アロエリ自慰



「んぅ…はぁ…はっ…」

朝焼けの光が差し込む部屋に荒い吐息と艶やかな水音が響く。
ベッドの上には尻を突き出す恰好になって自慰に耽る少女。
そこは誰も知る事のない、彼女だけの世界。

「ライ、ライぃっ…」

焦がれる相手の名を呼び、まるで焦がれる相手と交わっているかのように自分で胸を揉みしだいて、秘所を慰める。
思いを馳せるは世話になっている宿屋兼食堂の店主の少年。
彼に「こう言う事」をされると考えただけで身体の芯が熱くなる。自分より年下の少年に良い様に弄ばれるているのだと思うと…。
被虐心を刺激されると同時に快感は増して行き、乳房を揉む手付きが荒くなる。

「んっ、はぁ、あ、あああああ!!!!」

やがて身体が激しく震え、絶頂を迎えた。

「はっ、はあっ……ライ…ん…ふぅ…」

快楽の余韻に浸りながら、指を愛しげに咥えて蜜を舐め取る。
恍惚とした表情で愛しい者の指を舐めるように、丹念に。

(…何が、戦士だ)

自分の唾液で塗れ、僅かに差し込む光を浴びて輝く指をぼんやり見て、情けなく思う。

(何が、御使いだ…これでは…ただの小娘と変わらないじゃないか…)

それもこれもなかなか好意を打ち明けられない、平たく言えば告白できない自分が悪いのだが。それは理解している。
今はまだ良い。いつか言う。それはただの逃げである事も承知している。
早くケリを着けなければ―――

「…ライ、起こしに行かなきゃ」

ここ最近は幼馴染みの姉弟ではなくアロエリがライを起こしている。まあそんな解り易い事をしてもライは気付かないのだが。
これから起こしに行く人間の事を考えて自慰に耽る自分はどうしようもなくだらしないと思う。
ぐるぐると考えながら後始末を終え、戦士の装いに着替えて朝食を作って貰うべく日課通り彼を起こしに部屋を後にする。

募ってばかり行くライへの想いと自己嫌悪。かくしてアロエリの一日は始まる。


おわり

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