき押す。
ナカには入らず浅い部位を刺激していると、とろりとした蜜を感じた。
華奢な身体が僅かずつだが寄せられる。反応を見つつ中指を押し当てじわじわ進めた。
狭いそこは指一本でもきつくて敏感だった。少し動かしただけでも面白いように返ってくる。
陰核に触れてみた。
「いたあっ……」
アリーゼの目に涙が浮かび慌てて離す。まだ早かったようだ。
こういうことには不慣れなのだろう。浅いくらいの刺激が丁度良いらしい。

くちゅくちゅと、舌と舌の絡む音、指と粘膜の擦れる音。
レックスの手はもうべたべたに湿っていた。
もう一度、今度は先程より優しく触れる。アリーゼが発したのは甘い吐息だった。
愛液をたっぷり塗りつけた指で弄ると震えて奥へと誘う。
強く急に中指を根元までねじこみ性急にかき回す。
やさしい愛撫から一転、きつい責めだが
快楽を受け止めはじめた身体はそれを苦痛以外のものと認識した。
指がぎゅっと締めつけられて。
荒い息でもたれかかるアリーゼの上気したからだを、綺麗だと思った。

「でもこれって、わたしばっかり気持ちよくて先生全然好くなってないんじゃないですか」
口をとがらしての指摘は正しい。
ベルトに抑え込まれてはいるが、屹立はそのままだ。むしろ大きくなった気がする。
「いやまあそれは……」
「ちゃんとやってください」
「ほら、アリーゼはまだ子どもだし、無理はさせたくないんだ」
「どうしても、ですか?」
「どうしても」
押し問答は続く。
まずい。非常にまづい。このままでは「じゃあ口でします!」とでも言い出しかねない。
(それはそれで―――ってさすがにそりゃ駄目だってば俺!)
考えて、考えた末に、折衷案を思いつく。
「なら、ひとつ頼んでいいかい」
「は、はい」
ベルトを外し、ズボンの前を開ける。アリーゼの腰の下、待ちかねたように先走りを垂らしてそれが出てきた。
華奢な身が強張るが、真剣な眼差しからして引く気はなさそうだった。
「これを腿で挟むんだ。できるかい?」
「え、あの……いれないんですか」
そっと額と額をぶつけるくらいに互いの顔を近づける。
「やっぱりそういうのは身体がきちんと出来てからしたいんだ。
 そっちの方がアリーゼも気持ち好いと思うからね」
「……先生は、これで気持ちよくなれますか?」
「アリーゼにやってもらえるのなら、多分」
照れながらの台詞にアリーゼはくすくす笑い、頷いた。

「見るのが怖ければ隠していいから」
アリーゼは迷った末にシャツの裾をめくる。
一瞬だが白く濡れた箇所が視界に入って、己れの性器がびくついたのが分かった。
清楚な少女と比べて随分グロテスクなそれが藍色の生地に覆われる。
伝わるのは挟みこむ太腿と、それより柔らかい湿った肉、二種の体液の感触。
幼い身体が動きすりあげる。生地の中からくぐもった水音。亀頭と布が擦れる。
知識も経験もない拙くもどかしいやり方だが。
艶やかな髪から香る甘いにおい。シャツの腰辺りへと広がる染み、その猥らなにおい。
何よりも、腕の中の少女の、
快楽に蕩けるような、未知の行為に怯えるような背徳的な表情は自分だけのものだ。
与えるだけでは物足りなくなったのか、アリーゼの秘部が押しつけられる。
そうして何度も揺すり立てて。気づけばレックスも出来うる限り動かしていた。
白い首筋にわざと音を立ててくちづける。高い音にアリーゼが幼い嬌声を上げた。
すべらかな背がのけぞり剛直への圧迫が増す。堪えるように強く抱きしめて。

アリーゼの身体からくたっと力が抜けるのと同時に、レックスも果てた。


「服汚しちゃったね、ごめん。俺のだけど洗濯してあるから、これで我慢してくれるかな」
「あ、はい」
精液でべたべたになったナイトシャツの代わりに着たレックスのシャツはやはり大きくて袖を二回折り返さないと腕が出てこない。
その差がレックスとアリーゼの隔たりなのだろう。それでも。
「続きはちゃんと大人になってからしようか」
「待っててください。わたし頑張ります!」
頭を撫でる優しい手を感じながらアリーゼは笑った。


End

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