Holiday with lovely rabbit



「んぅ……う……」
 朝に目覚める。するとライは重みを感じた。なにかが自分の身体に圧し掛かっている。
 それは何か。寝ぼけ眼をひきしめながらライは見やる。
(なんだ……リシェルか……)
 もたれ掛かるモノの正体。それがリシェルであることを確認してライはひとりごちる。
 自分の胸を枕にすうすうと寝息をたてるリシェル。それを見つめてライは息を洩らす。
(そういや昨日は泊り込みだったんだよな……コイツ……)
 まだ眠気から冷め切らないボンヤリとした頭でライは思い返す。久しぶりに泊り込みで手伝いに来てくれたリシェル。営業終了後はこれまた例のごとく互いを求めあった。
 しっぽりと楽しんだ。それはもう思い出すだけで赤面してしまうほど甘く濃厚に。
 そうするうちに二人して寝入ったようだ。同じベッドの上、生まれたままの姿で抱合って。
(しかし……いい加減に重いな……)
 ヒト一人分の重み。流石にそれなりのものはある。上から被さるリシェルの重みにライは顔をしかめる。このままでは身動きがとれない。
(そろそろ起こすか……このままじゃ朝飯つくれねえし……しかし……)
 リシェルを起こそうとしてライは躊躇う。理由としては無理に起こしてリシェルの機嫌を損ねたくは無いというのがまず一つ。それと……
(……ダメだ……やっぱコイツの寝顔……可愛すぎ……)
 もう一つはあまりにも愛らしいリシェルの寝姿。それをもう少しだけ眺めていたいという素直な欲求からであった。リシェルの寝顔。寝息。どれも愛らしい。とりわけ中でも。
「……ん……んふっ……えへへ……」
 時折つぶやかれる寝言。それはいつものツンツンと突っ張った意地がデレデレに溶けて。
「えへっ♪……ライ……すき……らいしゅきぃなのぉ……」
 甘々なつぶやきをしきりに繰り返す。聞きながらライはぐっとかみしめる。
(起こせるわけがねぇ……)
 心の中でそう呟きながらライは眠りこけるリシェルの背をなんども優しくさすった。

「な〜にグズグズしてんのよ。ほら。さっさと貰った野菜、店まで運ぶわよ」
 起床後、明るくなった朝空の下で今日もリシェルはいつもの調子であった。
「いちいち急かすな。だいたいオマエが中々起きねぇから……ってコラっ!一人だけ先に帰ろうとすんなっ!」
 相変らずのハイテンションに付き合わされるライは狼狽を見せる。
 そんな二人の様子を傍で見ているミントはクスクスと笑みをもらす。
「……ったく……少しは落ち着くってことできねえのかあいつは……」
「うふふ。相変らずだね。二人とも」
 頭に手を当て溜息を吐くライ。ミントは声をかける。相も変らぬ二人のやりとりにニコニコと微笑ながら。
「悪いな。ミント姉ちゃん。ろくなお礼もできなくて……」
「いいよ。いいよ。その代わりにウチのお野菜さんたちを頑張って美味しいお料理にしてあげてね」
 にっこりと微笑みながらミントは言う。勿論だとばかりにライも頷く。するとミントは付け加える。
「それとライ君。女の子はすごくデリケートなんだからちゃんと大事にしてあげないとダメだよ♪」
「ぐっ…………」
 付け加えられた言葉にライはぐうの音も出なくなる。軽く呻きながらライはミントを見る。
 するといつものニコニコ顔。こりゃ何もかもお見通しだなとライは白旗をあげる。
「リシェルちゃんはあの通りの娘だから……ライ君の方がちゃんと気をつかってあげないとね♪」
「あ、ああ……分かってる……」
 念を押される自身の役割。デジャブを覚えながらライはコクリと頷く。同じことは何度も聞かされている。
 あのおじょうさま熱烈LOVEの半魔メイドから。
(狭い町だからな……知り合いにはすぐに行き渡るんだよなあ……)
 自分とリシェルがつきあっていること。親しい者には全部知れ渡っている。広めたのは当然あのメイド。
 このトレイユはおろか帝都にいるルシアンや、遠くの聖王国にいるかつての仲間たちにも周知である。
 そうしてありがたく頂戴した『トレイユ1のバカップル』の称号。気恥ずかしいことであるが否定もできない。
 二人だけのとき以外はライもリシェルも、人目を気にしてあまりベタベタしてはいないのだが。
(分かり安すぎるんだよなあ……あいつも……オレも……)
 それでも傍から見ればバレバレなのだろう。どう取り繕っても身に纏う空気で一目瞭然。
 かといっていっそ開き直るには自分もリシェルもまだ若すぎるとライはひとりごちる。
「んじゃあ今日もありがとうな。ミント姉ちゃん。また新作メニューできたら一番に持ってくるから」
「うふふ。期待してるよ。頑張ってね。ライ君」
 そうしてミントに礼を言いながらライは面影亭へと帰る。その後ろ姿に手を振って見送りながら、ミントはクスリと微笑んで付け足すように呟く。
「いろんな意味でね♪」
 その呟きが届いたのか届かなかったのか。町外れの宿屋前では店主が盛大にくしゃみをあげた。


「ん〜〜〜〜♪美味しいぃぃ〜〜〜♪」
 定休日の食堂のカウンター。並べられた新メニューの数々にリシェルは舌鼓を打つ。
 新作メニューの品評会。休みの日も料理の研究には余念が無い。
「オマエな……ただ旨いとか美味しいとかじゃなくてちょっとはマトモな批評をしろよ」
「なによ。素直に美味しいって褒めてあげてんじゃない。それに心配しなくたって大丈夫よ。
 なんてったってこのリシェル様が太鼓判押してるんだからさ。絶賛大人気間違いなしって♪」
 あまり当てにはならなそうな審査にライは頭を抱える。これでは品評会の意味が無い。
 自分のつくった料理をリシェルに美味しいと褒めてもらえるのは素直に嬉しいけれど。
「んじゃあせめて特にいいと思ったやつをいくつか上げてくれよ」
「そうね。えっと……アレなんかいいんじゃない?でもアレも捨て難いし……いやいやアレもブツブツ……」
 どうやら選考は難航しそうだった。ライは溜息を吐く。今度、ポムニットが手伝いに来たときに相談しよう。
 そう心に決めながら締めのデザートの準備にライはとりかかる。
「何それ?うわぁ……カワイイ♪」
 横から覗き込むリシェルは感嘆をあげる。デザート皿の上の雪ウサギの形を模したスノーフローズンに。 
「盛り付けをちょっと工夫してみた。これなら若い女性客や子どもに好評だろ」
「うんうん。そりゃもう当然、好評、絶賛、筆舌に尽くし難しよ!いいじゃん。それ。採用決定!」
 陽気にはしゃぐリシェル。その好評を受けライも照れくさそうに顔を綻ばす。とりあえず見た目は合格。
 それならば後は味の問題であるのだが。
「そんじゃあさっさと食って感想を聞かせてくれよ」
「……えっ!?」
 すると一瞬、リシェルは固まる。
「食べ……ちゃうの?コレ……」
 皿の上の愛らしい雪ウサギ。指差しながらリシェルはぎこちなく尋ねる。
「そんなの当たり前だろ。食べなきゃ試食にならねぇし」
 当然だとばかりにライは応じる。するとリシェルはプルプルと肩を震わしだす。
「ん?どうした?」
 ライは眉をひそめて尋ねる。次の瞬間、リシェルは一気に吐き出す。
「何で!何でよ!!こんなにカワイイものを食べちゃうだなんてあんまりじゃない!可哀想じゃない!残酷じゃない!」
 あまりものリシェルの剣幕。ライは思わずずっこける。
「……あ……あのなあ……」
 それでも気を取り直しすぐに身を起こす。ライはこめかみを押さえながら言う。
「食べなきゃ話になんねえだろうが!ウチは食い物屋だぞ!」
「関係ないわよ!そんなの!カワイイものを愛する心がアンタには足りてないって言ってんのよ!」
 リシェルは言い返す。あまりにも愛らしい雪ウサギのデザインがリシェルのウサギ好き魂に火をつけていた。
「知るか!そんなの!ツベコベいわずにさっさと食え!
「絶対にいーやーっ!!」
「もういい。オマエが食わないんならオレが自分で食う」
「あ〜〜〜!頭からパックリ食べたぁぁああ!この鬼!悪魔!鬼畜外道!人でなしっ!」
「そこまで言うか!オマエ、いい加減にしろ!」
「何よ!この分からず屋!トウヘンボク!」
 とまあ些細なことから品評会は口喧嘩大会へと様相を変える。本日得た教訓。可愛いすぎるデザインは見た目には好評ではあるが、その可愛いさゆえに食べるのには抵抗がある事。今後は気をつけよう。


 長く続いた囀り合い。久しぶりに派手にぴーちくぱーちくやらかした。やりあってる内にお互いに気づいた。
 そんなやり取りさえも楽しんでいる自分達に。馬鹿馬鹿しくて思わずふきだした。二人で腹を抱えて大笑いした。
 雨降って地固まる。ふいにそんな鬼妖界の格言を思い出した。それならば今、為すべきことはただ一つ。
「……んっ…………」
 瞳を閉じて、二人は甘く溶け合っていた。唇に感じる柔らかな感触。舌先で溶け合うお互いの意識。
 抱きしめるその手は背を優しく何度もさすり、抱きしめられる身体はその身を従順にも任せる。
 吹きかかる鼻息。顔をくすぐる。こんなにも近く。肌で感じる。お互いの温もり。こんなにも温かい。
 長く、長く溶け合う。絡む舌肉。混じり合う唾液。熱したチーズのように、意識が蕩けたところで。
 瞳を開く。そのまま見つめ合う。優しく。そして愛しく。
「んっ……あ……」
 重なった唇を離す。リシェルはまどろんでいた。舌に残る甘く濃厚な感触を反芻しながら。
「なんかさ……いつもよりすごく甘い……」
 うっとりした表情でリシェルは呟く。するとライは軽く鼻を鳴らす。
「さっきのデザートのせいだろ……」
 ぶっきら棒にライはそう呟く。ムードがないと頬をぷくっと膨らませるリシェル。けれどお互い気づいている。
 それぞれの舌で確かに感じたあの甘味。それを生み出す源がいったいなんであるのかを。
「えへっ♪」 
 リシェルは微笑む。なんとも愛らしい笑みだった。ライはあてられる。ふいに抱きしめる手に力がこもる。
 そのままパクリと食べてしまいたい。この愛くるしい雌ウサギを。自分はオオカミであるとライは確信する。
「ちょっ……こらっ……このスケベ……」
「あっ……悪い……つい……」
 意識よりも手のほうが先に動いていた。ライの手はいつのまにかリシェルのコートの中にモゾモゾと潜り込む。
 それを窘めるとリシェルはフッと笑いながらライに呟く。
「続き……しよっか……」
「ああ……」
 そうしてピッタリ重なった二つの影は食堂から客間へとその姿を移す。互いに睦み合うのにより相応しい場へと。


 ふわり。擬音を立てて身体はベッドに沈む。干したての布団のフカフカな感触。リシェルは背中で味わう。
「ふわぁ…………」
 そのまま寝てしまいたくなるほどの心地よい感触だった。けれど寝かせてはくれないのだろう。
 今リシェルの目の前にいるこの盛りのついたケダモノさんは。
「うるせぇ……」
 心の声が聞こえたのか照れくさそうにケダモノは呟く。クックと笑うリシェル。ライは苦笑しながら息を吐く。
「んっ……ん……」
 そうしてリシェルはケダモノに身をゆだねる。ぱさり。まずはコートを脱がされた。丁寧にも皺にならないように洋服かけにかけられる。つづいて帽子。トレードマークのウサギ帽子。とられたリシェルの頭は少し寂しくなる。
 するとライはその代わりとばかりに露わになったちょっと広めのリシェルのおでこに軽くキスをする。
「もう!」
 軽く膨れるリシェル。でも心の中は嬉しさでいっぱいだった。ライも微笑む。
「よい……しょっと……」 
 続いてタンクトップ。次にズボンとリシェルの皮をライは剥ぐ。同時に自分の衣服も脱ぎ捨てる。
 そうして終には可愛らしいウサギパンツ一枚のリシェルとトランクス一丁のライの姿がそこにあった。
「ほんとにウサギ好きだな……オマエ……」
「いいじゃない……別に……」
 膨れ顔で呟くリシェル。カワイイ奴めとライはニヤリとする。リシェルにウサギは本当によく似合う。
 ウサギのように明るく、そしてウサギのように寂しがりやの愛らしい少女。狙う獣は舌舐めずりする。
(今日はたっぷりと新作メニューを試食させてやったからな……)
 餌付けして丸々と美味しく肥えさせた雌ウサギ。極上の食材を前にシェフは目を光らせる。
(今度はオレがオマエを食べる番だ)
 心の中で呟きながらライは気恥ずかしくなる。自分でもアホとしか思えないような台詞。
 リシェルの前では自然と頭に思い浮かぶ。
(本当に重症だな……オレ……)
 ライはひとりごちる。胸の中でトクトクと高鳴る想いを確かめながら。


「あっ…ひやっ…あふっ…ふぁっ……」
 あまり広くはない二人用の寝室。リシェルの声はよく響く。愛でる指はそのままに、ライはその喘ぎに聞き惚れる。
「ふぁぁぁっ……やぁぁ……らめぇぇ……そこ……弱いのぉ……」
 リシェルは涙目で喘いでいた。丹念にほぐされる乳肉。その突起をライの親指はくにくにと弄る。
 転がされる乳首。ライは時折吸い付く。ちゅうちゅうと音を立てて啜る。リシェルはまた喘ぐ。
「やぁ……吸っちゃ……やらぁ……ひぃんっ……」
 口に含んだニプル。程よい硬さのある弾力を唇で感じる。舌先で弾く。ちゅぱちゅぱと唾液で濡らす。
 そうすると愛撫を受けた乳頭は少しだけぷっくりとして、艶のよい光沢を放つ。
「……ぁぁ……ジンジンするぅぅ……おっぱひ……弄られてるらけでへぇぇ……」
 脳も蕩かす甘美な痺れ。とりつかれたリシェルの舌は呂律が怪しくなる。舌べろだけではない。
 リシェルの身体のあちこちが熱をもった疼きに支配されている。じわりと滲む。それは汗か。
 はたまた愛欲の証か。ライの指先はなぞる。とろりとした蜜をすくう。
「ははっ……もうこんなになってやがる……」
 ねっとりと指に絡むとろとろの愛蜜。それを見つめてライは軽く微笑む。
「うぅぅ……誰の……せいよぉ……このケダモノぉぉ……」
 リシェルは涙目で唸る。そんなリシェルの様子にライはニヤリとして言う。
「ケダモノで結構。たっぷり可愛がってやるからな。リシェル」
「うぅぅ……この変態!スケベ!色魔!」
 耳に響く罵りの言葉。それさえもなんだか心地よかった。さりとて煩い口だ。塞いでやれ。
「んぅ……んっ……」
 そうして唇を唇でまた塞ぐ。なんとも柔らかな感触。口の中で舌がちろちろつつきあうのもまた堪らない。
 深く交わす接吻。その間も愛撫の手は休めない。愛液で湿ったウサギパンツ。その上から指で肉豆を擦る。
 ビクッと反応するリシェル。その身体を片手で強く抱く。抱きながらもう一方の手で愛撫を続ける。
 愛蜜で濡れる布地ごしに、秘肉を弄られるのにリシェルは弱い。パンツの布地ごと指を膣内に滑り込ませる。
 膣肉を生地で擦られてリシェルはまたビクビクと震える。そんなリシェルを腕にしっかり抱きしめながら、ライは口内でもリシェルをとらえて離さなかった。唾液塗れの舌肉同士。絡み合いながら甘く溶け合う。
「んっ!……んぅぅ!ん〜〜〜〜!!んうっ……んぅぅっ!」
 執拗なまでの愛撫とキス。リシェルは何度も逝かされる。それでもまだまだ足りないとばかりにライは続ける。
 長い時間。本当に長い時間だった。いい加減、鼻で息をするのも苦しくなってきた。それでもまだ足りない。
 この正真正銘の筆舌に尽くしがたい美味を己が舌に焼き付けるには。
「ぷはっ……はっ……あぅ……はぁ……はぁ……ぁ……」
 ようやくにして解放。涎まみれでベトベトのリシェルの口元。ベトベトなのはそれだけにはあらず。
 リシェルから滲み出した愛蜜にウサギパンツもぐっしょりと濡れて、下着としての用をなさない。
 最後の一枚であるそれを剥ぎ取る。するとその下の肉は既に準備を整えていた。
「んぅっ……っく……うぅ……んぅぅ……」
 剥き出しの秘肉を晒されてリシェルは恥らう。ライは喉を鳴らした。下拵えは済んだ。
 ここからが本番。料理人の腕の見せ所であると。

 ウサギ肉は既に味付けされていた。雌ウサギ自身から滲み出る極上の愛蜜ソースによって。後は火を入れるだけ。
 やはり串焼きだろう。中から熱を加えることで本当の食べごろとなる。トランクスを脱ぎ捨て串を用意する。
 それはもう立派な金串だった。ウサギ肉を貫こうとビンビンにそそり立っていた。その串を肉穴に宛がう。
「んぅ……んっ……」
 軽く身体を強張らせリシェルは覚悟を決める。宛がわれた肉根。カウパーに濡れる先端が秘肉をなぞる。
 ゾクゾクっと痺れるような快感が背をはしりぬける。けれどこんなものではない。これから味わう快楽は。
(やみつきになっちゃってる……あたし……)
 股間が疼く。疼いて疼いてしょうがない。この疼きをリシェルは一刻も早く止めてもらいたかった。
 それを遙かに凌駕する快楽によって。まだか。待ちわびる。くにゅり。先端は軽く埋没する。
「リシェル……いくぞ……」
 腰を押し込む前にライは声をかける。リシェルはコクコクと首を振って頷く。上機嫌にライは口の端を吊る。
「んぁ……くぁぁ……」
 ゆっくりと挿入は行われた。実際はそれほど遅いわけではない。だがリシェルにはおそろしくスローに感じられた。
 入ってくる。自分の中にライが。圧力を感じる。自分の膣の中で。より深く、より奥へと侵入するライの存在。
 それを自分の胎内で感じてリシェルは悶える。
「あっ……はぁ……あうっ……んっ……んぅぅ……」
 意識して膣肉をキュッと締める。するとどうしたことか。狭い膣内を肉根は掻き分けてくるではないか。
 たまらない。一つにされている。これがセックスをするということ。
「あぁぁ……はぁぁ……あはぁぁ……くふぁぁぁ……」
 ゾクゾクと悶えるような悦びに打ち震えていた。ペニスの挿入。その行為だけで。思考は真っ白になる。
 身も心も全て、とろとろに溶けきってしまうほどに。
「どうだ……リシェル……」
 肉根が全部入りきったところでライはリシェルに声をかける。
「……気持ちいいか?」
 そう尋ねるとリシェルはまたコクコクと首をふる。声は出せない。押し寄せる快楽の波に耐えるのに必死で。
 嬉しさがこみ上げてきた。やはりいいものだ。大好きな人を悦ばせられるということは。
(いつもはオマエにばかり頑張らせてるからな……たまにはオレが……)
 ライは優しく微笑む。リシェルとのいつもの営み。懸命になって奉仕するのは大抵リシェルの方だった。
 愛するライに最高に気持ちよくなってもらうため。肌を重ねるごとにリシェルは確実に技を向上させていた。
 そんな風に尽くしてくれるリシェルをより愛しく思った。お返しがしたい。自分がリシェルを悦ばせてあげたい。
 そう意識してライは腰を動かす。自分の快楽のためでなくリシェルを気持ちよくするために。
「ふぁぁぁあ!……あっ……はぁぁぁぁっ!……くっ……うぅぅ……」
 小刻みに動く律動。すると肉竿も膣壁を擦る。カリ首は探り当てる。リシェルの急所を。どこだ?ここか。
「ひあぁぁぁぁああ!あひっ……ひぃぃぃいい!!」
 ビンゴ。ひときわ大きな嬌声をリシェルは上げる。するとライはその箇所を重点的に責めるような腰使いで男根を動かしてリシェルを愛でる。悦び喘ぐリシェル。たまらない。心が満たされる。
「くぅぅ……リシェ…ルぅ……」
 相も変わらずリシェルの膣内は温かい。心地よい締め付けに蕩ける自身。覚えた射精感にライはよろめく。
 けれどここはまだ我慢だ。もっとリシェルを気持ちよくしたい。
「リシェル……リシェルっ……」
 こみ上げる射精感に耐えながらライは腰を動かす。温かいリシェルの肉蓑。それはライにとっても至上の楽園。
 膣奥まで深く突く。蠢く膣肉を竿でこする。いつもみたいに激しくではなく優しく。そうすることでより強くリシェルを感じとる。安らぐような一体感。心が落ち着く。こんなSEXもいい。心からそう思える。
「うはぁぁぁ……はひぁぁぁ……あひっ……はひっ……ふぁぁ……はうぅぅぅ……」
 そんなライの試みにリシェルもすっかりほぐされる。絶え間なく押し寄せる快楽。あまりにも甘くて濃厚。
 滾るような激しさではなく、ねっとりと包み込むような愛を感じる。愛されている。その事実がなによりも嬉しい。
「はひっ……あふぁぁ……はっ……ふぁぁ……ライぃぃ……」
 濡れた瞳でライを見つめる。びっしりと額に汗を滲ませてながら愛してくれるライ。たまらなく愛おしかった。
 だから欲しかった。形のある愛の証を。受け止めてあげたかった。自分の胎内で。
「お願ぁいぃ……らして……あたひの中に……いっぱい……射精してぇぇ!」
 膣内射精を自分からねだる。ライは嬉しそうに微笑む。そして抑えていたものをリシェルに解き放つ。
「ふぁぁぁっ!あっ……あふっ……くぁぁぁぁああっ!」
 長く堪えていたせいかいつも以上の多量の精液がリシェルの子宮に流れ込む。
「んぅぅぅ……くはっ……あふっ……はっふ……くふぁぁぁぁ……」
 ビクビクと響く脈音。お腹の中が温かい。確かな幸せをリシェルは感じる。愛する人に愛されたという幸せ。
「んっ……はっ……はぅ……はぁ……あっ……んむっ……」
 その名残の冷めぬうちに新たな幸せに包まれる。重ねられる唇。ギュッと抱きしめる二本の腕。
 とてもたくましくて。そしてとても優しい。
「ぷはっ……はぁ……はぁ……」
 唇を離して数瞬、その優しさと愛しさの塊をリシェルは見入る。するとそれは微笑みかけて言ってくる。
「たまにはいいだろ。こういうのも」
「……うん……でも……」
 ライの言葉にリシェルは頷く。だがリシェルは付け加える。
「次はもっと……激しく…して……」
 ポソリと呟く望み。すると一転、眼前のケダモノはハァハァと息を荒くする。
「う、うぉぉぉぉおお!リシェルぅぅぅ!!!」
「だぁぁぁあああ!だからいきなり発情すんなっ!この馬鹿ぁぁぁっ!!」
 かくて二人の愛の間に今宵もパコーンと乾いた音はよく響く。愛し合う二人の営みはこうして今日も積み重ねられていく。


「すぅ……すぅ……すぴー……すぅ…すぅ……」
 胸の上で遠慮なくたてられるリシェルの寝息。聞きながらライは息を吐く。
(ちっとも寝られやしねぇ……)
 スヤスヤと自分を抱き枕に眠るリシェルを見つめてライはぼやく。いい気なものだ。
 こちらは重たいのやらなんやらで一向に寝付けないというのに。
(それにしても激しかったな……今日のコイツ……)
 思いかえす。先程までの情事を。あれからも心行くまでリシェルと交わった。
 主導権を握ったのはリシェル。騎乗位に跨りながらおおいによがり腰をふるってくれた。
 最初のが効きすぎたのだろうか。この雌ウサギは普段以上に発情して激しく求めてきた。
(まあ、こっちも人のこと言えないけどな……)
 そんなリシェルにライもライで応じていた。結局したのはいつものケダモノセックス。
 本当に成長しない。いつまでたっても。
(まあいい……終わったことは……それよりも……)
 ひとりごちにケリをつけてライはジロリ見る。それは当然、安穏と眠るウサギ娘に。
(いい加減に重いぞ……)
 朝方と同じぼやき。それをライは胸の中で呟く。ああ、起こせるものなら叩き起こしてやりたい。
 けれどそれは無理。理由は決まりきっている。
「むにゃむにゃ……らい……しゅき……らいしゅき……あいしてるのぉ……むにゃ……えへっ……」
 時折つぶやかれる反則級の寝言。オマエ絶対起きてるだろ!と突っ込みを入れるのをライは堪える。
 起こせるわけがないじゃないか。こんな幸せを自分から放棄するだなんて。
(ダメだオレ……本当にダメダメだ……)
 自分への情けなさのあまりライは溜息を吐く。けれど同時に腕の中にあるこの幸せもかみ締める。
(これからも頑張ろう……コイツとずっと一緒に……幸せでいられるように……)
 そうしてライは子守唄代わりにリシェルの背を朝と同じく優しくさする。胸に抱きしめた幸せの塊。
 それを心から愛しく慈しみながら。


〜fin〜

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