ガブエア味アーノ添え



外は雷鳴。
そしてそれこそバケツをひっくりかえしたような雨が降り注いでいる。

「はぁ、間に合ってよかったよ…。」
それでも、少し濡れてしまったマントを脱ぎながら、オルフルの少年、ガブリオは言った。
ふるふると頭をふると、銀と言うよりは雪白といったほうがいい髪から、水滴が飛び散る。
「がぶりお、ソノ行為ハ関心デキマセン。」
「あ、ああごめん、ゼライド。」
同じく雨に降られ、乾燥モードにはいっていたゼライドの不満そうな声にガブリオはあわててタオルを取る。
「しかしすごい雨だね…。」
窓の外を見ると先ほどまで晴れていた空はどこへやら、埃じみた色の雲は、ここの所の晴天への鬱憤を晴らすかのように雨を叩き落している。
「丸一日降レバ、明日ノ気温ハ2度ホド下ガルト予想サレマス。」
「むしろ嬉しい雨って事だね。」
ゼライドの分析に、数分前まで暑さにうだっていた自分を思い出し、ガブリオは苦笑する。
タオルでぬれた髪をふき取りおわると、投げ捨ててしまったタオルをハンガーにかけなおす。
もっともこの天気だと明日になっても生乾きだろう。
風通しのいいこの砦だが雨の日は湿気も取り込みやすくてこういう時に難儀する。
せめて着れる程度になってほしいと願いながら、伸ばす。
「エアとアーノにも嬉しいだろうね。」
再び外を見てガブリオは言う。エアが昨日「こう暑いと鍛冶も大変だよ。」と、言ってた事を思い出したのだ。
「ね、ゼライド。」
「ワタシハ同行シテナイノデ知リマセン。」
ゼライドは少しすねたように言う。確かに最近、一人で行く事が多くなったと思う。
「ごめんごめん、今度は一緒にいこう?」
「約束デスヨ?」
彼の(性別は多分男だろう)の言葉にガブリオは、うんうん、と頷く、一度外をみて、それから大きく伸びをする。
「ドウシマシタ?」
「ああ、いや、ちょっと疲れて。」
今は雨が降り、涼しくなってるとは言え、先ほどまでは炎天下、いくら野性のガブリオといってもその環境はきつい。
というかオルフルはもともと寒い場所を好む。
暑さは、苦手なのである。
「確カニ、生体せんさーニモ不調ガ見テトレマス、就寝ヲオススメシマスヨ?」
「ん、そうしようか…。」
そういってガブリオはふらふらと砦の中の自室に入り込む。
ぼふっと音がしたと思うと、それきり静かになった。どうやら、寝てしまったようである。
呆れるくらい寝つきが早い。
「ヤレヤレデス。」
そう言って、ゼライドもまた、今日一日消耗したエネルギーを回復させるために、休止モードにはいったのだった。
そして、幾分か時が過ぎて…。


「ん…。」
何か物音がした気がして、ガブリオは目を覚ます。あたりはすでに暗くなり、採光用の窓の外は墨を流したように真っ暗だった。
雨は、いつの間にか止んでいたらしい。
「ずいぶん寝ちゃってたんだな…、え。」
むくりと体を起こし、そして気づく――広間に人の気配がする。
匂いは―雨のあとの草の匂いがむせんで、良くわからない。だけど、二つ。
「…。」
誰かいる…?ガブリオは音を立てないように、ベットから降りると、横に立てかけてあった剣に手をかける。
賊だろうか、それとも迷い込んだ旅人?
いつもの柔和な顔は鳴りを潜め、目つきは狩人のそれになる。
それからは、一呼吸すらおかない、無音で地面を蹴る。雑とも機械的とも取れないランダムな動作、そしてそのまま、広間へと転がり込む。
「え。」
誰か、が声を上げる。まだ暗がりに目はなれていない。だが、気配だけで、何処にいるのかはわかる。
相手が動作をとる前に体ごと、ぶつかる。
「きゃっ!?」
誰かわからない誰かの体が地面にうちつけられる音。馬のりになり、ガブリオは鞘を相手の喉もとに突きつける。
あと一動作、一撃で相手を落とせる位置。
だが、そこまでだった。

「が、ガブリオ?」

動揺の声、その声を聞いて、ガブリオはそこでようやく、自分がおきぬけで、短絡思考に陥っていた事を思い知る。
そう、もう少し、もう少しだけ、きちんと覚めるまで待てばよかったのだ。
しっかりしてなかった嗅覚も、この砦の中のものすべてをかぎ分けられるくらいにまで、鋭さをとりもどす。
野の花のような…微かなのに、不思議と心を落ち着かせる匂いが、すぐそこから香る。
ガブリオは、この匂いを知っている、というか、忘れるはずも無い、忘れるわけが無い。
雨上がりの曇天が、その雲間から、月をのぞかせる、採光窓にから、やわらかい光が差し込み、広間を照らす。
少女は、これ以上無いほどに目を見開いて、自分をみつめていた。
「…う、うわっ・・・あ!?」
そこで、ガブリオはようやく声を上げれた、いや、声なき声といったほうがいいのか。がちりと体は鉄のように硬直し、動けなくなってしまう。
「ば、バカーッ!」
そして、下のほうからは悲鳴とアゴへの強烈な一撃。屈強な召喚獣すら容易く沈めるこの拳が、少女の細腕から繰り出されると、誰が知ろう。
ガブリオは、渾身のアッパーカットをくらい、大きく宙に舞い上がった。
「え、エア…。」
スローモーションの世界。少女はいつもの上着を脱いで、黒のハイネックと、破廉恥な事に、下着一枚だった。

「…白。」

墜落前に出た鼻血はきっと、アッパーのせいじゃない。そしてガブリオはこう思ったのだった。

(ああ、怒った顔も、可愛いんだ…。)


ごん ぐき どしゃり。


落下。


「ガブリオさんは、おばかです。」

落ちるその直前に、もう一人のほうに、ぼんやりと、しかし直球な指摘をされながら、ガブリオの意識は闇の底に、消えていった。
ていうかアーノ、君は何ではだk――ぶつん。

目覚めると、良く知っている自室の天井だった。
「いたた…。」
顎がじんじんする、意識が飛ぶ直前の事を思い出して、それもそうかと、納得する。あのパンチをくらうのは今回が初めてではない。
今回のように阿呆なきっかけでは無いけれど。
「あ、目をさましたです。」
ベッドの横から、中性的な顔立ちの子供がひょっこりを顔を出す。りりん、と頭の上の鈴がなる。
「ご主人さまー。」
「あ、アーノ?」
くるりときびすを返すと、アーノは、とてとてと広間のほうへ走って言ってしまう。とめる間もない。
というかなんでシャツ一枚なんでしょう。ずいぶんぶかぶかですし。
「僕の使ったのか…。」
はぁ、とため息をつく、しばらくして、アーノはエアを引き連れてきていた。
「だ、大丈夫?ガブリオ。」
手にぬれたタオルを持って、エアがベッドによってくる。先ほどまでの格好ではなく、スカートもはいてる。上は黒いハイネックのままだったが。
「ああ―その、ごめん。」
タオルをあてられながら謝ると、エアは顔を赤くする。
「い、いいよっ、元はと言えば私が勝手に使ったのが悪いんだから…。」
「勝手に使ったなんてそんな、エアなら、いつでも大歓迎だよ。」
にこりとガブリオは笑顔を見せる。顎にシップがはられたままなのが少々間抜け。
「え、あ、うん…。」
しどろもどろ。
気まずくは無いはずなのに、微妙な空気が流れる。ボクは歓迎じゃないんですかー?とふくれっ面のアーノの声がするが、聞こえてない。
「あ、あー雨、すごかったね?」
エアがそういって、ガブリオは外をみる、雨露が木々をぬらし、月明かりに照らされていた。
「いつ頃までふってたの?」
「…7時かな、止んだの、本当についさっきだよ。」
ガブリオの隣に腰掛け。やれやれと言ったふうにエアは頭をふる。
「エア達は降られたんだ?」
「見てのとおり、アーノがはしゃいじゃって大変。」
「ざーって降ったです。たのしかったですー!」
苦笑するエアを横に、ばっと手を上げて雨の様を身振り手振りで、伝えるアーノ。
ガブリオは、頷きながら、アーノの言葉に相槌をうつ。
「へくちっ。」
と、なんだかかわいらしいくしゃみが聞こえた。
「エア?」
「ん、だいじょうぶ。」
ぐじゅ、と鼻をすすり、エアはこたえる。
「ご主人さま、風邪ですか?」
「だいじょうぶだって、寝ればなんてことないから。」
心配そうに見上げるアーノ。エアは手をふり、へいきへいきのサインをする。
ガブリオは、尚も心配するアーノを見て、手をうった。

「あ、それじゃあ僕のベッドつかいなよ。」

さらり。
「・・・へ?」
「名案です!ガブリオさんえらいです!」
アーノがぽんっ、と手をうつ。
「いや、ちょっとまって?え?」
「うん、だから、僕のベット使っていいって。」
「いやいやよくないよ、それ!だって私がガブリオのベッドつかっちゃったら、ガブリオはどこで寝るの!?」
「床だけど?」
「床って、そんな、それこそガブリオが風邪引いちゃうじゃない!」
「僕は野宿とか、慣れっこだから。」
「だけど―きゃあ!」
エアの言葉は、飛び掛ってきたアーノにさえぎられてしまう。
体重差があるとはいえ、唐突に、しかもものすごい勢いで飛び掛られて、エアはおもわずコケてしまう。
ベッドがぎしりと軋む。
「それじゃあ、ガブリオさんも一緒に寝るですー。」
「へぇ!?」
「ええ!?」
アーノの発言に、目を丸くする二人。みるみるうちに、ゆでだこのように赤くなっていく。
最初に冷静さをとりもどしたガブリオは、頭をふる。
「いやそれは、アーノ、不味いよ。」
「どうしてですか?」
大きな目で見上げながら、アーノが聞いてくる。
「ど、どうしてって、ほら、僕ら年頃だし・・・?」
仮にも、好いてる相手と布団をともにするなど、本能のほうでは嬉しくとも、理性のほうで納得がいかなかった。
いや、というか駄目だろう。
脳裏に浮かぶ、ベルグ一家や、エアの親友のリョウガのことが頭をよぎり、ガブは青くなったり赤くなったりする。
「ご主人さまは、きっとうれしいで・・・もが。」
「こ、こらアーノ!」
あわててアーノの口をエアがふさぐ。
アーノはなおももがもがと何かを言うが、やがて静かになった。
「・・・あ、あはははは。」
「は、はは。」
苦々しく笑う二人。そそくさとガブリオはベットから立ち上がると。
「そ、それじゃあ!」
脱兎の勢いで、自室をあとにしたのだった。

くるまったマントは、まだ少し湿っていた。
今思うと、少し残念かもしれない、べつに何かしなければいいのだ、亜人にとっての「その時期」は一季節前に過ぎたし、自制を効かす自信は、ある。
何もなければ。
「いや、駄目だって。」
いくら自制が効こうと、エアに、失礼だと思う。ガブリオはエアが好きだった、だけど。
(リョウガが好きなんだろうなぁ、やっぱり。)
はぁ、とため息をつく。彼女には悪かったが、リョウガがクリーフ村を後にした事で、ガブリオは自分にも少しチャンスがあるのかとも思ったのだ。
あんなことしておいて、何を、とも思うのだが好きになってしまったものは、仕方が無い気もして、そして許された事を許せないほど、ガブリオは聖人でもなかった。
だけど、まぁ、現実は上手く行くわけでもなく、エアとの会話は今は温泉のほうでシルターンを満喫してるリョウガのことが大部分を占めていた。
というか、彼女はここ一ヶ月近く、温泉にばかり行っている。よい材料が手に入るというのもあるのだろうけど、彼に会いに行っているのはガブリオ的には、明らかだった。
(こういうのだから、駄目なんだろうなぁ。)
嫉妬してる自分が情けない。
エアは大切な友達といってくれて、その「友達」という言葉にふさわしい男になれるようにと、がんばってるはずなのに。
自分は、それ以上を、望んでしまってる。
「はぁ…。」
考え込むと、どんどん暗くなる。ゼライドが起きてれば他愛も無い話をして気がまぎれるのだけど、どうやら彼はまだ寝ているようだ。
友人の大事な眠りを自分の愚痴でたたき起こすことは、ガブリオにはできそうになかった。
「顔、あらおう…。」
重い腰をあげると、マントをきちんと羽織直し、ガブリオは外の井戸にへと、足を運んでいった。
その様子をこっそり壁から顔をのぞかせて見ているエアとアーノがいた。


「ガブリオさん、でてったみたいです。」
「う、うん…。」
「えと…ご主人さま?」
「そ、そう・・・だね、アーノ。」
「はいです。」
「・・・やっぱやめない?」
「はやいほうがいいって言ってたです。」
「う、ぅう…。」

二人は、部屋の中に消えた。

冷たい水を顔にかけると、少しは気分も晴れた。
ふと見上げると満月が目に入る。先ほどまで漂っていた雲はいつの間にか消え、墨色の空には月のほかに、星もまた、輝いている。
虫の声。木々の擦れ合う音。それと―
「ん?」
耳がなんか変な音を捉える。
あんまり遠くは無いけれど…。
(季節外れのあれかなぁ・・・?)
まぁ、メイトルパにいたガブリオにとってはうらやましい事ではあっても、あんまり珍しい事でもない。
ため息をひとつつくと、砦に戻る事にした。


「う。」
砦に戻るなり、突然香った濃密な匂いに、ガブリオは顔をしかめた。
いや、実際には香らない、というか、人間にはわからないだろう、オルフルである、ガブリオだからこそわかる匂い。
(これって・・・。)
すこし、くらりとする。自分の中でゆっくり頭をもたげてくる何かをかぶりをふってはねのけようとする。
息が荒くなる、足が重くなる、頭の中には嫌な予感と、期待のようなものが渦巻いて、胸がしめつけられるよう。


―…だめ―って、ガ―…帰ってきて―っ…ん、――は…。


こういう時に、耳をふさげたらと思う。けれど野生の五感はそれを許してくれない。
そして、自分の中の、本能というやつも。
好奇心に負けて、扉を小さく開く。そこは、

「は、ぁふっ・・・あーの、もっ、やめ・・・。」
水音が甘く響く。エアは、乱れた服を直そうともせず、荒く、息を吐いていた。
「ん、む・・・・ちゅ・・・むっ・・・。」
「ふ、ふあっ・・・ガブリオに・・・ばれちゃうよ・・・ふあぁっ!」
アーノがひときわ大きな音を立てるたびに、エアの体が反る。
「ふ・・・が、がぶりおの、んっ、いえでこんな・・・はずかし・・・きゃうっ。」
快楽に流されながらも、ガブリオがいないか心配するエア。
そんな彼女などお構いなく、アーノは蜜に舌を伸ばして、その度に、甘美な声と音は、部屋に響いた。

「…。」
――こんな事を。
もしかして今までも?
あまりにも非現実過ぎて―自分の想像の外から外れすぎてて、くらり、と世界が揺れた。
どん、と背中をつき、そして、気づく―けれど遅かった
「あ…。」
「ガブリオ…さん?」
「う、あ…。」

バレた。

「…―や、やあああっ!?」
「う、うあわぁあっ!」
エアの叫び声に、転がるようにガブリオは逃げ出そうとして、そして文字通りべたん、と転んだ。頭から。
「あ、あいてて…。」
『ガブリオ…見てっ…!?』
ドア越しに、動揺の声が伝わってくる。
「み、みて…、ない。」
もちろん、嘘だ。
気持ちを落ち着けるために閉じたまぶたの向こう側には、先ほどの光景がくっきりと焼きついている。
それで、余計に、ガブリオの中のものが大きくなっていく。すこしでもタガをはずせば、自分はすぐにでもエアを組み敷いてしてしまうに違いない。
「は、はぁっ…。」
「つらいですか?」
「って、うわぁ!?」
『あ、アーノ!?』
いつの間に来ていたのだろう、ガブリオの横には、アーノがちょこんと鎮座していた。
目はなんだかとろんとしている、先ほどまであんな事をしていたから、普通じゃないのは、わかるのだけど。
「して、あげるです・・・。」
「うわ、と、ちょ、まった、アーノッ!うくっ」
ズボンの上からでもわかるほどに大きくなったソレを外に出そうとするアーノの手。
あわててガブリオはそれをとめようとするが、それより素早く、アーノの手が、ガブリオに触れてしまう。
敏感になりすぎてて、それだけで彼の動きは止まってしまう。
「ほんと、や・・・め。」
「ふあ、すごい・・・ボク、他の男の人のってはじめてみるです・・・。」
ぬるり、とズボンの間から引き出した粘度の高いものをまとったそれに、アーノはごくりとつばをのむ。一瞬間があって、それから
「んっ…!」


おもむろにその先端に、口をつけた。
「ぅあっ…、く…う、はぁっ!」
自慰とは比べ物にならない。肺の中の空気がすべて、無理やりに吐き出されるような感覚に眩暈を覚える。
「ふ・・・ぷぁ・・・がぶりおさんのごしゅじんさまのとちがって・・・にがいです・・・、でも・・・ん、おいひいです・・・。」
そんな彼を見上げ、満足そうに微笑むと、アーノは尚も奉仕を続ける。
いう通りはじめてなのだろう、咥えるというよりはキスをしているという表現が正しいが、かえってその方が辛かった。
「て、ていうかアーノ…君、男…なん・・・ううっ」
混濁する意識の中で、つい先刻みたアーノの裸を思い出し、ガブリオは言う。
言ったところで、現状がこれなのだからどうなるといわけでもないのだが。
「ボクはかぜのこですよ・・・?ついてても、だいじょうぶです・・・んっ・・・ちゅ。」
この通りである。
アーノは少しずつ慣れてきたのか、少しずつ舌使いが大胆になっていく。下から上へ、そして先端の割れ目を舌先で弄ぶ。
相変わらず、咥えることはできていないが、十分すぎる責めに、ガブリオは限界を迎えていた。
「は…あ、アーノ…も…。」
ぐい、と右手でアーノの頭を押さえる。逃げられない程度に。
もう頭の中はぐちゃぐちゃで、まともに考えることはできなくなっていた。
「だしちゃうですか…?」
「でる…よ。」
「いいですよ…?」
アーノが仕上げにと舌をいっそう激しく動かす、下からこみ上げてくる感覚に、ガブリオの意識が白くなっていく。

「あ、く、で・・・・でる―「駄目。」」

ぐい。
突然、感じていた快感を中断される。握られた手はそのまま、舌だけ、どけられてしまう。
アーノがやったわけではない。こみ上げてくるものを押さえながら、ガブリオはアーノの方を見た。
「だしちゃ・・・いやだよ。」
エアがいた。
アーノを後ろから持ち上げる形で、これ以上させまいと、胴をつかみ、ひっぺがそうとしている。
「え、エア…?」
彼女の目もなんだかとろんとしていた。黒い上着の下から見える太ももは、自身ので、てらてらと光っていた。
「だめなの・・・。」
そして、青色の瞳が、懇願するように、ガブリオを見上げる。
…ごくり。
別の感覚が、頭をもたげてくる。彼女は、こんなに魅力的だったろうか――?
別に、そういう意味で言っているわけではない、エアは、可愛いと思うけど、ただ、こんなに―

「エア…?」
「ガブリ…オ…。」
のろ、のろ、とだけど見たこともないような扇情的な仕草で、エアはガブリオの胸へと体を預け、そして彼の真下で、彼を見上げる。
「…ん。」
「は・・・んっ。」
どちらからともなく唇を合わせるのに、そんなに時間はかからなかった。初めはぎこちなく、やがて、知らないはずなのに、口の中で、舌を絡ませる。
「…ぷあ…。」
「…ふっ…。」
そして、名残惜しそうに離す。唾液が絡み合って、糸を引き、そしてやがて切れた。
「は、ふぁあ…。」
ぺたり、とエアが座り込む。興奮からか頬は上気しており、すでに隠そうともしてない彼女の股からは、先ほど以上の愛液が溢れていた。
「ガ、がぶ・・・ぅ・・・。」
ろれつの回らない舌で、エアはガブリオの名前を呼ぶ。
(す、すご・・・。)
ガブリオにとって、今の彼女は可愛すぎた、おかしい位に。
滅茶苦茶にしたかった。
届かないものだと思ってた彼女が、今ここで、こんなにあられもない姿を曝して、自分を求めている。
全部、欲しかった。
「エア…―」
「あ・・・?」
ガブリオは立ち上がり、エアの目の前にへと、自分のを差し出す。
先ほど止められてしまったそれは、吐き出す先を求めるかのように、大きく膨れ上がっていた。
「なめる、よね?」
「…あ、あ。」
声なき声を出しながら、エアはおどおどと手を伸ばす。添えるようにつかむと、今度はおずおずと口をつけてくる。
アーノと同じように、おっかなびっくりと。
(うあ、エア…が。)
くちゅり。
唇と舌が、触れる。
「うわっ・・・!」
限界まで高められていたためか、それともエアがそうしたことのためか、それだけで、十分だった。
「きゃ!?」
突然先端から吐き出された白濁にエアは驚く。そしてそれは、快楽のままに、彼女の顔を容赦なく染める。
「あ、あつ…っ、あ、まだ…。」
たっぷり十秒以上の射精。モノはどくどくと脈をうち、次々に精を吐き出していた。
「は…はぁ…。」
「す、ご…いっぱ…。」
終わってみれば、白濁はエアの体のほとんどを染め上げていた。
ねとりとしたゼリー状のものが、エアの顔をゆっくりと滑っていく。それを指ですくいながら、エアは恍惚をした表情を浮かべる。
「はぁ、あーの、すごいよ…ほら、こんなに。」
「うわぁ・・・これが、がぶりおさんのなんですね。」

ちゅく。

「ちょ、二人とも!」
「ん、んむ・・・。」
「うえぇ・・・おちんちんよりにがいです・・・。」
動揺するガブリオを他所に、エアとアーノは指ですくった精液を口にする。
やがてアーノはエアから指伝いにされるのが我慢できなくなったのか、エアの顔に直接舌を伸ばす。
「ん、くすぐったいよ、アーノ。」
「あぷ…は、ご主人さまのあせとまじって…おいしいです…。」
「んっ、でも、これじゃ、ガブリオのなめれな…んっ。」
不満そうなエアの顔、それもまた、ガブリオの心に、火をつける。
「エア。」
「え…。」
「こっち、まだあるから、舐めとって?」
そういってガブリオはまだ硬さが引かないそれを差し出す、吐き出しきれなかった精液が先端でぐじゅぐじゅと燻っていた。
「あ…うん。」
先ほどよりは幾分か抵抗もなく、エアは口をつける。そしてやはりたどたどしい舌使いで、てらてらと光る液を、少しずつなめとっていく。
「あ、ご主人さまもガブリオさんも、ずるいです。」
エアの顔を大方舐めとったアーノが、口の端から垂れるものをぬぐいながら、そういう。
「アーノも、舐める?」
エアは、棒の、片方を譲り、アーノにそう目配せをする。
「はいです。」
そして、アーノも舌をはわせる。一度やったせいか、エアよりもためらいがない。
ぴちゃ、ぴちゃ、とはしたなく唾液の音がする。時には別々に、時にはキスをするように、エアとアーノはガブリオに奉仕を続ける。
「あ、つ…。」
「きもちいい?ガブリオ?」
「また出てます…ガブリオさん底なしです…。」
先ほど、自分でも驚くくらいにだしたのに、また、射精の感覚が沸きあがってくる。
だが、このまま吐き出すのは忍びなかった。
「エア…。」
「ふ…?」
虚な表情でエアが見上げる。
「え、と…。」
ガブリオは言い淀んでしまう。ここまでしておいてなんだとも思うのだが。
「その、あ、ええっと…。」
「うん。」
なんといったものか。
いれたい?…いやこれはなんか直球過ぎる。エアが欲しい?…勘違いされるかも。犯らせて…強姦じゃないよ!
ぐるぐると、ぼおっとしてる頭なりに考えて、ガブリオは答えを探す。
その間も、エアは不思議そうに、どこか期待したように、ガブリオを見上げていた。
「あ、え、え…。」
「うん…。」
「いれひゃいんですか?」
そして横槍。
アーノが咥えたまま、ガブリオを見上げていた。
「あ、アーノ!」
そうであると空気で分かっていたはずなのに、エアは顔を真っ赤にして驚く。
アーノの一言で素にもどってしまったようで、とろんとした目はなく、いつものように、くるくると顔を変える。
「そう、エア、そうなんだ…。」
だが、自称風の子の彼の一言で、ガブリオの腹もきまった。
「どうせ、出すなら、エアの中がいい…。」
「あ…。」
ぼっ。
赤かった顔が、どこにそれだけ色を隠していたのかというほど、さらに赤くなる。それに反応してか、ガブリオの顔もまた、かあ、と赤くなる。
「は、は…、あ、その…。」
「エアが、欲しい。」
エアの方は腹が決まってなかったようで、あっちを見たり、こっちを見たりする。
やがて、一度目を閉じると、意を決したように、言った。
「うん…食べて?」
最高にいじらしく、そして、オルフル的に最高に危ない言葉で。

ぶふぅ

「って、ええええ!?ガブリオ、ガブリオー!?」
嫌な音のあと、エアがあわてだす。
無理もない、先程、照れながらも、男前に宣言したガブリオが、その顔のまま、大量の鼻血をふいてしまったのだから。
そのまま、失血からか、どたーんと前のめりに倒れる。
「わぁぁぁ、しっかりしてー!?」


「…おばかです。」
アーノの突っ込み。そして、ガブリオは本日二度目の気絶をしてしまったのだった。
(な、情けない…。)

小鳥の声に、目を開けると、あたりは明るかった。
――朝。

なんだか体がひどくだるい。体を起こし、つい先ほどまでのようなことを思い出す。
(…夢?)
そうなのだろうか、よく分からない。あの事自体、現実であったとしても非現実過ぎる。
(エアが、僕のを)
甘い光景がよみがえり、そしてがっくりとうなだれる。
「…朝からなに考えてんだ、僕は。」
「あ、起きてる。」
「うわぁぁ!?」
本来砦にいないはずの人物の声に、ガブリオは心臓が飛び出す勢いで驚く。
驚きながらも顔だけは、入り口をみて、そしてやはり、聞き間違いではなかった。
「え、ええエア!?」
「…うん。」
少しぶすっとした顔で、エアは応える。服はハイネックではなく、ガブリオのものだ、少し、サイズが大きいのか、袖をまくっている。
そしていつの間にかおいてあったベッド横のいすに腰掛けると、手に持っていたものを、差し出した。

おかゆだった。
白かゆではなく、山菜やらなにやら、いろいろはいっている、どれもザク切りで、見た目はアレな感じ。
「はい。」
「…これ、エアがつくったの?」
「そうだよ。」
こくり、とエアは頷く。一秒くらいの沈黙があって。
「変?」
そう、聞いてくる。
「あ、いや、変って言うか、なんか、意外っていうか、
エアは、料理、作らないと、あ、あ、そういうんじゃなくて苦手そうっていうか、ああ、違う!」
どんどん眉根が寄るエアの顔をみて、慌てたガブリオは次々に墓穴を掘っていく。
「いいよ、あんまり、上手く出来たとも思えないし。」
「そ、そうじゃなくって!」
立ち上がろうとするエアを、ガブリオは押しとどめる。
「僕のためにつくってくれるとは、思わなかった。」
それは、リョウガとかにしてあげることだと思ってたから。
それは口にせずに、言う。
「…ありがとう、食べるよ。」
そして、スプーンでひとつすくい、食べる。
「…どう?」
エアが、聞いてくる。
すこし、塩辛くて。山菜は生煮えだった。
ご飯は炊きすぎたのかどろどろだったし、山菜もそこらじゅうのモノを詰め込んだのか、味がバラバラだった。
「…エアらしい。」
ガブリオはそういう。彼女の剣と同じ感じがした。荒削りで、まだまだだけど、だけど、精一杯の心はこもってる、そんな。
「そうかな。」
照れたのか、エアは俯き、横髪を手ですく。
しばらく、無言で、ガブリオがおかゆをたべて、エアはそれをちらちらと見る、そんな時間が続いた。

「そういえば、アーノは?」
食べ終わって、エアが食器を片付けて、部屋に帰ってきて、それからガブリオはそう聞いて、きょろきょろとあたりを見回す。
「村の方に先に帰ったよ、ゼライドも一緒。」
「ふぅん…て。」
エアの方を見ずに、ガブリオははたと気づく。
それはつまり、そういうことだ。
「え、エア?」
自分は起き抜けに弱いのか。気づくべきだったのだ。
なんでエアが自分の服をきているのか、それは昨日、服にもかけてしまったからで。
それはつまり、昨日の事は、夢ではないって事で。
「昨日倒れちゃうんだから…。」
恥ずかしそうにエアがいう。
「ご、ごめん…、だってエアが可愛すぎたから。」
「―…そういうことは、言えるのにな…。」
「…ごめん。」
顔を真っ赤にして俯く二人。
「―…エアは、リョウガが好きだと思ってた。」
「…そういうところも、鈍感だよね…。」
エアが、ふくれ、そっぽを向く。
「…ごめん。」
「…―いいよ、そういうとこも、好きなんだから。」
「エア。」
「・・・ガブリオ。」
エアが、身を乗り出してくる、手をつけられたベットが、二人分の体重で軋む。

「ん。」
「ん・・・む。」

そして、唇を重ねる、昨日の夜のような、激しいものではなく、1秒にもみたない、唇を合わせるだけのもの。
すぐに離れて、そして恥ずかしそうに視線を別々の方向に向ける。
「…最初、やっぱりこういうのだよね。」
「逆、だったよね。」
はは、と二人して笑う。また、沈黙。

「…大胆、だったよね。」
「だ、だってああすればいいって、リンリさんが!」
「――それで、温泉にいってたの?」
うん、と真っ赤な顔でエアが頷く。
コトリ、とパズルのピースがはまる感じ。
なんだ、何てことない。すべて自分のはやとちりだったのだ。
「は、ははは…。」
「わ、笑わないでよ!…すごく、恥ずかしかったんだから…。」
「ごめんごめん、そっか、なんだ・・・はは、ははは。」
「な、なんで笑うのっ!?」
「な、なんでも、安心して…ははは。」

ひとしきり笑って、やがて、ふう、と大きく息を吐く。
エアはやはり顔を赤くして、気まずそうに視線をさまよわせていたが、ガブリオが落ち着くと、肩をすくめながら、いう。
「じゃ、じゃあね?」
「え?」
「あ、あんまり遅いと、ほら、タタンたちが。」
そう言って立ち上がろうとするエア、だが、その手をガブリオがつかむ。
「きゃ…え、ガブリオ!?」
「帰るの?」
「だ、だって、朝だよ?かえらな・・・んぅ!」
言い切る前に、エアの口は彼女を引き寄せたガブリオの口でふさがれてしまう、今度は舌を絡ませ、奥の奥まで、味わう。
はじめは抵抗を見せていたエアだったが、やがて、その腕から、力が抜けた。
「ぷは…。」
「…昨日言ったよね、食べて、って。」
「が、がぶ・・・。」
「オルフルはね、一度食べようとした獲物は逃がさないんだよ?」
相手がそうして欲しいなら、尚更。
もう、完全にスイッチが入ってしまった。誰がどういおうと知らない。
ガブリオはエアを後ろからだきしめると、シャツのボタンを下から少しずつはずして行く。
白いシャツのしたから、滑らかな肌が、すこしずつ姿をあらわす。
「あ、あ。」
「ほら、下着、つけてないじゃない…して欲しかったんでしょ?」
「ち、ちが。」
「でも、濡れてる。」
「は、あ…、んくっ!」
先に触れただけでエアはびくん、と体を反り、すくめる。
「あ、は…やだ…、あかるいよ…。」
「僕はこのほうがエアが、よく見えて好きだな。」
「や、ガブリオがよくても、あ・・・私が、きゃうっ」
くちゅり、と指がエアの中に入っていく。ぬるぬるとした感触と締め付けを感じながら、ガブリオは一生懸命に、自分を抑える。
少しでも気を抜けば、思い切り、壊してしまいそうな、それだけの衝動が、自分の中にはあった。
「は、ぁ、は…、あ、くっ!」
事実エアは指一本で十分すぎるくらいのようで、少し動かすだけで、声を上げる。
(どうしよ…。)
自分の下半身を思いながらガブリオは考える。すでにシーツの上からでも分かるくらいにモノは大きくなっている。
だが、明らかに指一本以上の大きさのそれを、いれてしまって、大丈夫なのだろうか。
「あ、が、ガブリオ、おおきくなってる。」
彼の視線の先のそれに気づいて、エアが口に出す。手を伸ばし、盛り上がった山の頂点に、触れる。
「う、エア…?」
「昨日も、おもったけど、すごい、おっきいね…、アーノの舌より、すごいかも…。」
「ま、まぁいちおう男だし…、つっ。」
撫でられて、ガブリオは顔をしかめる。最中でも何とかとどめている理性のタガが、一本、また一本と外れる。
「ね、ガブリオ…。」
「エア?」
振り向いたエアの表情は昨晩のとろりととろけたような顔と同じだった。
自分に全部預けたような、任せてしまったような、そんな、おちた表情。

「わたしもね、いくならガブリオのでいきたい…。」

――

「痛いかも、しれないよ?」
「…いいよ、ガブリオなら。」



「きゃ!」
ぐるりと体をまわして、ガブリオはエアをベッドにへと仰向けに押し倒す。
「ごめん…。」
ぐい、とエアの腰を持ち上げながら、ガブリオは上着を脱ぎ、ズボンの中から自分のものを取り出し、あてがう。
互いのがふれあい、ぐちゅり、と卑猥な音を立てる。
「謝るの、悪い癖だね…。」
「っ!」
「ひあっ・・・!?――んぁっ、ああああんんっ!」
お互いのがひどく濡れていたせいか。挿入に抵抗は殆どなかった。
ただ、だからこそ、一度に最奥にまでいれられたのは凄まじいものだったらしく、エアは顔を上向きに仰け反って、そのあと、くたりとなってしまう。
「え…エア?」
「も、もっとゆっくり、してほし・・・かった。」
初めて、なんだし。
言外に込められたその言葉に、ガブリオは気まずそうになる。
確かにいきりたちすぎたかもしれない。ふう、とひとつ息を吐き、自分を落ち着かせる。
「あ、そんな顔、しなくていいって…、ん…、あぅ。」
おなかの異物感が気になるのだろう、エアはもぞもぞと動き、そのたびに、自身のなかですれるガブリオのモノに小さく呻く。
やがで、何かに気づいたらしく、エアがうれしそうな声を上げる。
「あ、尻尾…。」
「え。」
言われて後ろをみると、そこにはそれはもう、元気に動く自分の尻尾があった。
実際、そんな気持ちで、隠す気もないのだけれど。
「ガブリオも、うれし・・・んだよね?」
「うん…ずっとこうしたかった。」
まだ息の荒いエアをガブリオはぎゅ、と抱きしめる。エアも応じて、ガブリオの背に手を回す。
「思ったより、広いんだね…、背中。」
「エアは…小さいね。」
服の上からは分からなかった、そして触れなければ分からなかった、お互いの体
それはお互いが思ってよりもずっと、お互いの心を満たすものだった。
こんなにも、細いものだと思わなかった、彼女の中に秘められた力は、剣を合わせた自分が一番よく知っているのだけど。

(こんな体で、頑張ってたんだ。)

村を守ろうと必死になって、策略とはいえ、裏切られたときも、その腕の力と鋭い剣戟は失われていなかった。
そして、友達と呼んでくれた自分の、卑しい正体を知ったときにも。全力で、まっすぐに。
(ガブリオの体…すごい、傷。)
すぐには気づけなかったが、手で触れると、彼の体には無数の傷があった。大きなものから小さなものまで。
もちろん、生傷のような―おそらく凶暴なはぐれと戦ったのだろう―もあるけれど、古傷はそれ以上に多い。
彼が、はぐれ召喚獣としてどういう扱いを受けてきたのか、彼と戦って分かっていたこともあったけど、こうみると、あまりにも痛々しい。
「「がんばって…たんだね」」
ほとんど同時の声。一瞬きょとんとして、それからエアは泣いたように笑う。
「はは、へんだ、ね。こんな事してるのに。」
「だね…。」
微笑みあって、そして、4度目の口付け。
「でも、こういうの、僕ららしいかもよ。」
「…うん。」
「うごく、ね。」
そうして、ガブリオは腰を引いていく。
「…うん、…あ、ふあ・・・ああっ、あく、ふあああっ!」
ぎゅうっと、意識してないのに、自分の中がガブリオを締め付ける。
そうして、締め付けてもまだ動くそれに中を擦られ、それに反応して、さらに―。
「つ、あ、エアの中・・・きつっ。」
入れたときには想像がつかないほどの抵抗にガブリオは顔をしかめる。
その代わり、前に突き出す時はそう抵抗がないのだ、するりと入っていく。
「あ、は…はぁ、ガブリオのが、おっきすぎ・・・あ、ひゃああっ、あっ
こわれちゃ…あぁ、きゅ、あはぁ、や、らああっ!」
腰が浮いて、がくがくとふるえる、もう次引かれたら壊れてしまうのではないか、それくらい激しい快感の奔流。
ぐるぐるぐるぐる渦をまいて、時に電気みたいに体中をはしって、エアの体の中をめちゃめちゃにしていく。
「ち、力抜かないと、もたない、って!」
「む、無理、だ、 ひゃぁ ぁ、 っ ょお!きゃうっ!」
前後の運動は遅く、だからこそ、じっくりと各部を責められる。
そしてガブリオもまた、中で何度も締め付けられるからこそ、限界が早い。
(あ、危ないって、これ…!)
思ったよりも持ちそうにない、別にエアはそういう子じゃないのは知っているけれど、初めてで「早い」のは男のプライドとして、なんだか嫌だった。
ガブリオは、腰を持っていた片手を離すと、エアの開ききってなかったシャツの最後、3つのボタンくらいを強引に弾き飛ばす。
申し訳程度にあるような小さな胸が、顔を見せる。
「きゃ!なにし…。や、やああっ!?」
ガブリオはエアをぐい、と抱き寄せるとその胸の頂点に、おもむろに口をつけて、先端を舐める。
「あ、あは・・・ガブリオ、くすぐっ・・・、はぁ・・・あ、あれ、へ、な、かんじ・・・ふあ。」
がくっ、と強張っていたエアの体から力が抜ける。それもあって、エアの中の締め付けが、少しだけ弱ま・・・ってるとガブリオは思った。
「だ、だめだよ、ガブリオ、でないから…ふっ、そんなんしたって、私のちっちゃくて、あうっ、でな…。」
半狂乱に近いような先ほどの状態ではなく、エアは体から力を抜き、ガブリオの頭を抱きしめる。
「エア、いい匂い…。」
「も、もう、変なこといわないでよっ。」
ぐりぐりと胸に頭を押し付けてくるガブリオにエアは苦笑する。
(エア、気づいてないのかな…。)
エアの香りを味わいながら、ガブリオはちらりと視線を動かす。
彼女は、勝手に腰を振っている。自分に比べれば激しいものではなかったが、こつん、こつん、と短く、軽く奥に当ててくる。
少なくとも、自分のものが嫌いじゃないのだと分かると、ガブリオもなんだかもっと激しくしてあげたくなってしまう。
「エア。」
「はふ…?」
甘く緩い責めが続いて、すっかりとろんと夢心地になっているエアは緩慢な動作でガブリオを見る。
「えい♪」
「え、ひゃ、きゃあああぁっん!?」
彼女が腰を下ろす動作に合わせてぐ、っと腰を突き出すとエアは面白いくらいに悲鳴をあげた。
ぎゅう、と眉を寄せる顔がガブリオの眠っていたサド根性をこれでもかというくらい揺さぶる。
「うわ、可愛いよエア。」
「あ、ふぁ、や、やめてガブリオ、はげしくしちゃや…ああああっ!」
「だってこうすると、エアすごい可愛いよ?」
「あ、かわいくてもっ、だめ、だめなのっ、あっ、あっ、きゃぅぅんっ」
思い切り上にあげて、奥まで一気に差し込む、先程の胸への責めが効いたのだろう。
それほど抵抗もなく動き。連続して最奥を叩くガブリオのモノはエアの意識をぐちゃぐちゃとかき乱す。
「あ、あぁ、あ…。は、はぅうう、ふっ、あああ・・・。」
「う、くっ!」
昨日の夜感じたあの感覚がまた腹の底からやってくる。
そろそろなのだ、そして、エアもまた、それは同じだった。

「え、えあっ…!」
「は、ぅ、がぶりおっ・・・き、きてっ!」

エアがさっきより一層きつく、ガブリオを抱きしめる。
それで、限界だった。
「あ、うっ・・・あっ!」
「は、あっ、あ、ふわあああああぁぁぁっ!!」

一番奥の奥、そこにあてがっての、射精。断続的に何度も吐き出される白濁に、やがてエアの意識は、真っ白になっていった―。

やわらかい何かが、唇に触れた。

「ん…ふえ?」
「…おはよう、エア。」
目覚めると、ガブリオの顔が視界いっぱいに広がっていた。
そして、その感触が何かに気づき、エアは赤面する。
「…お、おはよ。」
「といっても昼だけどね。」
ガブリオはそういって、朝方、エアが腰掛けていたいすに座る。
「そ、そうなんだ、ってわわ!」
むくりと起きようとして、自分が何も着てない事に気づき、エアは慌ててシーツにくるまる。
そんなエアをみて、ガブリオは苦笑する。
「な、なに?」
「いや、変わんないなって。」
「…う、うう。」
確かに、あんなすごい事をしてしまったあとに、いまさら裸見られて、という気もするが、そこはやはり女の子である。
それに、ガブリオがすでに全部着込んでしまっているのも、ずるい。
「あ、悪いとは思ったけど…洗わせてもらったからね…。」
「え、どこを?」
「そこ。」
そう言ってガブリオはエアの股、まぁつまりは先ほどまでガブリオのモノが入っていたところを指差す。
「うぇ!?」
「だって、できちゃったら、困るでしょ…まだ。」
「そ、そうだけど…。」
寝て、というか気絶している間にそこを念入りに拭かれている自分を想像すると、情けないやらなにやらである。
「…え、ていうか、まだ?」
「うん。」
なにを聞くのか、というか当たり前のようにガブリオは頷く。
「そのうち、作ろうね?」
「あ、あう…。」
嬉しくないわけではなかったが、そうも真っ向からガツンといわれると、恥ずかしすぎる。
当のガブリオはなんだか憑き物がおちたように晴れやかな顔をしている。
「…エア。」
「今度はなに!?」
「好き。」

ちゅ。


「…いい忘れてたから。」
「う、ば…ばかァーっ!!!」


パカーン

砦に、きれいな快音が響いた。


後日談。

というか、数時間後。



「エアじゃなくてアーノまでキズモノにするなんてこの外道ーッ!」
「俺の妹に手を出した事後悔しろぉぉぉ!」
「ちょ、タタン、オルカァ!鍋とかおたまは投げるものじゃ…いたいいたいいたいいたい!って包丁やめて包丁ーッ!」
クリーフ村まで、エアを送ったガブリオを待ち構えていたのは、エアの兄と妹、二人であった。
当然、ゴウラもびっくりの鬼神と化した二人に、ガブリオは現在村中を追い回されている。
「アーノがしゃべったの?」
「しっぽりです。」
「…。」
エアは頭を抱える。
リンリさんに吹き込まれて、一番乗り気なのがこのアーノだったとは言え、共謀したのは失敗だったように思う。


「ねぇ、ご主人さま。」
「なーに、アーノ。」
「ボク、今度はガブリオさんにいれてもらいたいです。」
「――絶対、ダメッ!」

『わ、わうーっ、お菓子もだめだってええええェッ!!』


ガブリオの断末魔がこだまする。
二人が落ち着いて幸せになるのは、まだまだ先のようです。

「ヤレヤレデス。」


おわり

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