フォルテ×ケイナ



「はいはいはーい皆さーん、お待ちかねのケーキですよぉ」
トレードマークの赤い髪をなびかせながらパッフェルさんがケーキの配達に来たのは、ようやく厳しい冬が過ぎさろうとしていたある日の昼下がりのことだった。
のほほんとした春の陽気を一足先にまとったような明るい声にギブソン邸の居間はにわかに活気を増す。
「遅えぞ!待ちくたびれたぜぇ!石にするぞ?」
3人がけのソファを一人で占領したバルレルがふんぞりかえって悪態をつく。
「行儀悪いぞ。バルレル」
「いいんですよぉマグナさん。バルレル君は口も態度も悪いけど本当はいい子なんですよぉ……多分」
「なんだとコラ」
3人のやりとりを聞いていたギブソンとカザミネとフォルテが笑いだす。
「あれれ?よく見るとここにいらっしゃるのは殿方ばかりですねぇ。他の皆さんは買い物か何かですか?」
頬に指を当てたパッフェルさんが可愛らしく小首をかしげた。たったそれだけの仕草なのに豊かな乳房がプルンと揺れる。

(おぉっ……!)

愛くるしい仕草の美少女に、バストを強調したデザインの色気たっぷりメイド服。
バルレルを除く全員がはっと息を飲んだ。
ナチュラルに嬉しそうなフォルテ、慌てて目を逸らすマグナ。
カザミネは赤くなって横を向いてはいるが、チラチラと未練がましくパッフェルさんの胸元を見つめている。
ギブソンはさすがに大人なだけあって平然とした様子だったが、やっぱり視線は微妙にソッチにいっている。
バルレルは……いつもと変わらないので何を考えているのかわからない。
「あー、女連中は買い物に行ったりフリーバトルに出かけたりいろいろだわな。ま、野郎だけで気楽な留守番ってのも悪くないぜ」
「そんなこと言って、フォルテさんはケイナさんがいないと寂しいんじゃないですかぁ?」
「ぶはっ!」
何も食べたり飲んだりしていないのにいきなりフォルテがむせた。
「あははははーっ。本当皆さんといると楽しいですねぇ。もっとお喋りしていたいけど、次の配達が控えてるんで、失礼しまーす」
即興で作ったらしい『お仕事の歌』を歌いながらパッフェルさんはねずみ花火のようにくるくると去っていった。
働き者なのだ。

「いやはや、いつ見てもすごい…ムニャムニャ…でござるなあ」
ケーキをつつきながら、遠い目をしてカザミネが呟く。
「え?聞こえないよカザミネさん」
天然全開でマグナが聞き返した。
「ですから、その……あの……」
「?」
「ケッ、要するにアレだろ。あのオンナのでかい乳が目の前チラついて離れねーんだろ。察してやれよそんぐれー」
「さっ、察しなくてよいでござるっ」
はあはあとカザミネは肩で息をついた。
「……それにしても、マグナ殿は随分と平常心でござるな……ああ、拙者はまだまだ修行が足りぬ……」
「そ、そんなことありませんよ、カザミネさん。あなたは立派な武士です!元気を出して」
落ち込みかけたカザミネの肩をマグナがぽんぽんと叩く。
「ケッ、笑わせるぜ」
「こら、バルレル!……いや、平常心というか……俺、大きい胸ってあんまり興味ないんだ。
むしろ小さい方が…いや、その、ギ、ギブソンさんはどう思いますかっ?」
いきなり矛先を向けられてマグナはしどろもどろだ。
「ヘヘッ」
マグナの心を見透かしたかのようにバルレルが薄笑いを浮かべる。
「ここだけの話、私は大きさ云々よりも重要なのは感度だと思う。そして私の経験で言わせてもらえるなら」
「真面目に語らないでくださいっ!」
「まあまあいいじゃねえかマグナ。こんな話男同士じゃねえとできねえって。というわけで俺の好みを言わせてもらえればだな……」
断然、大きい胸。巨乳を激しく揉みしだくのは男の見果てぬロマン!……そう力説しようとしてフォルテは口を噤んでしまった。
実を言うと、フォルテはさっき頭の中でパッフェルさんを裸にしてしまっていたのだ。そしてちょっと、いや、かなり妄想の中で揉んだり吸ったりして楽しんでいた。
だが今、自分の好みを口にしようとした瞬間にその妄想は霧のように消え失せてしまったのだ。
……自分でも不思議なくらいに、あっさりと。
そして赤い髪の女性にかわりいくばくかの罪悪感を伴って脳裏に現れたのは真っ直ぐな黒い髪の……
「俺は小さい胸が好きだ」
「ええっ!?」
予想外のフォルテの断言に一同驚く。
「そりゃ大きい胸も悪くない。捨て難い。だけどな、小さい胸のはかなさ、健気さ、いじらしさには遠く及ばねえんだよ。それに胸の小さい女ってえのはそれを悩んで密かに一人風呂場でマッサージしてそれでも大きくならないことに気落ちしてこっそり溜息をついたりするに違いない。そういう女心も含めて俺は小さい胸の女が好きだ。大好きだ。いや、むしろ胸なんかなくてすら構わない!!」
何かに取り憑かれたかのように熱く語り続けるフォルテを全員が呆れて眺めていた。
ようやくバルレルが口を開く。

「……なあ、それってさっきからそこに立って震えてる貧乳オンナのことかぁ?」
「そう、その通り!……えっ!?」
バルレルがしゃくった顎の先には、拳を握りしめて立ち尽くすケイナの姿があった。
やばい、フォルテの本能が危険を告げていた。
「や、やあケイナ。いつからそこに?」
「……あんたが馬鹿みたいな戯言吐き始めたあたりからよっ!」
「ひでぶっ!」
弓で鍛えたケイナが繰り出す渾身の一撃を真正面から受けたフォルテはあえなく撃沈した。
「フォルテの馬鹿!もう知らない!」
「ま、待てケイナ」
駆け出していったケイナをよたよたとフォルテが追いかける。
二つの足音が遠ざかるのとほぼ入れ違いに買い物籠を手にしたアメルが顔を覗かせた。
「ただいま……何かあったの?あの二人」
「何にもねぇよ。いつものことだよ」
「はあ……」
何も知らないアメルは買い物籠を置くと、小さな胸の前でそっと両手の指を組んでニッコリした。
「なら、大丈夫ですね」


「なあ…待てよケイナ……」
普段から重装備気味のフォルテに比べ軽装のケイナは走るのにはかなり有利だった。
はあはあと息を切らせながらフォルテは懸命にケイナを追いかける。いつの間にか二人は郊外にある寂しい森まで走ってきてしまっていた。
「おい、ケイナ…いい加減に…」
「あんたこそ追いかけてこないでよーっ!一人にして!」
「って、そっちはまだ雪が…!」
「え?……きゃあああああ!!」
フォルテの制止も虚しく残雪に足を滑らせたケイナは派手に転んでしまっていた。
「痛たたた…」
「おい、大丈夫か?……しょうがねえな。ほら」
座りこんだまま動かないケイナにフォルテが手をさしのべる。
だが、ケイナは戸惑うようにフォルテを見つめているだけだ。
「手。……早く貸せよ、恥ずかしいんだぜ。こうしてるの」
「あ…ありが…とう」
おずおずと差し出されたケイナの手を握り締めたフォルテの心臓が跳ねた。

(こんなに柔らかかったか?こいつ……)

自分を見上げるケイナの瞳にいつもの勝気さは微塵もなく、かわりに保護を求める子供のような頼りなさが滲んでいた。
白い掌からはほのかな暖かさが伝わってきて……
「ちょ、ちょっとフォルテ、痛いわよ!」
「え、あっ、すまん!」
思わず強く握り過ぎたようだ。フォルテは慌てて手を離した。
だが、それが悪かった。
立ち上がりかけたところでバランスを崩されたケイナは、フォルテの胸の中にどさっと倒れ込んできた。ケイナが愛用している柑橘系のシャンプーの香りがふわりと鼻をくすぐる。
「もう、何やってるのよ!」
だが、口ではブツブツ言いながらもなぜかケイナはフォルテから離れようとはしなかった。
僅かに伏せられた瞳には困惑の色こそあれ、そこに怒りや拒絶の光は読み取れない。
(もしかしたら、今がチャンスかもしれない……!)
ここで当然感じるべき疑問を感じる余裕もなくフォルテはケイナの艶やかな黒髪に自分の指を滑らせた。
「もうバレちまったみたいだからはっきり言うけど、俺、お前のことが好きだ」
「フォルテ!?」
「皆の前でさっきみたいな言い方をしたのは悪かった。けど……わっ!!」
フォルテの心臓がまた跳ねた。ケイナが自分の額をそっとフォルテの胸に預けてきたのだ。
「私も……フォルテのことが……好き。じゃなきゃ一緒に旅なんかしなかったわ」
「本当かよ?」
こくり。
ケイナが無言で頷く。
そしてそれまで寄り掛かっているだけだったケイナが、フォルテの背中にそっと両手を回した。
「ケイナ……」
ケイナの顎に手をかけて上向かせると、唇を重ねた。
最初は浅く、次第に深く口づけていく。
「ん、んっ……」
少し急ぎ過ぎかなという思いがちらとフォルテの頭をかすめたが、両想いだと分かったらもう止められなかった。
フォルテがケイナの着物のあわせに手を差し込もうとしたその瞬間。
「ダ、ダメーッ!!」
突然ケイナがばねのように身を翻し、両の腕で胸元を押さえた。
「ごめん……フォルテ。でも、私……っ!」
ケイナのうつむいた肩が何かに耐えるようにかすかに震えている。きつく閉じられた目と寄せられた眉根は、何かせめぎ合う感情と葛藤しているかのようだ。
拒絶……ではなさそうだが、さりとて受容でもないことは明白だった。

(あれ?嫌がるにしても少しおかしくないか?)

ようやく小さな疑念がフォルテの中に芽生えたが、自分が性急すぎたせいだと己を納得させた。それ以外のことはフォルテの想像の範疇にはなかったからだ。

「あー……その、どうも俺は考えなしでな。すまん」
「……」
「何か言いたいことがあるなら、言ってくれよ」
だが、ケイナの反応はない。一人にしてという先刻の叫びをフォルテは思い出した。
「……そうか。じゃ、先に戻ってるぞ。その……色々と悪かったな」
「フォルテ、違うの!!」
踵を返しかけたフォルテの背にケイナの声が飛んだ。
それはまさに一閃の矢のように、諦めかけたフォルテの心の中心を正確に射抜いた。
「違うの……見て!」
そう言うや否やケイナは神に仕える証である巫女服のあわせに手をかけると、ややためらいながらも一気に左右に引き下ろした。
「わっ、おい、ケイナ!?どうしたんだっ」
着物がするすると腕を滑り落ち、なめらかな曲線を描くケイナの白い肩がフォルテの眼前で露わになった。だが、まだ裸体ではない。
その胸の部分をきつく覆っているのは……
「サ、サラシ……?」
観念したように小さく頷くと、ケイナは羞じらいの色をその美しい顔に浮かべながら、かすかに震える指先で己が胸元を固く緊迫しているサラシを解き始めた。

(な、何が起こるんだ。うおぉぉっ!)

目の前で起きる光景を把握出来ないまま立ち尽くすフォルテの足元に完全にほどかれた純白のサラシがぱさりと落とされる。
「お、おわああっ!?」
そこに現れたのは、迫りくる夕闇の中ですら練り絹のようにしっとりとした輝きを放つケイナの白く肌理細かい素肌。
そして……サラシからこぼれるように飛び出したのは溢れるほど豊満で瑞々しい、両の果実。
それはフォルテの片手にもあまりそうなくらいの見事な大きさだった。
「……あのう、あなたは、ケイナ、さん、ですよね」
「当たり前でしょ」
フォルテが思わず発したアホな質問に、真っ赤に頬を染めながらもケイナが即答する。いかなる時でも息がピッタリのいいコンビなのだった。
「私、本当は胸がないんじゃないの。でも弓を引く時に胸が大きいと邪魔になるからずっとサラシを巻いて隠してたのよ。そうしたらそれが周りにも定着して……だったら、大きな胸で変に注目を浴びるよりもこのままでいいかなってカイナたちにも口止めして……でも……」
ケイナは一旦言葉を切るとうつむいた。
「あんたが貧乳好きだってさっき聞いて、ショックで、私……私……」
「ケイナ……」
いつの間にかすっかり陽は落ち、樹間をさわさわと浅い夜の風が吹き渡る。
最初に沈黙を破ったのはフォルテだった。
「ぶ……ぶわはははははははっ!!」
「な、何がおかしいのよっ!!」
突然大きな体を二つに折って笑い始めたフォルテをケイナは真っ赤な顔で睨み付けた。
「いや、そうか。そうだったのか〜……怒ってたんじゃなくて、悩んでたんだな」
薄々感じていた違和感の正体にようやく行き着いてフォルテは笑いながら何度もうんうんと頷いた。
そしてケイナがなんだかすさまじく可愛く思えてきた。
「悩んでなんかないわよっ!……ただ、あんたが小さい胸の方が……好きって言うから……」
「ばあーか」
「なんですって!?この……」
振り上げたケイナの拳をフォルテは掴んだ。
「本当にばかだよ。お前、分かってるようで全然分かってねーんだな」
耳元でそう囁くと、彼女の丸みを帯びた胸にそっと触れた。

豊かな柔肉をこねるように揉みあげると、かすかに尖り始めた先端がフォルテの掌を心地良く刺激する。
「……あんっ」
「俺は、小さい胸が好きなんじゃなくて、お前が好きなんだよ。分かれよ、それくらい」
「そんな……でも…んっ…あんな、こと言われた…ら…あっ」
「……ごめんな」
「あぁんっ」
ちゅっと音を立てて突起を吸うと、ケイナが小さく喘いだ。
そのままゆっくりと舌を転がして桜色の突起の感触をじっくり味わう。
「……固くなってきた」
「や…っ、言わない…でぇっ…あっ、あぁんっ」
首を振って白い体をよじらせるのを逃がすまいとするかのようにがっしりと抱えこみ、空いた方の手でもう一つの果実をまさぐった。
突起を指に挟んでこね回し、膨んできた先端をかりかりと爪で引っ掻く。
「んんっ、んっ……あああっ!」
充分熟したのを確認するとフォルテは自分のマントを手早く地面に広げ、ケイナをそこに横たえて袴を取り去った。
何の遮るものもなくむき出された中心に指を這わせると、そこは既に熱く潤っていやらしい水音とともにフォルテの指を呑んでいく。
「いゃ…ぁあ…んっ」
苦痛とも快感ともつかない声をケイナがあげた。
「力、抜け……」
「そんな、こと、言われてもっ……くっ…」
既に蕩けているとはいえ、未経験のケイナの中はかなりきつく、指一本が精一杯のようだった。
フォルテはケイナと一刻も早く結ばれたかったが、このまま挿入しては傷つけてしまうことは間違いなかった。
「恥ずかしいだろうが、少し我慢してくれ」
「え?…フォルテ、何っ!?やだっ!」
膝に手をかけて大きく広げるとフォルテは、ケイナの秘裂に唇を寄せて溢れる蜜をちゅるちゅると吸い取った。
溝に沿って丹念に舐めあげ、敏感な芽を舌先でつつきまわすと、新たな蜜が次から次へと溢れてくる。
「あっ……ふぅん…ああっ…恥ず…かっ…いや…いい…ぁ…あああああんっ!」
そろそろ頃合と見たフォルテが顔をあげると秘裂と唇の間を銀糸が伝った。
「……すごいな」
ここまで感じてもらえると男冥利につきる。
フォルテは銀糸を拭いとると己の猛ったモノに塗りつけ、先端をケイナの入口にあてがった。

まだほんの少しキツかったが、ぐずぐずしていても痛みが長引くだけだと知っていたフォルテは一気に最奥まで貫いた。
「う……!」
「大丈夫か?」
「ん…ちょっと、痛っ…でも…平気……」
「……そうか」
ケイナの汗ばんだ額に優しく口づけると、フォルテは再び動き始めた。
「はぁ…ん……っ」
次第に感じ始めてきたのかケイナの喘ぎが甘さを増していく。それに伴って溢れだした蜜がたらたらと結合部分を濡らしていった。
「今……すごいいやらしい顔してるぞ」
「ああっ……言、わないでえっ……あうう…っ」
到達が近いのを意識したフォルテは律動に合わせて淫らに揺れる乳房をこねまわし、より一層激しくケイナの中に自分のモノを打ち付けた。
「ひっ……ひゃあああああんっ…ああっ…ああっ…すご…気持ちいっ…あん…フォルテ、フォルテッ……!!」
フォルテが放つと同時に、ケイナの中も大きく波打ち、何度も収縮を繰り返した。


「ケイナ……良かったぜ……」
「私も……」
「それにしても、お前があんなに乱れるとは思わなかったぜ」
「バカ!!」
真っ赤になって後ろを向くとケイナは身支度を始める。笑いながらそれを眺めていたフォルテはふとあることに気がついた。
「サラシ、巻かないのか?」
「んー……何かフォルテにバレたらもういいかって気になっちゃって。これを機会にやめ……」
「ダメ」
フォルテの脳裏にカザミネやら何やらいろんな男の姿が浮かんでは消えた。断じてヤツらに見せてはいかん。
「フォルテ?」
「あー、その、なんだ。さっき言ってただろ?弓を射る時邪魔になるって。危ないから巻いときなさい」
ケイナがじっとフォルテの顔を覗きこむ。
「……もしかして、やきもち焼いてる?」
「ぶはっ」
またしてもフォルテは何もないところでむせてしまった。
「ほらフォルテ、もう、しっかりしなさい」
「ヘーへー……」

一生こんな感じかも。
……まあいっか。


おわり

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