おとなの階段上る 君はまだシンデレラさ



「ハァ。まったく、あの人ときたら……」
 ベルフラウは大きく溜息を吐く。場所は帝都の中央広場。その中心に位置する時計塔前。
 真上に見る針は正午の少し前を指し示す。されど待ち人は来たらず。
「本当にこういうところはどうしようもないんだから。レディーを待たせるなんてどういうつもりかしら」
 待ち合わせ時間の5分前。いまだ姿を見せぬ彼に対しベルフラウは苛立ちを覚える。
 約束の時間までにはまだ猶予がある。だから本来ならここで憤るのは筋違いとも言える。
 単に自分が早く来すぎただけなのだから。それでも気持ちは割り切れない。早く会いたかった。
 それこそ一分、一秒でも早く。
(だって……久しぶりに貴方に会えるんですもの……)
 全寮制の軍学校。こうして外出許可をもらえる休みの日は決して多くはない。
 それに加えて彼の方の事情も込み合っている。遠く離れた未開の小島。早々、頻繁に来れるものでもない。
 顔を合わせる機会はそれこそ数ヶ月単位。今日を逃せば次はまたいつか。そんな日々が続く。
 卒業するまでの間はずっと。
「ごめんよ。ベル。待たせちゃって……」 
「遅いっ!何をやっていたの貴方は。女性との待ち合わせは約束の時間の30分前に来るのが鉄則じゃない!」
 そうして待ち合わせ時刻の5分前、ようやくにして姿を見せたレックスにベルフラウは噛み付く。
 予想通りといえば予想通りのその反応。レックスは反論もせずにただ苦笑して頭を掻く。
「まったく!そういうところちっとも分かっていないんだから。先生ったら……」
「悪かったよ。その分、ちゃんと埋め合わせはするから」
「埋め合わせ?あら、本当にできるのかしら。貴方、私をしっかりエスコートできて?」
「それは頑張るから、頼むから機嫌を直してくれよ。ベルフラウ」
 情けなく取り成そうとするレックス。待たされた仕返しかベルフラウは彼をいびる。
 するとレックスは困った顔をする。その顔を見るのが楽しくてたまらない。
(先生と……先生と今日は一緒にいられる……)
 本当は嬉しくてしょうがない。けれどそれを表に出すのはなんだか負けたような気分になる。
 変わりにこうして真っ正直な彼を意地悪で困らせてみる。するとご機嫌取りに執心する彼。
 おかしくてたまらない。それと実感する。自分は今でも彼の生徒であるのだと。
(先生……いつまでもずっと……私の先生……)
 ひとりごちる。顔は自然と綻んでくる。心も浮き浮きと昇っている。大好きな先生。
 レックスと過ごせる時間。それを与えられた今日という日に感謝をして。
「……ベル?」
「っ!?な、なによ。いきなり人のこと呼ばないで下さるかしら」
 唐突にその名を呼ばれてベルフラウは意識を引き戻される。慌ててレックスに向き直り尖がった態度を示す。
 するとレックスは優しく微笑む。それではエスコートといこうか。この自分にとってかけがえのない。
 最初の生徒のエスコートに。
「それじゃあ行こうか。ベルフラウ」
「ええ、先生……」
 そうして肩を並べて揃える歩幅。数ヶ月ぶりのデートタイムにレックスとベルフラウは足を踏み出すのであった。





「久しぶりに随分たくさん、お買い物をしたわ」
「本当にね…………」
 山のような買い物の数々。担がされるレックスはしみじみとその重さを実感する。夕暮れ時の中央通り。
 居並ぶ店々も閉店準備をする時刻。正午からここまでの時間、しっかりとデートを堪能した。
 お気に入りの店でのランチタイム。その後は商店街でのショッピング。気に入った衣類やアクセサリーをここぞとばかりにベルフラウは買い占めた。当然、荷運びはレックスの役目。それからは帝都内の散策。
 帝都で話題のデートスポットを二人で見て歩いた。本当に楽しかった。
(こんな時間がずっと続けばいいのに……)
 心からそう思えるほどに。けれど終わりは必ず訪れる。明日にはもう自分は寮に戻らねばならない。
 レックスも島へ帰ってしまう。彼と過ごせる時間。後は実家で一晩だけ寝泊りする間だけ。
「……………………」
 分かっていたとは言え、そう思うとやはり心が切なくなってしまう。明日にならばまた離れ離れ。
 物理的な距離が遠いと心の距離も遠くに感じてしまう。時間も距離もなにもかもを越えて。
 それでも繋がっていられる何かが欲しかった。そう、何かが。
「先生……」
「ん?どうしたんだい。ベル……」
「い、いえ……なんでもないの。忘れて……」
「あ、ああ。わかったよ」
 ふいに呟きかけた言葉。胸にぐっと押し込んでベルフラウはレックスと並んで歩く。
 一組の教師と生徒が練り歩く行き先。気がつけばマルティーニ家の邸宅はすぐそこであった。




「はふぅぅ……ふぁぁ……」
 提供された客間のベッドの上にレックスは寝転がる。帝国きっての商家、マルティーニ家。
 その熱烈な歓待をレックスは受けた。娘の恩師のレックスをマルティーニ氏は快く歓迎してくれた。
 豪華な晩餐。会話も酒の量も弾んだ。時折、『どうかね。君もうちの息子になる気はないかね?』と酒色交じりに尋ねてくるマルティーニ氏と『もう、お父様ったら!』と真っ赤になって怒り出す
 ベルフラウに苦笑させられながら、ようやくにレックスは解放された。
「流石に飲みすぎたなあ……こりゃ……」
 二日酔いは必至であろう。明日には港に停泊しているカイル一家の船で島に帰るというのに。
 二日酔いと船酔いのダブルパンチ。想像するだけでぞっとしない。だから別のことを思い浮かべる。
(それにしてもベル……キレイになったなあ……)
 久方ぶりに会う教え子の成長振りにレックスはひとりごちる。あの年頃の少女の成長は早い。
 こうして間をおいてみると強く実感できる。まだ幼さの残る少女から大人の女性へと。
 着実にその階段をベルフラウは上っている。
『待ってて欲しいの。絶対、貴方がビックリするような素敵な女になってみせるから』
 いつか彼女の言った台詞。その言葉が現実になる日もそう遠くはない。あるいは既に。
 
 コン コン

「はい。どうぞ」
 そうして物思いのふける内に響くノックの音。レックスはすぐに返事する。するとガチャリ。
 ドアを開けて部屋に入ってきたのは想像通りの顔であった。
「どうも失礼します。先生。調子はいかがかしら?」
 丁寧にお辞儀をしてから部屋に入るとベルフラウはレックスに調子を問う。
「あはは……ちょっと飲みすぎた……かな?」
 その問にレックスも正直に答える。するとクスリと笑うベルフラウ。手に一式の介抱道具を携えて。
 そのままベッドの上でグデグデに寝転がるレックスの傍による。
「まったく、もう……お父様ったら貴方に無理に飲ませるんですもの。ごめんなさいね。先生」
「いいよ。別に。それだけ君のお父さんに気に入られてる証拠なんだし……」
「まあ、それはいいとして……本当に大丈夫?私に出来る事があれば何でも言ってくだされば……」
「いや、そう特別には必要はないよ。でも、そうだね……とりあえず今は……」
 区切る言葉。一拍をおいてからレックスは伝える。素直な望みを。
「傍にいて欲しいかな。ベルに……」
「先生……」
 すんなりと口から出る言葉。たぶんに酒の勢いもあるのだろう。間違いなく酔っている。
 けれどレックスは思う。今の自分をここまで酔わせるモノ。それは血中のアルコールではなくて。
「楽しかったよ。今日は。久しぶりにベルフラウと会えて」
 そうして心のままにレックスは素直に言う。するとベルフラウの頬はポッと赤くなる。
 朱に染まった顔ではにかみながらベルフラウもまた素直に返す。
「私も今日は……嬉しかった……先生と一緒にいられて……」
 誰よりも尊敬し、誰よりも好きな人の傍にいられる。一緒になって街を歩く。店で買い物をする。
 二人きりのデート。家族を交えた晩餐。そして今、この時。どれもがこの上なく尊い瞬間だった。
 この記憶の中で決して色あせて欲しくない大切な思い出。
「ベルっ?」
 するとふいにベルフラウはレックスにはみつく。ベッドの上で上体だけを起こしたレックス。
 その胸元に頭を埋めるようにして手を背中に回してしがみ付く。
「っ……先生……先生っ……」
 愛しさがたまらなくなったのだろう。レックスの胸の中でベルフラウはしゃくりあげる。
 手放したくなかった。この手の中の温もりを。願わくばこのままずっと。そう思い抱きしめる。
 そうして抱きしめれば抱きしめるほどに愛しさは込み上げる。胸が熱い。ジリジリと焦がれるように。
「ゴメン……なさい……先生……私……我がまま……なの……分かってる……だけど……」
 すすり泣きながら紡がれる言葉。偽らざる本当の気持ち。それを告げる。
「本当はずっと貴方に……傍にいて欲しいの……もう、我慢できないの……私……私……」
「ベルフラウ……」
 愛しい人と遠く離れ過ごす。その切なさはレックスにも理解できた。胸の中でしゃくり上げるベルフラウ。
 その頭をレックスは優しく撫ぜる。この夜が過ぎればまたしばしのお別れ。寂しいと思う気持ち。
 それはレックスの胸の中にも確かにある。そのありのままをレックスは呟く。
「そうだね。俺も寂しいよ。君がいないと……寂しくて寂しくて夜も眠れなくなる……」
「先生……」
 先生と生徒として。そして男と女として。互いに想い合うその気持ちは同じ。だから求めたくなる。
 確かな心の繋がり。それを証明するなにかを。
「先生……お願い……」
 それを先に口にするのはベルフラウ。
「大人にして欲しいの……貴方の手で私を大人にして欲しいの……そうすれば私、頑張れるから……」
 少女を大人にする。その意味を分からぬ程、レックスは野暮ではなかった。深く噛締める。
 そして思う。あるいは今がその時なのかもしれない。この愛しき少女が階段を一気に駆け上がる。
 迷いはなかった。自分でも不思議なほどに。
「いいよ。ベル……いや、俺のほうこそお願いしたいぐらいかな……」
「っ!先生っ!」
「うわっ!ちょっとベルっ……少し大胆……」
「先生っ!先生っ!先生ぇぇぇっ!!!」
 承諾される願い。その瞬間、ベルフラウはレックスを押し倒した。一回りは年下の少女に圧し掛かられながらレックスは苦笑いを浮かべながら頭を掻いた。自身の照れくささを押し隠すように。




「んむっ……んっ……んむちゅ……んむぅ……」
 抱き合った姿勢で交わす口付け。触れるだけの親愛のキスではなく絡み合う情愛のキス。
 レックスの舌肉はベルフラウのそれを結んで離さない。抱きしめるようにきつく。
「ぷはっ……あふっ……はぁ……はぁ……」
 それでも流石に息が続かなくなり口を離す。すると一本の濡れた糸が二人の口元を繋ぐ。
 混ざり合った二人の唾液の糸。これが最初のステップ。
「はふっ……はぁ……あっ……」
 初めてのディープキス。その濃厚な感触に蕩けるベルフラウを優しく仰向けにレックスは寝せる。
 背中に当たる柔らかなシーツの感触。それと残るキスの余韻にまどろむベルフラウにレックスは声をかける。
「どうだったかな。ベル。大人の……キスの味は……」
 子ども相手に自分は何を言っているのか。そう一瞬、思いかけたがレックスはすぐに頭の中で打ち消す。
 もう子どもではないのだ。目の前の少女は。そう扱うと心に決めた。
「すごく……素敵……でも少し……お酒臭い……」
 素直に答えるベルフラウ。蕩けた眼で答えるその表情。少女のものから女のものになりつつあった。
「仕方ないよ。今日はたくさん飲んだからね……」
「今も酔っ払っているんじゃありませんこと……」
 上機嫌のレックスにベルフラウは少し訝しがる。愛する彼との初めての営み。そこに酒の力があるのは不本意。
「関係ないよ。確かに酔っ払ってはいるけどそれはアルコールのせいなんかじゃない」
 確信をもってレックスは答える。この上なく自分を酔わせるモノの正体を。
「ベルフラウ……俺は今、すごく君に酔わされている……」
「先生……」
 普段の彼には似つかわしくないその台詞。しかしベルフラウはそれをすんなりと受け入れる事ができた。
 愛しい人に甘く酔わされるその気持ち。自分も正にそうだから。
「貴方、いつからそんなにキザになったのかしら……」
「さあね……今から……ってことでもいいかな?」
 軽くツンとしてやるとそこにはいつものごとくの微笑み。ずっと魅せられてきた大好きな先生の笑顔。
 いつまでも傍で見続けていたい。
「んっ……っ……」
 プチプチ。シャツのボタンを外され肌蹴られる胸元。また一段、階段を上る。パサリと肌着が落ちると後は大切な箇所を覆う布が一枚の身体が露わになる。
「っ……その……あまりジロジロ見ないで下さる……」
 露わになった胸元をベルフラウはその手で覆う。あまり自信の持てない部分。顔を伏せて呟く。
「ガッカリさせてしまうから……私……あまり成長していないし……」
 いつまでたっても膨らみに乏しい胸。それだけはベルフラウにとってコンプレックスだった。
 色々と努力はしてみても一向に実らない部分。
「そんなことはないよ。俺が君にガッカリすることなんてあるはずないだろう」
 レックスはそう言いながら胸元に当てられたベルフラウの手に自分の手を添える。
「だから見せて欲しい。俺に君の全てを……」
「先生……」
 そうして添えられた手の促すままにベルフラウは胸から手をどける。あらわになるなだらかな胸板。
 そこに色づく桜色の突起。

「キレイだ……」
 レックスは心からそう思った。未成熟な胸も、それを恥らういじらしい態度も。ベルフラウを構成する要素。
 その全てが美しいとレックスには思えた。ふにっと突起に指で触れる。すると軽く喘ぐベルフラウ。
 その声さえも愛らしい。ふにふにと丹念に指で愛でる。愛しい少女の感触を確かめるように。
「あふっ……ふぁ……あっ……先生ぇ……」
 想像以上にテクニシャンなレックスの指先。弄られながらベルフラウは甘く喘ぐ。滲み出す愛蜜。
 ベルフラウの秘所をトロトロに濡らす。気がつけば白のパンツに染みが出来ていた。恥ずかしい。
 けれど愛おしい。
「脱がすよ。いいね……」
 そうして最後の一枚を剥ぐ許可をレックスは求める。ベルフラウはコクリと頷く。ハラリと剥がされる。
 そこに現れるのはトロトロの蜜が滲んだ愛らしい肉の割れ目。
「キレイだよ……ベル……」
「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
 ほぼ無毛に近い秘部を見られ、ベルフラウの羞恥は頂を見る。あられもない姿。それを晒す恥辱。
 それが愛する人にとはいえ、いや愛する人だからこそたまらない感覚が背筋を通り抜ける。
「先生ぇ……お願ぃ……あまり見ないでぇ……」
 プルプルと顔を震わせてベルフラウは懇願する。けれどレックスもここは引かなかった。
 二本ほど重ねた指先。それをするりとベルフラウの秘裂に滑り込ませる。
「ふぁぁぁあっ!はうっ!」
 敏感な秘肉を弄られてベルフラウは悶える。その刺激は一瞬ではなかった。くちゃくちゃと掻き立てるようにレックスの指先はベルフラウの敏感な部分を弄り始める。
「あふっ……やぁぁ……らめぇぇ……」
 膣肉をちゅくちゅくと慣らす指先。最初はベルフラウも抵抗した。けれど、もがけば指は更に滑り込む。
 より深い部分を擦られる。するとベルフラウはまた喘ぐ。
「ふぁっ……あふぁぁぁあっ!はうっ……んっ……んぅぅ……」
 繰り返される愛撫。その内にベルフラウの声も甘い響きを強める。くちゅくちゅと濡れた音を立てる指先。
 その卑猥なリズムが身体の芯に響いてたまらなかった。ゾクゾクするような快感。背をはしりぬける。
「あふっ……ふぁあんっ……あんっ……ひあんっ……はうっ……んふぅ……」
 終いにはずっとこうして弄られていたいとさえ思えるようになっていた。愛液まみれの秘部。
 もうトロトロになっている。くぱあと開かれた肉の割れ目がパクパクと口を開いている。欲しい。
 たまらなく欲している。指先以上のモノを。
「これだけ濡らしておけば大丈夫かな。ねえ、ベル」
 十分な前戯を施した後にレックスは尋ねる。ベルフラウは涙目になって睨んでいた。
「うっ……うぅ……ぅ……この……変態ぃ……」 
 突き刺さる視線にレックスは苦笑してゴメンゴメンと謝る。ベルフラウはぷいっと横を向く。
 けれど、その内にまた向き直りチラチラとレックスの顔を窺う。
「いいかい?ベルフラウ……」
「っ!?」
 ふいに重なり合った視線。優しい声音の呼びかけにベルフラウの息がつまる。いよいよその時。
 目の前にある階段を一気に上りきるための。
(……やだ……私……)
 ドキドキドキ。かつてないほどに心臓がバクついていた。その心音だけでどうにかなってしまう程に。
 期待。不安。羨望。様々な感情が胸の中で入り雑じる。モヤモヤする。そしてドロドロ。胸が苦しい。
 息苦しくなり何度も呼吸を繰り返す。その間、レックスは待っていてくれた。愛しむような眼差しと共に。
「いいわ……」
 肺の奥からなんとか声を絞り出す。その続きは急かされる様にベルフラウの口から飛び出てくる。
「お願い……して……私を大人にしてっ!先生……」
 精一杯の声で懇願する。するとレックスは優しく微笑む。ああ、これだ。この笑顔にいつも魅せられてきた。
 いっぱいの優しさで全てを包みこんでくれるような笑顔。大好きなレックスの笑顔。

「それじゃあいくよ。ベル」
「っ…………」
 かけられる声にコクリと頷いてベルフラウは目を閉じた。そのまま身を開いて全てをレックス委ねる。
「んっ…………」
 ひたり。触れる先端。身が強張る。初めてのことに流石に不安はある。
(だけど……)
 だが、それ以上に信じていた。なによりレックスのことを。愛する彼と迎える初めての営み。
 大切な純潔を愛する彼に捧げられる。それだけで自分は満足。例えどのような結果になろうとも悔いはない。
「ひうっ!」
 そして刹那、圧力が加わる。逞しいレックスの剛直。ずるり。肉の圧迫。入り込む。ゆっくりと。
「んっ……んぃぃぃっ……んぅぅぅう……ひぎぃぃぃい!」
「ベルっ!?」
 処女喪失。想像以上の痛みがベルフラウを襲う。十分に濡らしてはいても相当に痛い。抉られるように痛む。
 破瓜の痛みに顔を引きつらせるベルフラウ。その様子にレックスも動揺する。
「待ってっ!そのまま続けてっ!」
「っ!?」
 けれどレックスが何かを言い出す前にベルフラウはそれを制止する。ポロポロと涙が零れだす瞳。
 痛みに強張った表情でそれでもレックスに願う。
「お願いっ……ちゃんと最後まで……先生ぇぇ……」
 涙ながらに懇願する。この営みをやり遂げることを。確かに痛い。身を引き裂かれるような痛さだ。
 けれど知っている。この痛みこそ明日の笑顔だと。そんな女神達の声がベルフラウの頭に木霊している。
 その思いはレックスにも響く。
(ベルフラウ……)
 そうしてレックスは気づかされる。自分がまだ心のどこかでこの少女を子ども扱いしていたことに。
 そんな自分が少し恥ずかしくなる。一人の女性としてベルフラウは自分に対しているというのに。
「わかった。ちゃんとするよ……最後まで……ベルフラウ……だからもう少しだけ我慢して……」
「う……ん……先…生……ひぐっ……くぅぅぅぅ……」
 痛みに負けず気丈に振舞うベルフラウ。その姿がレックスの心をうつ。だからレックスも向かい合う。
 ベルフラウに対し、一人の男として。そうしてレックスは一気に腰を突き進める。
「んぐっ……んぎっ……んっ……」
 より膣奥をえぐられ痛みに仰け反るベルフラウ。その背をレックスの手が擦る。キスをする。
 少しでもベルフラウの痛みが和らぐように。それと同時に進める腰。ずぶずぶ。肉根は根元まで入り込む。
「んぁ……はぐぅ……はぁ……あぐぅ……あぁ……先生……先生ぇ……」
「あぁ……ベル……ベルフラウ……」
 ギチギチと膣奥までベルフラウの中にぴっちりと詰め込まれるレックス自身。繋がっていた。
 身体と身体が。そして心と心が。
「あぁ……あうっ……うっ……先生っ!先生っ!!」
「ベルっ!ベルフラウっ!!」
 深く繋がったままで二人は抱き合う。教師と生徒。男と女の垣根を越えて。解け合う想い。確かな絆。
「先生っ……待ってて……私いくから……卒業したら絶対にあの島に行くからっ!」
「ああ、いつまでも待つよ。ベルフラウ。君とずっと傍にいられるその日まで」
 ひとときの逢瀬。そこで交わされる約束。この誓いは永遠。未来永劫違えることのない永久の誓い。
 その誓いを胸にレックスとベルフラウ。二人はシルクのベッドの上で朝まで愛しあった。
 どれほどの距離を隔てても途切れぬ絆をその身に深く刻み込んで。そしてその誓いの夜から数年。
 忘れ去られた島に一人の女性の姿が現れた。子どもの頃と同じ赤い服。それに白のマントを羽織って。
 少し広めのおでこと隠す赤の帽子。腰まで届く長い金髪。すらりと伸びた背と手足。
「お帰り。ベルフラウ」
 真っ先に出迎えにきてくれた赤ずくめの青年。なにもかもあの頃と変わらぬ出で立ち。 
 その彼にようやく釣りあう姿となった彼女は笑顔とともにこう呟く。数年分の思いとともに。
「お待たせ。先生」
 これは始まり。かつては教師と生徒。今は永遠を共にするパートナーとなった二人の始まりの物語。
 これからも続いていく物語。その続きは二人だけが書き綴ることを許される。


 〜fin〜

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