ユエルの初恋



「つまんないなぁ〜、マグナは忙しくて遊んでくれないし…」
町を歩きながらしょぼくれてる少女がいた、、青い髪と青い目、そして大きな獣の耳…少女の名はユエル
「うー、マグナ…」
とことこユエルが歩いていると商店街のおばちゃんがユエルに話し掛けてきた。
「ユエルちゃん、どうしたのさ?元気ないけど?」
「うん、マグナが最近忙しくて遊んでくれないの…」
「そういえば偉くなったんだっけ?マグナ君は?」
メルギトスを倒した後、マグナは能力を開花させたようにドンドンと昇進していき、今では重大な任務でネスティとリィンバウム中を走りまくっていた。
「いいな…ハサハは…マグナにいっつも付いていけるから…」
マグナの護衛獣のハサハはその役目通りに任務についていけても契約していないユエルは任務にはついていけずお留守番をする羽目になっている。
「ユエルちゃん…おばさんじゃ駄目かい?」
おばさんが優しくユエルに話し掛けるとユエルは首をブンブンと横に振って否定する。
「ううん!おばさんは優しいし大好きだよ!…でも…マグナの事考えると…寂しいの…」

「寂しいねぇ…もしかして…ユエルちゃん」
ユエルの辛そうな態度におばさんは何か気づいた、ユエルは何々と尋ねる。
「それは恋なんじゃないのかい?」
「恋?何それ?」
恋や愛にまったく知識が無いユエルは首をかしげておばさんに質問をした。
「うーん…そうだねぇ…たとえばユエルちゃんはおばさんとおじさんはどう思う?」
「大好きだよ!だって二人ともユエルにご飯くれるもん!」
「それじゃあマグナ君は?」
「マグナも…大好き…」
おじさんとおばさんで尋ねた時は元気一杯に答えたユエルが、マグナの時になると恥ずかしがりながら答えた、それを見たおばさんは更に尋ねた。
「ユエルちゃん、おばさんが好きだって言った時はどんな気持ちだった?」
「えーと、楽しいような、すっきりするような感じ…」
「でもマグナ君の時は?」
「恥ずかしい様な…胸がドキドキしてキューッと締められるような感じ…」
「それが恋なのよ、マグナ君をお友達じゃなくてそれ以上の存在で見てるのさ」
「お友達じゃなくて…それ以上の存在…」
ユエルの顔が紅潮していく、お友達以上…思えば思うほどマグナが恋しくなって仕方ない。
「おばさん…どうすればいいの?」
マグナを好きな気持ちが爆発しそうなユエルは困った顔をしておばさんに尋ねる。
「その気持ちをマグナ君にぶつけてみればいいのさ!」

「気持ちをぶつける…?」
「マグナ君を好きだ、ってマグナ君の事を愛してるって」
おばさんの答えにユエルは頷く、早く言いたい…マグナに言ってみたい…それだけしか考えられなかった。
「ありがとう!おばさん!ユエル、気持ちをぶつけてみるね!」
待ち切れないのか、バヒューン!と風のように去っていくユエルを見ておばさんは苦笑した。

「あーあ、疲れた…帰ってきたぞ!久しぶりの我が町!」
「久しぶりと言ってもまだ2日しか経ってないぞ」
あくびをしながら門を抜けるマグナを見てネスティは溜息をついた、重役になっているのにこんなにだらしない姿を見ると気が重くなる、そんなネスティを知らずに門番にやる気無く挨拶をするマグナ。
「いつも大変だねぇ〜あそこに何時間も立ってなきゃいけないなんてさ」
「マグナ、君はもっと青の派閥の重鎮としての態度を示すべきだ!なんでそんなに!」
「あーはいはい、ネスの説教は後で聞くから、それよりミモザ先輩に用があるんじゃないんだっけ?」
マグナは毎度毎度のネスティの説教から逃れる為にネスティが話していた事を穿り返すように言った。
「ああ、しかし、君の任務が終了してからだ、一人では心配でとてもじゃない」
「でもどうせ本部に報告するだけだろう?それくらい俺にだって出来るさ」
「どうだかな、君の事だから面倒くさいとか何とかいって後にするってこともあるだろうし」
「むっ!大切な任務の報告なのにそんな事するわけないだろ!」
マグナが怒った口調で言うとネスティは2度目の溜息をつき「分かった」と了承した。
「あ、でも一回部屋に戻るよ、ハサハをおぶったまま行く事なんて出来ないからね」
マグナの背中にはちいさな寝息を経てているハサハがいた、ここ連続の任務だったから疲れて眠ってしまったのだ、ネスティもそれは仕方の無い事と言い頷いた。
「ああ、それと報告が終わったら俺もミモザ先輩の所に行くよ、ギブソン先輩がケーキおごってくれるって話だからさ」
「はぁ…ケーキに釣られて先輩達の家にお邪魔する君が羨ましいよ…」
ネスティは3度目の溜息をつくと先輩の家がある方向にゆっくりと向かっていった。

マグナと別れ先輩達の家に向かう途中、ネスティは猛ダッシュで走ってる何かに気がついた
「ん?あれは…ユエルじゃないか、おーいどうしたんだ?」
「あ!ネスティ、それじゃあマグナも帰ってきてるんだ!」
ユエルは呼びかけられて止まるとぱぁっと明るい笑顔で尋ねてきた。
「帰ってきてるがマグナは報告に行っているぞ」
「えー!」
ネスティはマグナが任務を終えていない事をユエルに話すとガックリしてその場でしゃがみこんでしまった。
「マグナに何か用でもあるのか?あるなら伝えておくが?」
「いいよ、これはユエルが直接マグナに言わないといけない事だから」
「そうか、ならユエルも先輩の家に行くか?マグナも後から来るらしいからその時話せばいいだろう」
ネスティの誘いにユエルはピョコンと立ち上がり尻尾を振りながら付いていった。
ミモザ&ギブソン邸、二人の家でありマグナ達がメルギトスと戦っていた頃の拠点である、戦いが終わった後でも皆は時々集まりここでお茶を楽しんでいる。
「こんにちはー、ミモザ先輩!いますか!」
ネスティがドアを軽くノックすると中から金髪でローブを羽織った青年が出迎えてくれた。
「やぁ、ネスティ、帰って来たのかい?」
「こんにちは、ギブソン先輩、ミモザ先輩はいますか?」
「いや、急な任務でね、今日中に帰ってくるとは思うんだが…おや…珍しいなユエルも一緒なのか」
小さいユエルを見落としていたギブソンはユエルに挨拶をした。
「こんにちは、どうしたんだい?ネスティと一緒に」
「ギブソン先輩、ユエルはマグナに用が会って付いてきたんです」
「マグナに?でもどうして私の家に?」
ネスティはこれまでの事をギブソンに話した、するとギブソンが思い出したかのように。
「ああ、そういえばそんな話をしたね、でも今日は私もこれからちょっと出かけなくてはならないんだ」
「そうなんですか」
「それで何なんだけど、ネスティ、君もついてきてはくれないかい?ちょっと遺跡に行くんだが、そこは機械が多くてね、私も知らない事が多くいろいろと君の知識が役立つ所なんだ」
「僕でよろしければ、しかしユエルはどうします?」
二人が黙り込んで悩んでいるとギブソンがある提案を出した。
「ユエル、お留守番を頼めないかな?」
「えっ?お留守番…」
「うん、マグナには出かける事を伝えられない、だから君が居てくれればマグナに伝える事が出来る、ネスティ、マグナはすぐに来られるのかい?」
「ええ、報告も別に話すだけですし、もうこっちに向かっている頃でしょう」
「どうかな?ユエル」
ユエルはマグナが直ぐに来ると言う事を聞くと首を縦に激しく振りOKのサインを出した。
「ありがとう、それとリビングにお菓子とケーキがあるからマグナと食べていいですよ、キッチンも勝手に使っていいですから」
「うん!分かったよ!」
ユエルは元気良く返事をするとギブソンとネスティは家を後にした。


つづく

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