レックス×クノン



「アルディラ様、お話が……」
「なに?クノン」
クノンのすこし頼りなさそうな、不安げな顔
こんなクノンを見れるなんて、あの人のおかげね、とアルディラは思う
普段、滅多に表情すら変えない介護人形の頬が、ほんのり赤みを帯びるなんて考えもしなかった
「実は……」
初め勢いなく、ぼそぼそと話すクノンだったが、段々と声の強さを増していった
「私は、一体どうしたらいいか、わからないのです」
なんでも、最近読んだ小説の登場人物の気持ちに似た、どこかこそばゆい思いに酷い違和感を感じているらしい
主人の返事を待つ整った顔も、不安からか、目は潤い、眉や唇がわずかに歪んでいる
「それで、貴女の心を奪った不届きな男はだれなのかしら?」
だいたい予想はつくけど……、そう心の中で呟くアルディラの笑顔は、単なる優しさから来る微笑みではなく
性に目覚めたばかりの女の子をからかうような、そんな笑みだった
「そ、それは、アルディラ様にもお教えできません!」
薄い紅色が、より赤みを増して、いつもの落ち着いた機械的な表情はこれでもかというくらいに動揺して、人間らしい
「それで、小説の通りにするのじゃあダメなの?クノン」
「ダメ、ではないのですが……」
「なにがいけないのかしら」
「恋に落ちた二人は……キスをして……」
いちいち言葉に詰まるクノン
昔、怪我をした他の集落の治療の際に、一切の躊躇もなく男性器に触っていたとは思えないほど、初々しい
「キスをして、どうするのかしら?」
「二人で…………」
最後まで、言い切れないあたり、純粋なのか、それとも……
とにかく目の前の、自分の台詞で、恥ずかしさのあまりにゆであがってしまった少女に
主人として、何か助言をしてやらなければならないとアルディラは口を開く

「それじゃあ、貴女の思う人の唇を無理矢理奪って、そのまま勢いでベッドに流れ込んでしまうとか……どう?」

笑顔で。そう、とびっきりの笑顔で

本当なら、いっそう困惑した、甘い想像に身悶えする少女を見て、そんな純情な少女をクスクスと笑いながら
「ふふ、冗談よ冗談」
とでもいう予定だった
予定という事はつまり、そう。先程の台詞を訂正するチャンスは訪れる事はなかった、ということだ
「そう、ですね。それも、あり……。ありがとうございました」
そう言ってから、真面目な顔をして部屋を後にするクノンをただただ黙って見送って、先刻の台詞に後悔するアルディラ
「クノン。あの子一体どんな小説を読んだのかしら……」
誰もいなくなった部屋でスクと立ち上がり、アルディラはクノンの部屋へ歩いていった


「……あの、クノン?現状を説明してくれるかな?」
森。漂流した海賊船と、青空教室の間の森。木々の生い茂る何処かの花畑
後ろから頭を強打されて、記憶が跳び、今に至る
召還術の効果か、体が動かないレックスと、そのズボンを脱がそうと、チンコガードベルトの大群と戯れるクノン
「あのー、クノンさーん。どうしてこんな目に遭ってるんですか?」
何とか動く口で精一杯現状の把握に務めようと思案するが、相手からの返答はない

船へ帰る途中に、後ろから声をかけられて、一緒に帰ろうとした矢先に、何か固いもので殴られた

それが気を失う前の最後の記憶
そして今、少女に襲われている現実

ガチャ……

ようやくベルトを外し終え、ズボンが脱がされる
「ちょ、クノン!……やめっ……うっ!」
痺れて動けない体は、感触をより鮮明に伝える
ふにゃ、と垂れていた男根を軽く愛撫して、口にくわえる
「……はむ……んん……んっ……」
「ク、クノン……や、やめ……」
苦悶の表情を浮かべているレックス。その顔と、声が、なにか新しい感情を芽生えさせる
「貴方は、嫌ですか?」
唾液で濡れた、輪を作った指を上下に動かすたびに、ジュブといやらしい音を立てる
「嫌でしたら、ここで終わりにいたしましょうか?」
レックスから伝わってくる、鼓動、脳波、共に、これ以上のことを望んでいるのは明らか
「本当に、やめますか?」
もう、止まることはない。そして、それは自分も一緒
「私は……」
レックスの上に股がって、服を一枚一枚脱いでいく
人形とは思えないほど、綺麗な、白い肌が露出する
「どうしたらいいでしょう……」
未発達、といっても成長するはずのない小振りな胸と、細い腕
凹凸のない、滑らかな肌
「……本当に、やめた方がよろしいですか?」


周囲を、灰色の光が照らし、体の自由を奪っていたしびれは消えて、目の前には少女が立つ
「レックス様、どうぞご自由に」
身を装飾していた、全ての衣服を取り払って、レックスの前に立つ
「本当にいいのか?」
「はい」
即答。少しの間見つめ合う二人
クノンが、レックスの胸に寄りかかる
ぎゅっと、優しく、抱き寄せる
「……あの、一つだけ、よろしいですか?」
「なに、クノン」
「はじめに……はじめに、キスをしていただけますか?」
じっと上を、レックスの顔を見つめる目
「……うん、じゃあ」
そっと触れる唇

「あっ……!ん…ぁぁ…!レック……ス…ゥゥ……さまぁ……」
「クノン……クノン!」
樹木に手をつき、後ろからレックスを受け入れる
入り、抜けるたびに、体中に何かが走り、その動きも滑らかになる
「クノン、本当に大丈夫か?」
「は、はい……どうぞ、私には……ひぅ…おかまいなく…ああぁぁ!」
見た目通りに、きつく狭い道を、幾度もレックスは上下していき、そのつど、甘い声を響かせる
「クノン……」
「な、なんで…しょう…かぁ…………!」
答えを最後まで聞き終える前に、繋がったまま、クノンの体を持ち上げて、自分の方へ向かせる
「ひ、ひやぁぁぁぁ!」
急な回転に、痛みと、それ以上の快楽が巡り
「レックス様ぁ……」
目の前に、また、彼が見える
体は、その腕に抱かれている
まだ繋がっている、秘処から流れ落ちる、自分の足を流れるしずくが、
よりいっそう、彼を感じさせる
確かに今、自分は愛する人と……
「レック…ス……」
もう一度
「……クノン」
月明かりに照らされる黒い影
二人のシルエットが一つに重なった


ようやっとクノンがラトリクスについたときは、朝日が少し、辺りを照らしはじめていた
自分の部屋へ戻ってみると、中から光が漏れている
「まさか、アルディラ様、いない私を……」
いそいで部屋へと向かうクノン
「アルディラ様!」
大声で叫んでみたものの、中の光景は想像とは大きくかけ離れたもので
「あら、クノン」
「ア、アルディラ様?」
人の心配をよそに、辺りに本の山を積み立てて、その真ん中に座っている女主人
「これは、一体……?」
「あ、あのね、クノン。貴女が一体どんな本に影響されたのか気になって読んでいるだけであって、
 決してこういう恋愛ものに興味があって読み進めているうちに、続きが気になってしまっていても立ってもいられなくって、
 気づいたら今になっているとか、そういうことじゃないのよ」
「はぁ……」
笑顔で、もの凄い早さで、かなりどうでも良いことを、する必要もないのに延々と説明し続けたアルディラと、
墓穴を掘っていますと忠告してルベ期かと思ったけれど、疲れてしまったし黙っていてもいいかと考えるクノン
「そ、それで、上手くいったのかしら?」
さっきから張り付いた笑顔で、ごまかすように言う
ただ、クノンにしてみれば、アルディラが何を考えていようと、そんなことはどうでも良かった
「……はい!」
恋する乙女には笑顔が一番よく似合う


おわり

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