マグナ×ビーニャ



……ここはギブソン邸に用意された俺の部屋。
月すらも無い漆黒の夜、蝋の灯だけが弱弱しく室内を照らしていた。
ここで一人の少女が手足を拘束され、ベッドの上に転がされている。
少女の名はビーニャ。
ついさっきギエン砦で配下の魔獣ごとしばき倒して、持ち帰ってきたばかりである。
悪魔王メルギトスの配下の一人であり、彼女自身、かなり高位の魔族でもあるらしい。
……が、それももはや昔の話だ。

――あの日。
ウォークラリー魂に火がついたあの日以来、俺は仲間にも内緒で常日頃から無限回廊に入り浸っていた。
そのままつい調子に乗って、最下層まで踏破してしまったこの俺マグナに最早敵はいない。
LV50+最強装備は伊達ではない。メルギトスの二三匹、まとめて潰せてしまう程の戦闘力が今の俺にはあるのだ。
無論ヤツの配下に過ぎないビーニャなど、問題外もいい所だった。そのはずだった。
……その、初めて出会ったときに、彼女に、その……。
――ええい、白状しよう。
初めて出会ったそのとき、俺は既に、彼女に心を奪われていた。
何故?そんなの知らん。
残虐非道な正真正銘の悪魔っ娘だし、顔色悪いし、幼児体系だし、正体アレだし……。
本当に何でこんなのが好いのだろうか。
この時だけはあどけない表情で眠りについているビーニャを見下ろして自問する。
――だけどまあ、好きになってしまったものは仕方がない。
と言う訳で仲間の反対を押し切って彼女をここまでテイクアウトさせてもらったのだった。
「ん、んぅ……」
と、ベッドの上でビーニャが身じろぎした。ゆっくりと瞼を開く。
そのまま身を起こそうとし、束縛によってバランスを崩して倒れた。
それでようやく、今の自分が置かれている状況に思い至ったようだった。
そんな彼女を、微笑ましく見守りながら、俺は彼女に声をかけた。
「やあ、目が覚めたかい?」
「!?……アンタは――」
瞬間、悪魔らしく、憎悪を剥き出しにしてこちらを見返してくるビーニャ。
そんな彼女に何か心の奥でたぎる物を感じながら、俺は彼女の拘束を解く。
途端に掴みかかってくる彼女の腕を片手で掴み返し、片手で腰を抱きとめる。
「一応言っとくけど、暴れないでくれよ?」
表情は穏やかに、間近で彼女を見つめ、囁く。
仮にも上級悪魔を名乗るだけはあって、格の違いというやつが解ったのだろう。
今の俺が、彼女どころか彼女の主でさえ到底太刀打ちできる相手ではないと言う事が。
俺が手を離すと、彼女の方も憎悪の表情は保ったまま、素直に力を抜く。
「……アタシをどうする気」
怯えと憎しみの入り混じった声で問い掛ける。
「どうすると言われても」
こちとら仲間の反感を買ってまで彼女を連れ帰った理由など一つしかない。
俺には話術の心得なんて無いから、思ったままを伝えることにする。
「ええと、仲間にならないか?」
「はぁ?」

帰ってきたのはあからさまな侮蔑。まぁ、予想通りだ。気にせず続ける。
「君の事が好きだ。だから敵対したくない」
ビーニャは無言。
ややあって。
「キャハハハハハハハハハハ!!!!!」
堪えきれず、といった感じで天を仰いで哄笑した。
「おかしいか?」
「おかしくない訳無いじゃん。そんな戯言信じると思ってんの?」
よほど可笑しかったのか、恐怖も忘れ、強気な態度を取るビーニャ。
「……戯言だと思うか?」
俺は微笑みながら聞き返した。
「――」
無限回廊下層の鬼神将すら威圧する、LV50のデビルスマイルだ。
再び彼女は気圧されたように沈黙する。
俺もまた表情を消し、素直な気持ちを告げる。
「本気だ。君を、愛してる」
しばし部屋に沈黙が訪れる。
……あう。今更ながら、とてつもなくこっ恥ずかしくなってきた。
部屋が暗くて良かった。そうでなければ今、俺の顔が真っ赤になってるのがバレていた所だ。
「――だったら」
やがてビーニャが口を開く。小さく、嘲りを含んだ表情で。
「ん?」
「だったら、力ずくでアタシを手に入れたら?」

………………………………………………………………。
…………………………………………。
……………………。

はっ!!い、いかん、突然の事に思考が停止してしまった。
「え、あ?」
「どーしたの?どうせ、いつもやってるコト何でしょ?」
失礼な。女の子に告白したのなんて今回が初めてだ。
……って、そうじゃなく。これって、ひょっとして、ひょっとしなくても……。
「あ……う」
ヤバイ。どーしようもなく、顔が熱くなってる。うまく息が出来ない。
落ち着け、落ち着くんだ。俺は誰だ?そうだ。俺はマグナだ。
フリップのアホに追い出されて以来、俺は数々の冒険をこなしてきた。
初日から山賊を捕らえた。ファナンでは海賊を捕らえ、表彰もされた。
デグレアと事を構えてからも皆から慕われ、尊敬されてきたからこそ、ルヴァイドをゲットできた。
釣りではいつも宝箱を釣っている。ケーキ屋のバイトだってパーフェクトだ。
無限回廊だって他人の50倍はこなしている……!俺は……、
マ グ ナ ・ ク レ ス メ ン ト だ ぞ ! !
「いいか、聞……」
「アタシは一切抵抗しないわ。あんたの好きにすればいい」

……………………。
一つ、深呼吸をする。
「……それが、お前たちのやり方か?」
「そうよ。これがアタシ達の流儀。でも、アンタ達だって似たようなモノでしょ?」
挑発するように上目遣いで見詰めてくる。
……ごめんなさい。ぼくはもう、げんかいです。
……だって、ぼく、おとこのこだもん。
「……まあ、据え膳喰わぬは――とも言いますし」
「はぁ?」
開き直ってみると自然と落ち着いてきた。
「んじゃ、お言葉に甘えて」
ダイブ二秒前。一、ゼロ。
「いただきまーす」
俺はビーニャをベッドに押し倒した。
「ちょ、ちょっとアンタ何を……んぅ……っ」
有無を言わさず唇を奪って口をふさぐ。そのまま、フォルテに借りたエロ雑誌の内容を懸命に思い出す。
えーと、まずは胸だったか?
良くわからない構造の服を、下着ごと多少強引に脱がす。
「……!……やめ……っ」
そして露わになった、予想通りの小さな胸をゆっくり撫で回してみると、反応があった。
気をよくして、そのまま指で圧迫してみる。(掴めるほど大きくない)
「やっ……!やだ」
あれ?痛かったか?に、しても……。

「ぅぅ……」
「しかし自分から誘っといて、いざとなったら随分弱気だな」
苦笑交じりにそう告げる。
と、ビーニャは闇の中でもわかるくらい、青白い肌を上気させる。
「ち、違う!アタシは――んっ――!」
「はいはい、続けるから大人しくしてて」
再び唇をふさぎ、愛撫を再開させる。ええと、次は……。
下の方も上と同じように脱がし、下着も取っ払う。
乳首を指先で転がしながら、下腹部の方にも片手を伸ばす。
ひんやりとしたお腹をすべって、秘部へと達する。と。
――くちゅ
「――っ、っ!!」
とろとろとした液体が俺の手を濡らす。って、これって……。
……あ〜、どうやら気持ち良くなかった訳ではないらしい。少し安心する。
唇を離し、喉を通って、乳首に移動。そのまま強めに吸ってみる。
「あ……っ、あんっ、やぁ……っ!」
鼻にかかった甘ったるい声。うう、こっちの脳まで痺れてきそうだ。
同時にいじっていた秘部からもさらに大量の蜜が溢れてくる。
「――これくらいで、いいのかな?」
いよいよだ。もう緊張するなと言っても無理だ。
既に俺の心臓はオーバードライブしている。破裂しないのが不思議なくらいだ。
それでも平静を保っていられるのは俺がLV50だからだ。
そう自分に言い聞かせ、服を脱ぐ。

下着ごとズボンを下ろすと、既に自分のモノは最大限に膨張していた。
愛撫が止まってもビーニャは脱力したように動かず、
切なげに呼吸をしていただけだったが、俺のを見て、途端に顔を引きつらせた。
「ちょ、ちょっとぉ……」
既に涙目だ。いや、だから……。
まったく……。壊したり奪ったりするのには慣れてても、その逆は苦手なようだな。
「いい加減、覚悟を決めろ」
呆れたように言ってから、彼女の両足を抱えて、ビーニャの幼い割れ目にあてがった。
そのまま慎重に、埋没させてゆく。
「――!!い、痛い、痛い、痛い!!」
「っ、おい、暴れると余計に――」
うわ、きつ!い、けど……。やば、洒落にならない程、気持ちいい。と、
何とかビーニャを押さえつけながら、さらに進む。やがて何かを裂くような感触。
ああ……、そうだろうと思ってたけど、やっぱ処女だったか。
だからここまで敏感に反応してたって訳か。だけどそれにしたって……。
初めてなのは身体の方だけなんだから、もう少し、こう……。
俺だって初心者なんだからさぁ、リードしてくれる位のオトナの余裕ってやつを……。
なんてコトを考えていたら――
「っ、…………ふぇぇぇ……ん」
なんていう、アリエナイザーな声がすぐ側から聞こえてきた。
「――――」
「……えぇぇん、……えぇぇん」
そこに至り俺は今まで思い当たらなかった、一つの可能性に気付く。
ビーニャと繋がったまま、とてつもなく嫌な予感を覚えながら、尋ねる。
「えと、ビーニャ、さん?ひょっとして、身も、心も、初めてだったり……しますか?」
答えは無かったが、代わりに彼女は泣きじゃくりながら、小さく、首を縦に振った。

「――――」
「……っく、えぐっ」
俺は動けなかった。出来ればそのまま真っ白に燃え尽きたいところだが、
彼女に締め付けられたままの俺のペニスが、それを許さない。
やがて俺は、戸惑ったように声を出す。
罪悪感と困惑と快感で情けないほど上ずった声だった。
「じゃ、じゃあ、何で、あんな、挑発するような事、言ったりしたんだよ?!」
「えぐ……、だ、だから……、ひっく、ち、違うの……」
少しは痛みが治まったのか、ショックから立ち直ったのか、今度はまともな返答だった。
「召喚術の……、ひっく、誓約の事……だったの」
「――――」
なるほど、確かに、理に叶っている。今の俺なら、彼女を護衛獣にだって出来るだろう。
一人で勝手に暴走した俺がバカだった。
あんな言い方をされたら誰だって誤解するに決まってる――――なんて言い訳は、バベルキャノンで粉砕しておく。
――よし、覚悟は決まった。
「…………ええと」
俺は繋がったまま、彼女をこれ以上傷つけないように注意しながら、顔を寄せた。
「責任は、取るから」
そう囁き、彼女の足から手を離し、優しく背中を抱き寄せた。
「っ?ふぁっ……」
口付けをかわし、首筋を吸い、胸を刺激する。
俺の中の性知識を総動員させ、彼女に出来る限りの快感を与え、苦痛は減らすようにする。
「っ、あ、ぁん、……ふぁぁんっ、あぁんっ」
やがて泣きじゃくる声が徐々に嬌声に変わってきた頃、俺も下の方を動かし始める。

「あ……っ、はぁんっ、あ、は、はぁっ」
声に喜悦が混じり、表情にも蕩けたものが混じりだす。
一度慣れてしまえば、そこはさすが悪魔。快楽には忠実なようだ。
内心でほっと息をつきながら、腰を抱え、更に動きを激しくする。
「やぁんっ!気持ち、いい……!あはっ、ああっ、アタシ、アタシ、もう……!」
「……っ、俺も、っ、出……る!」
「あ……っ、あはああああああああんっ」
ビーニャの膣内の激しい締め付けに、俺もまたありったけの精液を彼女の膣内に放出した。
それと同時、どちらからとも無く抱き合い、キスを交し合う。
やがて全てを放出し、彼女の収縮が収まったあとも、そのまま抱き合っていた。
あ〜。何かすごく、眠い……。って、ビーニャの方は既に寝息立ててるし。
あ〜、まあ、あとの事はあとで考えよう。
オヤスミ、ビーニャ……。

――翌日。
俺の腕にもたれかかるような形でビーニャが体重を預けてくる。
あれから翌朝になって、改めてビーニャと護衛獣としての契約を交わした。
まだメルギトスの配下にはガレアノとキュラーが残っている。
取り合えずガレアノの元に先行する事に決め、今は色々と旅の支度をしている所だ。

「いや、さ。護衛獣になってくれたのはうれしいけど、本当にいいのか?」
「何が?」
一晩経って、恋人同士のように身を寄せ合う俺達に対する仲間の視線は、ステキに冷ややかだ。
レシィは話し掛けても返事してくれないし、アメルはいつの間にか呼び方が『さん』付けに戻っていた。
ネスに至っては『君は馬鹿か!?』と突っ込んですらくれない。
まぁ、今までの彼女の所業を考えれば、無理も無いのは確かだ。
今だって改心した訳ではないんだし。
「別にこの戦いが終わってからでも構わないんだぞ?」
「ふふっ、何だ、そんな事?」
無邪気に、笑う。
「アタシは大丈夫。けじめはちゃんとつけるよ。それに……」
妖艶に、笑う。
「責任、取ってくれるんでしょ?」
「……まぁな」
ちょっと大きめなその声に、仲間の視線の温度が更に五、六度下がったのを感じながら、俺は天を仰いだ。
(これから色々大変だな……)
仲間との関係も修復しなければならない。だがそれも結構難しい話だろう。
さっきも言ったが、彼女は心を入れ替えた訳ではない。ただ、俺を選んでくれただけだ。
最悪、俺も選ぶ時が来るのかもしれない。何を得、何を捨てるのか――。
だがまあ、その時はその時だ。
「それじゃ、これからもずっとよろしくな。……ビーニャ」




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