真実の詩(byシンゲン)



むかしむかし・・・というか、寧ろつい最近の話ですが、あるところに一人の少年と天使がいました。
かれらは戦友でした。そして戦いの中、気づけば二人は互いを意識しあっていたのです。
天使ははじめ、ニンゲン自体を信用していませんでした。
少年のことも頼りないと思っていました。
けれど戦いの中、頼りない少年とふれあううちに、少しづつ人への印象も変わっていきました。
そして気づいた時には、少年の魂の輝きは彼女にとってかけがえの無い人になっていたのです。
頼りない少年はちょっとだけ背中が大きくなりました。
ただ状況に流されていた彼も戦いの中で自分の目的を見つけ、自分の足で歩き出しました。
そうなるまでに彼は何度も天使に助けられました。
笑われたり、怒られたり、泣いかれたりしているうちに、そんな彼女は彼にとっても、かけがえの無い人になっていたのです。

シンゲン「とまあ、ここまでがあらすじです」
と、この図々しい吟遊詩人は言った。
シンゲン「その・・・非常に言いにくいのですが続きはお代というか・・・おソバを・・・」
マグナ「やっぱりそれ目当てですか・・・」
アメル「いいじゃないですか、折角ですし一杯くらい」
そもそもシルターン自治区を目指していたこの男が何故聖王都にいるのか、
それについては屋台の店主の口から語られることになる。
シオン「構いませんよ。今日は大晦日ですし、お二人も特別サービスということで」
マグナ「やったーっ!」
レオルド「あるじ殿、声ガ大キイカト・・・」
アメル「もぅ・・・」
シオン「最も・・・これは馬鹿弟子が売りつけた偽の地図のお詫びでもあるのですが」
との事である。人里にたどり着けたのはまさに奇跡であろう。
シンゲン「まあ、こうして美味いソバと年が越せるだけでもありがたいですよ。では続きを・・・」


けれども、少年と天使はなかなか互いの気持ちを伝えることが出来ませんでした。
それはそうです。天使と人間。問題は山積みです。
そもそも霊界の存在には本来、好きとか嫌いという概念が無いそうですし・・・
もっとも、少年はそんなことを気にしていたわけではなかったんですが・・・
まあ、そっちの方が遥かに厄介なのですけど
でもそんなある日、ちらりと降って来た白い雪が、迷っていた天使の背中をポンと押したのです。
「わたくしはルシアンが好きですわ。プリンと同じくらいに・・・ でも、その『好き』はプリンの好きとは違う・・・
 ・・・それがなんなのか、今まで分からなかった。 でも、やっと・・・やっと気づくことができましたの」
「リビ・・・エル・・・・・・」
「私は・・・ルシアン、あなたを・・・・・あなたを愛しています!」
「リビエル・・・!」
「ごめんなさい。自分が何を言ってるか、分かってるつもりですわ。 でも・・・貴方の魂の輝きに、優しさに・・・気がつけば惹かれていました。 凄く変だって、可笑しいって分かってます。ダメで元々なんて火を見るよりも明らかだって! でも、でも・・・私は・・・この気持ちが・・・あの日・・・黒い雪の日から・・・だんだん大きくなってっ・・・だから・・・っ!」
黒い雪・・・まあ、詳しいことは派閥にでも聞いてください。
その時少年は死に瀕してしまったのです。
天使の娘さんは、その時自分の気持ちに気づいた、という訳です。そして少年の返事は・・・
「・・・・・ぼくは・・・人間だよ」
やはり、天使は拒絶されてしまいました・・・。
当然です。所詮は少年とは異質の存在なのですから。


アメル「そんな・・・」
シンゲン「まあまあ、この話にはまだ続きがあるんですよ。っと、店主、もう一杯・・・」


少年が天使を拒んだのはいかにも彼らしい理由でした。
「・・・・・・・・・・・やっぱりダメ・・・なのね。やっぱり天使とニンゲンでは」
「それは違う!!!」
「!?」
「そんなこと関係ない!関係ないよ・・・。でも人は、 ううん、霊界と他の世界の住人は、同じ時を生きることは出来ない。
 リビエルの方が分かってるはずだよ・・・! 僕なんかを好きになったら、君は必ず悲しむ事になる!」
そう・・・彼女の身を案じてのことだったのです。
「でも私はっ!!」
「僕には一生でも、君には一瞬でしかないんだよ!」
「・・・っ」
「・・・・僕は・・君を苦しませる記憶にはなりたくない」
でも、天使も負けてはいませんでした。
彼女は元々強情な方でしたけど、すぐにテンパってしまう方でしたからね。
その彼女がああも冷静だったのはある意味、彼女の中で彼の存在が本当に大きくなっていたんでしょうね。
「ルシアンは、本当にそれでいいんですの?」
「えっ・・・」
「あなたの言葉・・・とっても嬉しい。
 でもそうやって自分の気持ちを抑え続けて、貴方はそれでいいんですの?」
「僕は別に・・・」
「貴方はそうやってまた一歩引いてしまう。でも、それだけじゃダメなこともあります。
 私は、貴方に強くなってほしい!貴方に幸せになってほしいの!!・・・貴方が、好きだから」
「リビエル・・・」
「だから、本当の気持ちを聞かせてほしい。貴方の本当の気持ちを」


アメル「それでそれで!?その子は天使の子をどう思っていたの?」
マグナ「(アメル・・・)」
シンゲン「まあまあ、そう焦らずに・・・」



「・・・僕には召喚術の才能もないし、そもそも機界の術だって使えない」
「ルシアン?」
「剣術だって宿屋さんのライさんにも叶わない。力もそんなに強くないし、 勘だって悪いからいつも押し負けて、そのたびに君に助けられてた。 それでもし自由騎士団に入ったら、命の危険にあう事も多くなる」
「そうじゃなくて、わたしはあなたの・・・」
「だから・・・僕には、健康に気をつける事ぐらいしかできない。体を鍛えて、一日も長生きすることぐらいしか君にしてやれない。
 ・・・・・・僕も、君のことが好きだ」
「・・・・・・!!」
「初めはどうだったかわからない。 けれど、そんなぼくだって今なら・・・これだけは自信を持って言える。
 ぼくも・・・ぼくも君を愛してる。」
「・・・!」
「だから・・・だから君とは・・・うわっ」
彼の胸には愛しい天使の姿がありました。
それだけで彼は何も言えなくなってしまいました。
「・・・」
「・・・」
「本当に僕でいいの?」
「貴方と一緒に居られる、それだけで十分だから」
「リビエル・・・」
それは、自分を必要としてくれる人への優しさなのか、
それとも大切な人の未来を縛る我が侭なのか。今の二人には分かりません。
「だから・・・貴方さえ良ければ、このままで居させてください・・・」
「・・・うん。僕で良ければ、喜んで」

けれども、間違ってはいない。ただ、二人は確かにそう感じたから・・・。


シンゲン「とまあ、こんなところです。三味線よりも竪琴で語った方が良かったですかね?」
マグナ「いや・・・そいつはちょっと勘弁してほしいかな・・・・・」
シンゲン「???」
アメル「でも、素敵なおはなしです・・・」
シンゲン「正直、二人にはこれからも苦労が続くでしょうが・・・・ぜひ応援したい者です」
シオン「ええ。若いというのは良い者です。お二人にもそろそろ進展があってもいいのでは?」
マグナ「うんうん・・・って、何言ってんだよシオンさん!?」
アメル「確かに、もうちょっと積極的になってほしいですねぇ」
マグナ「あ、アメルも!?そ、そうだシンゲンさん、最近のことって言っていたけど、その二人は今どこに?」
シンゲン「ああ、その二人なら」
シオン「(話を逸らしましたね・・・?)」
シンゲン「そこに」
マグナ「へ?」

リビエル「ちょっとルシアン!これじゃあ年明けには間に合いませんわよ!?」
ルシアン「だ、だってそれはリビエルが今年中に落し物を届けてあげようって・・・」
リビエル「それとコレとは話が別ですっ!そもそも見習いとは言え入団最初の仕事が紛失物の担当だなんて・・・まあ貴方らしいですけど」
ルシアン「ふふっ、ありがと♪」
リビエル「なっ・・・べ、別に注意しただけですわ!!!大体・・・」


―――やれやれ、相変わらずなお二人だ。でも、こういう子供達がいる限り、こっちの世界もそう悪いものでも無いのだろうな・・・・・・


おわり

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