太陽が呼んでいる



「よいしょっと……」
 明け方。まだ日の光も差し込まない薄暗い船室。そこに様子を伺いながらこそこそと侵入する影が一つ。
「どれどれ……よっし、まだ寝てる。うししし。今のうち……今のうちっと……」
 暗がりの中で影は標的を狙い定める。ぐうぐうといびきを立てて熟睡するそれ。おもむろに近づく。
「さあてと……えい!」
 ぺろん。擬音を響かせながら皮を剥ぐ。すると中からはむっくり。今朝も元気のいいモノが姿を現す。
「それじゃあ今日もいっただっきまあす♪あははは」
 お目当てのお宝に影は舌なめずりして食指を伸ばす。それは海賊という人種の持つ業なのかもしれない。





「う〜ん……う〜ん……むにゃむにゃ……あと5分……」
 目覚め時。夢と現の狭間を行き交うこの時間。毎朝、呟く台詞。何が5分なのかは分からないが。
 ただこれだけは言える。この時間はこの上ない誘惑の時間であると。『二度寝』への誘惑の。
「むにゃむにゃ……う〜ん…………ん?」
 けれど誘惑よりも先に覚えるものが今朝はあった。ぴちゃぴちゃと濡れた音。耳にというよりも身に響く。
 それにぞくりと覚える心地よさ。妙に下半身がすーすーする。これに生暖かな温もりが加わったのならばそれは『この年齢にもなって』な事態を想像しただろう。だがそれとも違う。
「んちゅ……あむっ……ぺろぺろ……ふぁ……食べ応え……すっご……」
 ふいに耳に入る言葉。食べ応え?そういやさっきからなにか自分の身を食べられているような気もする。
 はむはむ。甘噛みされている。ぺろぺろ。嘗め回されている。どこのワンコかニャンコの仕業だろうか。
「ふふふ。こうやって……ここも一緒に擦るといいんだっけ?どれどれ……」
 さすさす。子犬や子猫がじゃれ付くように大事な竿はにぎにぎされていた。ついでに玉もころころされている。
 気持ちいい。思わず呻いてしまう。
(なんなんだ……いったい?)
 次々と覚える妙な感覚。このまま続けて欲しいかなと思わないでもない。が、まずは状況確認だろう。
 渋々、レックスは寝ぼけ眼をパッチリと開けるとそこには。
「ソノラ!?」
「あ、おっはよう♪先生」


 目を開けるとそこにいるのはお馴染みの顔。海賊カイル一家紅一点の砲撃手。鉄砲娘のソノラである。
 起きぬけのレックスにソノラはいつもの陽気な笑顔を見せる。その笑顔に対しジト目でレックスは尋ねる。
「で、何をしているんだい?」
「え?夜這い……いや、朝だから朝這いなのかな?あははは」
 レックスの問にスパンと竹を割ったかのようにソノラは明快に答えてくれた。まあ、その姿を見れば一目瞭然。
 起床前後の時刻、生理的な不可抗力で大きくなってるレックスの一部をその手で掴み、あまつさえ口元を近づけて色々と粗相しているのだ。口の端からは涎が垂れてる。
「いやあ、やっぱ一日の初めってさ。大事だと思うんだよねぇ……ってなわけで色々と……てへっ♪」
 舌をぺロリと出しながらソノラは軽く瞬きする。その仕草にレックスはハアと溜息を吐く。
 このあまりにも解放的すぎる性格は天性のものなのだろうか。よくわからない。
(昔はキス一つでカチコチになっちゃうような娘だったんだけどなあ……)
 昔、といってもそれほど昔のことではないが思い返す。まだ初心な純情娘だった頃のソノラを。
 人の順応力というものは凄いものだ。素直に感心してしまう。
「あ〜〜先生また失礼なこと考えてるでしょ。ぶーぶー。言っとくけどあたしをこんな風にしちゃったのは先生なんだかんね!」
 するといつもの口癖でソノラは口を尖らせる。レックスは苦笑する。
「ごめん。ごめん。悪かったよ……だけどソノラ……そんな風に馬乗りにされてちゃオレ、起きられないんだけど……」
 ヒト一人分の重み。比較的小柄なソノラでもそれなりのものがある。流石にこれでは身動きがとれない。
「んふふ。どうしちゃおっかなあ♪な〜んて……」
 ソノラは悪戯っぽく微笑みかける。レックスに圧し掛かったままの姿勢でその手に握った人質を指先でクニクニ弄る。
 こりゃ敵わん。降参の白旗をレックスは頭の中で掲げる。
「わかったよ。どうぞ気の向くままに……」
「さっすが先生。わかってるう♪」
 パチンと指をならしてソノラは喜ぶ。半ば強制とはいえ同意を得たのだから後は話は早い。お楽しみの時間である。

「ふふふふ。それじゃあ続きしたげるね。先生……はみゅ……」
 そうしてソノラは見事に反り返るレックスのミートスティックにまた頬張りつく。はむはむ。お口全体で味わう。
 肉巻きは今日も抜群の食べ応えだった。心地よい肉の弾力が唇を押し返してくる。口の中いっぱいに広がる肉の香り。
 それがなんとも香しく、ソノラの本能を刺激してくれる。
「はみゅ……あむあむ……むちゅ……ぺろぺろ……んふ♪ピクピクしちゃって……今日も元気なこいつめ……」
 活け造りの魚のような活きのよさ。ソノラはそれを舌で味わっていた。ピクピク。生肉は今日も血の巡りがいい。
 頬張りはじめのときよりもさらにサイズを大きくしている。お見事としかいいようのない一品。満遍なく唾液を擦り付けながらソノラはつんつんと指先で愛でる。
「うっ……流石にそろそろ……ヤバイんだけど……」
「え?なーにー?聞こえなーい」
 本日の一番搾り。ぶちまけそうな頃合をレックスは伝える。だがソノラはいかにもわざとらしく被りを振る。
 そのままぴちゅぴちゅ。先端を濡れた舌で叩く。窄めたお口。受け入れ準備は万全だった。
「くっ……ヤバっ……出るっ!」
「っ!……んぐっ……んぐぐっ!……んーー……」
 正射一発。それはソノラの口の中で勢いよく飛び跳ねた。ビチビチと跳ねる肉竿。それとともに飛び散る飛沫。
 濃厚な白濁の原液がソノラの喉を滑り落ちていく。
「んぐっ……んぐ……ごっくん……んぅ……ぷはっ……ハア…ハァ……うぇぇ……やっぱすっごく濃い……」
 喉奥に広がる朝一番のミルク。その苦味と濃厚さはまた格別だった。喉をつまらせながらソノラは顔をしかめる。
「別に飲まなくても……」
「えー!?そんなの勿体無いじゃん。せっかくの朝一の搾りたてだってのに……」
 なにが勿体無いとか無くないとか、レックスにはいまいちピンとこない感覚だった。
「あははは。やっぱ朝は搾りたてにかぎるよねえ。なんか病みつきになっちゃったっていうか……」
 ただ翻弄されていた。その天性とも言える底抜けの明るさと弾けるような笑顔に。
「そんじゃさ、先生。次は……」
 そんな中ではっきりと言える事がただ一つ。
「こっちの方にたっぷり飲ませて欲しいんだよねえ……なーんて♪」
 それは今日も朝からこの盛りのついた雌猫の相手に難儀させられるということであった。





「よいしょ……よいしょっと……」
 ポイポイとソノラの服は脱ぎ散らかされていた。黄色と黒、二色に彩られた上下。クリーム色のタンクトップ。
 ベルトが二重に巻きついた黒のショートパンツも脱ぎ捨てて、現れるのは健康そのものなソノラの肢体である。
 剥き出しになる生まれたままの姿をソノラは惜しげもなくレックスに晒す。
「もう少し恥じらいを持とうよ……ソノラ……」
「何よ。今更。別にいいじゃない」
 ぼやくレックスに対しソノラは何処吹く風だった。これは生まれ育った環境の違いというヤツだろう。
 小さい頃から海賊一家の男所帯で育ったソノラと軍学校において厳格な規律を叩き込まれたレックスとの。
 更衣室なんて洒落たものなど本来、荒くれの集う海賊船にはあるはずもない。着替えはいつもその場だ。
 だから男の前で肌を晒すことに対しソノラはあまり抵抗がないのだろう。
「言っとくけど、いくらあたしだってそう誰彼構わずってわけじゃないんだかんね」
 思考を読まれたのかブスッとした顔でソノラは言ってくる。
「そりゃあんま上品な育ちじゃないけどさ。新カイル一家の掟その2。惚れた相手の前で細かいことはいちいち気にするな」
 いや、それ今作っただろ。指を二本立てて言ってくるソノラにレックスは心の中で突っ込みを入れる。
「新カイル一家の掟その3。例え何があろうと女に恥をかかせるな」
「………………」
 続いて三本目の指を立てて付け加えてくる。もうよそう。『ウチの掟は108まであるぞ』な展開にもなりかねない。
 代わりに告げる。手短で率直な言葉を。
「キレイだよ。ソノラ」
「う……うん……ありがと……」
 そうするとソノラは少しだけ顔を赤く染めて礼を言う。まだ初心さの残るその反応はなんとも愛らしい。
「ん……しょ……うんしょっと……」
 照れ隠しというわけでも無いのだろうが意識を行為へとソノラはうつす。なんとも見事に反り返るソーセージ。
 ソノラは自分の貝を宛がう。前戯はいらない。先程の口淫での興奮。ソノラのそこも十分に濡れていたから。

(凄い眺めだなあ……これは……)
 ギンギンにいきり立つ自身。そこに愛蜜溢れる秘部を宛がう裸のソノラ。なんとも迫るシチュエーションだ。
 見上げるソノラの姿。無駄のない引き締まったスタイル。小ぶりながら形のよい胸。お世辞抜きで心からキレイだと思える。短い金髪に愛嬌のあるその顔。惹きつけられるものが確かにある。
「ふふ。見惚れてるねえ……先生♪」
「う……まあ、そうだけど……」
 図星を突かれてレックスは大人しくそれを認める。そんなレックスにソノラは嬉しそうに微笑む。
 その笑顔がなんとも眩しい。まるで太陽のように。
「それじゃ先生。始めちゃってもいい?」
「ああ、任せるよ」
 竿と割れ目が触れあう辺りでの寸止め。GOサインをソノラはとりつける。中空に浮かした腰。
 それを最初は徐々に下ろしはじめて。
「…・・・ん……うんっ!……うあぁぁっ!」
 それからストンと一気に落とす。ずにゅり。刹那、蒟蒻のようなぬるりとした触感が頭の中に弾けた。
「うぁ……あっ……ぁぁ……ひっ……すご……」
 身体の感覚は後から追いついてくる。特上サイズのレックスの逸物。抜剣状態のそれに貫かれる感触。
 ジワジワと広がってくる。ソノラの中で。確かに。
「ふぁぁぁぁあああ!すごひぃぃっ!凄ひよ先生っ!うぁぁああ!!あたしの膣奥まで刺さってるぅぅ!!」
 そして完全に追いついた瞬間、ソノラはたまらず喘いでいた。内に響く衝動。余さずソノラは口にする。
「あひぃぃぃ!!ゴリゴリいってるぅぅ!ひくぅぅぅぅ!やぁ……擦れ……擦れて……あぐふぅぅぅううう!!」
 そのままよがりながら激しく腰を動かす。屹立したレックスの肉棒に交錯しながら上下するソノラの身体。
 ぐじゅり。ぐじゅりと負荷をかけて肉のピストンは押し込まれる。その都度、めくれる膣肉と粘膜。
 ゾクゾクゾク。得も知れぬ震えが背を走り抜ける。たまらない。ソノラの脳は鋭い刺激に犯される。

「ふぁぁぁぁあ!あひぃぃぃいい!ひくぅぅぅううう!あふっ!あふぁぁぁあああ!」
 ソノラは喘ぐ。船内中に響きわたる程の大声で。その喘ぎは船室の壁にぶつかって木霊し、また響く。
 喘ぎながらも、腰をひたすら上下させるソノラ。その膣内にぐにぐにと出入りを繰り返す極太の肉根。
 ずるずるずる。腰を沈める。すると肉根はソノラの狭い膣道を掻き分け膣奥にまで一気に届く。
 ずりずりずり。引き抜こうと腰を上げるとカリ首が肉の襞を擦り落ちていく。刹那、刺激が奔る。
 抉られる悦び。肉の快感。それらを身体いっぱいにソノラは感じる。
「あひっ!あんっ!あひぃぃんっ!いいっ!いひぃのぉっ!先生っ!先生っ!!」
 甘美なる悦びにソノラは虜になっていた。跨ったままの姿勢で、ひたすらよがる淫らな雌猫がそこにいた。
 やめられない。止まらない。繰り返す全身ピストン。貫かれる度に大きく仰け反る。絶頂を何度も迎える。
 引鉄を引くとき以上の爽快感。銃声よりもけたたましい騒音。ソノラの身体の中で延々と弾ける。
(くぅぅぅ……今日は一段とすごいな……)
 ギリギリときつく自身をソノラに引き絞られながらレックスはひとりごちる。下敷きにされたままの姿勢。
 それでも背筋を駆使してソノラを下から突き上げる。激しくぶつかり合う肉同士が織り成す快楽。
 それをレックスもまた自身の手で実感したかったからである。
(これやるとしばらくは腰痛に悩まされるんだけどね……)
 待ち受ける地獄。それが頭によぎりながらもレックスはベストをつくす。そうさせるだけの魅力があった。
 今、自身と身を交わすこの少女には。
「あひぃぃいい!ひはぁぁぁああ!先生っ!来てっ!来てぇぇっ!!」
「ああ……いくよソノラ。うっ!……くぅぅぅぅ!!」
 そうして辿りつく二人の境地。レックスは存分に解放する。己が魔剣の魔力をソノラに。
「ふぁぁぁぁぁあああああ!!ひっあぁぁぁぁああああああ!!」
 放たれる熱の奔流。膣内を暴れる抜剣者の白濁を子宮に受けて、ソノラの意識は界の狭間さえも飛越する。





「今日も快晴!いい天気っと♪」
 日中、すっかり高く昇った太陽が照りつける甲板の上でソノラの元気な声は今日もめいいっぱいに響き渡る。
「本当に元気だなあ……ソノラは……」
 そんなソノラに腰痛に悩まされる腰をさすさすとさすりながら少しやつれた表情でレックスは呟く。
 あの元気はいったい何処から来るものなのだろうか。付き合わされた自分はこのザマだというのに。
「あはははは。なに、それぇ。先生ったらまるでお年寄りみたい」
「ああ、そうだね。だから少しは労わろうね。本当に……」
 帆柱に杖に身を預けるレックスの姿。確かに老人のような姿勢だった。最もこんな姿を自分のよく知る老人が見たら、すかさず喝が飛んでくるに相違ないだろうが。
「ふふふふふ。でもさあ先生。こんだけいい天気なんだし、風だって気持ちよく吹いてるんだからそれだけで元気にならない?」
 屈託のない笑顔で紡がれる言葉。なんの根拠もない話ではある。けれどソノラが言うと不思議とそう思えてしまう。
「あたしはお日様を見ると俄然元気になっちゃうんだよね。ほら。『太陽が呼んでいる!』みたいな感じでさ」
 そうかもしれない。自然と胸の中でレックスは同意していた。身に覚えがある。心も身体も鼓舞してくれる陽気。
 そんな太陽のような輝きを。
「そんじゃ今日も一日いってみよう♪っと。ねえ、先生♪」
 照り輝く真昼の太陽の下で、ソノラの笑顔は今日も輝き栄える。その太陽そのものの眩しさを目に受けながら、レックスは思った。空の果てさえ焦がす陽射しの中で、七つの海を越えていくこの船の上で、今まさに自分を『太陽が呼んでいる』のだと。


〜fin〜

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