のぞき屋@〜本人はのぞきではないと言い張る〜



駐在兵士にとって、毎日の見回りは欠かす事のできない大事な日課の一つだ。
このトレイユの街で大きな事件は滅多に起きないが、それでも用心に越した事はない。
特に、グラッドが念入りに行うのは朝と夕の見回りである。
朝はさわやかなミントさんの笑顔で一日が始まるし、
夕は『今日も一日ご苦労様です』なんて労いの言葉をかけてもらえたら、その日の疲れなんて吹き飛んでしまう。

―――――否、ちょっと待て。そんなやましい気持ちで巡回などしてはいない。
これは駐在兵士にとっての大切な日課なのだ。
蒼の派閥から派遣された召喚師といえど女性の一人暮らし、いつ何が起こるかわからないではないか。
彼女の家の周囲の見回りを念入りに行うのは必然的である。
もしかしたら、彼女が眠っている最中に強盗が押し入るかもしれない。もしも暴漢に襲われでもしたら…考えたくもない。
彼女にもしもの事などあってはならない。
だからこうして、グラッドは特別に深夜の巡回を行っているのである。

夜空に見事な満月が昇り、寝静まるトレイユの街に銀色の光が柔らかく降り注ぐ深夜。
垣根を越え、なるべく音を立てないように茂みをかきわけると、明かりが点いている窓辺が見えた。
淡いパステルカラーのカーテン。間違いない、あの部屋だ。
グラッドは窓辺の下に張り付くと、深呼吸をする。

これはのぞきではない。見回りなのだ。
真聖皇帝の名に誓って。


*    *    *


思い起こせば数日前。

グラッドが一日の職務を終え、一杯ひっかけてからほろ酔い気分でミントの家の前を通りかかった折、偶然この窓辺を見つけてしまった。
遠目であったがカーテンの隙間から見えていたのは、着替えるミントの後ろ姿だった。
瞼を閉じれば今でも思い出す、すらりとした背筋のラインと、ブラジャーのホックを外す仕草…。
だらりと鼻の下を伸ばしかけていたグラッドであったが、慌てて首を振り思考を振り払う。

やましい気持ちでここまで忍び込んできたわけではない。そう、これは見回りなのだ。
いつ誰がどこからのぞいている判らないのに、彼女も少し無用心ではないか。
心の中でそう呟きながら、グラッドはもう一度深呼吸をする。
―――――すみませんミントさん…これも、ミントさんのためなんです…!
そして、気配を殺しながらそっと窓を覗いた瞬間、そこに広がる以外な光景に思わず自分の目を疑った。


質素ではあるが綺麗に整理整頓され、清潔感溢れる部屋のベッドの上にミントは横たわり、
両腕を頭上で縛り上げられ、ベッドのヘッド部分に繋がれていた。
そして、ベッドに腰をかけ彼女を見下ろしていたのは、私塾の教師・セクターであった。
「どうして…こんな事をするんですか…?」
不安そうにセクターを見上げるミントの声はかすか震えている。
嘲笑うかのように、口元に冷笑を浮かべながらセクターは彼女の頬に手を添え、ふっくらとした唇を指先で撫でた。
「これは貴女が望んだ事でしょう?」
きゅ、ときつく目を閉じ、顔を逸らすミントの頬にセクターは唇を落とした。

「な…、な…、ななななな……っ」
なんだってぇ―――!?…といつもの如く叫びそうになるが、口を塞いで窓辺から離れた。
これはまさしく婦女暴行の現場ではないか。しかもか弱い乙女を縛り上げるなどと言語道断。
―――――何やってるんだよ中年教師!というかミントさんの清らかな頬に何て事を…!
心の中で悪態をつきながら、グラッドは手にしていた槍を構えて窓の格子に手をかけるが、ふとそこで思い留まった。
今ここで飛び出していけば、現場を押さえる事も可能であるし、ミントの危機を救う事ができる。
だが、何故ここにグラッドが居たのか、窓から侵入してきたのか――――どう言い訳をすれば良いのだろう。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━○月△日 ━━━━━

◇┃◆┃毎┃朝┃ト┃レ┃イ┃ユ┃新┃聞┃◆┃◇┃
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-:-:-:-:★スクープ!お手柄駐在兵士、婦女暴行犯を現行犯逮捕!!!★:-:-:-:-

昨夜未明、蒼の派閥の召喚師ミント女史宅に暴漢が押し入るという事件が起こった。
趣味ののぞきが興じて、騒ぎに気付いたトレイユの駐在兵士・グラッドが駆けつけ、事件は未遂に終った。
だが、逮捕された犯人は私塾の教師・セクター氏。
街の子供達に慕われる教師が何故、このような行為に走ったのか…関係者は驚きを隠せないでいる。

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☆ブロンクス家メイド Pさん
「ええ、驚きましたわ…まさか、グラッドさんがのぞき魔…じゃなくて、セクターさんがこんな事をなさるなんて…以前からお二人の仲は怪しいかも〜なんて思っていたんですよ。ちょっと強引ですけれど力ずくで想いを遂げようなんて、素敵じゃありませんか♪」

☆ブロンクス家長女 Lさん
「てゆーかさぁ、なんでグラッドさんが夜遅くにそんな所にいたわけ?…まさか、ミントさんの家をのぞいてたとか?」

☆宿屋「忘れじの面影亭」雇われ店長 Fさん
「のぞきなんて…おにいちゃん、サイテーね。」

☆宿屋「忘れじの面影亭」店員(?)Cさん
「のぞき、サイテー…かと。」

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―――――ちょっと待てえぇぇぇぇぇ!!!俺はのぞきなんてしていない!趣味でもない!
グラッドは蔑んだ目で見下ろす、ポムニットとリシェルとフェアとコーラルの幻影に向かって心の中で叫んだ。
しかし部屋の中の異変に気付き、音を立てないように再び窓辺に張り付いた。

セクターは必死に身を捩るミントの身体を押さえつけ、力まかせに衣服を脱がしていく。
「きゃあぁあっ…!」
弾け飛んだボタンが乾いた音を立てて床に転がり、ミントが悲鳴を上げた。
セーターは荒々しくたくし上げられ、ミントのたわわな乳房が大きく揺れながら現れる。

『お…、お…、おおおぅ……。』
夜毎、妄想していたものとは違う。白い肌と、淡く色づいた乳輪のコントラストが艶めかしい。
その圧倒的な質量に、グラッドは間の抜けた声をあげた。

セクターは片手でミントの身体を抱き寄せると、耳たぶを舌で弄びながらもう片方の手で乳房を揉む。
「…ぅん…っ……いやぁ……っ。」
ぐにぐにと揉みしだかれる度にミントは、溢れそうになる甘い声を必死に唇を噛んで耐える。
「声を聞かせてはくれないのですか?」
耳元に吐息を吹きかけながら低く囁くと、ミントはゆるゆると頭を振って否定した。
「…では貴女がいつまで我慢できるか…試してみますか。」
意地悪くそう呟くと、セクターは身体をずらし、ミントの両の乳房を掬い上げるように揉みながら肌に唇を落としていく。
「う…、くふ…ぅ……んん……。」
彼の舌が肌を滑る感触に、熱い吐息がかかる度にミントの身体の奥に切ない疼きが走る。
息を荒げ、羞恥心に顔を紅潮させながら耐える姿がいじらしい。
セクターはふっと小さく笑うと、勃ち上がり始めた突起を舌先でつつきながら、もう片方の突起も指の腹で転がしてやる。
「…やぁ…っ……駄目…っ…!」
敏感な場所を刺激され、ミントの身体がぴくん、と跳ね上がった。
その反応を上目遣いに見やりながらセクターは、わざと音を立てて舐り、摘むように刺激する。
卑猥な水音を立てて吸い付く様が、一層彼女の羞恥心を煽る。
硬くなって勃ち上がった突起を口に含み、柔らかく歯を立てるとミントはひん、と一際高く切ない悲鳴を上げた。

「あ…ぅ……っ…ふぅ……。」
拘束された手首に食い込む紐が、彼女が身体を震わせる度に軋んだ音を立てる。
眼前の行為を直視できず、視線を逸らしていたミントだが、ふと彼を見た瞬間目が合った。
私塾の子供達と接する時の、あの穏やかな表情は無く。今まで見たことも無い野性的な眼差しがそこにあった。
飢えた獣を思わせる動きで、セクターは舌を這わせていく。
「…〜〜〜っ…!!」
ぞくぞくと言い様の無い感覚がミントの背筋を走り、下肢の奥の疼きが止まらなくなる。
彼女の変化を感じとったのか、セクターは追い上げるように強く吸い上げた。
乳房を揉む手に力が篭り、柔肉に指が食い込む。
「やっ…ゃぁあっ…!そんなに、強く吸っちゃ…んぁ、ああ、あぁあああっ…!」
ミントの体内を燻っていた熱が弾ける。
堰き止めていたものが溢れ出すように、ミントは艶やかな悲鳴を上げ、身体を仰け反らせた。

―――――ミントさん、あんな声を出すのか…。
一連の行為を食入るように見つめていたグラッドの鼻から、一筋の鮮血が滴った。

セクターはミントの胸から顔を離すと、名残り惜しそうに口元から糸を引いて唾液が滴った。
濡れててらてらと光る、胸元が何とも艶めかしい。
荒い息を整えながら、漸く解放されたと安堵しているミントの上に、セクターが馬乗りに跨る。
「まだこれぐらいでは終りませんよ。」
「……え……?」
事態が掴めず、目をきょとんとさせているミントの目の前で、彼はおもむろにベルトを外し、ズボンの前を寛げた。
そして取り出される、半ば屹立した男性器。ソレから目を背けるミントの口元に、先端が押し付けられた。
「これが、これから貴女の中に入るんです。ほら、ちゃんと勃たせてください。」
「で、できません…!こんな状態じゃ…!」
「口は使えるでしょう…?手が使えないのなら、こちらがを使わせてもらいますよ。」
言うなり、セクターはミントの両乳房を鷲掴みにし、その間に自身を挟み込む。
豊満な柔肉が中心に寄せらて摺りあわされ、男性器を扱くように揺さぶられる。
セクターが軽く腰を律動させると、先ほどの愛撫によって濡れた乳房は、湿った音を立てて男根を包み込んだ。

―――――ミントさんのお、お、おっぱ……ゴホン、ミントさんの胸で何してんだよおっさん!!
窓に顔をべったりと張り付かせながら、グラッドは心の中で悪態をつく。
―――――羨ましい。マジで。俺も挟まれたい。
窓を隔てた向こうに、妄想ではなく本物のミントの豊満な乳房があるというのに。
ミントの胸にばかり気を取られていたグラッドであったが、セクターの股間を見てある事に気付いた。
―――――融機兵士の身体っていっても、以外と普段は普通なんだな…というか…。
思わず見比べてしまう、自分の股間。

…。
…。
…。

―――――男はサイズじゃない…!ハートが大事なんだ…!!
両手と股間にドリルを装備し、蔑んだ目で見下ろすセクターの幻影の前に、グラッドは膝をついた。


「…ミントさん?」
ぐいぐいと口元に先端を押し付けられ、漸く観念したようにミントは頭を上げて、先端に柔らかく口付けた。
そっと舌を出し、おぼつかない舌使いで裏筋を舐め上げ、滲み出してきた体液を塗り広げるように這わせる。
「…ふっ…ん……んむ…っ…ちゅっ、……ちゅる…っ…ん…っ…。」
「もっと舌を動かして…そう、そこを強く吸って…。」
促されるまま、唇で先端を挟み鈴口を強めに吸うと、微かにセクターが息を飲んだ。
「ん…ちゅぷ……ちゅ…ぢゅるっ……あむ……ん……んふ…っ…。」
強弱をつけて舌を動かし、唇を窄めて吸い付きながら、溢れてくる体液を啜る。
眉根を寄せ、苦悶の表情を浮かべながらもミントの舌使いは次第に大胆な動きへと変わっていく。
そこで一旦、セクターは彼女から離れた。
「あ…っ…。」
「もう結構ですよ…続きは下の口でしましょう?」
先走りの体液と涎で濡れた口元を拭ってやると、とろんと蕩けた表情を見せた。

すでに脱力しきった彼女の身体は、抵抗も弱弱しく、あっさりと下着まで脱がされてしまう。
女性らしい緩やかな曲線を描いた腰のラインと、淡い影を落とす中心部がセクターの前に曝される。
舐め回すように眺めていたセクターだが、閉じようとする彼女の膝を掴み思い切り開かせた。
「嫌…!見ないで…ください…。」
明るい部屋の中、彼の眼前に秘部が曝され、ミントは紅潮した頬を更に紅に染め、顔を背けた。
「見るな、という方が無理ですよ…まだ触れてもいないのに、こんなに…。」
指でそっと花弁を開くと、蜜が溢れて菊門まで滴る。
手袋を外し、蜜口に中指を差し込むと十分に潤ったそこは、難なくセクターの指を受け入れた。
「ぅ……んん…っ…!」
ゆっくりと抜き差しすると、肉壁がきゅっと収縮し、彼の指を食い締める。
中で捏ね繰り回すように動かす度に、湿った音を立てて溢れてくる蜜は指を伝って掌まで滴り落ちた。
「は…っ…あはぁ……んっ…。」
肉芽の包皮を剥き、親指の腹で摺りながらもう一本指を添えて潜り込ませると、ミントの太腿に力が篭る。
潜り込ませた指をバラバラに動かし、指先がとある一点を掠めた途端、彼女の腰がびくんと跳ね上がった。
引き抜いた指はべったりと蜜に塗れ、セクターの指を濡らしていた。

「…いきますよ。」
すっかりなすがままとなっているミントの足を抱えると、セクターは己の先端を秘裂に押し当て、馴染ませるように摺る。
その感触に、びくりとミントの身体が震えるが、抵抗は無い。
息を詰め、セクターがゆっくりと腰を押し付けると、濡れた音を立てて彼女の中に埋め込まれていく。
「う……ぁ、……ぁあああぁ…っ…!」
亀頭を埋めると、そのまま一気に奥まで侵入する。身の内に広がる、彼の感触にミントの顔が快楽に歪んだ。
人間よりもやや温度の低い体温に、力強い感触。
荒い呼吸の度に大きく弾む、豊満な乳房を揉みしだきながら、セクターは円を描くように腰を揺らし彼女の中を味わう。
さんざんに焦らされたミントの中は、彼が動くたびに離すまいと健気に絡みつく。
「あ…、ぁあ、あん…っ…はぁ…あぁあ…っ…。」

―――――うわ…ミントさん、あんな声で…あんな顔…するのか…。
甘い溜息を洩らしながら淫らに微笑むミントから、すっかり目が離せないグラッドであった。
辛抱たまらん。
その手はすでにズボンの帯を解きにかかっている。

「あぅ…、あ…ん…、あぁ…ぁ…あ…っ…は…。」
彼の動きに合わせ腰を揺らして喘ぐミントに、セクターの口元に笑みが浮かぶ。
緩やかなストロークで挿出すれば、湿った音を立てて心地よく肉壁が締め付けてくる。
身体を折り曲げ、しっとりと汗ばむミントの頬に、首筋に、鎖骨へと唇を落とすと、彼女が甘えるように鼻をならした。
そこで一度律動を止めると、ぎりぎりまで引き抜き意地悪く問いかける。
「中と奥…どちらが良いですか?」
「…え?…あ…。」
それまで身の内を満たしていたものが無くなり、ミントはつい物欲しそうな声を出してしまった事を恥じるが
身体じゅうを駆け巡る甘い疼きに、もはや形振りを構ってはいられなかった。
「…奥が、いいです…奥を…めちゃめちゃにして…ください…。」


―――――ミントさんをめちゃめちゃにって…!めちゃめちゃにってぇぇぇ…!!どどどどどこを!!!
恥じらいながらも過激な言葉を口にするミントに、グラッドの興奮も限界だった。
ズボンからすっかり膨張した自身と取り出した所でふと、足元に青い毛並みをした生き物がいる事に気付いた。
「…ムイ。」
「…ん?」
いつの間にかちょこんと佇んでいたオヤカタが、とんでもなく不機嫌そうな顔でグラッドの股間を凝視していた。
「や、やあ!こんばんは、オヤカタ♪」
「…ムイムイ…。」
とりあえず、グラッドは爽やかな笑顔で挨拶をしてみる…が、ますます不機嫌そうな顔になっていくオヤカタが、腕をぶんぶんと振り回しながら後ずさり、地面の土を蹴って勢いをつける。
その姿はまるで標的を見つけた闘牛のようだ。

「うわ、うわわわ、のわぁぁああああああぁぁぁぁあああああ!!!!!」
「―――――ムギィィィィイイイ!!!!」
CRITICAL!!


*    *    *


「いやらしい女(ひと)ですね、貴女も…。」
苦笑まじりに呟きながら、セクターは彼女の腰を抱えて浮かせると、絡みつく肉壁に強引に逆らうように最奥まで侵入する。
そのまま激しく腰を使い、再び律動を開始した。
「ふぁ…ぅ…!はぁあ…、あ…っ…あ…っ…、んあ…!」
待ち望んだ熱にミントの内壁はびくびくと小刻みに震え、結合部分からは止め処なく蜜が溢れて滴り、シーツに幾つもの染みを作る。
セクターは膝を立て、結合部分をミントに見せ付けるように腰を激しく打ちつけた。
より一層深い挿入感に身体を仰け反らせる、彼女の青い瞳から歓喜の涙が零れて頬を伝う。
「あぁ…っ、あ…っ、あっ、セクターさ、ん…、もう…、あ…ふぁ…っ…駄目…っ!」
セクターを締め付ける彼女の内壁がびくびくと震えながら収縮し、彼を快楽へと導く。
ミントの足を抱え直し、肩に担ぐと彼女の敏感な場所を狙って突き上げながら、彼女を導いてやる。
「あぁ…!う…ん…っ!はぁあっ…!あ、あああっ…っ!やぁ…っくる…っきちゃ…う…!」
「っ…!ミントさん…ッ!」
「うあ…っ!ん…あぁぁあ…っ!や…はぁ…っ!あ…あぁあ…!あああぁぁぁあっっ!!」
ミントの身体が二、三度大きく震え、脱力するのと同時にセクターもまた、彼女の中に欲望を吐き出した。

息が落ち着くのを待ってからミントの身体から離れると、秘裂の割れ目から情事の名残が溢れてきた。
セクターは苦笑交じりにそれを見やりながら、ヘッドに繋がれていた彼女の腕の拘束を解いてやる。
「…大丈夫ですか?」
強い快楽に半ば放心状態となっているミントの顔に、何度も柔らかく口付けながら汗で張り付いた髪を梳いてやる。

「大丈夫です……セクターさん、本気で迫ってきたから…ちょっと怖かったけれど、ドキドキしちゃいました…。」
ミントは頬を赤らめて恥ずかしそうに俯きながら、ようやく解放された腕を彼の首に回し、確りと抱き寄せる。
「たまにはいいですよね、こういうのも。もっと激しくても大丈夫でしたよ?セクターさんにだったら私、どんな事をされても…。」
「ミントさんが望むのなら…。」
甘い口付けを交わしながら、情事の余韻を楽しむ。
ようやく熱が冷めた頃、ミントがぽつりと呟いた。
「…そういえば、さっき窓の外でグラッドさんの声がしませんでしたか?」
「気のせいですよ。」

即答。

「こんな夜分遅くに外をうろつくなんて、強盗かのぞきの類でしょう。」
「強盗、のぞき…。そんなぁ…。」
不安そうな顔を見せるミントを抱き締め、安心させるように柔らかく頭を撫でる。
「大丈夫です、貴女には私がついていますから。」
「セクターさん…。」
ミントは嬉しさに瞳を潤ませ、暫しの間セクターを見つめる。そして二人、どちらともなく唇を重ね合わせた。
「セクターさん…もう一度…。」
脱ぎかけていた衣服を脱ぎ捨てると体位を入れ替え、今度はミントがセクターの上に乗る形となった。
豊満な乳房を彼の厚い胸板に押し付けながら、ミントは彼の唇を甘く食んだ。
「さっきのお返し…いっぱいしちゃいますよ?」
「お手柔らかにお願いしますよ、ミントさん。」
そして二人の身体は再び、重なる。
どこか遠くの木の上でホロホロが鳴いていた。夜はまだ明けない。



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-:-:-:-:★スクープ!駐在兵士、暴漢に襲われる★:-:-:-:-

今朝未明、蒼の派閥の召喚師ミント女史宅近くの路上でトレイユの駐在兵士・グラッドが倒れている所を近隣の住人が発見した。すぐに病院に運ばれ手当てを受けたが、命に別状は無いという。
しかし頭部を強打しており、意識はあるものの事件の事を全く覚えていないらしい。
街の住民に慕われる駐在兵士の身に一体何が起こったのか。一刻も早い回復を願っている。

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☆ブロンクス家メイド Pさん
「この所、深夜になると不審な人物が街をうろついているっていう噂を耳していたのですよ。グラッドさん、きっと深夜までがんばって巡回して、不審人物と間違われちゃったんじゃないでしょうか…。えっと、誰にですかって?それはそのぉ…ねぇ♪」

☆ブロンクス家長女 Lさん
「がんばるのもいいけれど、倒れてちゃ元も子もないじゃない?」

☆宿屋「忘れじの面影亭」雇われ店長 Fさん
「お兄ちゃん、この所やけに気合い入ってたからなぁ…後で、美味しい差し入れ作って持っていってあげようっと。」

☆宿屋「忘れじの面影亭」店員(?)Cさん
「…がんばりすぎ、かと。」

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「どうしたの?今日は随分とご機嫌だね、オヤカタ」
「ムイ♪ムイ♪ムイ〜!」
痛む腰をさするミントに向かって、オヤカタが元気よくガッツポーズをとってみせた。


おしまい。

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