エンジ×リフモニカ



マニグ採掘場に疎らに生えた木々。その内の一本の枝に、一匹の召喚獣が腰を降ろしていた。
シルターン独特の兜を被る、猫……否、虎の姿をした彼の名はエンジ。
「……この世界に呼ばれてから、落ち着く暇など無かったからのお……」
 愛嬌がありつつも、常に威厳に満ちている彼の表情。それが今では、何処か虚ろな物になってしまっている。
 特別何をする訳でもなく、時々自分の身体に視線を向けては、がっくりと肩を落として溜め息をつく。何かに苦悩しているかの様なその行為。しかし、彼を悩ませていた事件は、数ヶ月前に終止符が討たれた筈だ。では、エンジの心が曇る原因は何処にあるのか。
「……ミューノの護衛。鍛冶師のパートナー。そして、『剣』の破壊……うむ。気の抜ける時など微塵も無い、酷く多忙な日々であった……そう。そして今は、鍛冶師の約束が残っていようとも、充分に平穏な日々じゃ」
 そう。今が平和だからこそ、『ソレ』に気付く余裕が出来てしまったのだ。溜め息をつき、エンジはまたも己の身体……と言うより、両脚の付け根に位置する『ソレ』を見下ろす。
「……溜まっておる……」
 百年生きても全く衰える事の無い『ソレ』を、誇って良いものか、呆れるべきか。ともかく、元の世界からこちらに呼ばれてから、全くと言って良い程、そういう行為とは無縁であった。そりゃ溜まるし、欲求もある。
「しかし、どう処理をしたものか……人間は自分でするらしいが、その様なみっともない真似、ワガハイの自尊心が許さぬわ」
 と、宣言してみせた所で、行為をする相手が居ないのではどうしようもない。不運な事に、こちらの世界で同型の召喚獣とは出会えていない。いや、シルターンでも特定の相手が居た訳ではないが……。
「あの頃は、生贄と称して定期的に生娘が捧げられておったからのお……」
 別にエンジ自身が望んだ訳ではないが、地元の人間が彼を勝手に恐れて取った行動だ。まあ、折角なので食欲を満たす為ではなく、性欲を満たす為に『美味しく頂いた』が……。
「……この際、人間でも構わぬか……」
 妥協するも、かと言って当てがあるかと考えれば、頭を抱えてしまう。何も知らぬ人間を襲うのは犯罪に値する。知人に人間の雌が居ない事も無いのだが、行為の相手としては全員、問題がある。
 ミューノ。あくまで護衛の対象。
 ヴィー。欲求を口にした瞬間、殺されそう。
 ティエ。多大な報酬を要求されるに違いない。
 エリエ。いや、流石に歳の差九十二歳はマズイって。
「ぬう……となると、後は……」
「お〜い! エンジィ〜ッ!」
 残った候補であった少女の声が真下から聞こえた。桜色の帽子と同色の上着、何時も通りの格好をした少女。鍛冶師見習いであり、共に背中を預けて事件を解決した、リフモニカだ。
(あやつを、行為の対象として……?)
 その考えに失笑してしまう。彼女はそういう風に見れる相手ではない。エンジにとって彼女は人間の雌である前に友人なのだ。
 いや、そもそも雌としての魅力に欠けている。身体の凹凸と呼べる部分は少なく、その表情には女らしさよりあどけなさが多分に含まれている。性格もしかりだ。
(今まで同じ部屋で一夜を共にして来ながら、そんな欲求の一つも働かんかったしのお。当然と言えば当然、か)
 とりあえずこの問題は後回しにして、リフモニカの用件に応えてやらねば。枝から飛び降りて綺麗に着地し、エンジはリフモニカの元へ歩み寄る。
「そんなに大声を出して、一体何用じゃ……」
彼女の姿を見上げて、エンジは先程彼女に押した烙印を撤廃せざるを得なくなった。リフモニカの姿が、余りにも『食欲』を誘うものだったからだ。
「うん。一人で何処までやれるのか気になって、エンジ抜きで武器を造ってみたんだ。だけどやっぱりダメだった。武器は簡単に折れちゃうし、タタラの蒸し暑さを共有する仲間は居ないしで、もう散々だよ〜」
 苦笑しながら、リフモニカは額の汗を拭う。彼女は一人で武器造りに勤しんでいたらしい。
 そうか。だからそんなに汗をかいているのか。
 だから、服に汗が染み込んで、少ない凹凸がクッキリと浮かび上がって、表情にも何処か艶っぽいものがあって……
 そうか。だからそんなに美味そうなのか。
得物を前に舌なめずりをするエンジ。その表情からは、やはり彼は猫ではなく虎だという真実が伝わって来る。

「それで、エンジが忙しくなかったら手伝って欲しいんだけど。暇だよね? 枝の上でぼーっとしてただけだもんね?」
「食いたい……」
リフモニカの言葉は、今のエンジには届かない。パートナーが何と言おうとも彼はもうパートナーをそういう対象としか見なくなった。セレクトボタンを押しても会話が成り立たないのだ。
「食いたい? エンジ、お腹減ってるの? そう言えば私も汗を流したから、お腹減っちゃったな〜。うん、じゃあ、武器造りはご飯食べてからにしよっか」
うんうん、と間違った解釈をしてリフモニカは踵を返す。無防備になったその後姿――主に、スカートの上からハッキリと分かる小ぶりな双丘を目にした瞬間、エンジの欲望が爆発した。
「食いたいのはおぬしじゃ! リフゥッ!」
「わ――きゃあっ!?」
 背後からエンジに圧し掛かられ、リフモニカはうつ伏せに倒れてしまう。背中のエンジに振り返ったその顔には(当たり前だが)驚愕の色が覗えた。
「な、何!? エンジ、え!? 食いたい、って、わたしを!?」
「そう怯えずとも良いわ。何も本当に食おうという訳ではない。ふむ……端的に言うならば、おぬしと性行為がしたいのじゃよ」
 リフモニカの反応は面白かった。口をぽかんと開けて、目をぱちくりさせて、ようやっと意味を飲み込んだのか、顔を真っ赤にしてジタバタと暴れる。逃がさない様に、四肢でしっかりとリフモニカを押さえ付けてるので、無駄な事だが。
「せ、せいこういって……わ、分かった! そ、そんな事言ってわたしをからかうつもりなんでしょっ!」
「冗談ではない。こうさせたのはお主じゃ。お主が悪いのじゃ。普段は女らしさの欠片も無いクセに、何じゃ? その意外な色気は」
「遠回しにバカにしてない!? って言うか言ってる事メチャクチャだよっ! 納得出来る材料が足りないと思うんだ!? 材料がこれだけじゃHなシーンは作れないと思うんだ!?」
「ええい、年寄りに口応えするでないわ! 当初はここに移行するまでに色々とあったのじゃが、求められているのはえろすなのじゃ! 素人の考えた話になんざ、誰も毛程の興味も示さん! って言うか時間も無かったし!」
「何か訳分かんない事言ってるぅ!? エンジが壊れたぁっ! ロレイラル出身じゃないのにエンジが壊れたぁっ!」
「誰が上手い事を言えと言った」
 まだ何かしら叫んでリフモニカは抵抗の意思を示す。そんな彼女を黙らせるべく、身体の姿勢を変えて彼女の白いスカートを捲り上げた。シンプルな白いショーツに包まれた小さな尻が顔を出す。
「ひぅっ!? エ、エンジ、止めて、恥ずかしいっ!」
「ふん。こんな短い服を着とるお主が悪い。しかし、この世界の雌は何故ふんどしを付けておるのじゃ? 肌を曝けたいのか隠したいのかどっちなんじゃ?」
 布の中心に位置するふっくらとした丘を、爪先でつんつん、と突いてやる。その度にリフモニカはビクッ、と全身を震わせた。
「つ、突つかないで、そんなトコ――や、うんっ! お、怒るよ!? エンジ!」
 目尻に涙を浮かべて噛み付いて来るリフモニカだが、エンジは大きな耳を全く貸そうとしない。玩具を与えられた子供の様に、ひたすらに恥丘を弄んでいる。
「ふぅむ。柔らかいのお。まるで水ようかんの様じゃわい」
 指を押し付けた時に感じるぷにぷにとした弾力に、エンジは何時ぞやかシルターンで食べた菓子の感触を思い出した。
 ふと、布の一部に染みが出来ている事に気付く。撫でてみると、汗と呼ぶには相応しくない滑りを帯びていた。
「ほお。本当に水が出て来るとは驚いたわい。お主、感じておるのか?」
「なっ――そんな事――んっ、くうぅぅぅぅぅぅんっ!」
 腰を高く上げて子犬の悲鳴の様な声がリフモニカの口から漏れた。下着の上から、エンジが指を秘唇に差し込んだからだ。刺激が強過ぎのたのか、上半身をぐったりとさせて荒い息を吐く。そんな彼女とは相対的に、秘唇から溢れる水は更に勢いを増す。
「何じゃ。やっぱり感じておるのではないか。ほれ、豆なんぞ布の上からでも位置が分かるくらいに肥大化しおって」
 言葉通り、己の存在を誇示し始めた肉豆を、エンジは軽く歯で挟む。

「ひぐっ! や、エン、ジィッ! きゃうんっ! そこ、噛んじゃ……うんっ! 歯ぁ、立てないでってばぁっ――っ! あ、ああんっ!」
 エンジの牙から逃れようとリフモニカは必死に尻を振る。だが皮肉な事に、その行為がエンジの被虐心を燃え上がらせるのだ。
「こんなに愛液を溢れさせおって。これでは布の意味も無かろうて」
 瞳をいやらしく細め、エンジは両手をショーツの腰紐へと誘わせる。己の大ピンチに気付き、リフモニカは慌てて阻止に入ろうとするが、エンジの両脚と体重に押さえ込まれてしまう。
 愛液を糸引かせながら、ショーツがゆっくりとリフモニカに別れを告げた。
「だ、ダメッ! パンツは――」
「要らんな」
 必死に布を元の位置に戻そうともがく彼女をせせら笑い、足から抜き取ったショーツを草むらの中に放り投げる。リフモニカの秘密を護るには残されたスカートは余りにも頼りなく、事実上、彼女に砦は残されていなかった。
「やあぁぁぁ――っ! 見ないで、見ないでぇっ! 死んじゃうっ! わたし恥ずかしくて死んじゃうよぉっ!」
 先程までとは比べ物にならない恥辱に、リフモニカは両手両足を力無くじたばたさせて泣きじゃくる。
「見る気が無かったら始めっから襲ったりせんわい。おーおー、つるつるのおめこや、ひくひくと震える尻の穴まで丸見えじゃわい」
「見ないでぇっ! 言わないでぇっ! エンジのバカバカバカバカバカァッ!」
「年寄りに向かって馬鹿とは何じゃ、馬鹿とは。こりゃ、お仕置きが必要じゃの」
「え――? きゃあっ!?」
 エンジは力任せにリフモニカを仰向けにし、彼女の身体の上から退く。そして汗ばんだ彼女の両足を掴んで、彼女の胸元にまで折り曲げる。先刻までの姿勢以上に、秘唇も尻穴も曝け出される格好だ。
「う、うええぇぇ……ひっぐ……お願い、エンジ……もう止めてぇ……もう、苛めないでぇ……」
 エンジにどうにか許しを請おうと、リフモニカは目蓋を擦りながら哀願する。だが、やはりそういう行動はエンジの被虐心を――(略)。
「いや。止めるも何もここからが本番なのじゃが」

 そう。エンジの目的はリフモニカを辱める事ではなく、溜まった物を発散させる事だ。そして、リフモニカの痴態を目にして来たエンジの『ソレ』は、臨界点を突破寸前であった。
「え――?」
 エンジの股間にそそり立つ『ソレ』を確認し、リフモニカは涙も嗚咽も止めて固まる。今までまともに目にした事なども無かっただろう。しかし、『ソレ』が何を意味しているのかは承知らしい。真っ赤だった顔が真っ青になっている。
「エ、エンジ……まさか、ソレ……」
 声を震わせる彼女の問いに、しかし返って来たのは予想外の答えだった。
「安心せい。始めての相手が人間外では流石にお主も救われぬだろう。お主との子供を創る気も無いしな」
 そんな甲斐性も無いしな。
「黙れ。地の文」
 済まん。エロ一辺倒は苦手なんだ。
最悪の想定が外れた事にリフモニカは胸を撫で下ろす。だが、折り曲げられた脚は未だに解放されていない。
「ね、ねえ……エンジ、その……する気が無いなら、どうして放してくれないの……?」
「する気が無いとは言っておらぬぞ? おめこに入れて問題があるのなら、他の穴に入れれば良かろう」
「他の、穴って……まさか……!?」
 感付いた彼女に肯定を示す為、秘唇の下に位置する蕾へ舌を這わせた。
「ひゃくうっ!?」
 飛び上がらん程に震撼するリフモニカを横目に、エンジはペチャペチャと音を立てて、菊にも似た蕾をほぐす。一旦舌を離すしては、秘唇から愛液を拾って菊穴へと塗り、また舌を這わせる。
「や、あ、やんっ! そんな、お尻の穴、なんて……ひんっ! 舐めないでっ! ひうぅっ!」
「ほぐして置かぬと、入れる時に痛い思いをいをするのはお主じゃぞ? ワガハイの心遣いに感謝して欲しいものじゃのう」
 二本の指で菊穴を開いて爪の先を捻り込む。しかし、それ以上は入って行かない。ほぐし足りぬと判断し、放射状に広がったしわを、一つ一つ揉み解す様に柔らかくする。
「ん――ふうっ! ひぃ、あっ、あっ、やっ、ふわやぁっ!」
 何時の間にかリフモニカの喘ぎ声に、秘唇を弄っていた時には無かった艶っぽさが含まれていた。溢れ出る愛液も分泌量を格段に増している。
 つまりは――そういう事らしい。

「ほほう。リフモニカは尻が好きじゃったか。まだ若いというのに、随分と淫乱じゃのお」
「ち、違――っ! わたし、お尻でなんか――んきゅうっ!?」
 否定しようとするが、指を奥まで差し込まれていやらしい声を上げてしまう。その反応が、溢れる愛液が、嬉しそうに指を食わえ込む菊穴が、彼女の意思と裏腹に事実を認めている。
「気持ち良いのじゃろう? 強情を張らんで素直になったらどうじゃ?」
「ち、違うもんっ! わた、ひ……おひり、気持ち、良くなんか、ないもんっ!」
 呂律が回らなくなっているというのに、リフモニカは強情に否定する。そんな彼女を見ていると、被虐心――(略)
 何を考えたのか。エンジは蕾への攻めを中断し、リフモニカの脚さえも解放してしまった。突然の出来事にリフモニカはきょとん、と呆ける。
「え……エンジ……?」
「いや、済まぬ。ワガハイとした事が己を自制出来ず、お主に多大な迷惑をかけてしまう所であった。二度とこんな愚行はせぬ故、許して欲しい」
「へ? あ、う、うん……それは、良いけど……」
 地面に腰を下ろしたまま、リフモニカは何処かバツが悪そうに腰をもぞもぞと動かしている。予想通り、昂ぶった快楽を途中で中断されて、どうして良いか分からないらしい。
「本当に済まなかった。ワガハイは少し頭を冷やして来るが故、これにて失礼する」
 心中舌を出しながら、エンジはリフモニカに背を向ける。その際、彼女が見せた酷く不安げな表情に、咽元にまで笑いが込み上げてきた。
「あ……エ、エンジ……」
 蚊の鳴く様な小さな声だが、確かに彼女はエンジを呼び止めた。
「うん? 何じゃ?」
わざとらしく聞き返すと、
「そ、その……続けても、良いよ……? お尻なら、別に……赤ちゃん、出来ないし……」
 口をもごもごさせながらも、自分の欲求を隠しながら告げて来る。ここまで来て未だに認めようとしないとは。こうなったらとことん苛め抜いてやろうと、エンジは申し訳無さそうな表情を捏造した。
「いや、そう気を使わずとも良い。そこまでお主に迷惑はかけられぬからな」
 突き放す様に言って歩みを始める。その行動に、リフモニカは認めざるを得ない状況に追い込まれた。
「ま、待って! エンジッ!」
 ゆっくりと、焦らすみたいに振り替える。そこには、四つん這いの姿勢でこちらに尻を向けるリフモニカの姿があった。己の尻肉に両手を宛がい、菊穴を大きく広げている。
 瞳を潤ませ、頬を赤く染め、彼女はハッキリと懇願した。
「お願い……エンジ……い、入れて……」
「入れる? はて、何を入れるのかのお……」
「だ、だから……その……エンジの、それを……」
 リフモニカの視線に、何を求められているのか気付いた振りをし、エンジはリフモニカの元へと戻って行く。
「そうか。お主が望むのなら仕方あるまい。で、何処に入れて欲しいのじゃ?」
「そ、それは……その……」
 口にするのは抵抗があるのだろう。こちらに目配せをしながら、どうするべきかと戸惑っている。エンジはそんな彼女に止めを刺す事にした。
「場所が言えぬのなら、止めて置こうかの。間違った場所に入れてお主を嫌がらせる訳にも行かんしの」
「お、お尻の穴っ!」
 疼く身体にもう我慢が出来ぬのだろう。町にまで届きかねぬ声で、リフモニカはエンジを求めた。
「あたしの、リフモニカのお尻に入れてぇっ! ムズムズするの! どうして良いか分かんないのぉっ! お願いっ! お尻の穴、気持ち良くしてぇっ!」

もう会話(セレクトボタンな)は不要であった。充分にほぐれた尻穴に、エンジは『ソレ』を一気に挿入させる。
「ひっ――きゅうぅっ! やあっ! わたし、気持ち良いっ! お尻で、気持ち良くなっちゃってるよぉっ! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!」
 唇を開き涎を吹き零して、リフモニカは快楽に身を委ねる。
「とことん淫乱じゃのうっ、お主はっ! まだ子供じゃと言うのに、こんなにワガハイのモノを締め付けて……っ!」
 数回除去を繰り返すだけで、すでに限界が迫っていた。絞り上げる様なキツイ締め付けに、長年溜まっていたモノが飛び出そうとしている。
「ぬ、く……! リフ……出すぞ! お主の尻の中にぃっ!」
「あうぅぅぅぅっ! わたひも、何かっ、何か来ちゃうよぉっ! 気持ち良過ぎて変に、変になっひゃうぅぅっ! あうぅぅぅぅぅぅぅぅぅうんっ!」
 獣の様な格好で、獣の様な声を上げて、リフモニカは腸内に、獣の精子を受け止めた。


「いや、まあ、その、何じゃ。悪かったと思うておる」
 リフモニカの部屋の前で、エンジは姿の見えぬ相手に土下座をしていた。扉には固く鍵がかかっている。
「晩ご飯は生イカで良いよね? ベッドは縁の下に用意しといたから」
 扉の奥から聞こえて来る声は静かだが、明らかな怒気があった。当然と言えば当然だが、鍛冶のパートナーとしてこのままではマズイだろう。
「この通り、許してくれ。二度とあの様な事はせぬと、このマゲにかけて誓う」
「え――?」
 その声には怒気ではなく別の感情がこもっていた。エンジは、はて、と己の口にした言葉に何か特別な物があったか、と思い出して――
「お主、もしかしてまた尻にして欲しい――」
「うるさいエロジジイッ! 死ねぇっ!」
 扉の奥から放たれた矢は、危うくエンジを毛皮に変える所であった。
 結局、リフモニカが口を聞いてくれるまでには一週間を要した。



おわり

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