レナード×ミニス



オーケイ、まずはこの状況が一体何なのかを把握する必要がありそうだ。
寝ぼけた頭にゃ少々厳しいが、こんな事態になった経緯を思い出す必要があるな。
落ち着く為には煙草が一番。そう思いレナードはソファ横のテーブルに置いてあった煙草を取る。
慣れた手つきでマッチに火をつけ、ジジ…と煙草が赤く燃え始める。
「ふぃーーっ……さて、一体全体これはどういうつもりだ、お嬢ちゃん?」
月明かりが入ってきているとは言え、既に時刻は真夜中。薄暗い部屋にタバコの火が際立つ。
その小さな火が目の前の少女を灯す。
こちとら既に年季の入った大人である。たかだか裸の女を見たぐらいじゃ驚きはしない。
「だってレナード言ってたもん…わたしの事いい女だって。だったらわたしを抱くぐらい簡単だよね?」
タバコの灰が床に落ちる。はてさて我ながらこういう状況を招きかねんとは思わなかったのか?
まったくこちらに来てからは驚きの連続だ。
見た事もない世界に来てしまったと思えば、挙句の果てには悪魔と戦っちまった。
それでもって今は裸の、しかも娘ぐらいの年頃の少女に乗っかられている。
まるで出来の悪い三流ハリウッド・ムービーだぜ?
「………Jesus」
サプライズは程ほどにしてもらいたいもんだ。


「やれやれ…こっちでも犯罪者の取り締まりとはね。どっちも世知辛い世の中だねぇ」
煙草を一つ吸い、煙を吐き出す。やはり安物の煙草を吸ってたからか、こちらの物にもすんなり慣れた。
これだけで異世界に来たことなんぞどうでもよくなるとはな、と苦笑いをする。
「レナード殿!魔獣がそちらに行きましたぞ!」
あの薄気味悪い悪魔野郎を倒して以来、コンビを組むサムライがこちらに注意を促す。
「オーケイ、まぁ銃ぶっ放す相手が人間じゃない分、罪悪感は少ないか…」
相手はただまっすぐ向かってくる。そんなんじゃ天国への階段を上るだけだぜ?
咥えた煙草をペッと吐き捨てて、銃口を向けトリガーを引く。
ガウンッ!
重く低い音がしたとほぼ同時に魔獣は頭から血を流し巨体を地に沈める。
人間相手でない分、嫌な気持ちは少ないがそれでも不快感は付き纏う。
「悪いな、お前さんに恨みはないんだが……呼んだ奴が悪かったな。楽になってくれ、Jesus」
神など信じちゃいないが祈りながらもう一発脳天に撃つ。
そして向こうでも相棒が今回の犯人…召喚師を峰打ちにして体を拘束する。
どうやら今回も上手くいったようだ。
「悪いなぁ、カザミネ。いっつも危険な前線にばかり行かせちまって」
「いえ、拙者は敵を斬ることしか知らぬ故、レナード殿の援護があればこそ、こうも前に行けるのです。感謝しておりますぞ」
人はいいのだがどうにも固いこのサムライに苦笑してしまう。
まぁ確かにこのコンビならば大体の局面には対応出来よう。笑いながら煙草を手に取り火を点ける。
そして捕らえられ悔しそうな顔をする外道召喚師の前に出ていつもの応対をする。
「ふぃーっ…さて、お前さんにゃ黙秘権……はこっちにはないんだったか。全く癖になっちまってるぜ。
 さて、不当な手段で召喚獣を売買した罪…そう簡単に釈放されるだなんて思うなよ?
 オレ様は人がいいから拷問なんて野蛮な真似はしないが、派閥の召喚師の連中はどうかねぇ?
 それが嫌なら、召喚獣の居場所を吐くんだな」
まったくどこの世界も犯罪者ってのはなくならないもんだ。
割りに合わない正義のヒーロー…刑事ってのはつくづく因果な商売だ。


一仕事を終え、召喚師の身柄はとりあえず金の派閥に渡しておいた。
このあと別段仕事が詰まってる訳ではない。その為、カザミネと一緒にレルムの村で休養を取ることにした。
「しっかし休暇がこの村でとはな…。まぁどこへ行っても大した娯楽があるわけじゃなし。のんびり酒でも飲んで次の仕事まで待つとするか。どうだ、カザミネ?酒でも付き合わないか?」
「い、いや拙者はどうにも下戸なもので…」
「あ〜前、ぶっ倒れたもんなぁ。薦めるのも流石に悪いわな」
やはり今回も一人で晩酌のようだ。
「あー!おーい、レナード!カザミネ!」
そこに後ろからやたらと元気な声が呼びかけてくる。この無駄に元気な声の持ち主は知り合いに一人しかいない。
「おお、ユエル殿ではござらんか!相変わらず元気そうで何より」
「勿論!ユエルはいつでも元気だよ!レナードも元気?」
「お前さんほどハイテンションじゃないが…まぁこちとらいつも通り、ノー・プロブレムだ」
「? 何言ってるかわからないけど要は元気ってことだね、うんうん!」
時々このテンションには付いていけないが、まぁこれがユエルの魅力なのだろう。
「そういやお前さん、おつかいとやらで誰か連れてくるみたいだが…後ろのがそいつか?」
「初めまして、クノンと言います。今回こちらの村で病気の方がいるそうで、島との交流も兼ねてやってきました。よろしくお願いします」
「これはありがたい!どうにも人の医者は呼べないもので…しかし失礼ですが大丈夫なのですか?」
「ドクターじゃなくて来たのはナースか。ま、治せりゃどっちでも構わないさ」
マグナ達が行ってきた召喚獣だけの島の話は聞いている。そこから来たのなら問題はなかろう。
そう思い、煙草に火を点けようとしたのだが――
「っ!?煙草はダメです!」
急に腕が伸びてきたかと思えば、咥えようとしていた煙草をかっさらわれる。
「煙草はダメです!煙草は貴方の健康を損ないます!看護士として見過ごしてはおけません!」
「…Jesus」
人間じゃなかったことにも驚いたが、それよりも厄介なのが来てしまったようだ。
こういう嫌煙派には何を言っても無駄ってもんだ。
「う、腕が伸び…?これは面妖な…そなた一体――」
「そう言えば二人は知らなかったっけ。クノンは人間じゃないわよ? まぁどう見ても人間にしか見えないんだけど、一応はロレイラルの機械人形なのよ」
そこでまた別方向から人の声が聞こえる。
「あーっ、ミニスだ!久し振りーっ、そんでただいまっ!」
「また人が増えた…今度はミニス嬢ちゃんか。しかし何だってここに?」
「クノンが来るっていうから挨拶しようと思って。あと……言いづらいんだけどもう一人いるんだよね」
  カーザーミーネーさーまー
村のほうから声が響いてくる。なるほど、言いづらい訳だ。
「けけっ、ケルマ殿!?あわわ…れ、レナード殿、あとの事はお頼み申す!」
そう言うや否やカザミネは回れ右をして駆け出す。そしてその後を一陣の風が追っていく。
「ああ〜ん、カザミネ様ぁ〜、お待ちになって〜」
「ふぅ…騒がしい事だ。ホント、平穏とは程遠い我が人生に幸あれと言いたくなるな」
溜息を一つつき、家への帰途の続きを辿る。しかし――
「あーっ、どこ行くの!?クノンをちゃんと案内してあげてよー!」
「オレ様が!?…勘弁してくれ、仕事から帰ってきたばかりなんだぞ?」
「そんな年寄り臭い事言ってるとホントに老けちゃうわよ?こんな可愛い子に囲まれてるんだから役得と思わなきゃ」
「それでは病人の元へ案内お願いします。…煙草はダメですよ?」
召喚師、獣人、機械人形。これに囲まれては下手な抵抗は無意味なのだろう。
「……Jesus」
今日何度目かの呟きが空中に木霊していった。


ようやく一人になれたのは日も沈んだ頃。
安物の酒をロックであおりながら、銃の手入れをする。
耳を癒すブルースもなければ、目を癒す興味引く本もない。まぁ後者はどのみち字が読めないのだから意味はないが。
となれば喉を癒すきつい酒を片手に愛銃の手入れをする他ない。
元の世界から連れて来たのは愛用のコートとこの銃だけ。
こちらで他の銃を手に入れてもこれだけは手放さなかった。
「やっぱりまだ未練があるのかねぇ…」
割り切ったとは言え、そうそう素直に受け入れられる事ではない。
そんな少しばかりノスタルジックな感傷に浸っていると、珍しく客人が来た。ノックの音がする。
「開いてるぜ」
こんな辺鄙な村にノックをする律儀な泥棒はいまい。そう考えてぶっきらぼうに返事する。
「こんばんはー。レナード、何してるの?」
「ミニス嬢ちゃんか。そっちこそユエルやあのクノンとやらとパーティーしてたんじゃないのか?」
「ぱーてぃー?まぁちょっとお話はしてたけど、抜け出しちゃった」
てへ、と笑いながらテーブルの向かいに腰を下ろす。
「何やってるのかな?……これってレナードの武器の銃?」
バラバラになってるのは初めて見るのか、興味深く見てくる。
「まぁな。こうして珠には手入れしてやらんと拗ねるからな、こいつらは」
「拗ねるの?銃が?」
「その辺は額面通りに受け取るなって。…ま、オレ様の命預けてるやつだから、これぐらいはしてやらんとな。…嬢ちゃんも使ってみるか?護身用には役立つと思うがね」
喋りながら元に組み立て直す。
「…でもこんな小さな物でも人の命を奪える立派な武器なんだよね。…やっぱり怖いよ」
その威力を見れば誰もがそう思い、手に取るのをためらうだろう。
「オレ様だって怖いさ。…だからなコイツを向ける時は常に考えてる。抵抗しないでくれってな。抵抗しなけりゃ撃つ必要はなくなる。…つまりは銃ってのはそういう武器なのさ。女子供が持ちたくないって気持ちはわかるが、正しい使い方が出来るなら銃は女子供が持つものなのさ」
だがそれはあくまで希望でしかない。その希望が容易には成り立たない事を分かっているからこそ、つい酒を飲む。
「…ちょっと見直した、レナードの事。ちゃんと考えてるんだね。……でもやっぱりわたしは女子供なんだね」
後半は少し沈んだ声で搾り出す。それに気が付いてしまったからには見ぬ振りが出来ないのが自分の欠点か。
立ち上がり、グラスに自分では飲まない甘めの果実酒をお湯で割り、果肉を添えてミニスに差し出す。
「何、これ?」
出されたほんのり湯気の出るグラスを見つめ不思議そうに尋ねる。
「嬢ちゃんにゃアルコールは早いと思ったが、まぁこれぐらいのなら別にいいだろ。おっと一気には飲むなよ。ちびちび飲んでくれ。………少しでも酔っ払わにゃ、愚痴の一つもこぼせないだろ」
「お見通し…?そんなに顔には出てなかったと思うんだけど…」
「まぁ無駄に歳はくってるからな。年季の違いって奴だ」
両手で持ち、息を吹きかけながらチビチビと飲んでいく。対してこちらはロックで飲み干していく。
沈黙がしばらく続き、少し顔が赤らみ始めたミニスが口を開く。


「…ここに来る前にね、大樹にも寄ったの。それで思っちゃったんだ、やっぱりわたしには入る隙間なんてないんだって」
返事をせずに先を促していく。
「マグナもアメルもとっても仲が良くて。分かってはいたんだけど、再確認しちゃって。それで考えちゃうの。わたしがもっと大人だったらどうなってたんだろって」
涙が見えるのは気のせいではあるまい。アルコールがミニスの心を抑制させない。
「考えても、っく、仕方がないことだってわかるんだけど、ぐすっ、でもやっぱり辛くって…」
昔からこの少女は歳の割りに大人びていた。それが無理をしてるのだとはバレバレだったが自分が言う事ではない。
それこそマグナがその役目を果たしてくれていた。だからこそ惹かれていたのだろう。
年頃の少女にはありがちなことだ。だがそれは今口に出す事ではない。
そして泣いている女を慰めるのは古今東西昔から男の役目なのだ。
落ち着くのを待ってから言葉を出す。
「…そう自分を卑下することはないさ。お前さんは今でも十分いい女だぜ? ただあの二人は境遇が少しばかり特殊すぎたのさ。お前さんの魅力がないわけじゃない」
「でも結局…わたしは選ばれなかった…」
「それが恋愛ってもんだ。全員が全員、全ての想いが叶うわけじゃない。…だからな、悔しかったら見返してやれ」
驚きの表情を浮かべてこちらを見てくる。
「今より更にいい女になって悔しがらせてやれ。マグナよりいい男を見つけて見返してやれ。そうやって前向きに考えていけるのが…大人ってやつさ」
我ながら語ってしまったものだ。照れ隠しにロックを一飲みする。
だがこれでいいだろう。もう涙は見えない。
「ふふっ、レナード何か力入ってた。もしかして経験談〜?」
いつもの、格好の獲物を見つけたとばかりの意地の悪い顔に戻る。
「その辺はご想像にお任せするさ。お前さんが酒の肴に今の話を出来るようになった時、続きを話してやるよ」
挑発は華麗にスルーして、煙草に火を点ける。
「お酒の肴ねぇ…今いちまだおいしさがわかんないんだけど…。あ、あとその煙草も大人になれば味がわかるの?」
「やめとけ、やめとけ。流石にこればっかりはお薦めしねぇ。昼間、クノンが言ってた通り健康には良くない代物だ」
「わかってるのに何で吸ってるの?」
悩みが軽くなったからか今度は質問攻めに変わる。
「昔だったらただの習慣…って言えたんだがな。今じゃちょっと違うかな」
どこか遠くを思い出すように中空を見上げる。
「今じゃこの吐き出す煙に昔の自分が映ってるみたいでな。こんな遠くまで来ちまったから感傷的になってるのかね。昔の自分と、今の自分。それが変わってないか確める為に吸ってるのかもな」
一つ吐き出し、ステイツにいた頃を思い浮かべる。珠にはこんな風に浸るのも悪くない。
「さして深い意味はないさ。ちょっとばかしの手慰みって奴さ………っておい!」
ふと顔を戻せばミニスはテーブルに顔をうつむかせて眠ってしまっている。
慣れないアルコールを飲んだから眠気が襲ってきたのだろう。
「せっかく人がいい話をしてやったってのに…まぁ仕方ないか」
立ち上がり、起こさないようにそっと抱え上げ自分のベッドに寝かせ毛布を掛ける。
「ったく、やっぱりお前さんはまだ『嬢ちゃん』だよ」
あどけない寝顔を見て、自分も寝ようとソファに横になる。
少々寝辛いが、ロスにいた頃はよくこうして寝ていた。何も問題はなかろう。


そうして今に至る訳なのだが――
冗談かとも思ったが声色からはそう感じとれない。だが薄暗がりでは顔色は見えない。
「まだ酒が残ってるのか?冗談にしちゃあたちが悪いぞ?」
「冗談や酔っ払ってるからってこんな事出来ると思うの?…わたしは本気だよ?」
尚更悪い。どうしてこうもこの年頃の奴らは一途になりすぎるのか。
「本気だろうと何だろうと寝込みを襲うなんぞマナー違反だぜ。今なら何も見なかった事にしてやる。ベッドに戻りな、嬢ちゃん」
「やっぱりわたしがまだ子供だから…?やっぱりわたしに魅力がないからダメなの…?」
Jesus、よしてくれ。こんなシーンで涙を見せるなんて反則だ。
「わたし…自分に自信持てないよ…。このままじゃ…いつまでもひきずっちゃう…」
そこまで思いつめる事なんてないのにな。ま、女の子にとっちゃ恋愛は重大ファクターってか。
それに泣いてる女を放っておくのは主義じゃない。
泣いているミニスの額にキスをする。
「…レナード?」
「今夜だけだ。オレとの関係は今夜きりだ。…いいぜ、お前がいい女だってことわからせてやるよ」

「あうっ…ふあっ…レナード、ビリビリくる…きゃうっ!?」
口付けを首に落として、片手で体を抱き締め、片手で胸を揉んでいく。
未だ成長途上の小振りな胸は手の平にすっぽりと収まる。優しく形を歪め、体と心を解きほぐしていく。
「ごめんね…胸、小さくて…お母様みたいに大きいほうが、いいんだろうけど…ひゃうっ!」
「そんなもん気にする男は殴っておけ。…それにまだお前は成長期だ、親がああなら心配する必要はないだろうぜ」
膨らみの頂点を指で挟み、刺激を与える。効果は抜群のようで一際大きい声を出す。
昔の友人から貧乳は感度がいいと聞いていたが、ご他聞に洩れずミニスもそうなようだ。
「あんっ、ひゃんっ、ダメ…そこ触られると、頭が痺れて…ひゃうっ、はうんっ!」
本気だ、とは言っていたもののやはり怖くて緊張はしていたのだろう。
だがガチガチの体も愛撫によってだんだんと柔らかくなっていく。
ならば次のステージに移ろうじゃないか。
「はぁ…はぁ…レナード…?なにを…ひゃああっ!?ななな…く、口でっ!?うひゃうっ!」
膨らみを口に含み、吸い付き、離しては舌でなぞり、乳首をもてあそぶ。
羞恥心を煽るように唾液を含ませ、ネトリと染み渡らせ、ピチャッと音を立てる。
「うああっ…そんな、赤ちゃんみたいな…きゃうっ!あれ…?でも…きもちいい…」
少しばかり恍惚の表情を浮かばせ、存分に身を委ねてくる。
「赤ん坊はこんな吸い付きしないぜ。…ま、男はいくつになっても甘えん坊だからな、こうしたくなるのさ」
「ふふっ、男はいくつになっても子供、ってこういう事だったんだね。…ひぅっ、ひゃうっ!?」
誰もが持つ女性らしい微笑を浮かべるが、それに惚けるほど自分は子供ではない。
逆襲してやろうと乳首を歯で甘噛みし、味わったことなどないであろう刺激を与え続ける。
「や、だっ、ひんっ!そんな、ふうに、されちゃ、ふあっ!?ちからが…ぬけ、あんっ!」
まだ子供とは言え、既にその体は男を受け入れられるようにはなっている。
感覚もそれに伴い成長していくため、ミニスの声は最早嬌声になってきている。
まぁ恐らく自分で慰めた事もないのだろう。何もかもオレが初めてってわけか。
まったく、向こうの世界なら十分に犯罪だぜ、Jesus。


未知の体験であろう襲い来る快楽にミニスの目つきもトロンとしてくる。
そろそろいいか、と思い吸い付いていた口を離し、今度は手をミニスの下腹部へもっていく。
「胸だけでこんなに濡れちまってるのか。こんなに感度がいいなら男は放っておかないぜ」
クチュ…クチュ…と割れ目に沿ってなぞるだけで指に液体が絡み付いてくる。
「んっ、やぁっ!わたし、そんなにいやらしい子じゃ…ひゃあんっ!」
自らの体の変化に戸惑っているようだが、そんなことはないぜ、とフォローする。
「気にするな、男にとっちゃあ女が気持ち良く感じてくれるだけで嬉しいもんだ。
 今更恥ずかしがることはないさ。求めるがまま…気持ち良くなってくれ」
「ホント…?それなら、あんっ!うれしいな…きゃうっ!」
なぞり、クリトリスを弾くだけでどんどん愛液は溢れて手首まで濡らしていく。
そしてこれだけ溢れているならば、と中を傷つけないよう指を挿入する。
「うああっ!?は、はいって、きた…ひいっ!なかで…うごいて…ふああっ!?」
胎内に入ってくる異物の感覚に今までとはまた違った声が出る。
一本だけだというのに締め付けは凄まじく、動かす度にミニスからあられもない声が飛び交う。
「こいつはまたっ…!ミニス、痛くはないか?」
年長者としては気遣ってやらねばなるまい。
「だい…じょうぶ…!ちょっと、変な感じなだけで…痛くはないよ…?」
それが本心か虚勢かは分かりにくいが、精一杯の笑顔で応えてくる。
その可愛らしい顔を見て、ああ、こいつの傍にいれる野郎は果報者だぜ、と柄にもなく思う。
「ふあっ、また動いて、ひあっ、だめっ…!そこも一緒にいじられると…あたまがしろく…ひああっ!」
指の動きを激しくして、さらに快感を与え続ける。
また口でも胸への愛撫を再開して、体全体に快楽を植えていく。
「やっ、もう、だめっ、ふわふわして…あたまが、とんじゃうっ…ひゃうんっ!」
体をガクガクと震わせ、絶頂に達しようとしている。思う存分天国を味わってくれ。
「やっ…ひっ!?ふああぁぁああぁっ!!」
部屋に響く大声を出して、ミニスは体を預けてきた。

はぁはぁ…と息をつき、だらしなく体を預ける少女に劣情を掻き立てられるが、生憎こちとら盛りのついた子供ではない。
勿論女を抱くことは好きだが、時と場合ってものがある。
今ミニスを抱くことは簡単だ。何よりもミニス自身がそう望んだからだ。
しかしここでそう易々と安易な選択をするほど、伊達に歳は食っちゃいない。
「はぁ…はぁ…レナード…?ひっ、だめっ、すこし、やすませ…ひゃあんっ!」
絶頂の余韻を味わう暇もなく、再び刺激が襲ってくる。
感覚はより鋭敏になっており、間断なく快楽を植えられてはオーバーヒートしてしまう。
「やぁっ、ひぅっ、また、されちゃ…ほんとに、とんじゃう…ひゃああんっ!!」
拒絶の声もわざと無視する。
お前さんにゃ、オレなんかは勿体ないぜ?いい女は安売りしないもんだ。
グチャグチャと激しく水音が響き、ミニスのだらしなく開けられた口からも唾液が零れる。
「あっ、はっ…ひっ!?〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
言葉にならない悲鳴を上げ、ミニスは意識を失う。
「ま、これが年季の違いってやつさ」
崩れ落ちたミニスの体を受け止め、子供にするように頭を撫でる。
まずはそっとソファに横たわらせ、体を拭いてやりベッドまで運んでやる。
「ゆっくり休みな、ミニス」
起こさないように毛布をかけ、コートを羽織り、外に出て玄関の前に腰を下ろす。
「いくらなんでも一人で放っておくわけにもいかないわな…」
せっかくの休暇の初日をこんな所で一晩明かす羽目になるとは。煙草に火を点け、一人ごちる。
「とんだお人よしだぜ…Jesus」



チチチチ…と小鳥の鳴き声にぼんやりと目を開ける。
何てこった、まだ白みがかってるじゃねぇか。いくらなんでも早起きすぎだ。
だがこの村の朝は早い。のんびり家の前で寝こけていては怪しさ大爆発だ。そう思い体を動かそうとした時――
ガダンッ!
「あいたぁ!?」
後頭部に衝撃を受け、頭を抱え原因を探ろうと後ろを振り返る。
「れ、レナード!?こんな所にいたの!?起きたらいないし、探しに行こうと思ったんだけど…あはは、ごめんね?」
扉の影から半分だけ顔を出して申し訳なさそうにするミニスがいた。
「朝っぱらからひでぇ目にあったぜ…。すっかり目も覚めたしな…お〜いて」
頭をさすり、家の中に入る。
もう少ししゃっきりさせようとお湯を沸かし、こちらの世界にもあったコーヒーを入れる。
「コーヒー入れるが…ミニス、お前は何か飲むか?」
「あ、わたしもコーヒーでいいよ。…でも砂糖とミルクあるかな?」
ブラックのうまさがわからんとはまだまだお子様か。
「客人用に備えがあって良かったぜ。ほら、好きなだけ入れな」
自分用には濃い目のブラックで目を覚ます。このチープさがまたいいんだ。
だが目の前の少女がミルク二杯に角砂糖三個入れるのを見ただけで胸焼けが起こりそうだ。
二人とも言葉はない。沈黙に耐え切れなかったのかミニスから言葉を切り出す。
「…どうして外にいたの?」
「裸の女…ましてや年頃の少女の隣でのんびり寝る訳にもいかず、また放っておく訳にもいかないだろ? 何かあっても困らないように外にいたのさ」
裸の女、との言葉に昨夜の事を思い出したのかミニスは顔を赤くする。
それでも一番聞きたい事を質問する。
「…どうしてわたしを抱かなかったの?やっぱりわたしが子ど――」
「違うな。魅力に思ったから、大事に思ったからこそ抱かなかったんだ」
ミニスの言葉を途中で遮り、語りかける。
「お前は本気だ、と言ったがオレに言わせりゃ、ありゃ所詮一時の気の迷いだ。言ったろ、見返してやれって? 処女信仰って訳じゃないが初めてぐらい、お前に惚れて、お前が惚れた、マグナよりもいい男にくれてやれ。お前みたいな女の初めてが、こんなムサ苦しい親父じゃ勿体ないぜ?」
最後は笑って答える。自虐めいた台詞もこういう場には合うもんだ。
ミニスはしばらく呆けたあと、泣きそうな、それでも目一杯の笑顔で応えてくる。
「…ありがとう、レナード」
そしてゴシゴシと目を擦り、コーヒーを一気に飲んで立ち上がる。
「わたし、もう行くね?…これ以上居たら、また甘えちゃいそうだもん。これ以上迷惑かけられないからね。……でも、迷惑かけついでにこれ、もらってくね!」
そう言って机の上にあった煙草の箱を手にとっていく。
「お、おい!何しやがる!」
「大丈夫、吸ったりなんかしないよ。…これは思い出としてもらってくの。今よりいい女になっても、昨夜のレナードの優しさを思い出しておくためのね」
その笑顔に、柄にもなく見惚れて言葉が出せない。
「そしていつかマグナだけじゃなく、レナードも後悔させてあげるんだから!」
この天真爛漫さがこいつの魅力なんだな。
「はっ!その日を精々楽しみにしてるぜ」
そうして二人は以前と同じ「仲間」という関係に戻っていく。だがミニスがいなくなってはたと気付く。
「買い置き…してあったか?」
まだ本数があったから安心していたが、慌てて棚を探すも見当たらない。
今日はまだ吸ってないんだぞ!?コートを叩いて探して、ようやくくしゃくしゃになった一本を見つける。
喜んで火を点けたのだが――
「……しけってやがる」
ないとなれば買いに行くしかない。ファナンか王都か、どちらにせよ休暇がまた潰れるだろう。
そしてこの数日で何度呟いたか分からない言葉が出る。
「……Jesus」
こんな言葉、口癖にはしたくないもんだ。


<完>

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