16歳の姫君と14歳の不良少女



「ねえフィズ。キスしてみましょうか。いいでしょう」
 そんなことを彼女が言い出したのはまだフィズが初潮を迎える前のことだった。
 その行為の意味も良く知らずに、フィズは彼女の調子に流されて許してしまった。
 大切なファーストキスを。二つ年上のその親友に。
「んっ……ふふっ♪なんかくすぐったい感じよねぇ」
 唇と唇を軽く触れ合わせるだけのままごとのようなキス。
 けれどそれをした後、フィズは身体の内になにか火照るようなもの感じた。
 無邪気に微笑む親友。吸い込まれそうなその笑顔にどこか艶を感じてしまった。
 ともすればフィズ自身より幼く見えかねない彼女。けれどやはり彼女の方が年上だった。
 彼女の方が先に成熟を迎えていた。当時、フィズにも芽生え始めた性への憧憬の果実を。
「にししし♪じゃあねえフィズ。次はねえ……」
 調子に乗って彼女の要望は次第にエスカレートしていった。けれどフィズは拒むことができなかった。
 それは魅せられていたから。気づいたときにはもうフィズは抜け出せなくなっていた。
 色とりどりの百合の花が咲き乱れる倒錯の園から。




「んふふっ♪フィ〜ズ〜♪」
「ちょっ…ミニス!やめっ……やめてってば!」
 擦り寄るミニスに抵抗しながらフィズは声を出す。その日、久方ぶりにフラットに姿を見せたミニス。
 親友との再会に喜んでいたのもつかの間。今はフィズの個室になっているかつての子供部屋でフィズはミニスに迫られる。
「なによぉ。わたし、フィズが寂しくしてるって思ってはるばるやってきたのに……つれないわねえ」
「ミニス……もうやめようよ……こういうの……あたしたち、女の子同士なんだしさ……」
「別にわたしは気にしないわよ」
「あたしは気にするって言ってるの!まったく……あんたときたら……」
 ままごとのようなキスから始まったミニスとの関係。最初の頃はフィズもそんなには気に留めなかった。
 けれど成長して大人に近づくにつれてフィズのうちに違和感が生じた。やはりよくない。こういうのはおかしい。
 そんな風に膨れた心のもやがフィズの成長期の胸に重くのしかかっている。
「いちいちつまんないこと気にするのねえ。あなたも」
「あんたが気にしなさすぎなんだってば!少しは普通に男の子の彼氏作るとかしなよ!」
 こちらの葛藤をそ知らぬミニスの態度に流石にフィズもむくれて言う。ミニスはじと目でフィズを見やると呟く。
「ふーん。じゃあフィズはわたしが他の男に抱かれてても平気なんだ」
「べ、別に……そんなのあんたの勝手だし……」
「わたしはフィズが、例えアルバが相手でも抱かれてると思うとちょっとカチンときちゃうんだけどなあ」
「なんでそこでアルバがでてくるのさぁ!」
「フィズにとってわたしってその程度の存在なんだ。あ〜あ。傷ついちゃったなあ」
「ちょっとミニスっ!本気で怒るよ!」
 フィズは激しかけてミニスにつめよる。しかし、するりとあっさりとかわされる。フィズの体勢が崩れる。
「にしし♪隙ありっ!」
「きゃぅっ!?」
 その隙をついてミニスはフィズを押し倒してそのまま手をわきわきとさせながら馬乗りになる。
「さぁてフィズ〜今日もお姉さんなわたしが貴女のことた〜っぷりとかわいがってあげるわよぉ♪」
「ちょっと・・・・・・やだぁ……やだぁぁ……」


 フィズはなんとか逃れようともがくががっちりとマウントを決められているので抜け出せない。
 そうこうしているうちにミニスはポケットから緑色の石を取り出して簡単な誓約の呪文を唱える。
 呼び出される召喚獣は花の精。噴出すピンク色の霧をフィズはまともに吸い込む。
「んふふ♪どう?いつものより少しきつめにしてみたんだけど」
「やっ……あっ……やぁ……らめぇ……」
 花精の芳香はフィズの快楽神経を過敏にしていた。一種の媚薬的効果。近頃、いたすときはこれをよく使われる。
 どうやらこの魅了の術がミニスにとってのマイブームらしい。身体の火照りにフィズは身悶える。
「もう。フィズったら薄情なんだから。貴女のその生意気なおっぱいを誰が育ててあげたと思ってるのよ」
「やぁぁ……胸はぁ……らめぇぇ……許ひてぇぇ……」
 衣服をたくし上げられてフィズの胸は剥き出しになる。まだ成長途上にありながら十分な発育を見せる美乳。
 ミニスはわきわきとした手つきでつかみかかる。優しく触れながら愛でるようにミニスはフィズの胸を撫ぜる。
「んふ♪フィズのおっぱい……わたしが丹精こめてあげた成果よねぇ……こんなにも生意気に育っちゃって……」
「ひゃぁああ!ひあぁぁ……あっ……っは……ふぅ……はぁぁぁああ」
 魅了の効果で過敏にされた身体。それを嬲られて悶えるフィズ。白魚のようなミニスの指。
 それが乳肉に食い込む。探るような指先の動き。それはフィズの急所を捉えては適確に責める。つんと乳頭に触れる。
 たまらずフィズは喘ぐ。期待通りの反応に快くしたミニスはフィズの乳首をくにくに指の腹で弄る。
「ひゃぁぁああああ!やぁぁあああ!らめへぇぇ……ひくぅぅぅう!!」
「あははは♪フィズったらとってもエッチねえ。こんなによがっちゃって……んふ♪……このこのぉ♪」
 そう言ってむにむにとミニスはフィズの乳房を揉みしだく。フィズは吐息を洩らして甘く喘ぐ。
 するとミニスは今度はフィズの乳首を口に含みちゅうちゅうと音を立てて吸い付く。
「んっ…ちゅぅ…ちゅぅ…んちゅ……んふっ♪フィ〜ズ〜♪」
「らめへぇぇぇ!吸っちゃやらぁぁぁああ!!」
 涙目で訴えるフィズ。それに構わずにミニスは堪能する。乳房の味を。そして耳に響くフィズの喘ぎを。
 たまらなく愛らしいと思った。もっと喘がせたい。もっとよがらせたい。フィズの愛らしい姿を心行くまで楽しみたい。
 そんな欲求でミニスの脳は満たされていた。吸い付いてからしばらく、ようやくにしてミニスはその口を離す。
 そして既に朦朧としているフィズを見つめながら怪しく微笑む。
「んふふ♪フィズ、今日も貴女のことたっぷりと愛してあ・げ・る♪」
「……ミニスぅぅ……」
 妖艶な笑みを見せる親友にフィズはただ弱く呻くしかなかった。


 
 
 
「……ぁ……あぁ…………」
 愛しげに見つめてくるミニスの瞳。その視線が放つ光にフィズは完全に囚われていた。抗えない。
 かけられた魅了の術の性だけではなく、フィズの心自体が既に虜にされている。とうの昔に。
(やっぱり、あたし…………)
 認めなくてはならないのだろう。嫌がるそぶりを見せても本当は欲しがっているのだということを。
 こんな関係はマトモじゃない。理性では確かにそう思う。けれど身体は求めてしまっている。
 もう消すことが出来ないのだ。フィズの心と身体に刻み込まれたミニスの存在は。
「フィズ……んふふ♪……んっ……ちゅっ……」
「んっ!……んっ……うっ……」
 重ね合わされる唇と唇。侵入してくるミニスの舌は容易くもフィズのそれを絡めとる。
 感触を伝え合う互いの舌。交換される唾液。ミニスの口の中にはフィズが、フィズの口の中にはミニスが広がっていく。
 幼い日に交わした軽いキスとはうってかわり、濃密な快楽を二人して求め合う。
「んっ……んぅ……んっぷ……んんちゅ……」
「……ぅ……んむぐっ……んんっ……」
 接吻は随分と長い時間続いた。呼吸が許す限りをめいいっぱいに。鼻息がお互いの顔をくすぐる。
 絡み合う舌は濃厚にその味を伝え合う。口の中で混じりゆく唾液のように、二人の心と心も甘く溶け合う。
「ぷはっ……はぁ……はぁ……うふ♪」
「……ぁ……あふっ……っは……」
 長いキスを終えて、唾液まみれの口元で二人はお互いを見つめた。小悪魔の笑みを見せて微笑むミニス。
 そんなミニスをとろんとした眼でフィズは呆然と見つめる。もうなにも見えない。ミニス以外は全部。
 どこまでも無邪気なこの親友から、もう逃れらることはできない。フィズは確信する。
 そしてぱさり。ミニスは衣服を脱ぎ落とす。ミニスの裸身が露わになる。フィズは喉をならす。
 するり。フィズも脱がされる。同じく生まれたままの姿へと。もう抵抗しなかった。切なく見つめる。
 剥き出しの二人の少女がそこにいて、一方はくすりと微笑みかけてもう一方は伏せ目がちにする。
 すると金色の頭が緑色の頭に近づく。逸らした視線の先に合わせられる視線。なんとも雄弁な沈黙。
 それはどんな魔眼をも超える力で魂さえも捕らえて来る。緑の少女は頷く。金の少女は微笑む。
 そして交差する二つの身体。密着しあう肌と愛蜜に濡れゆく花弁。少女達の濃密な時間はこうして過ぎていく。





「あははは♪久しぶりに楽しかったわよねえ。フィズ♪」
「…………………………」
 無邪気に笑うミニスとは対照的にフィズは憮然としたまま顔を伏せる。
 ひとしきり励んだ身体はいまだに火照っていた。滲んだ愛密がいまだにフィズの股間を濡らしている。
 顔を朱に染めたままフィズはミニスからは目をそむけてひとりごちる。
(またミニスのペースに流された……しっかりなさいよ、あたし……)
 自己嫌悪に苛まれる。こんな爛れた関係を早く清算しようと心に決めてはいても、いつもこんな調子だ。
 一種の依存症なのだろう。本気で拒むことができないでいる。このままではいけないことは分かってはいるのに。
「んふふ♪やっぱりフィズはいいわぁ。ユエルも捨てがたいんだけど人肌恋しくなったときはやっぱりフィズよねえ」
「……っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
 その上、この親友は自分以外にも同性のラヴァーを何人もこさえて、そのことをはばかりもしない。
 色々と面白くない感情がむらむらとフィズの中で沸き立つ。そんなフィズに対しケロリとした表情でミニスは言う。
「あら、フィズったら焼餅?もう、しょうがない娘ねえ」
「べ、別に!あんたが誰と何しようがあたしには関係ないんだからっ!」
「あっ、そう。じゃあ帰ったら今度はラミのところに行こうっと♪あの娘にもそろそろイ・ロ・イ・ロ・教えてあげなくちゃ♪」
「ちょっ、ミニスっ!!それだけは絶対に許さない!」
「あら?だってさっき貴女、わたしが誰と何しても自由って言ったじゃない」
「ラミだけは別!あんた、ラミに手を出したらそのときは絶交だかんねっ!」
「はいはい。わかってるわよ。……ちぇっ」
 ミニスは舌打ちしながら肩をすくめる。実はラミもとうの昔にお手つき済みなのだがここは言わないでおこう。
「まあいいんだけど。妹の分の埋め合わせは姉の方にたっぷりと要求しちゃうんだから♪」
「げっ!……ミニス、あんたまた……ちょっ!よしなって!嫌ぁぁぁああ!!さっきしたばかりなのにぃぃいい!!」
「ふふふふふ♪離さないわよぉ。フィズ。今夜はもう寝かせてあげないんだから」
「やめてぇぇぇえええ!!誰か助けてぇぇぇえええ!!」
 哀れ、再びスイッチの入ったミニスにフィズはまたしても貪られる。助けを求めフィズは叫ぶのだが。
「ははははは。またやってるね。仲良きことは美しきかな」
「ちょっと度が過ぎてる気もするけどね……」
 もう毎度のことなので某魔王な誓約者をはじめフラットの面々の誰も気にしてくれない。フィズの叫びはただむなしく響く。
「あははははは♪フィズぅ〜♪にししし♪」
「嫌ぁぁぁああ!!許してぇぇええ!もう許してぇぇえええ!!嫌ぁぁぁあああああ!!」
 我が道突き進む姫君とその哀れな生贄の不良少女と、姫猫と不良猫のキャットファイトはまだまだ続く。
 フィズがこの倒錯の園から抜け出せるのは果たしていつの日か。頑張れフィズ。負けるなフィズ。
「もう嫌ぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!」


終わらない。ちゃんちゃん♪

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