花の交わり



「や、やっぱりダメよ、ね、やめよう、ポムニットぉ…」
「ふふ、ダメですよお嬢様。そのまま楽にしててくださいまし」
「ひぁんっ!」
「お嬢様、可愛いです…」
「やぁ……っ」

 寝台の上で二人の女性が絡み合っている。
 片方は年頃といっていい年齢だろう。白いヘッドセットを頭に乗せ、フリルのついたワンピースを大きくはだけさせた、撫子色の髪を持つ、ポムニットと呼ばれた少女。
 もう片方は、女と言うには少し幼いだろうか。その身体を覆っている物はもはや下着だけとなっており、未成熟なそれを大胆に晒している。金に近い亜麻色の髪はやや乱れ、しかし少しもその美しさを損なっていない。

 少女――リシェルの身体に、ポムニットは指を這わせる。下着の上からやわやわと胸を刺激し、小さく尖ったその先端を優しく愛撫する。その動きに、リシェルは息を呑んだ。

「……っは、ぁ」
「お嬢様……ほら、ライさんが見ていらっしゃいますよ?」

 二人が絡み合う寝台の主――ひいてはこの部屋の主である白髪の少年。ライは、見てはいけない、と認識しつつも、それでも二人から目が離せなかった。ドアを閉めた体勢のまま、身動きさえ取らずに二人を見つめている。
 その視線に、リシェルはまた身体を紅く染める。小さく身じろぎして

「ライ、見ないで……」

 と小さく漏らした。今にも泣きそうな声色に、ライは慌てて視線を外そうとする。

「ダメです!」

 が、ポムニットの強い口調に、その動きを止めた。目線を戻す。

「ほら、ライさん、お嬢様の可愛いところ見てあげてください」

 リシェルの足を大きく広げさせて、下着越しの股間を見せ付けるように押さえる。胸当ては既に用を成しておらず、控えめな膨らみがこぼれてしまっていた。ライの喉が小さく鳴る。

「やだぁ……」

 そういって身じろぎするリシェルだが、その動きすらもポムニットに遮られ、より妖しくその肌を指や舌で弄ばれてしまう。触れるたび小さく震える肌は薄く汗ばんでおり、羞恥と快楽で紅く染まっていた。
 ポムニットの唇が、リシェルの耳に口付けて、優しく囁いた。

「ウソですよね?」
「う、うそじゃないもん……」
「ウソですよ。だって、ホラ」
「ひゃ、あぅっ!?」

 言うや否や、下着の中に手を潜り込ませ、外気に触れていなかったリシェルの大事な部分に指を這わせる。今まで焦らされて触れられなかった箇所への刺激に、リシェルは背中を大きく震わせた。
 静かな部屋の中に、大きな水音が響く。ポムニットはリシェルの下着から手を抜いて、粘性の液体に濡れたその手を見せ付けた。

「こんなに濡れてます」
「だ……って、それは……」

 ポムニットは、言いかけたリシェルの口に、濡れた指先を含ませてその先を遮る。

「本当は、見て欲しいんですよね? 大好きなライさんに、自分の身体ぜんぶ、見せたいんですよね? 見られるだけで感じてる、お嬢様の淫らな身体」
「……やぁ、ら、はぷ、ぁ……」
「リシェ、ル……」
「ホラ、ライさんも興奮してますよ、お嬢様の身体で」

 その言葉で初めて、リシェルはライの表情をまともに見た。その顔は確かに興奮に彩られていて、その瞳は自分の身体を捉えて離さない。その様子に、身体の奥がまた熱くなるのを感じた。

 ライは戸惑っていた。色気とは無縁だとさえ思っていた、元気で、明るくて、我侭で、時折女の子らしい可愛さを見せる幼馴染の、初めて見る姿。肌を大きく露出させ、その身体を熟れた林檎のように真っ赤に染めた姿は、見慣れた彼女とは別人のようだ。

「さ、お嬢様。ライさんにお願いしてください」
「な、に……?」
「見て欲しい、って。見てくださいってライさんにお願いするんですよ」
「そ、んな、ムリぃ……」

 リシェルは目を瞑って首を小さく横に振る。ポムニットは、その身体をそこでようやく開放した。にっこりと笑う。

「それじゃここでお終いです」
「……え?」
「そこまでお嫌なら、無理にとは申しません。私はライさんと楽しみますので、お嬢様はご退出いただけますか? ……見ていたいなら止めはしませんが」

 そう言って、本当にリシェルを放ってライの方に向かってしまうポムニット。突然突き離されたリシェルは戸惑いを隠せない。そして、それ以上に。熱く火照りきった自分の身体をもてあましていた。
 何より、最も大きかったのは、ライがポムニットのものになってしまうという焦燥だった。リシェルの瞳に、ライが顔を真っ赤にしてポムニットを見つめている様子が映る。

「……待って」

 声に反応して、ライの瞳がリシェルを向いた。閉じかけた足を震わせながら開き、自分にできる、最大限の挑発的なポーズを取ろうとする。
 羞恥でどうにかなってしまいそうだった。

「ライ……」
「……っ」
「見て……私を……えっちな私をぜんぶ……っ」
「……よく言えましたね」

 ポムニットが妖しい笑みを浮かべて、改めてリシェルに近づき、その肌に触れる。

「あっ、ふぁ……っ!」

 先ほどまでとは、明らかに反応が違う。表情を悦びに歪ませて、耐えかねたようにポムニットの服を強く握り締める。だらしなく開きっぱなしの口元からは唾液が流れ落ち、それをポムニットの舌にすくわれてまた官能に打ち震える。

「ぽむ、ぽむにっとぉ……っ!」
「私ではないでしょう?」

 快楽に呑まれて半分うつろになっている瞳で、ライを見る。それだけで、リシェルは軽い絶頂を向かえた。

「は、あっ、ライ、ライっ! ふあぁっ!!」

 その間も、ポムニットはやわやわと愛撫を続ける。下着越しに股間を刺激し、優しく胸を揉む。リシェルは背中をのけぞらせて、ライの名前を呼びながら震えていた。

「……は……ぁ……」
「ふふ、お嬢様、可愛い……」

 リシェルを背中から支えながら、その頬にキスを落とす。その様子をずっと眺めていたライは耐えかねたように口を開いた。

「ポムニットさん……」

 ポムニットはそれに笑みで答え、手で制する。そしてまたリシェルの耳元で、優しく囁いた。同時に今度は手を動かしている。

「ほら、お嬢様、脱ぎ脱ぎしましょう……?」
「……うん……」

 完全に湿っていてもはや用を為していない下着を、ゆっくりと落としていく。すべてをライの前に晒して、リシェルは確かに快感を覚えていた。ポムニットの手が、閉じられた足を開いていく。

「―――――――」

 耳元で、今度はライに聞こえないように、小さくポムニットが呟く。それに、うなづきで答える。
 まだ産毛しか生えていない秘所へ手をやり、未発達な女性器を両手でそっと開いていく。ポムニットの愛撫を十分に受けたそこは、手で開かずとも薄く開いており、湯気が出るほどに熱く濡れそぼっていた。こぽ、と音を立てて、白く濁った液がこぼれる。

「ライさん、どうぞ、ここに入れちゃってくださいな」

 ライの喉が鳴る。そのまま、熱に浮かされたようにリシェルに近づいていく。潤んだ瞳で、リシェルはライを見つめた。

「ライ……」
「……リシェル……」

 腹に付くほどに硬く勃起したペニスをリシェルのそれに擦り付ける。その感覚だけで、腰が抜けるほどの快感を感じた。開かれたままの穴に先を合わせ、ゆっくりと挿入していく。

「あ、あぁ……ぐ……」
「痛い、か?」
「いいから……ぜんぶ、入れて……」
「……一気に行くからな」

 長引かせても痛がらせるだけだろう、と判断したライは、細心の注意を払いながら、腰を一気に突き出した。裂くような音がして、リシェルがライの背中に爪を立てる。

「ほら……痛くない、痛くないですよー……」

 痛みに震えるリシェルに、優しく愛撫を続けるポムニット。ライもそれに習って、極力腰を動かさないように愛撫を始めた。

「……は、ぅ……んぅっ!」
「気持ちいいの……感じてくださいまし……」
「ぅあっ……ひぁんっ!?」

 二人がかりでの愛撫に、次第に痛み以外の感覚がリシェルを襲う。先ほどまで感じていた快感とはまた別の感覚。

「あ……おなか……あつ、ぃ……っ!」
「く……リシェ、ル……」
「ライ、ライ……なんか、へん、なのぉっ!」
「お嬢様、イっちゃうんですね……どうぞ、存分に」

 ライはもはや余裕もなく、ただ夢中で腰をリシェルにたたきつける。奥まで突き入れるたび、リシェルは痛みとは別の理由で大きく震えた。熱に浮かされた頭はもはや何かを考えられる状態ではない。
 ライが、一際強く腰を突き出した。今まで以上の快楽が頭の頂点まで突き抜けたような感覚がして、リシェルは背中を逸らして全身を痙攣させる。

「ひぁ、あ! だめ、だめ、だ……ひぐ、ふ、う、ぅぅんっっ!!」
「っは、リシェル! リシェル……っ!」

 リシェルの体が絶頂を迎え、しかしそれでもライは動きを止めない。恐怖を感じるほどの快感がリシェルを襲い、力の入らない体でライを押しのけようとする。

「だめぇ、これいじょ、うごひ、ひゃ……っ」
「く……っ、リシェル、俺も……っ」

 我慢していた射精感が一気に襲ってくる。反射的に、リシェルの身体を強く抱きしめた。一番奥に、ペニスを突き込む。もう限界だった。

「くぁ……っ」
「ふぁ、でて、でてるぅ……なかに……っ!」

 子宮の最奥に精液を注がれているのを感じ、リシェルはもう一度、軽い絶頂を迎えた。
 背中を大きく震わせて快感に耐え、……やがて脱力した。

「……は、はっ、はあ、はーっ……」
「リシェル……」
「え……?」

 リシェルの髪をかきあげるライの手。その手を見つめる。

「順番、逆になっちまったけど……」
「あ……」

 ライの顔が、リシェルに近づき、重なる。何秒か、何分か、長い口付けの後、リシェルはライを見つめて、その名を呼ぶ。

「ライ……」
「ん?」

 そして涙混じりの、幸せそうな笑顔を浮かべて、囁いた。

「だいすき……」






 ―――――蛇足

「あの……私のこともお忘れなく……」
「「あ」」


おわり

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