アヤ×カシス+α



「ふぁ〜あ……眠ぅ…」
先程から何度欠伸をしたのだろうか、ハヤトは自分でもわからないくらいであった。
「…よりによって……こんな日に……」
がっくり項垂れながら、自分の靴箱から校内用のスリッパを取り出し、誰に話すわけでもなく、ただただ愚痴を繰り返す。だが、何かを喋っていないと立ったままでも眠ってしまいそうだった。
「サイアクだ……ほんと」

季節は春。爽やかな風の吹き、なんとも清々しい朝である。
だが、まだ空は薄暗い。ハヤトはいつもより2時間も早くと登校してきたのであった。
何故かといえば、今日が試験日だからであった。
ハヤトが運悪く(とはいっても自分の不注意が原因なのだが)昨日その事実を思い出した。
今日のテストの教科である数学の教科書類一式を学校に忘れたと気がついたのは深夜1時頃、すっかり夜も深けていたころである。
仕方がない、と早朝に学校へ登校してきたハヤトは今に至る。
静まり返った学校内に、ただハヤトの足音だけが空しく響く。
それが増々自分の不甲斐無さを称えているようで、ハヤトは肩を落とす。
「何やってんだろ、俺……馬鹿だよなぁ…
 そりゃ静かだよなぁ…こんな朝早くから学校に来てるやつなんて…」
と、自分の教室のドアに手を掛けた瞬間、ハヤトは目を疑った。
こんな馬鹿な自分より先に自分の教室に人影があったからだ。
教卓を隔てて、2人の女子生徒が向かい合っているのがみえる。
「あれは……樋口?ともう一人は…」
一人は樋口アヤ。成績は常にトップ、整った顔立ちに漆黒の長く伸ばされた髪がよく似合う、優等生で男子内の評判も上々の美少女である。
彼女が優しく微笑みかけながら楽し気に会話している相手は…
「カシス…か」
突然、空から降ってきた少女…。カシス。
あまりに強烈すぎる高校デビューを果たした彼女はどうやらアヤの知り合いらしかった。
明るい性格で、すぐにクラスにも打ち解けた彼女は(俺も何回か話し掛けられたっけな)それでもやはりアヤと行動することが多い。

しかし、彼女らが自分と同じヘマをするとはどうも考えにくい…ではなぜこんな朝早く?
ハヤトはふと考え込み、教室に入る手前扉の前で固まっていた。
「まあいいや…はやく勉強始めねぇとな…」
と、扉に手をかけた彼は、ガラス越しに信じられない光景をみた。
もう一度目を擦り、覗いてはまた擦る…だが、見間違えではない。
そこでは、2人の美少女が互いの唇を貪るように奪い合っていた。
顔の角度を変えながら舌を絡め、頬をうっすらと紅に染めていく。
アヤが軽くカシスの肩を押すと、片手で教卓に手をつき体重を支えていたカシスが教卓の上に倒れる。
さらにアヤが上に覆い被さり、口づけをさらに続ける。

ハヤトはそっ、と扉を5mmほど開く。
すると、微かに2人の会話と2人のだ液が混じりあう湿っぽい音がハヤトの耳に入ってきた。
「…アヤ……誰か来るんじゃない…?ねえ〜」
「ふふ、こんな時間に来る人なんていませんよ。大丈夫。それに……先に悪戯してきたのはカシスさんのほうですよ?」
「あはは、そうだっけ?忘れちゃった……ん…」
アヤの手がカシスの控えめな胸に伸び、制服越しに弧を描きながらそれを揉む。
「はぁ……アヤ……」
カシスの手もアヤの胸元に伸ばされ、彼女のベストを託し上げ、ブラウスのボタンを外してゆく。
すると白い肌と、その豊かな膨らみを包む桃色の可愛らしい下着が露になった。
「ちょっと……カシスさん…」
「アヤって結構おっきいよね〜。羨ましいなぁ…」
カシスの笑みはいつも通りの無邪気なものだが、その瞳にはうっすら情欲の色がみて取れた。
カシスの手がアヤの背に回され、ブラのホックが外されると、アヤの乳房が勢いづいて微かに揺れながら露にされた。
カシスは両手で双乳を揉みながら、桜色の頂に舌を這わせる。
「んん…はぁ……」
くぐもった喘ぎを漏らしながら、アヤは長い睫毛を揺らす。
ピチュ、ピチャと湿った音を立てながらカシスはもっと強く彼女の胸に添えられた手の力を強め、より一層激しく乳首に愛撫を加える。
「ふぁ…あっ…!」
その度にアヤの声も艶やかさを増していく。
声を上げながらもアヤはカシスの股に手を滑らせ、足を開かせる。
その拍子に彼女の短いスカートがめくれ、白い下着がチラリとハヤトの目にも入った。
気がつけば、2人の痴行にハヤトの目は釘付けだった。
教室の扉は教室前方と後方の二ケ所にあり、彼は後方からその光景を眺めていた。しかし、前方のほうが教卓に近い。
もう無意識に近い状態で彼は教室の前方に向かい、息を忍ばせまた教室を覗き込んだ。
今度はもっと近くで彼女らを見ると、先程まであまり現実感がない光景だったのが…増々現実味を帯びない。
次に彼が教室を覗いた時には、カシスはすでに下着を身につけていなかった。
一旦、行為を中断され、カシスは教卓から身を起こし、床に寝そべった。アヤがその上に覆い被さる。
「お、おぉ……」
その光景にハヤトは息を飲んだ。丁度、彼の数十cm先にはカシスの秘部が露にされ、そして今、アヤも自ら手で下着を剥ぎ取っている所だった。
アヤは下着を手近な所に軽く投げると、再びカシスと唇を合わせる。
右手で髪を邪魔な髪を掻き揚げると、手はそっとカシスの秘部に伸ばされ、美しい指がその筋に滑る。
「あっ!や…!ぁんっ!」
指はカシスの膣口に差し込まれ、卑猥な音を立てながらピストン運動が行われる。その度にカシスの小柄な体が快楽に震え、甘ったるい喘ぎが漏れる。それに対応するように秘部は彼女自身の発情の証ともいえる蜜によって濡らされていく。
アヤは彼女の秘部に顔を近付け、敏感な部分に舌を這わせる。さらに膣に差し込む指を増やし、2本、3本とカシスの中に出入りさせてゆく。
「はん!あっあぁ!だ、だめだよアヤぁ…!あん!!」
言葉とは裏腹にカシスは腰を揺らしながら、さらなる快楽を求める。それに答えるようにアヤの責めもどんどん激しくなるのが目に見えてわかった。
「ひぅ!あっあぁぁ!!」
そのうち、一際大きな媚声をあげ、カシスは達したようだった。アヤが彼女の膣から指を引き抜くと艶やかな糸が引き、彼女の蜜が床を汚した。
「カシスさんったら……こんなにしちゃって…後片付けが大変ですよ?」
ハヤトからは影になってアヤの表情は見ることはできなかったが、声のトーンからしてさほど彼女を攻めている意図は読み取れない。
きっと彼女もカシスも今は官能的な表情を浮かべているに違いないとハヤトは悟る。
アヤもまた、カシスの痴態に昂奮を覚えたのか、触れられていないにも関わらず、太ももまで蜜が溢れ、妖しく光っていた。
「でも…私も……よくなりたいです…」
「アヤ……2人でよくなろ…?」
「はい…」
「ん………」
そう2人は強く抱き合い、互いの秘部を擦り付けあう。
「ひぁ!!アヤぁ…!」
「カシスさん…ん、んん…!」
2人は腰をくねらせ、敏感な部分が触れあうたびに2人は強い快楽に喘いだ。
アヤはカシスのブラウスを脱がせ、彼女の乳房を露にするとそれに自らの胸を押し付け、頂を擦り付けあった。それにより2人の声はさらに艶やかに、大きなものになってゆく。
「やぁん!!ひぅ!!んん!!カシスさぁん私もう…!ぁ、あん!!!」
「はぁ…アヤぁ、あたしも…ひぅっ!あっあぁ!!!イッちゃう!!!」
「「あ、あぁあ!」」
2人が果てたのはほぼ同時であった。息を荒あげ、2人は名残を惜しむようにまた唇を合わせ、身を離す。
すっかり床は彼女らの体液でべとべとになっており、行為の後もまた官能の匂いを感じさせた。

「うっ……やべ」
そして、もう一人この行為により果てた人物がいた。
数学の試験に備えて早くに学校にやってきたハヤトは、いちしか自分の一物が膨らんでいくのを押さえきれず、気がつけばズボンから一物を取り出して自慰行為にふけっていたのであった。
教室の入り口にしっかり残された白い液体…紛れもない、彼の欲望の証であった。

結局、すぐに教室に入る決心のつかなかったハヤトは数時間をトイレで過ごすこととなった。
時間が過ぎていくと共に学校にも生徒が集まりだした。
ハヤトは疲れ切った表情で、もうすっかり顔見知りが揃っているクラスの扉を開いた。
俯いたまま教室に入ると、女子の足下が視界に入ってきた。
「おっはー!ハヤトクン!」
「おぅ、おは……」
顔を上げて、ハヤトは固まった。先程、ハヤトに惜しげもなく官能的な姿を披露してくれたカシス本人であったからである。
「なぁに?どうしたの?あれれー?わかった、あたしがあんまり可愛いから見とれちゃってんだ!?」
自分のジョークにゲラゲラと笑うカシスをハヤトは直視できないまま、へらへらと情けなく笑って返した。
「ごめん、冗談だよ!あっ、テストがんばろーね〜!んじゃ!」
ロッカーに教科書を押し込み、カシスが駆け寄っていった先は…やはり樋口アヤであった。
2人は他の女子高生と同じように、他愛のない会話で盛り上がっているようにみえる。
だが、先程の光景を思い浮かべると……またハヤトは一点に血が通っていくのを感じた。
「……トイレにいくか…」

今日はもっぱら、教室の扉に張り付いていた精液のことでクラスはごった返していたが、等の本人であるハヤトは知るよしもない。
この後、2回目の自家発電に時間を取られたハヤトが数学のテストの追試を受けることになることもまた考えていなかったであろう。

だが、彼は後悔はしていない。
追試を受けている間もなお、一点に血が集まるのを我慢できない自分がいる…この出来事はきっと彼の青春の尊い思い出の一つとなることであろう。


おわり

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