ドライアード×アティ



風が森を吹き抜ける。腐葉土とその上に落ちた戦いの残滓を撫で、微かに血のにおいを交えて湿気を運ぶ。
しかし今響くのは風の音だけではない。
「あ……や、あっ……」
荒い息遣いと衣擦れ、必死で抑えた女の嬌声。
時折聞こえる、別の女の愛らしい笑い声。
「お願……やめ、て…くださ……っひ」
粘性の強い水音。喘ぎがひきつれる。
そこにいるのは絡み合う二人の女たちだけだった。片方は艶やかな赤毛、普段なら暖かな笑顔を浮かべているはずの頬は今や涙で濡れている。彼女の名前がアティだと知る者はここには居ない。もう一方は愛くるしい面差しを欲情に崩していた。楽しげに細められた赤い瞳は、例えるならば獲物を前にした獣。もしくはずっと欲しかったおもちゃを手に入れて御満悦の少女といったところ。
幾度目かの懇願に、赤目の少女はだめだめとばかりに人差し指を唇に当てる。
そうして指をアティの唇へと当ていたずらっぽく微笑んだ。『間接キス』のつもりらしい。
その動作を苦笑いして咎める余裕はアティには無い。
ただ柔らかな草の上に仰向けに横たわり、身体を不規則に痙攣させるだけだ。
「……止めて……も、これ以上は……ドライアード……っ」
メイトルパの召喚獣はつんと澄ました顔で無視を決め込む。と、直ぐに笑って成熟した女の身体に圧し掛かって塩辛い頬にキスした。
逃れようと身をよじっても無駄だった。
頭上で縛められた両手はびくともしないし、脚は不調法に割りひらかれたまま、愛らしい少女は相変わらずにこにこ笑っている。
服はあちこち破かれ裂かれ、ひどい有様だった。無事なのは丈夫なブーツだけだ。白い乳房に色づく突起も、滑らかな腹部も、髪と同色の茂みを透かすひだも外気に晒され震えている―――理由は決して寒さではないが。

緑色の何かがアティの視界の端で蠢いた。
「―――やあっ! もう止めてえっ!」
叫びはソレが乳房に絡みやわやわと刺激することで喘ぎへと変化した。

ソレは植物の蔓に似ていた。
繊毛を生やした触手がアティの身体を這い回る。腕に、ふとももに絡み地面へと押さえつける。
乳首をつつき色の境目をなぞる。弓なりに仰け反る背中から臀部までをすいっと這ってまた別の場所を弄る。粘る涎を垂らした、秘所を。
小指の三分の一もない太さの蔓が既に何本も取りつきアティの体液に濡れ艶々てかっていた。
しかし奥には入っていこうとしない。浅い部分を刺激し時には強く自身を押しつけ柔らかな感触を楽しむ。
新しい一本も陵辱に加わった。
厭だ、と泣きじゃくるのにドライアードはいっかな頓着しない。
蔓はドライアードの下半身から生えていた。形状からすれば、無数の蔓から少女の上半身が生えている、といった方が正しいだろうか。
大小さまざまな蔓が自在に動きアティを絡めとっていた。
ドライアードがうっとりと微笑む。
上気した頬、潤む赤い瞳、珊瑚いろの唇。幼い肢体ではあるが、その手の趣味のない男でもまず間違いなく落ちる妖艶さを滲ませていた。
女のアティでも熱く潤む箇所に甘い痺れが生まれる程の笑み。
けれども一瞬だけのこと。
吐息が近づく。
花の匂いがした。
口腔へと侵入する舌にも、春に咲く花の甘さを感じた。
「―――っ!」
深いキスだ。アティの全てを味わおうとでもいうかの如く犯す。蔓と同様に。

ドライアードに遮られ、アティには見えなかった。
秘所に取りつく蔓が動きを弱めほんの少しだけ場所を空ける。
静かに忍び寄る蔓がある。先程までのものとは比べようがない太さの、滑らかな表皮を持つ一本だ。
ゆっくりと、這いより。
ドライアードが唇を離す。
アティはぼうっと視線を彷徨わせ。
―――ドライアードが、にいと微笑んだ。
衝撃。
蒼の目がいっぱいに見開かれる。
叫んだのは意味を成さない乱れた言葉。悲鳴と断ずるには歓喜に溢れた音声。
まろやかな腰がはねる。糸すら引く粘り気のある音が響く。
一度で入れるだけ入って上下させ思うさまなぶった後は、ずるりと濡れた蔓を引きずり出す。
安堵させる暇なぞ与えず勢いをつけ真直ぐ打ち込む。一層奥に。一番弱い場所へ。
「ひぐっ! やっ! やあっ……!」
そのさまをドライアードは眺めていたが、やがて何を考えたか嬉しげにぽんと両手を合わせ、いそいそ蔓を使いアティの腰を高く上げる。
肩を支点にできそこないの逆立ちを強要されたアティの左乳房に、ドライアードが下半身の中心を寄せた。
蔓の根元には、小さな口が存在していた。歯もなければ唇もない、幾重ものひだで構成された、生殖器を連想させる孔である。
男性の性器を咥え精を搾り抜き、時には精巣ごと噛み千切る器官だと思い至り、血の気が引く。
ドライアードはそこをアティの豊かな胸へと擦りつけた。
アティはおぞましさと恐怖に首を弱々しく振る。
勿論そんなことでドライアードが満たされるわけではないのだが、長い睫毛は充足に震えていた。
孔から滲む樹液は、とても好いにおいがした。
アティの秘所から蔓が抜ける。てらてら光る先端が姿を現す。名残惜しむかのように柔肉が攣れ透明な糸を引いた。

「な…に…?」
―――終わったのか。けれどあの子の顔は―――
豊かな乳房を香る樹液で汚し、ドライアードは恍惚と微笑む。嗅ぎ続けていると思考に霞掛かる気がした。
「―――うあああっ!」
奥へと貫く感触は半ば予想していた。
けれど。
肉をえぐる表皮は、冷たく乾いていた。
先程まで収まっていた蔓は―――
ひたりと濡れたものが張りつく。アティが呻く。其処は。
慎ましい排泄の為の穴はろくに解されてはいなかったが、アティ自身の体液が潤滑剤となり意外にもすんなり蔓を受け入れた。
身体は。精神の方はそうもいかず。
「抜いてえっ! お願いだから! そこは違うんです!」
ぐしゃぐしゃに泣きじゃくる顔も乱れる語調も、ドライアードにとっては却って心地好い。蔓の動きが早まる。小さな手が両の乳房を乱暴にこね上げた。別の蔓も好き勝手に紅潮した
身体へと絡みついた。
全身余すところなく蹂躙されアティは鳴く。内側からが一番熱い。突かれ、擦り上げられ、揺すぶられ。緩急なぞという技巧はどこにもない。ひたすら深く、激しく。
大きく、乗っかるドライアードを跳ね飛ばさん勢いでアティが仰け反った。
高い、高い嬌声は、ふたつ。

薄れる意識のなか、アティは可愛らしい囁きを聞いた。
“残念、時間切れ―――また遊んでね♪”
違う。
薄れゆくのはドライアードの姿。メイトルパへ還るのだ。

そしてアティは覚醒する。


「―――さて。言い訳を聞こうか? アティ」
「ええ、っと……」
アティは引きつった表情で、般若のごとき面差しの友人から離れようとする。しかしアティが一歩下がればアズリアは一歩詰める。
「あ、あのー、まずはその流血気味な額から治したほうが良いんじゃないかなー、なんて……」
「ほほう誰の所為か知って言っているのだな?」
周囲を見渡しても味方してくれそうな者は一人もいない。
少し訂正。
味方してくれそうな仲間はみーんな倒れている。
「フリーバトルであやうく全滅とはな、しかも敵召喚士に魅了された仲間に、ときた」
アティの剣は味方の血でまっかっかだ。
戦闘が終わればゆっくり回復できるとはいえ、これは酷い。
「だからあれ程ATKとTECばかり上げていないで防御にも割り振れと言っただろうが! おかげで貴様が魅了されるとこの有様だ! せめて状態異常防御のアクセサリーを着けろと 口酸っぱく言っても聞かないからこんなことに……!」
「アズリア興奮すると血が余計に―――ごめんなさいごめんなさいもうしませんー!」

そんな、ある日のフリーバトルエリアでの出来事。


おわり

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