サナレ×プラティ



無機質な音を立てながら、少女の手にしていた剣は中ほどから二つへ折れていった。
欠けた刃は、乾いた音を上げて地面へと落ちる。
つい先ほどまでは太陽のごとく神々しい輝きを放っていた刀身も、今では暗く、錆付いたような色しか放ちはしない。
「そ……そんな……」
完全に生気を抜かれたような声で呟きながら、プラティは壊れた剣を手にして崩れ落ちた。
プラティの前にはサナレが、そしてパリスタパリスがいる。そして後ろではキュハイラが何か叫んでいる。
だが、その声もプラティにはまるで届きはしない。
彼女の瞳に映っているのは、二つに分かれた剣だけだった。
長い間苦楽を共にしてきた護衛獣の魂を使って鍛え上げた剣。彼女が手にしてる剣がまさにそれなのだ。
そしてその剣が折れるということは、護衛獣自身の魂が欠けたということ。つまりは死を意味する。
――相棒を殺してしまった。
プラティの頭をその事実が果てしなく強く、幾度にも渡り叩きつけていく。
瞳から一筋の涙が流れ、頬を伝ってゆっくりと落ちていった。
「さて……もう終わりにするか……」
眼前のパリスタパリスは巨大な体躯を緩慢に動かし、その岩石のような拳をプラティへと向ける。
だが今のプラティにはそれを感じ取るほどの余裕すらないのか、何の反応も示しはしない。
「逃げろ!! シンテツの子よ!!」
叫びながらキュハイラは、機械兵士のような身体を躍らせてプラティの元へと駆け出す。
もはや戦闘は不可能――そう判断した上での行動だ。
勝てるとは微塵も思っていないが、見殺しにする事もできなかったのだ。
「邪魔をするな……我が半身よ……」
パリスタパリスはそう呟くと、先ほど見せた動きなど冗談と思えるような速度で、プラティに向けられていた拳をキュハイラに突き出す。
それは狙いを違わずキュハイラを捕らえ、だが勢いはいささかも衰えることなくそのまま壁へと叩きつけられた。
激突の衝撃に洞窟全体が激しく震える。
パリスタパリスがゆっくりと拳を引き抜く。その奥には、壁に縫い付けられたキュハイラの姿があった。
大小無数の罅割れが全身を駆け巡り、そこから人間の血液に該当するであろう紫色の体液が滴り落ちていく。
「邪魔者は……いなくなったようだな……」
誰に向けるでもなく、パリスタパリスはそう口にした。
ある種達観したような口ぶり。だがその言葉の奥底では何者にも変えがたい激しい怨嗟が渦巻いているのだ。
その感情を誇示するかのように、拳は再度プラティへと向けられた。
握り拳の形を作ったまま、その手をプラティの上まで移動させる。
「終わりだ……シンテツの子……」
言葉と同時に、拳は地面に叩きつけられた。
衝撃によって洞窟内は再度激しい振動に襲われ、砕け散った粉塵が濛々と立ち込める。
「やはり……か……」
振り下ろした姿勢のまま微動だにせず、パリスタパリスは再び呟く。
やがて立ち込めていた粉塵が晴れると、岩のごとき拳のすぐ真横にプラティの姿があった。
逃げなかったわけではない。逃げることすら出来なかったのだ。
パリスタパリスに植え付けられた、どうしようもない恐怖。
今までは護衛獣と共に戦っていたおかげでどうにか克服できていたそれが、剣の破壊によって一気に瓦解していた。
押さえつけられていた怯えや恐怖が一気に流れ出し、それらが心を席巻する。
『かなわない』
心のどこかでそう思い込み、抵抗の意志を失わせている。その結果が、今の無抵抗なプラティだった。
「物言わぬ人形を滅ぼしたとて……わが望みは成就せぬ……」
微かな苛立ちを言葉の端に表しながら、パリスタパリスは拳を引き戻す。
プラティは足掻こうとすらしない。誰の目にもそれが明らかだったからこそ、逆に無事でいられた。
パリスタパリスが渇望しているのは安易な死ではない。恐怖に怯え、絶望の悲鳴を上げながら死していく人間の姿だ。
足掻くことを諦め、無抵抗のまま死に逝く者の姿など求めてはいない。
「やはり……この娘を使うことにするか……」
パリスタパリスは傍らのサナレへと視線だけを向ける。
それに応えるような視線をサナレは返してきた。まるで待ち望んでいたかのような笑みを添えて。
「その心を、力を解放するがいい……サナレよ……」
淡々と述べられたその言葉に呼応したかのように、サナレの表情は一旦、能面のごとく無表情になる。
そして浮かびあがってきたのは、見慣れたサナレの表情だった。
だがそれもすぐに見ることが叶わなくなる。
「感謝するわ……」
見たことも無い不敵な笑みを浮かべると、サナレはプラティに向けて歩を進める。
一歩一歩を確認するかのような足取り。決して急ぎはしない。急ぐ必要はないのだ。
邪魔をするものなど誰もおらず、プラティ自身は未だ絶望の淵にいるのだから。
「プラティ」
目前にまでたどり着くと、サナレは確認するように彼女の名前を呼ぶ。
静寂の支配する洞窟の内部にその声だけが痛いほど響き渡る。
それに反応したらしく、プラティの身体が刹那的に震え、恐る恐る顔が上げられた。
「サナ……レ……?」
まるで生まれて初めて喋ったかのような力無い言葉。
だがそれが契機になったらしく、プラティはさらに続けて口を開く。
「ごめんなさい……わたし、サナレのこと……助けられなくて……」
贖罪を求める咎人のようにプラティは両手をサナレへ向けて弱々しく伸ばす。
「ふふふ……そんなことは、どうでもいいのよ。わたしは全然気にしてないから」
プラティが伸ばした手を、サナレは救いを与えるかのように優しく包む。
とびっきりの笑顔を見せながら。話したくてたまらないというような口調をしながら。
「むしろ、嬉しいかな? だって、これで願いが適うんだから」
「……願い?」
プラティの脳裏に言い知れぬ悪寒が走り、疑問は言葉という形となって現れた。
「そうよ、願い。いつだったかしら? わたしの後ろにいたはずのあなたが、何時の間にか前にいるって気づいたのは。
あの時の気持ちは複雑だったわ。あなたが羨ましくて、憎くて、そして……」
まるで何年も昔の、既に思い出となってしまった出来事を語るかのような口調でサナレは話す。
それが異常さに一層の拍車をかけていた。
「そして……同時に好意を抱いたの。プラティ、あなたの事がたまらなく愛しく思えてきたのよ。
今まではわたしの方が弱かった。でも、もうわたしの方が強いわ。だからねプラティ、やっとあなたの事を愛せるの」
サナレの目が、笑いを形作るようにして細められる。
その形相を目にした途端、感じていた悪寒はますます強いものへと昇華した。
「や、やめてサナレ……」
幾多の強敵と闘い勝利を収めてきたプラティだが、完全にサナレの発する雰囲気に飲まれ、冷静さを失っていた。
尻餅をついた格好のまま手足を動かし、這いずるようにして必死で逃れようとする。
だが所詮はがむしゃらで不恰好な動き方だ。すぐに追いつかれ、腕を掴まれてしまう。
それだけのことなのに、プラティは全身が総毛立つような感覚に襲われた。
「あらあら、落ち着きなさいって。何も殺そうってわけじゃないんだから」
サナレは怯えるプラティの頬のラインに沿って軽く一撫でする。
「ひっ!」
「あなたの事を愛したいの……狂おしいほどにね」
プラティの目の前が暗くなる。惚けていた頭がようやく理解を示す。
――これは操られているのではなく、偽らざるサナレの本心なのだ、と。
「でもその前に一つ質問ね。プラティは、処女かしら?」
頬から耳の先に至るまでの部分が、朱色へと急激に変貌する。
あまりに唐突な質問に、頭がついていかない。
だが、プラティのその反応を見ただけでサナレは満足そうに頷いた。
「よかった、まだ処女なのね。でも、オナニーくらいはしたことあるでしょ?」
「なっ、ないわよ!」
プラティの朱がさらに赤へと濃く染まる。反射的に強く否定した言葉を耳にして、サナレはもう一度頷く。
「うふふ、そこまで強く否定できるってことは本当よね。やっぱり、あなたは最高だわ。プラティ」
恍惚とした表情を浮かべ恋焦がれたような口調で言うと、背負った剣を鞘ごと引き抜く。
だが手にした鞘は邪魔だと言わんばかりに投げ捨て、刀身を見せ付けるようにプラティへと向ける。
それは中央工城の闘技場で闘った際に見た剣と、形状は酷似していた。
細く長い刀身は持ち手の事を考慮して作られた形に、魔鉱石によって付与された炎の属性まで同じに見える。
ただ、伝わってくる印象だけが絶対的に違っていた。
サナレらしくない、という印象。それが以前見たときとは比較にならないほど強くなっているのだ。
「や……まさか……」
あまりに違う剣を目にしてプラティの全身に緊張したような力が入り、身構えてしまう。
「あらら、まだ勘違いしてるのね」
「え……っ?」
屈託なく笑うサナレを前に、入ったばかりの力が一気に抜ける。
目にした瞬間から、その剣で自分は切り裂かれるのだとばかりプラティは思い込んでいた。
「バカね……プラティの綺麗な肌に傷つけたりするわけないじゃない……」
子供に話し掛けるような優しいサナレの声。そしてそれは、次の瞬間に大きく変貌する。
「これはね、こうやって使うのよ!」
強い調子の声と共に剣が一閃し、プラティの身体を縦一文字に通り過ぎる。
次の瞬間、プラティの衣服だけが真っ二つに切り裂かれた。
まず革の胸当てが地面へと落ち、続いて服がゆっくりと別れ、布の切れ端が舞い散る。
プラティの肌が露わになり、そして胸元には清純そうな純白のブラジャーだけが残っていた。
闘技場とでは、別人としかいいようのないサナレの剣技。鍛聖であっても比較できないと思わせるほどだ。
それほどの鋭さを備えていながら、それでいて本人の言う通り毛の先ほどの傷もついていない。
「え……あ、きゃあああああっ!!」
突然すぎる出来事に、数拍遅れてからやっとプラティは置かれている自分の状況を理解できた。
悲鳴を上げながら必死で肌を隠そうと胸元を手で抑える。
「もう、女同士なんだし隠す事なんて無いのに……」
残念がる台詞に対照的に弾むような口調のまま、サナレはプラティへと再度剣を向ける。
「見せてくれるよ、ね?」
言葉の語尾に力が込められる。それと呼応するように、刃に付与された炎が燃え上がった。
サナレが何を求めているのかは一目瞭然だった。そして、逆らえばおそらく何をされるかということも。
プラティはそれを理解すると、胸元の腕を恥らうようにゆっくりと下ろす。
瞳に涙の膜を膨らませながら、顔は恥ずかしさを懸命に堪えていた。
腕が完全に下ろされるや否や、サナレの剣が再度唸りプラティの前を通り過ぎる。
当然と言うべきか、やはりと言うべきか、今度はブラジャーが刃の餌食となる。
フロントの部分が分かれたかと思うと布地全体が一気に炎上し、後には消し炭すら残ってはいない。
それでいて肌には火傷はおろか焦げ痕一つ付いていなかった。
その威力にプラティはもう何度目か分らなくなった生唾を飲み込む。
「やっぱり英雄の娘さんは綺麗よね。女のわたしが見てもうっとりしちゃうわ」
手にした剣を地面へと突き立て、サナレは熱の篭った視線でプラティの双乳をねっとりと視姦する。
現れたプラティの胸肌は美しかった。
白い肌の上に控えめに胸が膨らんでおり、その上に薄桜色をした乳首が遠慮がちに姿を見せていた。
サナレが魅了されるのも充分に頷けるほどだ。
剥き出しの乳房を観察されるという行為にとうとう堪えきれず、プラティはきつく目を閉じる。
力いっぱい瞳を閉じたため、涙が再び零れ落ちた。
「とってもおいしそう……」
最高の御馳走を目の前にした子供のような表情を浮かべ、興奮を曝け出しながらサナレはプラティの乳房を掴んだ。
小さく、まだ弾力も少なく固い胸脂肪の感触がサナレの指へと伝わっていく。
「ふふふ……よく青い果実って言うけど本当ね。まだ成熟してないみたい」
伝わってきた感触にそう感想を漏らすと、凝り固まった筋肉を揉み解すような指使いでプラティの胸を揉む。
ゆっくりと微細な指の運びで責められていく乳肉は、サナレの意志を踏んだかのようにじっくりと解されていった。
「く……あ……」
僅かな声がプラティから漏れる。
必死で我慢をしているのか、それとも感じているかなんとも判断のつきにくい声。
だがそれを耳にした途端サナレの目の色が変わった。
「気持ちいいのプラティ? じゃあ、もっとしてあげるからね」
指先に込められた力が先ほどよりも強くなり、指先が乳房に埋もれていく。
小麦粉を捏ねるような動きで胸元は蹂躙されながらも、乳首だけは別とでも言うように優しく摘まれた。
「ひゃ! や、やめてサナレ……やだ……」
泣き叫ぶプラティだが、サナレは責め手をいささかも緩めようとはしない。
逆に指の力はさらに強くなり、手の中で乳房は次々と形を変えていく。
「んっ……くっ……」
「もう慣れてきたの? 随分とエッチなのね、プラティって」
再度漏れた声を逃さず聞き取り、そのたびに言葉でプラティの羞恥心が煽られていく。
「そ……そんなことは……」
「ウソついたって無駄よ。だってほら……」
そこまで言うとサナレは人差し指と親指に力を込め、乳首を強く摘んだ。
「ひぃぃっ!!」
「こんなに固くしてるのに、否定したって誰も信じないわよ」
たしなめるかのようなサナレの声色。
それを裏付けるかのように、プラティの胸の上には可愛らしい乳首が痛いほど膨らみあがっていた。
「嘘つきのプラティには、もっと罰を与えなくちゃいけないわね」
一旦考えるような素振りを見せると、サナレはプラティの胸へと赤子のように口を付ける。
「やっ!?」
感触を確かめるかのように舌先で乳首を転がしながら吸い付く。
「んぅぅぅぅ……サナ、レ……もう止めて……」
敏感な刺激に身体がまだ慣れておらず性感も未熟なプラティにとって、この刺激は強烈だった。
慣れぬ感覚にどう対応したらいいのか分らず、ただ震えることしかできない。
まるでプラティの心を読んだその上で楽しむかのように、サナレは固く尖った乳首へと浅く歯を立てた。
「なぁっ!!」
高い声でプラティが一声鳴き、それから脱力したらしく完全に倒れ伏せてしまう。
「うふふ……可愛らしかったわよ、プラティ」
一旦口を離しそう言うと、別れを惜しむ恋人にするかのようにもう一度胸へと口付けが施された。
もはや反応する気力も残っていないように見えるが、それでもプラティの身体は胸元への接吻に身体を振るわせる。
「それにしても、胸だけでイっちゃうなんてねぇ」
プラティの片方の胸は既に限界近くまで膨らみ、そして伸び切っていた。
荒い呼吸と共に乳房が上下する。もはや言い返す気力も残って無い。
「でも、まだまだ終わりじゃないんだから」
仕切りなおすように唇を軽く舐めると、サナレは唯一残っていたプラティの黒いタイツへと手を伸ばす。
「さて、それじゃあ……ここはどんな感じなのかしら」
「ひぃっ!」
タイツ越しに自らの秘部へと指が触れられた途端、身体が大きく跳ね上がる。
布地は既にべっとりと湿っていた。溢れ出た愛液が汚しているのだ。
濡れているために素肌に直接タイツが張り付き、プラティの秘所を正確に映し出していた。
触れるだけで指先が粘液に汚れていき、少し手を離せばそれを拒むかのように糸が引かれていく。
指先に絡まる感触に満足するようにサナレは頷くと、タイツの裾に手を掛けて下着も一緒に引きずり下ろす。
「あっ……だ、だめ……」
気だるい身体を起こし、何とか止めようと試みるが、その動きは阻害しようとするには明らかに遅い。
あっという間に膝の辺りまで下ろされてしまった。
「やだ……見ないで……」
消え去りそうな声。必死で脚を閉じようと藻掻くが、サナレに邪魔されてそれもままならない。
「プラティのココ、綺麗ねぇ……赤ちゃんみたいで可愛らしい」
サナレの視線が秘裂へじっとりと注がれた。
まだ幼い形状をした秘唇からは特有のいやらしい香りが立ち上り、うっすらと湯気も上がっている。
プラティの恥毛は薄く細いうえ、湿って張り付いているために丸見えの状態だ。
先ほどからの刺激によって少しは肉体的に開花したらしく、僅かながら物欲しげな動きを見せていた。
その願いを適えるように、サナレは秘裂へと口付けを施す。
「んきゅぅ!!」
裂け目に沿うようにして密着された唇は、流れ出る愛蜜をゆっくりと吸っていく。
どこで覚えたのかと思わせるほどに舌先を上手く操り、掻き出すようにして蜜を集める。
その刺激は今までのように強烈ではなかったが、それだけ心が篭っているともいえた。
強い責めに慣らされていた身体は突然の丁寧な動きに対応出来ず、無意識のうちに腰をくねらせる。
事情を知らない人間が見れば、どう見ても互いに望んで愛し合っているように見えるだろう。
丹精かつ繊細な舌技で口内へと蜜を溜めると、サナレは口を離す。
「はっ、はぁ……はぁ……」
解放された途端、熱の混じったような息が大きく吐き出される。
プラティ自身は認めないだろうが、彼女の心には残念な気持ちが小さく湧き上がっていた。
だがその気持ちを理解する暇もなく、プラティの唇はサナレの唇によって塞がれる。
「んっ……むぅ……ふっ……」
唇同士が密着されたままサナレの舌が割り込んでいく。
そして舌先を窄めると、先ほど集めたばかりの愛液をプラティの口内へと流し込む。
唐突に侵入してきた舌と愛液という未知の感覚に、抵抗するという思考すら麻痺したらしい。
嫌がる素振りすら見せぬために、愛蜜は舌と通って易々と進入していった。
「んんっ……ふぅ……」
完全に流し込み終えると、口を離してサナレは軽く息を吐く。
「どう、自分の味は? 美味しいかしら」
その問いかけを耳にしたのか、プラティは喉を鳴らしながらその液体をゆっくりと飲み込む。
一瞬だけ浮かんだ吐き出そうという考えは、自分の中ですぐさま打ち消してしまう。
ゆっくりと、だが確実に、プラティの頭からは抵抗しようとする意思が奪われていた。
「本当はもっと可愛がってあげたいんだけど、もうそろそろ我慢の限界なのよね……んっ」
サナレは膝立ちになり、自分のミニスカートの裾を手にしてそっと引っぱり上げる。
「えっ……それって……!」
目にした途端、それまで混濁していたプラティの意識が鮮明になる。
スカートの下から現れたのは男性器だった。大人と比較しても全く遜色ないほどの巨根。
彼女の言葉通り既に限界に近いのだろう、ビクビクと胎動しながら天を向いてそそり立っている。
隠すような下着は一切身に纏っていないため、サナレ本来の白い肌が下腹部を中心に露わになっている。
その白い肌の色とは対照的に黒い肉槍が異様なほどに不似合いで不気味だ。
「ステキでしょう? パリスタパリスから貰ったのよ。プラティの最初の人になるためにね」
そう言うとサナレは、ほんの少しだけ顔を赤らめた。
だがそれは羞恥心ゆえの反応ではない。この後に行う行為への期待によって引き起こされた歓喜の反応だ。
亀頭部分が裂け目へと密着する。ぬるりとした感触が先端に伝わる。
「もうすぐわたしとプラティは一つになるのよ。ほら、喜びでウズウズしてるがわかるでしょ?」
わざわざ指摘されるまでもなく、肉棒の鼓動は痛いほどにプラティに伝わっている。
「そうそう、パリスタパリスが喜ぶようにたっぷりと苦痛の悲鳴をあげてね」
片手間に用事を頼むような口調で告げられると、陰唇へと密着していた肉棒が膣穴を押し広げ、割り進んでいく。
「ひぎぃっ! 痛っ、痛いぃ……止めてサナレ!! これ以上は……いやあぁぁっ!!」
肉棒の大きさに対してプラティの秘穴は適しているとはお世辞にも言い難かった。
ある程度サナレに弄ばれ、慣らされたとはいえ所詮まだ少女の域を出ないのだ。
強引に進み入られる激痛が脳髄へと駆け上がり、苦悶の絶叫が響き渡る。
まだ先端の一部分が進入したに過ぎないが、プラティの内壁は歓迎するように蠢く。
そして、プラティの脳裏に何かが破れる明確なイメージが走った。
「かはっ……あぐ……」
強烈な電撃を受けたような衝撃がプラティを襲った。
意味を伴わないかすれた声を断続的に発し、ひきつけを起こしたように全身が痺れる。
圧倒的な無力感に包まれ、絶望だけが感情を支配する。
自分で自分を全く制御することが出来ない。
「あはっ、イイわよプラティのなか。狭くって擦れて最高……」
プラティと反比例するように、サナレは瞳を細めて喜びの声を漏らした。
腰がさらに押し進められて内部へと埋まっていき、強引に押し広げられたために膣口が広がる。
「もう……お願い……止めて、許してぇ……壊れちゃうよぉ……」
ボロボロと涙が際限なく溢れ出る。だがその懇願もむなしく、肉鎗はプラティ内部を完全に満たした。
先端部分が行き止まりへとぶつかり、これ以上ないほどに陰茎によってこれ以上ないほどに占有されている。
それでもサナレの全て受けきれてはいなかったが。
「ほら、見えるかしらプラティ? 限界までつながったわよ。それにその泣き叫ぶ声……わたしの中のパリスタパリスも喜んでる」
サナレがゆっくりと腰を動かし出す。
腰を突き出せば内側を容赦なく擦り上げられ、亀頭で子宮口を遠慮なく突き上げられる。
肉が引き抜かれるたび陰唇が捲れ返されて、幼い性器が醜悪な痴態を晒す。
そしてその度に結合部からは破瓜の血が混じった愛蜜が噴出し、卑猥な音を立てる。
その全てに快楽など存在せず、ただひたすら苦痛だけがプラティには与えられた。
「嫌っ、嫌っ、痛いよぉ……お願い、助け……たすけて……」
無力な子羊のようにただ体中に力を込めて、必死でプラティは耐えようとする。
その込められた力の為に苦痛は増し、サナレを喜ばせているとも知らずに。
「もうやだよぉ……こんなの……こんなのやだよぉ……」
「可愛い声上げちゃって……はぁん……わたしも、パリスタパリスもすごく喜んで……んんっ……聞いてるだけでイっちゃいそう……」
サナレの息遣いが荒くなり、腰の動きが荒々しく加速する。言葉通りに絶頂が近いようだ。
その激しい動きで、プラティの心が完全に破壊されかける。
だが、それが完了するよりも早くサナレが叫ぶ。
「ああっ! もうダメ! イクっ、イクわよプラティ。全部受け止めてね!」
肉棒が瞬間的に肥大化し、子宮口目掛けてたっぷりと精液が放たれた。尋常ではない量だ。
瞬く間に子宮内部を満たすが、それでも満足できないように逆流して膣道をも蹂躙する。
全てが出し切られると、サナレはゆっくりと肉鎗を引き抜いた。
途端に塞き止められていた精液が溢れ出し、白濁した水溜りを作り上げていく。
「ふふ……よかったわよ、プラティ」
先程果てたことなど微塵も感じさせぬ軽快な動作でサナレは立ち上がる。
どうしようもないほどに無邪気な笑顔を張り付けたまま。
「もう……許して……助けて……」
「あらあら、まだ元気だったのね。スゴイわ」
自分はもう心が壊れている。狂っている。プラティはそう思っていた。
だが、幸か不幸か彼女の精神は絶望にその身を委ねる事を許さなかったらしい。
時が刻まれる毎に意識が引き戻されていく。驚嘆すべき事実といっていいだろう。
おそらく、度重なる試練や戦いが彼女の精神を成長させたのだろうが、この状況では不幸以外の何物でもない。
サナレに更なる興味を抱かせる結果となってしまったのだから。
「じゃあ、これはご褒美よ」
サナレは横たわる少女へと手をかざし、瞳を伏せる。
すると手の平からは柔らかな光が溢れ出し、プラティへと降り注ぐ。
やがて光が完全にプラティへと注がれると、体中を襲っていた鈍痛が嘘のように消えていた。
「……え? うそ……」
不意に自らの身体へ現れた変化に狼狽を隠せない。朦朧としていた意識も、驚くほど鮮明になっている。
どうやら肉体的な痛みだけではなく、精神的な面までも癒されたらしい。
「そんなに驚くことでもないでしょ。召喚獣だって出来ることなんだから」
まるで特別な事など何もしていないとでも言うような口ぶり。
何より突然の態度の変化。それが漠然とした恐怖を予兆させる。
「全部傷ついた部分もちゃんと癒してあるのよ。それに処女膜だってちゃんと再生させてあるんだから。凄いでしょう?」
そこまで耳にした途端プラティの心臓が跳ね上がった。
今のは自分の聞き間違えであって欲しい。そう祈りながら上目に見上げる。
だが、目に飛び込んできたのは歓喜の笑顔だった。プラティはこの表情を良く知っている。
つい先程までそれを目にしていたのだから。この禍々しく恐ろしい黒い笑顔を。
「だから……また可愛がってあげられるのよ。嬉しい、プラティ?」
「いや……いや……」
プラティは否定するように弱々しく首を振る。言葉の意味は恐ろしいほど理解出来ていた。
あの痛みや苦しみを再び体験せねばならないのだ。それでもおそらく耐えてしまうだろう。そして同じことが繰り返されるに違いない。
考えただけで全身が恐怖に支配され、涙が再び流れてきた。
そんな内心の様子など歯牙にもかけず、サナレは目線をプラティの高さに合わせる。
「いっぱい可愛がってあげるわ。加減も分った事だし、今度はもっと深く、激しく……狂うまで……壊れるまで……ね?」




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