リョウガ×エア



男の子は一回エッチすると飽きちゃうってホントかな・・・?


「・・・え?」
 ぽつりと漏らされたエアのつぶやきにリンリは思わず声を上げた。
「え、エアちゃん・・・?今なんて・・・」
 聞かなかった事にするべきだったかもしれないが、今のはさすがに聞き捨てならない。
 折角再会できたのでつもる話でもしよう。とエアは長期にわたってリンリとリョウガの暮らす温泉地獄に滞在していた。今日で2週間目に突入している。
 昨日あたりからエアがため息をこぼすようになった。と心配したリョウガがリンリに相談を持ちかけたのだ。それで今、何かあったのかと聞いていたのだが。
 迷って迷って、呟かれたのは先の言葉だった。
 顔を真っ赤にしてエアは言葉を選ぶ。そもそも人に言うような事でもないのだが。
「その、先週に・・・リョウガと・・・その・・・」
 あの行為をなんて説明したらいいのか、分からなくてエアは口ごもる。しかし察しのいいリンリはそれだけで二人に何があったのかを理解した。
 そういえば気を利かせて二人だけにして上げた事があったのだ。なるほどリョウガは首尾良く事を進めたのだろう。

「そう・・・、リョウガは上手だった?」
 半分冗談。半分本気でリンリはそんな事を問う。エアは顔を真っ赤にしたまま金魚のように口をぱくぱくとさせた。
「わ、わかんないです、そんなの・・・っ」

 覚えているのは。

 何度も『エア』呼んでくれたリョウガの声と。
 幾度も重ねられた唇の感触と。
 貫かれた体の痛み。

 上手だったとか、気持ちよかったとか、そんな事を考える余裕なんてなかった。

 だけど、嬉しかった。
 あの時も、あの後も。目が合えばリョウガは照れたように笑って、抱きしめてくれたから。・・・なのに。

「なのに?」
「えっと・・・さ、触ってくれないなって・・・」
 恥ずかしい。
 コレではまるで触ってほしいみたいだ。
「じ、自分でもいやらしい子になったみたいで恥ずかしいけど・・・っ、でも・・!」
 意地っ張りで素直じゃないリョウガは決して『好きだ』とは言ってくれない。だけど肌を重ねたあの時だけは、たくさん言ってくれる。全身で『好きだ』と。
 それが何より嬉しいのに。

「ですってよ、リョウガ」
 呼びかける姉。
「ね、姉さん!!」
 草むらから思わず飛び出した弟。
「ええ!?」
 そしてその彼女。
 三人の声が一様に温泉に響いた。

「り、リョウガ・・・?」
 重苦しい沈黙と破ったのはエアだった。呼びかけられたのはそこには居ないと思われていた青年。リョウガ。
「あ、いや、その・・・っ」
「心配してたのよ?エアちゃんがため息ばっかりついてるって、どうしたのかって」
 リンリはそう言って、立ち上がった。
「さて、私はちょっと出かけるわね」
 再び気を利かせるべく、リンリは湯煙の向こうへ姿をけした。
 それを見送ってリョウガは口を開いた。
「飽きたとか、そんなんじゃないからな」
「き、聞いて・・・っ」
「お前に、その・・・触らないようにしてたのは、またしたくならないようにだ。・・・ほら痛がってたし・・・」
「いいよ、しても」
 二人ともゆでだこのように顔を赤くして互いを見ている。
「痛かったけど、でも嬉しかったから、・・・いいよ」


「ん、・・・っ、ふ・・・ぁ…っ」
 ぎこちなく重ねられた唇から苦しげに漏れる声は、それだけでリョウガの心をかき立てる。いつの間に彼女は少女から女へと成長したのだろうか。
「エア・・」
「ん、リョ、ウガ・・・」
 はふ。とため息をついてエアは両腕を彼の首に絡めた。
「いいよ…」
「・・・っ」
 息が、止まる。
 痛くないように、彼女も快感を味わえるように。そう思っているのに。
 これじゃあ、抑制ができない。
「バカ・・・っ」
 両膝に手をかけて、押し開く。彼女が嫌がるのでじっくりと見ることは叶わないがちらりと見えたそこはもうすでに十分潤んでいる、
 そっと自身をあてがうと柔らかな感触とぬめりが彼を誘う。
「…いくぞ、力ぬけよ?」
「うん・・・」
 きゅ、とエアが目を閉じる。
 くちゅ。としめった音がする。
「あぁ・・・っ、あ、あ、あ・・・!」
 初めての時よりも容易に、エアは彼を受け入れた。
 熱くて、柔らかくて。
「エア・・・っ」
「あ!?、や、そんな・・・っ、早いよぅ…っ」
 必死にしがみついて、エアが声を上げる。
「痛い、のか?」
 動きを止めて、エアをのぞき込む。と、彼女は小さく首を振った。
「だいじょうぶ・・・、そんなに、痛くないから・・・」
 そんなに。と言うことは少しは痛むのだろうか。ならば、無茶はできない。
「ゆっくり、動くから」
「ううん。平気・・・」
 リョウガの耳元でそっと、囁く。
(好きに、動いて?)

「あっ、あぁっ、もう…っもう、駄目…ぇ、リョウガぁ・・!」
「エア・・・!俺も、もう・・・っ」
「すき・・っ、だいすき、だよ・・・っ、リョウガ・・・!」
「ばか・・・、俺だって・・・っ、くっ、ぅあっ」
 締め付けてくる感触に、思わず呻いてリョウガはぶるりと震えた。
 もう、限界だ。
「で、る・・・っ」
「ふぁあっ、あぁんっ、あ、ああぅっ、あーーー・・・っ」
 びくびくと痙攣を繰り返す彼女の耳元でリョウガは囁く。
「すきだ」  


おわり

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