幼妻妄想



「・・・ご飯にする?お風呂にする?そ、それとも・・・」
忘れじの面影亭。宿屋兼食堂の店主が、幼妻になった。

店の入り口で立ち竦む男が、幼妻の夫シンゲンである。
現在、様々の事情で宿屋に入り浸っていた居候が丸ごと引き払い、まさにこれから二人きりの生活が始まる、そんな時分であった。
良い年齢してなんだか照れくさいな、と仕事(すとりいとらいぶ)で獲た小銭を手に、ぶらぶらと我が家に戻ってきたところである。
そして冒頭の台詞に戻る。

「そ・・・それとも、の続きの方をお願いしたく・・・」
ここは笑ってやるのが正しい反応だとは思うものの、もしかしてもしかするかもしれない。
そう思うとどうしても最後の選択肢を選びたくなるのであった。
シンゲン、おじさんといわれてもおっさんと呼ばれても、まだまだ男盛りである。

「・・・・・・!」
危惧したとおり、フェアの顔は見る見る赤くなって行く。

「あ、いや、申し訳ない・・・あはは・・・」
「あは、は・・・」

「「・・・」」
双方玄関先で棒立ちである。恋という恋もあまりできなかったフェアと、その初々しい反応に釣られて照れてしまうシンゲン。両方照れてはどうしようもない。

「じゃ、じゃあ、とりあえずご飯だよねっ・・・すぐできるから!」
嫁は物凄い勢いで厨房に駆け込もうとするのだった。

「・・・待ってくださいな!」
走り去ろうとするフェアの袖を掴み、引き寄せる。引き寄せ、腕の内に閉じ込めてしまってから これからどうしよう、と思うのだった。

「シンゲン」
「やっぱり、その、続きが聞きたいなァと思う、次第でして」
やっぱり聞きたいったら聞きたい。こっちだって我慢しているのである。

「駄目ですか」
駄目ならダメでいいのだ。元より性急に求めようなどとは思っていない。
ただ、この様子だと随分と時間がかかるような気がして、焦らないようにと思っても止まらない。

「あたしがいい…?」
返答は口付けで応えた。しっかりと抱きすくめて、一寸も離れないように。
華奢な腕をおずおずと、しかしいっぱいに伸ばして首に縋る様にくらくらと甘い興奮を覚える。
歯列を割り、滑らかな頬の内側を舌で撫ぜると擽ったそうに身を引く。
少し空いたからだの隙間が寒く感じられて一層強く抱きしめる。

「ぅ・・・ぁ、シン、ゲン・・・」
「なんでしょう」
ながい口付けに酸欠気味のフェアが何かを訴える。ぴったりとくっついたからだを離そうとするように、縋る手を胸に押し付ける。そんな、逃げないで欲しい。もっと近くに行きたいのだ。
逃すまいと強く抱きしめると、胸の中から困り果てたような小さな声が届く。

「その、あたって・・・」
「あ・・・」
大失態である。自分の息子はもっと慎みがあると思っていたのだった。
「その、申し訳な・・・」「待って」

二度目の申し訳ないを言おうとしたそのとき、今度はフェアが抱きついてくるのだった。
もう如何すればいいのだ。
一度意識すると、抱きつかれて密着する柔らかな腹とか、動くたびに擦れる感触とか、その他諸々の事が全て下腹部の猛りに働きかけるのであった。

「いいよ」「え」
はっきりとした諾という言葉。彼女の顔は自分の胸に押し付けられていて見えない。
「してほしい・・・」
聞くや、シンゲンはその場にフェアを押し倒し以下略…




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