Happy time Refrain 4



「んっ……あふっ……あふ……ふぁっ……」
 身に受ける愛撫。ポムニットは喘ぐ。形の良い乳肉。それを撫ぜるリシェルの掌。指先はふにふにと。
 その弾力を確かめて時折、乳頭を弾く。優しく摘む。そしてくにくにと弄る。
「……んふっ……ポムニットのおっぱい……ふかふかして……柔らかい……」
「ふぁぁぁっ!……ひっ……ぁっ……お……おじょう…さまぁ……」
 粘土を捏ね回すようにリシェルは無邪気にポムニットの乳房を愛でる。その手で、その指で確かめる。
 ポムニットの柔らかさを。そして温もりを。
「んむっ……ポムニット……んちゅ……」
「ひあぁぁぁっ!……おじょうさまっ!……あんっ!……はうぅぅ……」
 そのうちにリシェルはかぶりつく。柔らかで弾力のあるポムニットの乳房に。その乳首を赤子のように啜る。
 ちゅうちゅうと音を立てて。たまらずポムニットは喘ぐ。
「んちゅ……んっ……ポムニット……ポム……ニット……」
「あひっ……ひぁぁ……あぅぅぅ……お…じょう……さまぁ……あふぁぁ……」
 甘噛みする乳頭。身悶えするポムニットの声を耳にしながらリシェルは一心にその胸を吸い続けた。
 唇で感じる。ポムニットの存在。この乳房のように柔らかく、いつも自分を包んでくれるその優しさ。
 本当はいつだって感謝してる。普段はなかなか素直にありがとうと言う事ができないけれど。
(……大好きだからね……ポムニット……あんたのこと……いつまでも……ずっと……大好きだから……)
 それでも今は愛でる。この誰よりも自分のために尽くしてくれる愛しいメイドを。日頃の感謝も込めて。
 気持ちよくしてあげたい。幸せにしてあげたい。そんな気持ちを指先に、唇にのせて愛撫をリシェルは続ける。
 ポムニットがいつも自分にしてくれるように愛しく。丹念に。
「ふぁぁぁぁあああっ!おじょう……さまぁぁぁ……え…えうぅぅ……うぅぅ……」
 胸を吸われながらポムニットは涙ぐむ。伝わってきたから。乳首に吸い付く唇を介してリシェルの気持ちが。
 嬉しかった。大好きなおじょうさまに自分が。こんなにも好かれている。こんなにも愛されている。
 愛する者に愛される喜び。この上ない幸福。めいいっぱいに感じる。今、この瞬間。確かに。
「んっ……ふっ……ふふっ……もっと……気持ちよくしてあげるからね……ポムニット……」
「おじょうさま…………ひっ!……ひぁぁぁっ!あうぅぅっ!…………んっ!?……んむっ……」
 そう言ってポムニットへの愛撫をリシェルは続ける。自分の唾液に濡れて光るポムニットの乳頭。
 軽く摘んでくりっと弄る。堪らずに喘ぐポムニット。その愛らしい唇を自分の唇で塞ぐ。
 柔らかな唇。それをこじ開け中に舌を滑り込ませる。絡めあう舌肉。ディープキス。
 リシェルの方からポムニットにするのはこれが初めて。
「んむっ……んむぅぅ……んっ……んぅぅ……ん……ぅ……」
 重なりあう唇。混じりゆく唾液。その官能のなかで甘く蕩けるような感覚をポムニットは覚えた。
 一つに解け合う。ポムニットの心とリシェルの心が。唇と唇を介して。
(おじょうさまぁぁ……)
 濃厚な接吻。交わしながらポムニットはリシェルを抱きしめた。決して離さないようにきつく。
 この誰よりも自分を愛してくれる愛しのおじょうさまを。




「あんっ!……あふっ!……ポムニットっ……ポムニットぉぉっ!」
「ふぁぁぁっ!……あうっ!……おじょうさま……おじょうさまぁぁっ!」
 嬌声は響く。絡み合いながらリシェルとポムニットは喘いでいた。リシェルの花弁から滲み出る愛蜜。
 それをリシェルはポムニットにすりつける。重なりあう肉貝はトロトロの蜜に塗れて擦れあって。
 粘膜の織り成す悦びが二人の心を包む。そのうちにポムニットからも蜜は滲み出る。混ざり合う愛液。
 ぬちゅぬちゅと濡れた水音を立ててそれは、決して切り離すことのできない二人の絆を艶やかに彩る。
(リシェル……ポムニットさん……)
 そんな二人の姿を傍で見つめながらライは自分の気持ちを整えていた。つまりは自分がこれから為す行為。
 自分がポムニットを抱くということ。そのことに対する迷い。それがないといえば嘘になる。
 人としての倫理を踏み外す背徳感。恋人以外の女性を抱く事への心の抵抗。確かに存在する。
 けれど、それで止める気はライにはなかった。心につかえるそれらの疚しさ。それはあって当然だ。
 むしろ無くてはいけない。そうした疚しさを抱えた上で、それでもポムニットを抱きたいと思う。
 彼女に気持ちよくなって欲しい。彼女に幸せになって欲しい。そんな自身の内から溢れ出す想い。
 その想いに素直に従う。決して褒められる行為ではない。爛れていると言われればその通りだ。
 それでも思う。リシェルと自分にとってポムニットは特別な存在なのであると。だから刻みたい。
 特別な絆の証しをポムニットと。自分とリシェルがこれまで彼女のおかげで幸せに刻んでこれたように。
 心を決める。ようやく踏ん切りがついた。決意を新たに踏み出す。
「あふっ……はふっ……っ……ライ……さん……」
 そうして二人の傍に寄るライ。ポムニットは気づく。その花園は十分な蜜をリシェルにすりこまれていた。
 愛蜜をとろとろにしたらせた桃色の秘裂が覗く。男根を受け入れる準備。既に出来ている。
 後はこの女陰で受け止めるだけ。逞しくも反り返るライ自身を。
「っ…………」
 ふいに身を硬くする。期待と不安。羨望と羞恥。様々な感情がポムニットの中で入り雑じる。
 気づくとポムニットは上に被さるリシェルの身体を抱きしめていた。支えて欲しい。
 今、このときを。最愛のおじょうさまに。そんなポムニットの意思をリシェルは汲み取る。
 ポムニットの頬に優しくキスを落とす。そして耳元で囁く
「大丈夫……大丈夫だからね……あたしがついてるからね……ポムニット……」
「はい……おじょう…さまぁ……」
 その囁きにポムニットは涙交じりの声で返す。いつだってそうだ。支えているつもりがこうして。
 支えられている。抱きしめているつもりで本当は抱きしめられている。なにより尊い温もり。
 自分がいつも幸せでいられる居場所。
「ポムニットさん……」
「ライさん……」
 そしてライ。彼もまた自分にそんな居場所をくれた掛け替えのない一人。視線を合わす。
 頬がポッと赤くなる。


「よ、よろしくお願いしますっ……」
「あ、ああ……こちらこそ……」
 赤面したままお願いする。すると朱に染まった顔でライも頷いてきた。ドキドキドキ。
 胸のときめき。うるさいほどに鳴り響く。止められない。高鳴る鼓動と煩悶する心。
 焦らされるような感覚の中で切っ先はさっと突きつけられる。愛液に濡れる秘部へと。
「あっ…………」
 肉茎は見事なまでに屹立していた。ピクピクと赤く脈打ってる。なんとも逞しい肉竿。
 何度か愛でたことがある。それは愛するおじょうさまのために。けれど今は。
「っ………………」
 それが自分へとあてがわれている。キュッとポムニットはまた身を硬くする。はしる緊張。
 ふいにリシェルの身体を抱きしめる手に力が入る。するとリシェルは優しく頭を撫でてくれた。
(おじょうさま……ライさん……)
 噛締める。今、自分はまさに二人から同時に愛されているのだと。大好きなおじょうさま。
 おじょうさまと同じぐらいに大好きなライさん。ずっと愛してやまなかった二人から同時に。
 目頭が熱い。涙が滲む。これ以上の果報なんてもうありえない。
「それじゃあ……そろそろいいか?ポムニットさん……」
 そうして告げられる合図の言葉。零れ出す涙。感涙しながらポムニットは応じる。
「はいっ!愛してっ……愛してくださいましっ!ライさん……おじょうさまと……おじょうさまと一緒に……」
 上に被さるリシェルの身体をより強くギュッと抱きしめながらポムニットは答える。密着する身体。
 リシェルの体温。この上なく愛おしい温もり。重なりあう二つの割れ目。混ざり合った愛液はもうどちらのものか判別がつかない。そこに触れるライの先端。軽く擦り合わせて二人の蜜を纏う。
「一緒に……気持ちよくなろうね……ポムニット……」
 抱きしめられながら、リシェルは優しく微笑んで言葉をかける。その気持ち。心に染み入る。
「えぅ……えぅぅ……はいぃぃ……おじょうさまぁ……」
 そんなリシェルにポムニットは泣きながら縋りつく。甘えてもいいんだ。幼い子どものように。
 ずっと遠い昔、優しかった母の愛に包まれていたあの頃のように。
「ん……っ…………」
 息を吐きながらライも噛締める。ポムニットととの最初の交わり。その営みをこの上なく尊いものにしようと。
「ポムニットさん……」
 そうして最後に一言だけ声をかけた。ポムニットの身体は一瞬強張り、そして脱力する。受け入れる。
 ライの存在を自分の全てで。その覚悟がようやくポムニットの中で整った。リシェルも呼吸を合わせる。
 重なりあう二人の呼吸音。そのなんとも心地よい響きに誘われながらライは踏み出す。
 自分とリシェルとポムニット。三人の世界の新たな始まりへと。
「…………っ!?…………くっ……きゃっ…………〜〜〜〜〜っ!!」
 そうして前立腺は突き出される。ライの切っ先はゆっくりと、ポムニットの蕾へと沈みこむのだった。





 挿入は円滑に行われるはずだった。そのために十分すぎるほど濡らした膣肉。リシェルとポムニット。
 二人分の愛蜜が最高の潤滑油となって。けれどそれでも、進める肉茎を押し止める膣肉の抵抗。
 それなりのものがあった。まだ先端の部分が入ったばかりだと言うのに。キツさを感じる。
(んっ……思ったより……キツい……?)
 想像よりも強い肉の抵抗にライは眉をしかめる。前戯は十分にしたはずだ。それでもまだ足りないのか。
 リシェルとも散々こなしてきた営み。その経験からいけばもっとスムーズに入ってもおかしくない。
(いや……これは……まさかっ!?)
 ふと思い至る。この狭いぐらいの膣肉の感触。覚えがある。それは忘れもしない大切な記憶。
「……っ!………くっ……んくっ……ぁ……くぁ……ぅ……」
「ポムニットっ!」
「っ!?」
 すると気づく。ひきつる顔で痛みを必死に堪えるポムニットとそれを心配に覗き込むリシェル。
 覚える既視感。そう、これはまぎれもなく。
「ポムニットさん……ひょっとして……」
 ふいに呟いていた。頭の中によぎった仮説を。みなまで言う前にポムニットは頷く。
「は……い……そう……です……」
 目いっぱいに涙を溜めて同意するその顔は明らかに痛々しい。それが紛れもなく真実である事を示す。
「初めて……なんです……本当は……わたくし……」
「「っ!?」」
 ポムニットのカミングアウト。それにライもリシェルも驚きを見せる。二人が驚くのも無理もない。
 痛みに苛まれながらポムニットはそう思った。これまでの自分の言動を考えればそれも当然。
 これまでに自分でつくってきたキャラクター。エッチが達者で陽気な淫乱メイド。
 それが本当は処女だっただなんて、普通はとても信じられないだろう。
「ごめんなさい……驚かせてしまって……でも、これが……本当のわたくしなんです……」
 まるでいつか言ったような台詞。自分で言いながらポムニットは少しだけおかしく思った。
 そうしてポムニットはリシェルを抱きしめる手を片方だけ外す。そして自分の頭にあてる。
「だって、わたくし……こんなんですから……」
「あっ…………」
 ポムニットが手を当てる箇所。そこにあるのは彼女の角だった。半魔であるポムニットの正体を示す。
 ポムニットの人生の大半において、隠す事を余儀なくされた。そんな忌まわしい記憶を持つ部分。
 忌まわしい記憶と共に封じ込めた力と姿。そうすることでやっと手に入れたヒトとしての平穏。
 愛おしかった。なによりも尊く。けれどそのためには隠し通さなければいけなかった。自分の正体を。
「ずっと……諦めていました……自分は一生……誰にも……女として愛される事はないんだって……」
 本当の自分を隠したままで、誰かと特別な関係になれるわけがない。けれど自分の正体は晒せない。
 そうしたら自分はもうヒトとして生きられなくなってしまう。自分の居場所を永遠に失ってしまう。
 これまでにずっと思い知らされてきた。だから諦めた。誰かに恋することも。愛されることも。



「だけどそうしたら心が余計に切なくなって……自分がすごく惨めな気持ちになって……それでわたくし……」
 抑圧された想い。その反動は少女だったポムニットに現れた。色恋沙汰に人一倍、興味を示すようになった。
 恋愛小説、他人の噂話、どれも貪欲にかき集めた。時には淫らの内容のものもたくさん。
 それは自分が経験することのないこと。愛する人にも決して正体を晒せない自分にはありえないこと。
 だから一層に憧れがつのった。積極的に見聞きしたその手の話題。気づけばすっかり耳年増になっていた。
 そしてそれだけでは満足できなかった。だから自分でよく慰めた。偏った情報を基に構築される妄想。
 それでイメージトレーニングをし続けた。自分にはありえる筈のない逢瀬。それをいつかと夢見て。
「でもそれで結構、上手になっちゃうんですから……おかしな……ものですよね……」
 自嘲っぽく微笑む。ずっと切ない想いで過ごしてきた少女時代。自分の中にふと蘇ってきた。
 誰かに憧れたこともあった。けれどその都度、諦めてきた。何度も何度も繰り返してきた。
 気づけば今も嵌っていた。延々と煩悶としながらただ自分を慰める。そんな切なさのループ。
「ポム…ニットぉ……」
 そんなポムニットに感化されてリシェルは涙ぐむ。泣きそうな顔で見つめてくる。好きな人と結ばれたい。
 女の子なら誰だってそう思う。それを諦めなくてはいけない。誰かに恋することも許されない。
 それがどんなに辛いことか。すごくよくわかる。身につまされる。
「そんな顔……なさらないでくださいまし……」
 するとポムニットはリシェルに優しく微笑みかける。膣肉をひきつる痛みも堪えて。水滴の溜まるその瞳。
 けれどこの涙は痛みのせいだけじゃない。今、この心を包む愛しさのせいだから。
「だって……今はわたくし……こんなにも幸せなんですもの……」
 どんな忌まわしい過去や正体も全て受け入れてくれる居場所がある。いつも傍には大切な人がいてくれる。
 自分だけの宝物。ようやく手に入れた。それはいまこんなにも近くにある。
「大好きなおじょうさまに……おじょうさまと同じぐらい大好きなライさんに……本当に大好きなお二人に……こんなにも……こんなにもわたくしは……愛されて……えうっ……えうぅぅ……うぇぇぇ……えぅぅ……」
 そこが限界だったのかポムニットは泣き崩れる。堪えきれなくなっていた。痛み以上に愛しさが。
 角に当てていた手で涙を拭う。拭っても拭っても涙は零れてきた。止められない。たまらなく熱い。
「ポムニットっ!」
 するとリシェルも被さった姿勢のまま手を伸ばす。一方の手はポムニットの背に。優しくさする。
 もう一方の手は頬に添えられる。頬を流れる熱い涙。指先ですくう。そして。
「えうっ……えぐぅっ……うぇ……っ!?……おじょう……さま……んむっ!?」
 優しく唇をリシェルはポムニットに重ね合わせていた。舌先をつつかせながら背を何度もさする。
 ポムニットの痛みを紛らわす。それと同時に互いの愛しさをわかちあう。そのための行動。
 密着する肌。潰れ合う乳肉。肉豆も擦れる。一つになっていた。心も身体も一つになっていた。
 この愛しいメイドに最高の初めてのときを感じてもらうために。そしてリシェルは叫ぶ。



「ライっ!お願いっ!ポムニットに……ポムニットにちゃんと最後までしてあげてっ!」
 そう願う心。一片の偽りもなかった。心のどこかでつかえていた独占欲。嫉妬心。
 何処かへ行ってしまった。今はただ、ポムニットに気持ちよくなってもらいたい。
 彼女にとって掛け替えのない初めての時を最高のものになるようただ尽くす。
「ああ。わかってる」
 その気持ちはライも同じ。さっと気を取り直す。中断していた挿入。その続きを試みる。
 上手くはできないかもしれない。多分すごく痛がらせてしまうと思う。けれどリシェルがいる。
 自分ひとりでは無理でも、リシェルと二人でならなんとかできる。幸福に包まれたロストヴァージン。
 そんな最高の一時をきっとプレゼントできる。ポムニットに。リシェルと自分の最も大切な人に。
「ライ……さん……おじょう……さまぁぁ……」
 そんな二人の優しさにポムニットは素直にその身を任せる。懸命になって愛撫してくれるリシェル。
 続きのタイミングを見計らうライ。愛されている。実感する。自分は今、この世で一番の幸せ者だ。
(ライさん……おじょうさま……わたくし本当に幸せです……だって……)
 ジリジリと苛む痛みとそれを包み込む愛の中でまどろみながらひとりごちる。胸の中をよぎるその続き。
(大切な初めてを一緒に……こんなにも大好きなお二人と一緒に迎えることが出来るんですから……)
 ずっと諦めていた女としての幸せ。それを二人は与えてくれた。大好きな二人の幸せが自分の幸せ。
 そして自分の幸せが愛する二人の幸せ。心から本当にそう思う。
「痛くない……痛くないからね……ポムニット……」
 肌を擦り合わせながらあやしてくれるリシェル。痛みよりも響くその愛しさ。
「ポムニットさん。オレ、努力するから。ポムニットさんが苦しくないように……だから……」
 決意を新たに声をかけてくれるライ。その優しさは心に染み入る。そんな二人の愛に包まれながら、ポムニットの胎内は新たな時を刻む。なによりも尊い破瓜の時を。
「っ!……はっ……くぅぅ……あっ……がっ……ぐっ……」
 そうして挿入は再開される。再び襲う激痛。破瓜の痛み。みちみちと膣肉が軋むのをポムニットは感じる。
 内側から肉を引き裂かれる痛み。それはなんとも耐え難い。
「くぁぁっ!……あぐぅぅ……くぁっ!……はぁっ……くぅぅぅ……」
 それでもポムニットは耐える。避けては通れないのだから。この痛みは。本当の愛を手にするためには。
「んっ……はむっ……うぐっ……はぁ……はぁ……ポムニット……ポムニットっ……」
 そんなポムニットに痛いほどキつく抱きしめられながらリシェルは愛撫する。背をさする。キスをする。
 乳房を優しく揉みこむ。乳首を弄る。ピッタリと密着する割れ目。接触しあう膣肉越しにライを感じる。
 今、ポムニットは闘っている。好きな人を受け入れるため一心に。ならば自分はその手伝いがしたい。
 擦り合わせる肉豆。絡めあう舌肉。思いつく限りの全てでリシェルはポムニットを愛でる。
 ポムニットの痛みが少しでも紛れるように。痛み以上の温かなものをポムニットが感じられるように。


「くっ……あぅ……ポムニット……さん……」
 キツイぐらいの処女肉の締め付け。額にびっしりと汗を浮かべながらライは腰をゆっくりと進める。
 腰を進めるごとに増す抵抗。リシェルと初めて結ばれたとき以来の処女とのセックス。
 あのときはリシェルを痛がらせてばかりだった。だから少しでも苦痛を与えないように意識を集中する。
 あるいは長引かせずに一気に貫いてしまった方がいいのかもしれない。けれどそうするつもりはない。
 何故ならこの痛みもまたポムニットにとって尊いものなのだから。一生で一度しか経験できない痛みだ。
 ならば自分に出来る事。細心に気を配る。今、ポムニットが感じている痛み。それをただの苦痛ではなく、彼女にとって尊くも掛け替えのない大切な記憶となるように。
「はっ……あっ……ぐっ……あぐぅ……ぐぅぅ……」
 挿入は続く。もう三分の二までは来たところか。すごく長く感じる時間。一瞬さえが永遠。
 さいなまれる痛み。痛い。本当に痛い。身体がちぎれてしまいそう。けれどポムニットは確信する。
 この痛みこそが明日の自分の笑顔なのだと。本当の笑顔。本当に大好きな自分の笑顔。
 きっと笑えるはずだ。成し遂げたときには。一人ではくじけそうになるけど。今は三人だから。
 大好きな二人が傍についててくれて、こんなにも自分のことを愛してくれるから。
「んくぅぅぅ……んっ……んぅぅ……んきぃぃぃぃっ!」
 膣奥、かつてないほどの痛みが身体を突き抜ける。
「んぁっ……うあっ……くぁぁぁぁああっ!……んぐぁぁぁぁぁぁあっ!!」
 そうして処女喪失。肉根は根元までポムニットの膣内に埋まる。ブチリと破壊される処女膜。
 押し広げられる膣奥。抉られゆく胎内。襲い来る激痛。その果てに。
「ポムニットっ!」
「ポムニットさんっ!」
 仰け反るポムニットにライとリシェルは同時に声をかける。刹那の沈黙。そしてポムニットは。
「んぁぁ……はぁ……あはぁ……はぁ……はぁ……ふぅ……うっ……あっ……」
 荒ぐ呼吸。吸って吐いてを繰り返しながら落ち着かせる。そうしてようやくマトモに言葉を発せるようになる。
「痛……い……です……痛い……痛いっ!……本当に……痛い……」
 涙を滲ませながら呟くのはまずは痛みのこと。どうしてもそれが先に来てしまう。
「痛い……痛い……痛い……のに……こんなにも……痛いのに……わたくし……わたくしっ!」
 涙腺はここぞとばかりに開く。零れ出る涙。その涙の意味は当然。
「嬉しいっ!嬉しいです!痛いのに嬉しいですっ!!ふぇぇぇっ……ライさんっ!おじょうさまぁっ!!」
 痛みを乗り越えた先にあるのは愛の証し。一つになることが出来た。心も身体も。愛する人とともに。
 愛する人の手によって。そのことがなによりも嬉しい。


「良かった……良かったね……ポムニット……」
 そんなポムニットをリシェルは心から祝福する。愛する人と共に乗り越えるロストヴァージン。
 それがどれだけ尊く輝かしい幸せな記憶なのかはリシェルも知っている。あの時、リシェルも感じた幸福。
 ポムニットにも感じて貰えた。たまらなく嬉しい。
「ああ、よく頑張ったな。ポムニットさん」
 ライもねぎらう。痛みに負けずに自身を受け入れてくれたポムニットを。本当に愛おしい。
 だから素直に自分の気持ちを述べる。
「ポムニットさん……ポムニットさんの中……すげぇ気持ちいい……それに……すごく温かい……」
 キュッと肉根を締め付けるポムニットの膣肉。慣れ親しんだリシェルのそれともまたちがった感触でライを優しく包む。温かな膣内。自身が揺り篭にでも乗せられたような感覚になる。
「えぅっ……えうっ……ライさん……えぅぅぅ……ふぇぇぇ……」
 好きな人に自分の身体で気持ちよくなって貰える。女の子にとってそれが何より大切なことだった。
 よかった。気持ちいいと思ってくれてる。温かいと感じてくれてる。その言葉がなによりの勲章。
「えぅ……あふっ……はぅ……ひっく……ふぇ……ひぅ……」
 ひきつるような痛みと止まらない嗚咽。何度かしゃくりあげを繰り返してポムニットは息を整える。
 心を包むは温かな達成感。愛する人を受け入りきれたことへの。ならば次はその先にあるもの。
 それを望む。口にする。
「ライさん……お願いします……もっと気持ちよくなってくださいまし……もっと愛してくださいまし……」
 ポムニットがそう口にするまでライもリシェルもじっと待っていてくれた。ポムニットのペースに合わせて。
 幸せな初体験の思い出。そのために二人とも尽くしてくれる。最高のプレゼントだ。だから付け加える。
 この営みをより最高のものにしたいから。そうしてポムニットはリシェルの背に回していた手をお尻へとずらす。
 尻肉をむにゅりと掴まれてリシェルはギョッとした顔になる。するとポムニットは微笑む。
「もちろん。おじょうさまも一緒にですよ♪」
 茶目っ気たっぷりにそう言う様子はいつものポムニットそのまま。やっぱり笑えた。笑うことができた。
 つくりものじゃない本物の笑顔。本当に大好きな自分の笑顔。その笑顔を見せられてリシェルは後ろを振り向きライと顔を見合わせてはぷっと二人して笑う。嬉しそうな二人の笑顔。これもまた大好きな宝物。
 その微笑を二人はこちらに向けてくる。最高の幸せ。それは今、全部自分の中にある。
「いっぱい気持ちよくなろうね。ポムニット」
「ああ、なろうな。ポムニットさん」
「はい♪ライさん。おじょうさま」
 貫かれた秘部は未だにピリピリ痛む。けれどその痛みも忘れさせてくれる幸せがある。
 そうして営みは再開される。三人の心と身体にに確かな絆の繋がりを残して。


「あんっ……ふぁぅ……ひあっ!ひゃうぅぅぅっ!ひんっ!ひあぁぁぁぁぁぁああっ!」
 ポムニットの処女宮から引き抜かれたライの肉棒。それは今度はリシェルの膣肉を貫いていた。
 激しいピストン。リシェルは喘ぐ。喘ぎながらも膣肉を絡ませてライの男根を締める。
「ふぁぁぁああ……あはぁぁぁああ……おじょうさまっ……おじょうさまぁぁっ!」
 貫かれるリシェルに密着した状態でポムニットもまた喘いでいた。重なり合わせの肉貝。
 突き動くたびに擦れあう。ぬちゅぬちゅと愛蜜の摩擦がこの上ない悦びと興奮をポムニットにもくれる。
 リシェルの膣内が激しく突かれる衝撃。肌越しにポムニットの胎内にも伝わる。
 こうすることで自分も一緒に犯されているような気分になる。
「くぅぅぅ……リシェルっ……ぐっ……次は……ポムニットさんっ!」
 額にびっしり汗を浮かせながらライは腰を動かす。リシェルとポムニット。二人の膣を交互に犯す。
 ポムニットの破瓜血にまみれた肉棒。それでリシェルの膣奥を激しく突き動かして今度はリシェルの愛蜜に塗れた肉棒をポムニットの膣に再び差し込む。
「んぎぃぃぃぃっ!んぐっ!」
 処女を喪失したばかりのポムニット。最初のときほどではないにしても男根の挿入に激しい痛みが走る。
 それを見通してライもリシェルに対してのように激しくではなく優しくソフトにピストンを行う。
「んっ……んむっ……んむちゅ……ポムニット……」
「んぅっ……んっ……はむっ……おじょうさまぁぁ……」
 それでも生じる痛みはリシェルがケアをする。しきりにポムニットの唇を吸っては舌先で口内を愛でる。
 ねっとりと唾液にまみれて絡み合う舌肉。その甘く濃厚な感触がポムニットの脳から痛みを抜き取る。
「ふぁっ……はぅっ……はぅぁっ……」
 そうする内に次第に悦びはポムニットの中で痛みよりも大きくなる。さすさすと膣壁を擦るライの肉根。
 重ね合わされるリシェルの唇と秘裂。粘液にまみれた肉がねっとり絡む。どちらも温かくそして愛おしい。
(えうっ……えぅぅぅ……ライさん……おじょうさまぁぁ……)
 膣肉と子宮はライに、唇と肌はリシェルによってポムニットは愛でられていた。繋がっている。
 そのことを実感する。誰よりも大好きなこの二人と。自分は今一つになっている。
(います……わたくしの中に……ライさんとおじょうさま……お二人が……こんなにも深く……)
 膣奥を突くライの肉根。ポムニットの子宮にも衝動が届く。口内を制するリシェルの桃色の舌。
 交換し合う唾液から意識さえ流れこんでくる。確かなる官能。二人によって何度もいかされた。
 ずるり。肉棒は膣肉をぬるぬると引きずりながら引き抜かれる。するとまたリシェルに挿入。
 ずしり。重い衝撃が伝わってきた。ライは激しくリシェルを突く。リシェルもまた喘ぐ。
 なんて凄まじい。その激しさがポムニットの芯にも響いてくる。自分にももっとして欲しい。
 そんな欲求を駆り立てる。
「ふぁぁあああっ!あふぁぁあぁっ!くぁぁぁぁああっ!」
「くぅぅぅぅっ!リシェルっ!リシェルっ!!」
 激しく求め合う二人の姿。羨ましくもあり、愛しくもある。自分も一緒に加わりたい。
 この二人の営みの中に。そう思ったときには身体が先に動いていた。


「んっ……はぁ……ふぁぁぁっ!……っ!?……ポムニっ……んむぅっ!?」
 ライに犯されよがるリシェル。今度はポムニットがその唇を奪う。甘く濃厚なヴェーゼ。
 意識を蕩かせながら腰も動かす。リシェルと密着しあった素股でライの根元をさする。
「んむぅぅっ……んっ!……んひっ!……んぅぅぅぅうううう!……んぁぁぁぁあああっ!」
「くっ……はぁ……あうっ……うぁぁ……あくぅぅぅ……」
「ぷはっ……はっふ……はひぃぃぃいいい……ふぁぁぁああああ!」
 続けられる交わり。一人は二人のために。二人は一人のために。最高の悦びを三人で分かち合う。
 繰り返し交互に交わった。リシェルの膣内にあった棒がポムニットの中へ。ポムニットの胎内にあった竿がリシェルの中へと。そのうちにポムニットも自分から腰を振るいよがるようになっていた。
 抉られる膣肉。ぴりりとはしる痛みさえも愛しい。突かれる膣奥。その先の子宮で愛を感じる。
 肉竿はときに引き抜かれては二人の肉豆を同時に擦る。二人同時に愛される悦び。
 何度も唇を合わせ舌を絡ませる事でその悦びを伝え合った。そうして営みは頂を迎える。
 流石に限界の色を見せてきたライ。その肉根がリシェルの膣内からずるりと引き抜かれる。
「お願いっ!最後はポムニットにしてあげてっ!」
 ようやく迎える終焉のとき。それを察してリシェルは叫ぶ。言わずもがな。
「ああっ。ポムニットさんっ!」
「ふぁぁぁぁああっ!ライさんっ」
 突きつけた切っ先。ライは一気に挿しいれる。臨界を迎えた肉槍をポムニットの膣奥へ一気に。
「あひぁぁぁあああああっ!くひぁぁぁぁあああああっ!!!」
 ぐいっと奥まで深く刺さる肉根。逞しくも太い触感がポムニットを貫く。溜まらず喘ぐ。そして。
「くっ……うぐっ……うぁっ……くぁぁぁあああああっ!」
「あひぃぃぃいいいいっ!ひぁぁぁぁぁああああっ!あぐぅぅぅぅぅぅうううっ!くふぁぁぁぁああああっ!!」
 そうして放たれる今宵最後のラストショット。解き放たれる情念。おびただしい熱量の白濁の奔流。
 流れ込む液汁。ポムニットの子宮に。ライの精液が。初めて受ける膣内射精の洗礼。
「うぁぁぁぁぁぁああああっ!熱いっ!熱いっ!熱いぃぃぃぃっ!!ひぁぁぁああああああっ!!」
 子宮に注がれる熱く滾るスペルマ。あまりの熱にポムニットは悶える。凄まじく熱い。身が焼ける。
 これが愛欲の一つの終着駅。
「ふぁぁぁぁ……あうぁ……あぁ……精…液……ライさんの……精液……」
 ドロリ。射精を終えて引き抜くとポムニットの膣口からはライの精液が零れだす。
「こんなに……こんなにもいっぱい……わたくしの……中に……えぅぅぅ……」
 その身に残る射精の残滓。それを感じながらポムニットの目から涙が零れる。止められない。
 これは嬉しさの涙だ。自身の奥まで隅々愛された。その実感に包まれて。
「ポムニット……」
「ポムニットさん……」
 そんなポムニットに近づけられる二つの顔。その頬に優しく触れる。二つの唇。祝福のキス。
「えうっ……えぅぅっ……ライさんっ……おじょうさまぁぁっ……えうぅぅぅぅっ!」
 歓喜の涙をポロポロ零して、頬にキスする二人の頭をポムニットは泣きながら撫でる。
 大好きな二人が自分にくれた掛け替えのない幸せの時間。その尊さを心に刻みつけてポムニットはただ、誰よりも愛しいこの二人への感謝の思いでその胸を満たすのであった。
 





「すぴーーっ……すぅすう……くかー……んぐんぐ……」
 盛大に立つ寝息。胸元で立てられながらライは溜息を吐いていた。
(いつものことながらまったくこいつは……)
 自分の胸を枕に眠りこけるリシェル。これまたペットリとはみついてくる。おかげでこっちは寝られない。
 ひとりごちながら肩を撫で下ろす。このようないつも通りの安息感にあるいはホッとしているのかもしれない。
 ドクリと軽くバクつく胸。その元凶もまたすぐ隣にあった。
(ポムニットさん……)
 もう一方の傍らで眠るポムニットの寝顔。見つめてライは少し意識していた。今日、ポムニットを抱いた。
 彼女の処女を奪った。その行為の重さがずしりとライの心に圧し掛かる。
(分かってたことだけどな……)
 後悔するのも覚悟の上だった。思いっきり踏み外してしまった人としての道。間違っても誰かに公言できない。
 お爺さんになるまで全うに生きる。そんな自分の素朴な人生設計さえ根っこから崩れてしまったようにも思う。
(ちっとも全うじゃねえ……どこの畜生だオレは……だけど……)
 それでもライは信じている。あのときの自分の選択。それが自分とリシェル、そしてポムニット。
 今後の三人の幸せに繋がるものであると。ポムニットを抱いた。リシェルと二人でポムニットを抱いた。
 それを心から喜んでくれたポムニット。嬉しかった。自分達の一番大切な人に幸せを感じて貰えて。
 その感触。今も残っている。だから悔いはない。例えこの先、なにが待ち受けようとも。
「ライ……さん……」
「っ!?ポムニットさん!?」
 すると、ひとりごちているうちにポムニットがパチリと目を覚ます。思わずギクリとなるライ。
 ドギマギする。なにせ目の前にいるのはつい今しがた自分がその初めてを奪った相手なのだから。
「あっ……その……今日は……ありがとうございます……」
「い、いや……こちらこそ……」
 視線を合わすと二人して赤くなってしまった。それ以上言葉が続かない。なんとももどかしい静寂。
 それがしばらく続くかのようにも思えた。
「んっ……ううん……」
 その静寂を破ったのは寝返りを打つリシェルの声だった。一瞬、二人ともにギョッとする。
「んぅぅ……ふぇ?……んっ……すぴー……すー……ぐー……」
 けれどすぐに眠りに戻る。思わずライはぷっとしてしまう。ポムニットもまたクスクス笑う。
 幸せそうに眠りこけるリシェル。その愛らしい寝顔を二人してしばらく見つめていた。


「むにゃ……むにゃむにゃ……えへっ……えへへっ……しゅき……らいしゅき……えへへっ……」
 そうしていつものごとくリシェルはデレデレな寝言をしきりに呟く。ライは苦笑する。
「うふふ……熱々ですねぇ……ライさん……」
 にんまりとした表情でポムニットは言ってきた。照れ隠しにライはポリポリ顔を掻く。
「おじょうさま……」
 するとポムニットの声の調子が少し変わる。思慮深げな表情で眠りこけるリシェルを見つめる。
 なにかを思ってかその胸を押さえる。そして今度はライに向き直る。
「ライさん。お願いがあります」
 向けられるのは真剣な眼差し。真摯な面持ちでポムニットは続きを言う。
「これからもおじょうさまのことを一番に愛してあげてくださいっ!」
 告げられる願い。それは切実なる思い。それを乞うようにポムニットはライを見つめる。
「おじょうさま……今日はずっと……わたくしのためにずっと無理をなさっていました。
 わたくしのために……わたくしのためにこんなにも愛しておられるライさん。あなたのことまで……」
「…………………………………………………」
 大好きなリシェルの大切な人を寝取ってしまった。いくらリシェル自身が言い出したことであっても
 そうした思いがポムニットには残る。ポムニットの気持ち。ライにはよくわかる。
 同じ葛藤をライもあの場で覚えた。だからこそ分かる。自分がどうあればよいのかも。
「ああ、わかってる……」
 ポムニットの懇願。それに対する自分の答えをライは示す。言葉よりも行為で。優しく見つめる。
 頭を撫でる。肩を抱く。無邪気に自分に食みついているリシェルを。
「オレ、やっぱ……コイツの事が大好きだ……」
 そうして抱きしめながらしみじみ呟く。自分の想いを。ありのままに。
「好きなのは昔からだけど……どんどん好きになってる。今日のことでコイツのこともっと好きになった。
 おい。聞いてるか?一応言っとくけど一生おまえのこと離してやらないからな。この我がまま娘が……」
 狸寝入りでもいなければ聞いてるはずのないリシェルにライはわざとらしく言う。
 リシェルが好きだ。ポムニットを抱きたいと言ったあの場でもそう言った。このどこまでも自分本位で、けれど好きな相手に対してはどこまで捨て身になれる少女。大好きだ。たまらなく愛してる。
 ポムニットと関係を結んだ今でもその想いはけっして揺るがない。どころかますます愛しくなった。
 そんなリシェルを好きであり続ける。いつまでもずっと愛し続ける。それが自分達の幸せの土台なのだから。
 この胸の中にあるリシェルへの思い。それだけはずっと変わらないと断言できる。


「ライさん……」
 そんなライにポムニットの胸に刺さった棘もポロリととれる。大丈夫。ライさんなら大丈夫だ。
 ライさんならきっとおじょうさまのことをずっと幸せにしてくれる。二人の幸せ。絶対に崩れない。
 後はもう自分次第。大好きなおじょうさまと大好きなライさん。本当に大好きな二人のために。
「ありがとうございます」
 微笑みながらポムニットはライにおじぎした。その心はすっと晴れやかだった。
 晴れやかな心で繰り出す微笑み。それは自分でも大好きな最高の笑顔だから。
「うふふふ♪ところでライさん。もう一つだけお願いが……ちょっとこっちを向いてくださいまし♪」
「んっ?なんだ?ポムニットさん……っ!?」
 リシェルを抱きしめたままでライは顔だけを向ける。すると不意打ち。チュッ♪唇に伝わる柔らかな感触。
「なっ!……あっ……」
「んふふふふふ♪」
 それは軽く触れ合うほどだったが確かに接触した。口と口。交わすキス。ポムニットとするのはこれが初めて。
 リシェル以外と初めてするキスの感触にライは戸惑いポムニットは微笑む。
「うふふふ♪ライさん。おじょうさまのことを一番に愛して……それでもまだ余裕がおありでしたら……」
 茶目っぽく語るいつもの調子。それはもう創られたキャラクターではなく本当の自分。
「そのときはわたくしのことも愛してくださいましね♪何番目でも構いませんから」
 そうして素直な気持ちをポムニットは伝える。ありのままの自分で。二人の幸せが自分の幸せ。
 そして自分の幸せが二人の幸せ。今はもう、心から本当にそう思える。
「あ、ああ……そりゃ勿論……」
「うふふふふ♪約束ですよ」
 たじろぎながら答えるライに微笑みながらポムニットは念を押す。こうして結ばれる新たな絆。
 そこに疚しさの欠片はもうない。何故ならば。
「それではライさん。わたくしにもおじょうさまを貸してくださいましね。ああ、おじょうさまの抱き心地……」
「いや、これだけはそう簡単に渡したくないって言うか……って!リシェル!?」
「ん〜〜……なによもうあんたたち……さっきから……うっさぁぁいっ!折角人が気持ちよく寝てたってのにっ!」
「ああ、起こしてしまいましたか。それは申し訳ありません。それでは添い寝を……」
「くぉらぁぁぁぁああ!この馬鹿メイドぉぉっ!!調子に乗るなぁぁぁっ!!」
「ハァ……やれやれ……」
 それは同じ相手を愛する事で結ばれた尊い絆だから。この愛しい人をずっと幸せにしたい。その想いは一つ。
 だから自分達はこうして幸せでいられる。幸せな時間はずっと続いていく。時にその形は変えたとしても。
 互いの幸せを願うその想いだけはずっと変わらないままで。



 Happy time Refrain


 〜fin〜

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