ハヤト×ガルマザリア



「力を貸してくれ……! ガルマザリア!!」
「………ッ!」
 紫紺の光とともに喚び出された魔臣は烈風がごとく力強くその矛を振い、大地を揺るがす。
 地盤はひび割れ、砕かれた土塊は散弾銃の如く弾け跳ぶ。破壊された大地は無惨にも大穴を残し、砂塵を巻き起こしていた。
 それを見た矛を振った女悪魔はそれが稚戯ほどにも大したことはないと言わんばかりに、 冷笑を浮かべ踵を返し自らをこの世界に喚び出した召喚主のもとへと歩み寄る。
「主……。あまりむやみやたらに我を喚び出して欲しくないな」
 その悪魔はじとっとした鋭い視線で召喚主の――ハヤトの顔を睨みつけて呆れたように溜息をもらした。
「うっ…ガルマザリアだって俺の召喚術の特訓に付き合ってくれるって了承してくれたじゃないか」
 突き刺さるような鋭い視線で睨まれ思わずハヤトは怯んでしまうが、なんとなくガルマザリアのそんな顔も綺麗だなとぼんやりと思っていた。
 
 魔臣ガルマザリア。霊界サプレスの悪魔軍を率いる指揮官のひとり。その矛は大地を薙ぎ払い、天使軍を恐れ戦かせた。
 その瞳に射抜かれれば心臓は凍て付き、その吐息を吹き付けられれば堕落への道に誘惑される。
 そんな誇大化した噂が天使軍の間で知れ渡るほど、彼女は強大な力を所有していた。
 だが、召喚獣に対して先入観を持たないハヤトにとっては、凛々しい戦士としてその瞳に映っていた。
 初めて彼女と誓約したときに見た、彼女の戦う姿はさながら戦乙女そのものだった。
 むろん、それが悪魔の彼女には当てはまらないものだとは分かっていたが、それほどまでに彼女は気高く美しかった。
 もちろん、そんなことは当人の前で話したことはなかったが、それ故ついつい助けを求めてしまう召喚獣のひとりだった。

「まあ、それはそうだが…喚び出される方の身にもなってみろ。いくら主から魔力を分け与えてもらっているとはいえ、こう何度も召喚されるとこちらとて疲弊してしまうではないか」
 ふぅと溜息混じりに抗議するものの、本気らしくはなくただ仕方が無いなといわんばかりの苦笑を浮かべるだけだった。
「ありゃ……それは確かに悪いことをしたかもなぁ…」
 最近ハヤトは荒野で召喚術の訓練に励むようになっていた。今日もこれで何度目かの召喚となる。
 無色の派閥の乱を治めたとはいえ、ハヤトの当初の目的である自分の世界への帰還方法はまだ今のところ分かっていないし、オプテュスの残党や無色の派閥も壊滅したというわけでもなく、また自分たちが争いごとに巻き込まれる可能性はある。
 元の世界に戻るにしろ、サイジェントの街やフラットを守るにしろ召喚術の訓練を行うに越したことはないとハヤトは考えたのだ。
 
 確かに少し自分勝手だったなとハヤトは苦笑を浮かべた。するとガルマザリアは微かに頬を赤らめて、視線を外しぽつりと呟いた。
「…まぁ、主に喚び出されること自体は構わない。これが他のニンゲンであればまた話は別なのだが…んんっ…! そ、それはそれとして、疲労が溜まってしまうのは仕方が無いことだ。主とて魔力を浪費しているのではないか?」
 そうガルマザリアに問われて、ハヤトは確かにと頷いた。召喚術を行使するに当たってはそれに見合うだけの集中力と魔力が必要とされる。
 高位の召喚獣であればあるほどに、当然ながらそのリスクはそれだけ比例を伴って増加する。
 このガルマザリアもまた霊界サプレスではかなりの上位の召喚獣として位置づけられる。
 ガルマザリアはそんな自分を何度も召喚し繰り返して大丈夫なのか、とそう訊ねているのだった。
 ハヤトは自分が召喚した召喚獣にそう心配されたら立場がないな、と思いつつそんな心配りが嬉しかった。
「それじゃ少し休憩にしよう…か……? あ、れ…力が……」
「…主ッ!?」
 やはり召喚術の代償は大きかったようで、自分でも知らないうちに許容量を過ぎていたらしい。
 ハヤトの意識はふっと途切れてしまい、全てが暗転し身体はその場に崩れてしまった。


「ある…、…じ、あるじ…主!」
「ん、ぁぁ……?」
 何か自分が呼ばれているような気がして、ハヤトは意識を取り戻す。
 耳には野鳥の鳴き声が入ってきて、それが心地よく聞こえる。うっすらと瞼を開いてみると周りには雄々しく木々が生えており、目の前には心配そうにハヤトの顔を覗き込んでいる悪魔の麗人の顔がよく見える。
 ああ、ここまで連れてきてくれたのか、そうぼんやり考えながら彼女の瞳を覗きこんだ。
「ガレフの……森か……。魔力の使いすぎ…だったみたいだな…。全然身体が言うこと聞かないや…はは」
「はは…じゃないだろう! 主、お前は一体何を考えているんだ! 確かに訓練も必要だろう。…しかし、限度というものを知れ。そうでなければ、ただの無謀だ」
「……ごめん」
 ガルマザリアにそう苦笑交じりで謝罪すると、ハヤトは自分の後頭部に柔らかい感触があるのに気がつき顔が赤くなる。
「あ……もしかして、膝枕してくれてたのか…?」
「ば、ばか者! べ、別に主が気絶したからであって! …へ、ヘンな意図でしたつもりではないからなっ」
 そう言われてガルマザリアは真っ赤になってしまう。そんな様子が可笑しく思えたのか、ハヤトは微苦笑を漏らしてありがとうと礼を述べた。
「その……ニンゲンの女に比べたら硬くて冷たいかもしれないが……」
「いや…そんなことはないさ。ありがとう」
 お互いに照れくさくなってしまって、思わずふたりはお互いの瞳から視線を外してしまった。

「…私は主…ハヤト、お前と誓約できてよかったと思っている」
「えっ?」
 いつもは「我」という一人称だったりハヤトのことは「主」や「お前」と呼ぶ彼女が、いきなり「私」という言葉を使ったりハヤトを名で呼んだりしたものだから、思わずハヤトは起き上がって訊ね返そうとした。
 が、まだ魔力が回復していないためか、首が持ち上がるだけに留まった。
「いいから、黙って聞け。…ニンゲンの召喚師の大半は道具として召喚獣を扱う。
 どれだけ強大な力を持っていたとしてもだ。それだけ召喚術というものは厄介な強制力を持たせている。
 正直に言って召喚獣にとって召喚術というものは嫌悪の対象とみなされている」
 その言葉を聞いてハヤトの胸は痛んだ。ハヤト以外―――、つまり誓約者以外の召喚師という召喚師は多かれ少なかれ
 例外を認めず強制的に他の世界からの存在を無理矢理こちら側の世界へと召喚する。
 ハヤト自身そうだったのだから、それを否定することはできない。
 もちろん、今のパートナーを恨むつもりは全然なかったが、これが人でなしの召喚師に捕まったと考えてもぞっとする。
 召喚獣とは仲良くしたい。そう考えているハヤトでも、召喚獣がこの世界に喚び出される前提を考えれば、それはなかなか難しいことだと理解できる。
 だからと言って今のリィンバウムは召喚術なしでは生活できない人々が殆どだし、それを変えようとすることは難しいことこの上ない。
 悲痛そうなハヤトの表情を認めて、ガルマザリアは軽くハヤトの額を撫でた。ひんやりとした彼女の掌の感触がハヤトへと伝う。
「そう、悲嘆するな。ごく僅かだが、そのなかに対等な関係として接する召喚師もいることも我々は知っている。……そのなかでも私は幸せものだと思う。ハヤト、お前のようなニンゲンと誓約できたのだから」
「それって…どういう意味だ?」
 ガルマザリアの意図を測りかねて、じっと彼女の瞳の奥を眺めた。
 すると彼女は瞼を閉じ、悪魔とは思えないような穏やかな声で語り始めた。
「……お前と心を通い合わせたお陰で、私は殺戮と恐怖以外のことを知ることができた。それは私以外の召喚獣も同じ想いだろう。信頼、仲間、友情…そして愛情。以前の仲間が聞いたら、嘲笑されてしまいそうな綺麗ごとだが、それでも私はお前を通して学ぶことができた。改めて感謝する」
「そんな…感謝するのは俺のほうだよ。みんなの助けがあったからこそ、俺たちはオルドレイクたちを退けることが出来たんだ。俺に誓約者としての力が……みんなが…いなかったら、きっと此処まで来ることができなかったと思う。ありがとう―――、ガルマザリア」

 交わる視線。ふたりの間には言葉はいらなかった。
 ハヤトの誓約者としての力がそうさせているのか。それとも。

「……と、ところでハヤト」
「ん…? なんだ?」
 しばらく沈黙が続いていたが、それを破るように少しばかり緊張したガルマザリアの声に、ハヤトは返事した。
「その…だな。 魔力のほうはどうだ?」
「…あ。………ちょいっと無理だな。悪ぃ…迷惑をかけるな」
「い、いや…それはいいんだが……」
「?」
 どうしたんだろうか。先ほどから言葉が滑らかではない。気のせいかとも思ったが先ほどからどこかうろたえた様子であるし、僅かながらガルマザリアの頬が紅潮しているように見える。
 普段の凛々しい彼女の姿からは到底想像できないような可愛らしい表情である。
「わ…私が魔力を分け与えよう…か? そ、それならば、身体の方も早く回復するだろうから…」
「そりゃ、してもらった方がありがたいけどさ……どうやって?」
「こうして……だ…」

 唇が触れた。
 そう認識する前に、ハヤトは身体の芯が少しだけ温まるのを感じた。
「な…が、がるま…ざりあ…!?」
「…ばっ、ばか者! わ、私だって恥かしいんだッ! 静かにしてろっ!」
 再度、冷たい唇の感触。
 けれど、それに嫌悪感は抱かなかった。
 むしろ、柔らかく冷たく…アイスクリームみたいだな、と混乱した頭のなかでもハヤトはぼんやりと考えていた。
(というか、なんでこんな状況に?)
 訳も分からず為されるがままに唇を押されつけられている彼だったが、少しずつ力が戻ってきていることに気づいた。
 身体の芯はどんどん熱くなり、全身が火照ってくるかのようなそんな感覚を感じ取っていた。
 決して彼女は舌を潜り込ませるようなことはしなかったが、なぜか唇を押し付けるだけというのもなかなかに恥ずかしく、情けないことにハヤトはキスが終わるまでの間ずっと瞼をぎゅっと閉じていた。
「…はぁ…、ハヤト。そんなにも私との口付けが嫌だったか?」
「え゛!? ん、んなわけねえって! 」
 慌ててそれを否定する。確かに驚きはしたものの、柔らかく冷たい彼女の唇はもっと味わっていたいと恥かしいながらも思ってしまっていたし、そんなに潤んだ瞳で上目遣いされ訊ねられたら男なら誰だって頭を横に振うだろう。
「で、でもっよ…、い…、いきなりキスって…!」
「……悪魔のなかでは比較的、一般的な緊急措置だ」
 ハヤトは気の毒になるくらい言葉を詰まらせた。
 いきなりの口付けに混乱しきった頭では緊急措置だと言われても納得できるはずもない。
 考えて見たら、ハヤトにとってはファーストキスだったし、もうなにがなんやら。
 目をグルグル回してうろたえ続けた。
 そんな彼を見てガルマザリアは赤い顔のまま黙り、そしてもう一度その小さな唇を彼のそれに重ね合わせた。
「んっ…! んんっ!」
 今度は深い深いキス。まるで彼の魂を奪い去ってしまいそうなほど荒々しく、貪欲で、淫靡で、そして優しいキス。
 ハヤトはその未知の心地よさにいつしかガルマザリアの舌の動きに合わせて、自ら舌をおどおどとながら絡ませていく。
 彼女はそれに驚きながらも、蕩けるように目を細めて終いにはお互いに瞼を閉じる。
 くちゅくちゅと卑猥な音を響かせながら、二人はその心地よいキスに没頭していった。

 どれだけ時間が経ったのだろうか。実際には数分とも経っていないはずだが、ハヤトにとっては何時間とも思えた。
 ようやくガルマザリアのほうから、唾液の糸を紡ぎつつ唇を離した。
「はぁ…、がるま、ザリア…」
 あまりの快感にハヤトは腰が砕けそうになった。ぼんやりと彼女を見つめながら、名を呼ぶ。
「か…勘違い、するな。淫魔でもないのに、こんなことを誰にでもするわけではないから…な。おっ、お前にだけだからな! ハヤト、光栄に思えよ!」
 いつも以上に高圧的な態度はガルマザリアも緊張していた証の裏返しだろうか。
 そんな彼女の態度が可愛らしく見えるのはなぜだろうか。なんだか不思議な気持ちになりながらも、ハヤトは嬉しそうに笑顔を返した。

 それはそれとして、彼女のお陰からか魔力は幾らか戻ってきているようだ。
 倦怠感はまだ残るものの、体を動かせないというほどでもないし、あとはフラットに戻って自分の部屋で休めば次に目覚めたときには完全に回復していることだろう。
 そう思って、身体を起こそうとしたハヤトだが。
「待て」
「………うゎおっ!?」
 ぐいっと上着の裾を引っ張られ、もつれて地面につまずいてしまう。
 ガルマザリアとのキスのあとは地面とのキスか。そう苦笑いしながらも彼女を振り返る。
「ったく、何だよー…ほら、もうお陰で歩けるぐらいにはなった、から……さ…」
 だんだんハヤトの言葉尻が小さく消えて行く。それもそのはず、ガルマザリアが裸になっていたのだから。一瞬固まってしまう。

 ―その瞳に射抜かれれば心臓は凍て付き、その吐息を吹き付けられれば堕落への道に誘惑される―

 その言葉に嘘はなかったのか、と思えるほどハヤトは何もすることが出来なかった。
 ただ、恥かしそうに裸体を晒すガルマザリアの身体を見つめるしか出来なかった。それだけ、彼女の肉体は魅力的だった。
 肌は確かに人間のそれと比べたら暗い色だが、滑らかで一点の汚れを見せない黒水晶のようだった。
 二つの双乳は穏やかな盛り上がりを見せており、腕に隠されているもののその頂も微かながら覗いている。
 腹部から腰にかけてのラインは滑らかで、まるで女神の彫刻像のようでもあった。
 性的な魅力も勿論あったが、それ以上に美しさという印象が強くハヤトの心のなかに浮かび上がった。
「………綺麗…だ…」
「え、あ……、そ、そうか…それなら、よかった」
 はにかみながらも微笑む彼女は本当に可愛らしいな。そう思ったところでハヤトはハッと我に帰る。
「って! な、何で裸になってるんだよっ! ガルマザリアッ!」
「なんで…って、わたしの裸は……やはりニンゲンの女に比べて醜いか?」
 うっ、さっきと同じ方法で攻めてくるか。こんな状況でそんなことを言われたなら、襲いたくもなるがそこはなんとか理性で押さえつけて、冷静にハヤトは事情を聞こうとする。
「そ、そんなことないだろうっ!? そりゃ…その…、下手をすれば襲ってたかもしれないけどさ……。と、兎に角、なんでっ!?」
 慌てるハヤトに、ガルマザリアは呆れ半分怒り半分といった感じの溜息をついて、きっと睨みつけた。
「雰囲気を読め! このっ、鈍感!! オタンコナス! あそこまで…そっ、その…熱烈なキスをしておいてっ、その続きをしないのは……馬鹿ッ!」
「あ…あはは……」
 馬鹿って言われましても。まあ、確かにハヤトとしてもキスをしている途中から、気分が高揚していることを自覚していた。
 とはいえ…。ハヤトは再び彼女の裸体にさっと視線を巡らせる。かぁっと顔が熱くなっていくのが分かる。
 それだけ彼女の肉体は嫌が応にも性的な興奮を呼び覚ましてしまう魅力があるのだ。
「でも…、いいのか?」
「だから馬鹿だと言っている…! ハヤト、お前だから身体を許しているんだっ」
 今更何を惚けたことを言っている。そう言わんばかりに睨まれてしまった。
 すっかり恥かしさでそっぽを向いてしまったガルマザリアの様子を見て、やっぱり俺って鈍感なのかなと思いつつ ハヤトは覚悟を決めた。
「本当にいいんだな?」
「………」
 恥じらいながらも頷くガルマザリア。
 ここで行かなきゃ男じゃない。


「ん…はっ……、やだっ…は、やと…!」
「やだ…って言われてもな。だって、おまえの胸、気持ちいいんだぜ?」
「ばかぁっ…! ひゃうっ!」
 飛び跳ねんばかりの甘い喘ぎを漏らすガルマザリアの顔を見上げながら、ハヤトは彼女の乳房を揉みしだいていた。
 彼女の乳房はつきたてのほかほかの餅のように柔らかく、彼の指先の動きに従って淫らに形を変える。
 最初は遠慮しがちだったハヤトも彼女の喘ぎを耳にすると、不思議と緊張感は解れて段々大胆な動きへと変化していく。
「ちょ…っ、やり、すぎだっ…! はぅぁ…」
「いやぁ……。こうも反応してくれると何だか嬉しくてさ」
 のんびりとした口調でそう返すと、乳房を捏ね回したまま唇を首筋へと落とす。
 そのまま舌を這わせ首から喉元、鎖骨と沿っていき右の乳肉へと辿り着く。
 すると途端に、彼女の反応は劇的に変わりシャープな身体のラインを左右に揺らした。
「はぁぁっっ! や、ぁっ…!? びくっって来るぅっ…!」
 到底普段の彼女からは想像も出来ないような甘く蕩けた嬌声。その淫靡な声を耳にするたびに、ハヤトの興奮は掻き立てられ、「もっと気持ちよくさせたい」という気持ちが促されていく。
 むにゅむにゅと粘土をこねるように乳肉を揉みしだき、その頂を弄るように舌でぺろぺろとなめ回した。
「ふぁ…! だ、だから、や、めろぉっ…!このっ…!」
 あまり淫らなところを見られたくないのか、恥かしさでハヤトの身体を押しのけるとそのまま押し倒してしまう。
「あ、あまり調子に乗るな…っ。わ、私だってこれくらいのことはできるんだぞッ」
 ハヤトに話しかけているのか、それとも独り言を呟いているのか分からないぐらいの小声でそう言うと、彼の股間に手先を這わせるとズボンのジッパーのなかへと手を突っ込む。
 そうなると今度慌てるようになるのはハヤトの番だった。
「ちょっ、そ、そこは汚いって…!」
「ばか者、性交にコレは必要不可欠だろう? ……ん? もう硬くなっているのか? ふふ、私に興奮してくれたのか…嬉しいぞ」
 慌てるハヤトを無視して、頬を紅色に染めたままその中から彼の分身を取り出し、どこか恍惚とした表情でそれを眺めていた。
 しかし、確かにガルマザリアが言うとおり、そこは既に硬く勃起しており今にも射精してしまいそうなほどひくひくとわなないていた。
 目の前でふるふると震えている彼女の乳房が視覚的にも興奮を与えている。無理もなかった。
「はぁぁ…、凄い、ぞ……。ハヤトのものが…びくびくってふるえてる…」
 どこか夢心地の表情を浮かべたまま、彼女は竿に頬ずりをした。柔らかな頬の感触が直接肉棒へと伝わる。
 あまりの快感に、びくんと肉棒は跳ねて彼女の頬を叩いてしまうがそれすらも嬉しそうに受け止めて、頬をこすりつける。
「う、ぁ……。マジで、ヤバいって…っ」
「ん? もう射精してしまいそうなのか? ふふふ、まだまだこれからが本番だぞ。男ならもっと我慢しろ」
 形勢逆転できたせいか、どこかガルマザリアは余裕ぶった言葉を紡ぎながら、ぺろっと舌を出し陰嚢から筋、亀頭へと一気に舐め上げた。
 途端、突き抜けるような快感がハヤトの背筋を駆け抜け、ぞくっと肩を震わせる。
「ぴちゃっ、ちゅる……ちゅぱっちゅぱ…」
「んくぁあっっ…! が、るま…」
「はぁ…おまえの…美味しいぞ? もっとしゃぶらせて…くれ……」
 淫蕩な彼女の笑みを見て、先ほどは自分のことを淫魔ではないと否定したが それは嘘じゃないのか、とハヤトは思ったがそんなことを言っていられるほど、今の彼には余裕がなかった。
 今にも爆発しそうな熱をそこは持っていたし、何より重なるガルマザリアの淫らな姿に理性も蕩けてしまっていた。
「あむっ…ん…ちゅうっ…ずずっ…ずぅぅぅっ!!」
「ぁぁ…! も、もう…だめだ…! 出る…っ!」
 彼女は陰嚢を揉みつつ、肉棒の先を口腔へと収めると一気に吸い上げた。端正な顔を崩し、鼻の下を伸ばし口をすぼめるその表情は揺れる乳房よりも視覚的な興奮を訴え、口腔に関しては言うに及ばず精液をしぼりださんとするガルマザリアの吸引には太刀打ちすることもできず、促されるままに濃く勢いのいい白濁の奔流を彼女の口腔へと流し込んだ。
「んぐっ、ふぅぅん…っ! んくっ、ぐっ…ごほっ、ごほっ…」
 あまりの量の多さに飲みきれず、ガルマザリアの頬は膨らみ思わず咽て溢してしまった。
「わ…悪い……。我慢しきれなかった…」
「い…いや、良い。まさか、これほどまでとは思わなかった私も私だ…。こほっ…それにしても、これが誓約者の…お前の精か。んっ、ちゅるっ…」
 舌を這わせて口周りに張り付いた精液を舐め取り、指先で胸や頬に引っかかったそれをこそぎ取り啜るように口にくわえ込む。
 どこか蕩けきってしまった彼女の表情を見てみると、再び興奮が沸いてきてあっという間にハヤトの肉棒は元気を取り戻す。
「ハヤト…お前というものは。身体は正直…というやつか」
「はは…、面目ない」
 目を丸くして驚くガルマザリアにどこかバツの悪そうな笑みを浮かべて、ハヤトはその怒張を彼女の腹部へと押し当てた。
「なぁ……いいか?」
「お、女にそんなことを聞くなっ……。じゅ、準備も出来ている…す、好きにしろっ」
 我慢ができなくなっていたのはハヤトだけではなく、彼女もそうだったらしい。
 顔を真っ赤に答える彼女に苦笑いを浮かべると、ハヤトはガルマザリアを四つん這いにさせ後ろに向かせた。
「す…好きにしろとは言ったがこんな格好で…か?」
「まあまあ…それにこっちの方がガルマザリアがいやらしく見えるしさ」
「ばか……」
 それでもガルマザリアに反抗する気はないのか、むしろ従順にハヤトに従い高く程よく肉のついた柔らかげな尻肉を持ち上げると、誘うように尻尾と尻を振う。
 恥かしげにはしているが、この淫らな雰囲気に呑まれたのか多少大胆なことにも慣れてしまった。
「ほら、お尻の穴まで、ひくひくしてるぜ?」
「〜〜〜〜っ!! よ、余計なことは言わなくていいっ! さっさとしろぉっ!?」
「ごめんごめんっ。それじゃ…行くぜ…ッ!」
 ハヤトは入り口に宛がうと、ゆっくりと男根を差し込んで行く。
 すると突如ガルマザリアの秘所の内肉が活発に蠢き、ハヤトの肉棒を飲み込まんとせん勢いで締め上げる。
 強烈な刺激に、思わず彼は顔を顰めつつもしっかりと彼女の尻肉に手を添えて奥まで肉棒をめり込ませていく。
「くはっぁっ…は、はやとの…、はやとの熱いのが…入ってきてる…ぅ」
 ガルマザリアは涙目になりながらも、しっかりとそれを受け止めて歓喜する。
 むしろ、滅茶苦茶にしてと言わんばかりに腰をくねらせて、淫靡なおねだりをしてくる。
 すこし前のハヤトならうろたえるところだっただろうが、彼もまたこの雰囲気に飲まれているのか、しっかりとその要望に答える。

「ひっ…ぁっ!! あ、あぁあっ!! は、はゃと…はひゃとぉぉっ! わ、わたひ、うれしいぃっ…やっと、おまえと一緒に…なれた…っ!! もっと…もっとわたしを、おまえのものに…して、くれぇぇ…っ! ハヤト…ハヤト、ハヤトッ、ハヤトぉッ!!」
「ガルマ…ザリア……!! あぁっ、もっとお前を…俺の……!!」
 パン、パン、パン―――。
 何度も激しい肉と肉がぶつかり合う音を辺りに響かせながら、よりお互いを高めあっていく。
 強烈な快楽はお互いの心に触れさせ、相手が望むものを与えようとする。
 まるで獣のような交わりでも、ふたりは幸福感を感じながら、その最後を迎えようとしていた。
「あくっ…ぁ…! ガルマ…ザリア……ッ!! もう、ダメだっ…! 俺ッ…、俺……もうっ…」
「わ、わたしもだ……っ! は、ハヤト……私のなかに、ぶち撒けてくれぇ…っ! おっ…お前の精を私に…与えて……っ! ふぁ…ふぁぁっぁああん――――――!」
 とどめ、と言わんばかりに奥まで腰を押し突くと同時にふたりは限界を超え、ハヤトは一回目より多くの精液をガルマザリアの膣内へと注ぎこみ、お互い絶頂を迎えた―――。


「……ということは、最初からそのつもりで?」
「人聞きの悪い。口移しするよりも、性交したほうが効果的なのは本当だ。…現にお前の魔力は先ほどよりも充実しているだろう?」
「あ……本当だ」
 絶頂を迎えしばらくその余韻を楽しんだ後、ふたりは繋がったまま会話をしていた。
 ガルマザリアが言うには魔力の補完をするためにも衣服を脱いでハヤトを誘惑したとのこと。
 むろん、それは召喚主と召喚獣という関係の義理でしたわけではないことは、ハヤトも感じ取っていた。
「……まぁ、その、半ば無理矢理でもうしわけない」
「いや、ガルマザリアが謝るようなことじゃねえって。……その、俺もお前と出来て嬉しかったし」
「え…あ…、そ、そうか…」
 二人は視線を合わさず、どこかはにかむ様な笑みを浮かべたまま、しばらくその時間を過ごした。
「なぁ…ところで、ハヤト」
「なんだよ?」
「誓約者の力を使って、私の名を付け替えることはできないのか?」
 何を突然聞き出すのだろう、と不思議に思ったハヤトだったが、素直に質問に答えた。
「そりゃ、無理じゃないと思うぜ。そもそも、俺の召喚術は召喚獣と心を通じ合わせることで召喚するから、ガルマザリアとの合意があればなんとか出来ると思うけど…どうしてまた急に?」
「…馬鹿。本当にお前は鈍感だな。『ガルマザリア』だなんて余所余所しいだろう? 私とて女なんだ。……好きなヤツからは名前で呼んでもらいたいんだ」
「あはは…そっか。そうだよなぁ…。まだ確実に出来るかはわからないけど、そうだな。今度からおまえは――――――」


おわり

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