機関銃は無いけど男は心にバズーカ持ってんだよ



がんっ!
「痛ぇっ!」

時刻は全員集合の8時──ではなく真っ昼間。
コントよろしく降ってきたタライに脳天を直撃され、ハヤトは荒野のド真ん中にうずくまった。

事の発端はそう珍しいことでもなかった。
街の方にやってきたはぐれ召喚獣を適当にヘコまして追っ払ったら何やら落としていったので、赤くはなかったがせっかくだからそれをキーに誓約の儀式でも、というわけだ。
以前フラットの軒先で行ったときは、虚空から顔を出した火竜の鼻息だけで建物が倒壊しかけてしまった。
その辺を相方にこっぴどく怒られたため、最近は何もない荒野まで出向くことにしていたのだ。

だが、今日の成功率はゼロ。
穴の開いたタライや鍋を持ち帰ったところでどうしようもない。
わざわざ出向いたからには何か一つくらい戦果が欲しいところである。
「とはいえ、手持ちの石も少なくなってきたな……」
つぶやきながら、手にした透明な石に魔力を通す。
石から溢れた光は天へと上り、空を歪めて異界への扉を作る。
「……お?」
ゲートがにわかに輝き──どすん、と宝箱が落ちてきた。
いつも思うのだが、武器や道具はともかくこの箱はどこから現れたものなのか。
どっかのうちの家宝だったりしないだろうな。
などと考えながら重い蓋を開けてみれば──

果たして、そこに入っていたのはまごうこと無き宝であった。


──数日後。
ここの所何も起きないので、カシスは部屋で読書に勤しんでいた。
わりと根が真面目な彼女は、暇があればたいていハヤトを適当にあしらいながら本に没頭している。
そんな気だるくもいつも通りな昼下がりにノックが二つ。
誰かしらとドアを開けてみれば、だいたいいつもと同じハヤトが突っ立っていた。
いつもと違っている所があるとすれば、何やら真剣な顔をしている点だ。
その妙に熱の入った視線でこちらをじっと見つめてくる。
おいおい、そんな目で見られるとちょっとキュンと来ちゃうじゃないの。
やや頬を赤らめてどぎまぎとしていると、ハヤトが何かを押しつけてくる。
紙袋だ。
「……何これ」
「それ、着てほしいんだ。アルク川で待ってるんで」
それだけ言うと、さっさと出て行ってしまった。
何よ一体、と思いながらも受け取った紙袋を見る。
御丁寧に「ここで」と地図まで添えてあった。
ううむ、あの朴念仁に服を贈るような甲斐性があったとは。
あまりセンスに期待はできないかもしれないが、それでも知らず顔がほころんでしまう。
さっそく取り出してみる。

スカート……はまあいい。やけに短いが、それを言えばいつも着ている服の方が丈は短い。
続いて取り出したもう片方──これは男物ではなかろうか。
と、やや怪訝な表情になるカシス。
まあせっかくの贈り物だし、何か意図があるのかもしれない。
あまり深く気にせず、カシスは着替えるべく裾をたくし上げた。

「言い忘れてたけど、靴下は白より紺の方が──」
「のぞくなあほぅ!」
唐突にドアを開けて顔を出したハヤトに、手近な本を──角が金属補強されていたが──思いっきり投げつけた。


アルク川。
街に面した中流は散歩や釣りを楽しむ人も少なくないが、少し上流か下流に向かうと途端に人気が無くなってしまう。
ハヤトは街から少し離れた上流に来ていた。
このあたりはまだ河原も草に覆われ、寝転がるくらいできそうだ。
辺りを適当に見回したハヤトは、木陰に腰を下ろし、目を閉じて相方が来るのを待つことにした。

遅れること30分ほど。
現れたカシスに、ハヤトは感嘆の声を上げた。
「ねえ、一応着てきたけど。これって男物じゃないの?」
「何を言う。元はそうだけど、俺の世界じゃごく普通に女の子の服だぞ」
「……そうなの?」
「そうなの。俺と同年代の女の子はみんなこれ着てるの」
強い口調で断定するハヤト。
そんなハヤトの目元にきらりと光る物を見て、得心するカシス。
(ああ、そうか……。いわゆるホームシックみたいなものね)
自分のいた世界の物とよく似たものを見つけてしまい、故郷を想う気持ちが膨れ上がってしまったんだろう。
その証拠に、ほら目元に涙が。
そうなると、カシスは弱い。
元々ハヤトがこの世界に来てしまった原因なわけで。
そんな負い目があるので、ある程度は彼の望みを聞いてやらねばなどと思ってしまうのだった。

さて、そんなカシスの考えをよそに、ハヤトは純粋に感動していた。
もう言うまでもなく。カシスが着ているのはセーラー服である。


【セーラー服】
読んで字の如く、水兵の服である。
戦争と言えば陸戦が多いが、海に面した聖王国では輸送、移動に船舶を使うこともあり、海軍も存在する。
もっとも海賊を相手にすることの方が多いのが実情ではあるのだが。
さて制服の話に戻るが。とある日、召喚事故によりイギリスなる国より現れた海軍下士官。
彼の知識により聖王国海軍は大きな進歩を遂げ、その際に制服として採り入れられたと言う。

なお、とある世界ではこれが女学生の制服とされ、男性に大変人気だったりしちゃうのよ。

                        明々書房刊「チャイナお姉さんの世界制服への道」


ハヤトの学校はブレザーだったのでちょっと悲しんでいた。
やはり女子中高生はセーラー服だとハヤトは思う。
先日、宝箱に入っていたこれを見たときは天からのプレゼントだと確信した。
リプレに「これカシスのサイズに合わせてくれないかな」と頼むわけにもいかないので、とりわけ器用そうなセシルに仕立て直しを頼んでみた。いろいろと注文を付けて。


その結果。
ハヤトは己の天才を自ら褒め称えていた。俺最高。俺エライ。
上着は白地に紺の襟とスカーフ。
やや短めに直してもらったので少し動けばヘソが見えそうだ。
そしてスカート。無論プリーツ入りだ。
いつもの服の丈が短いから、とあまり気にしていないのだろうが膝上15センチまで詰めてもらってある。
さらに紺の靴下と、買い揃えたローファーでパーフェクト。
眩しい日差しがセピア色の髪と透けるような肌をきらきらと照らす。
もう感動のあまり涙すらこぼれてくる。

「で、どうするの?」
「え?」
「……わざわざ着替えたんだし、少しくらいリクエストに応えてあげようかなって」
「…………」
ハヤトは考えた。この状況で何をすべきか。

──決まっている。

「回って」
「は?」
「こう、笑顔でくるっと回ってくれ」


何か頭が痛くなってきた。
まあ自分から言い出したことだ。
気を取り直してすぅっと軽く息を整えると、くるっとその場で一回転。
ふわりとスカートが浮かび上がり、ほんの一瞬、白い脚よりさらに白い、純白がちらりと見える。
そして笑顔──自分でも希に見るほど極上の──でハヤトに微笑みかけた。

今ここにハヤトのクラスメートがいたならば。
男子はハヤトを喝采し、女子はドン引きして冷ややかな目で見つめたことだろう。
だがそれでもいい。
嗚呼、今はこのくるくるスカートふわっがあればそれでいい──。
脳髄を直撃され、ばたん、とハヤトが倒れる。

「ちょ、ちょっと! 大丈夫!?」
カシスがあわてて駆け寄ると
「い、いや……想像以上の破壊力だったもんで、つい……」
こやつ何やらもだえているご様子。
頭の痛さが加速する。

「ったくもう……」
ぶっ倒れて震えるハヤトを起こそうと、その場にしゃがみ込むカシス。
当然ながら膝上15センチは隠す機能をほとんど持たず、
「ぶっ!」
ハヤトの視界いっぱいに白いぱんつが飛び込んできた。
わりと限界ギリギリだった理性はあっけなく吹っ飛び、ハヤトは本能の赴くままスカートの中に飛び込んだ。

「ちょっ! 何すんの、こらっ!」
突進してきた勢いに尻餅を付いてしまい、懸命にスカートを押さえながらハヤトの肩口を蹴ってどけようとするカシス。
だが、蹴ろうとするたび動くぱんつで尋常じゃないほどテンション上がり続けるハヤトを止めるにはあまりに力不足だった。
「いやーっ! 早まんなー! さすがにここじゃいやーっ!」
激しく叫び声を上げながらげしげしと蹴りまくる。
と、ぴたりとハヤトの動きが止まり、ようやくスカートから頭を出した。
その隙にカシスは足を閉じてしゅざざっ!と後退り、はぁはぁと荒い息を何とか整える。

ざっと辺りをうかがうハヤト。
草に覆われているとは言え、河原だけに石がゴロゴロと。
なるほど、これじゃ背中痛いよな。
やたら軽々とカシスを抱え上げ、木陰まで運ぶと何やらつぶやき出すハヤト。
ぽん、と軽い音の後に出てきたのは──机。
どこのご家庭にも……は無いが、どこの教室にでもある机。
メモリーデスク──どこからか机を呼び出す術である。何のために使うのかと思っていたが、その疑問も氷解した。
その机の上にカシスを降ろし、よし、と満足げにうなずくアホ一人。
「いや、あのね? そういうことじゃなくて。
 夢見る乙女としてはさすがに外はかんべんしてほしいかな、と言いたいわけ──ぅむっ!」
誰がオトメなのかとばかりに唇に吸い付き黙らせる。
強引なキスにじたばたともがき、何とか拘束から逃れ出るカシス。
なおも獣の目でこちらをうかがうハヤトを手で制し、
「ほ、ほら! せっかくの服が汚れちゃうじゃない!」
「──以前、俺の友が言っていたことがある」
「は?」


『──なあ新堂。白い物を汚したくなるのは男の本能……いや、男のロマンだと思わないか』
窓の外、どこか遠く──別の世界を見つめながらのたまう男。むしろ漢。
『まったくだな、コンチクショウ』
目元をぬぐいながら同意する男。やはり漢。
見事なまでに畜生以下の会話である。
直後、橋本の必殺ニーバズーカにより昏倒した、師・深崎最後の言葉だ。


「何の師匠よ!?」
そういうわけでカシスのツッコミもほどほどに、ロマンに従って再びハヤトは純白めがけて突っ込んだ。

机の上にへたり込んだカシスの肩を掴んでぐっと引き寄せるハヤト。
「待った、止まって、ストップ……!」
力比べでは勝負にすらならないが、ハヤトの肩を押す形で押し止めようとするカシス。
結局、均衡は30秒と持たなかった。ハヤトの顔が触れるくらいまでアップになる。
それでもぽかぽかと頭を叩いて抵抗の意志を示して見せる。
そして思いっきりの一撃を叩き込むべく、ぐわっと腕を振り上げ──
「好き」
ぽそっと耳元で囁かれ、体中の力が抜けてしまった。
振り上げていた腕がへなへなと力を失い、ハヤトの首へ腕をまわす形に落ちる。
それを同意と見なしたか、ゆっくりと唇を重ねるハヤト。

(あー、許しちゃった……。でもアレは卑怯よね。ていうかすんごい久しぶりに「好き」って言われたような……
 はて、最後に言ってくれたのっていつだっけ……。いやまあもういいかな……ていうかいつの間にか舌入ってるよね……)
とろんといい感じに頭が煮えてきた。目の焦点が合わなくなってくる。
唇を合わせたまま、ハヤトの手がスカートの中に伸び──

くちゅ。

「……」
糸を引きながら唇を離したハヤトが、所在なげに糸を引く指を見つめ
「……なあ、言っていい? 言っていい?」
「聞かなくても言いたいことはわかるわよ……!」
うつむいてふるふると震えるカシス。すぅっと大きく息を吸い込むと
「ええそーよエロいわよ! ちゅーで濡れちゃうくらいぞっこんよ惚れてるわよ好き好きだぁいすきよ悪かったわね!」
一気にまくし立ててぷぃっ、とそっぽを向く。しばらくして自分の台詞でぼん、と顔が赤くなる。
そんな姿が無性に愛しくなって、考えるより先に思いっきり抱きしめていた。

新堂勇人。恋愛には鈍い。
だが、それは自身を含む恋愛感情に疎いだけで、心身ともに至って「男」な健康優良児(じゅうななさい)である。
つまり、こんなことされたら頭も体もイチコロなのである。
ここここのやろう。いつの間にそんな可愛い仕草するようになりやがった。
いや可愛いのは前からだけど。
こっちもいい感じに頭が茹だってきたようである。

密着し、伝わってくる体温が心地良い。
どくどくと早くなる心臓の鼓動も丸わかりだろうが、まあ気にしない。
向こうから伝わってくる鼓動の方がよほど早いんだし。

カシス・セルボルト。しっかりしているようで依存心が強い。自分でもわかっていることだ。
昔はこうではなかった。気を許せる人は姉くらいしかいなかったのだし。
それが今はどうだ。抱きしめられて心地良さを感じるまでに至っている。
でも、あまり触れすぎていると、もう一人では生きていけなくなるような気がして。
だからまあ、その、最後まで行くのはなるべく避けていたのだが。
ええいどうしてくれるの、あんたのせいよ。責任取ってずっと一緒にいなさいよ。



抱きしめたまま、カシスの体を机の上に押し倒す。
「いい?」と目で問うと、目線を反らしたまま小さくうなずいてくれた。

ではいただきます、と心の中で一礼。
めくるほどもないスカートの中、やや湿った下着を少しだけずらして秘所を露わにさせる。
それだけでカシスの顔が火が出るように赤くなる。
「あんまり見ないでよ……。めちゃくちゃ恥ずかしいんだから……!」
表情の変化一つ一つですら、たまらなく愛しく感じる。
俺ってコイツのこと好きだったんだな、と改めて思う。

はやる気持ちももどかしくズボンのジッパーを下ろす。
てらてらと光るそこへあてがうと、ゆっくりと腰を沈めていった。
「ひんっ……!」
半ばまで進んだあたりで、カシスの体がびくっと小さく震える。
「あっ、痛かったか?」
「んっ……だいじょぶ。ちょっと体がびっくりしただけだから」
嘘である。
実は入っただけでイきかけたなどと言ったら、またエロいだのスケベだの言われるのは目に見えているのである。

久しぶりの刺激に、ハヤトの背筋に痺れるような感覚が走る。
そうなのだ。実の所、カシスとまあ、その、こういう事をするのは滅多に無いのだ。
普段から部屋に押し掛けてきたり、べたべた抱きついてきたりはする。
それはそれで嬉しいのだが、いざしようとすると真っ赤になって脱兎の如く逃げてしまう。
一時は実は嫌われてるのか? と本気で悩んだりもしたほどだ。

そんな久々の機会を逃すわけにはいかない。
カシスの太ももを掴み、ぐっと引き寄せるようにして奥まで腰を進める。
もう十分に濡れていたので(ほとんど何もしてないが)、小さな口はあまり抵抗無くハヤトをすべて飲み込んだ。

「動いて大丈夫か?」
尋ねると、カシスは体を起こし、ハヤトの背中に腕をまわしてぎゅっと抱きつく。
それからおもむろにキスを一つかますと、
「……好きにしていいよ」
でもやさしくね、ととんでもないことをのたまった。
ずっきゅーんとピンク色の弾丸に胸を撃ち抜かれ、ぶっ倒れそうになるのを何とかこらえる。
今にも暴れ出しそうなもう一人の俺に対して、やさしくしろとは無茶をおっしゃる。

極力やさしく。ハヤトはがんばった。
カシスが抱きついたままなので少し動きづらいが、仕方ない。
なるべく痛くしないようゆっくりと引き抜く。
離さないとばかりに絡み付くカシスの中は、一緒に魂まで引っこ抜かれそうな錯覚すらしてしまう。
一往復するたびにびくん、と小さな体が震え、抱きついた腕に力がこもる。
本当に大丈夫か、と頭の方は心配するが体の方があまり言うことを聞いてくれない。
ええい情けない俺め。そんな風に育てた覚えは多々ありますが、そこを何とかするのが男ってもんで──
「あんっ……! やっ、ひゃぅっ……!」
……やっぱ無理だよな、うん。

「あっ……、ふぁっ……!」
ハヤトの耳を甘い吐息がくすぐる。そんな至近距離で切ない声を聞かされたり。
「ちゅ、んむっ……」
思い出したかのように何度もキスしてきたり。
「んっ……ふぅ……」
首筋に吸い付いてこられたり。
「好き……。あたしも大好きだよ、ハヤト」
耳元で囁かれたり。
怒濤の攻めにもうおかしくなってしまいそうだ。
さらにカシスは吸い付いた場所が赤くなっているのに気づき、
それが嬉しいのか、首筋を埋めるかのような勢いで跡を付け始めた。

ごめん。もうだめ。

むしろよくここまでがんばったとも思う。
だが散発的に降り注ぐキスの雨に抗しきれず、上と下から攻め来る快感に頭の配線が音を立てて飛んでいく。
真っ白になった頭にはもう目の前の少女のことしか残っていない。
「あぅっ、痛っ! ちょっ、ああんっ!」
急激に早くなるハヤトの動きに、カシスの口から悲鳴が漏れる。
が、次第に慣れてきたのか声が再び艶を帯びてきた。
そんなきゅうきゅうと締め付けてくるカシスに、攻めながらも責められてるような感覚が。
激しく突き上げるごとにお互いの腿がぶつかり、乗った机ががたがたと小刻みに揺れる。

「くっ……もう……!」
激しい快感の波に限界が訪れる。
それに身構えるようにカシスの体が強ばり、服の上からハヤトの背中に爪が立つ。

次の瞬間。
「ふあああああっ!」
ハヤトの欲望を全身で受け止め、華奢な体が弓なりに大きくのけぞった。


「……ねえ、それ、どういうこと?」
カシスが荒い息を落ち着かせながらジト目で見つめてくる。
──主に下の方を。
まあその何だ。しっかり出した後だというのだが。
率直に言ってギンギンだ。
「ごめん。ぜんっぜん治まんない」
机に腰掛けたカシスの肩に手をかける。
「え? いや、ちょっと待ってって言うか。もー無理だから。あたしの体力をキミと同レベルに思われると困るって言うか──」
じっと目をのぞき込まれたところで反論は無理だと判断したカシスは、
今さらながら「好きにしていい」などと言ってしまったのを軽く後悔し始めたのであった。

机に両手を突かせ、お尻をこちらに向け軽く突き出させる。
「……あのさ、このかっこじゃなきゃダメ?」
羞恥で朱に染まった顔で言ってくるカシス。
恥ずかしがったら思うツボなのはわかっているのだが、恥ずかしいものは恥ずかしいのだから仕方ない。
ぱんつの上から桃のようなお尻を撫で回し、こっくりと深くうなずくハヤト。
何かを確信したような顔には千の反対をぶつけても無駄であろう。
その頭の中では、やはりセーラー服と机と来ればこれしかないだろうという自信に満ちた答えが躍っていた。

ハヤトが後ろから抱きしめるように覆い被さる。
すいっと胸元に滑り込んだ手が、下着をずらして慎ましやかな胸の先をきゅっとつまみ上げた。
「ひゃんっ!」
突然の刺激でカシスの背筋がバネ仕掛けのように撥ねる。
揉みしだく手の中で先端がツンと上向き、硬くなっていくのがわかる。
「あ、やっ……敏感に、なってるんだから、あんまり……っ!」
そんなこと言われると余計にいじめたくなってしまう。
胸を弄る手に力を入れながら、カシスの耳にふーっと柔らかく息を吹きかける。
「ぅひゃぁっ!」
かくっと膝から力が抜け、くずおれるカシスの体をハヤトの腕が抱き留めた。
何度も痴態を晒してしまい、うう〜と恨みがましい視線を送るが、今のハヤトが動じるわけもない。
悪びれるどころか、えっちなやつだなこいつめ、と楽しそうだ。
そんな顔を見てると何だかもうヤケになってくるカシスであった。
「つ、続きするんでしょ! あたしの気が変わらないうちにゃぁっ!?」
言うが早いか。皆まで言うなとばかりにいきなり貫かれた。

この後、何度……その、もにゅもにゅされたのかよく覚えてない。

さて、ここはアルク川。
街に面した中流は散歩や釣りを楽しむ人も少なくないが、少し上流か下流に向かうと途端に人気が無くなってしまう。
だが人気が無いからと言って人目が無いということではない。
いつもと違う目立つ格好で出かける住人を見かけて、野次馬根性を刺激されないわけもなく。
歴戦の勇士というわけでもないハヤトには、気配を消した忍者の存在がわかるわけもなかった。

つまるところ。
絶好のネタを誰に持ち掛けるか考えながら、茜色のシノビは消えるようにその場を後にしたのであった。


フラットに帰ってきた二人を迎えた面々に、烈火を超えて輝皇帝の如き怒りを見せるカシス。
何とも珍しく自分に怒りの矛先が向いてないので、ハヤトはとっととその場から逃げ出した。
──真っ赤になった首筋を隠して。


数日後。
「なあ、今度はこれ着て──」
メイド服引っ提げステキなバカ面で飛び込んでくるバカ。
カシスははぁ、と大きくため息を吐き、一番分厚い辞書を手に取った。


おわり

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