恋する乙女は都月の裏設定をも殺す



「ねえ、レックス……今夜は中に出して」
「……アルディラ?」
ベッドの中でひとしきり体を絡ませ合った後、不意にアルディラが呟いた。
愛し合う仲にある男女であれば別段おかしくもないはずの言葉に、レックスは少し訝しがる。
融機人と人間では、遺伝子構造そのものが違うため、妊娠・出産には大きなリスクが伴う。
それを彼女から聞いていたからこそ、レックスは中に出すことを今まで控えてきたのだった。
愛しい女性の体を気遣うのなら当然断るべきだったが、レックスを見つめるアルディラの目には、気の迷いや思いつきではない、確たる意志が感じられた。
「……わかった。いくよ、アルディラ」
アルディラはそれほどまでに自分を想ってくれている。ならば、こちらも覚悟も決めよう。何が起こったとしても彼女を守れるように。
そう決意すると、レックスはアルディラの中に身を進めていった。


「ああぁっ!あっ、レックス、はげし、や、あんっ!」
最終的に外出ししかしていなかったため、どことなく半端に終わっていた二人の性交だったが、今回は全く違うものになっていた。
果てるまで中にいてもいい。最後まで中にいてくれる。
その安心感が、二人により深く繋がろうと思わせ、行為を激しいものにしていた。
アルディラに覆い被さり、獣のように腰を振る。
「あ、奥、たっ叩かれて、っあぁぁ!あ、あ!」
何の躊躇もいらない。ただひたすらアルディラを突き続ける。本能のままに。
アルディラもまた、レックスにしがみつきながら、本能のままに膣を締め付ける。
「アルディラ、中に、全部中に出すよ……っ!」
「ええ……来てっ、早く来てえっ!」
レックスは腰の動きを速めつつ、最後の一突きとばかりに思いきり奥に突き入れる。
肉棒が子宮口に穿たれた瞬間、大量の精液がアルディラの中に吐き出されていった。


「ふふっ……中、どろどろね……」
行為の後、穏やかな表情で下腹部をさするアルディラに、レックスは自分の決意を打ち明けることにした。
「アルディラ……もし、これで妊娠していたら、子供を産もう。
危険だってことはわかってるし、君に負担をかけることにもなる。
けど……何があっても俺が責任を取る。だから……」
「……ふふふっ。なんだ……そういうことだったのね……もう」
「え?」
突然笑い始めたアルディラに戸惑い、間の抜けた声を上げてしまうレックス。
その反応が余計におかしかったのか、しばらく笑い続けた後、アルディラは口を開いた。
「確かに、通常なら人間と融機人が交配した場合、出産できる確率は低いわ。
でもね、ロレイラルの技術で受精卵を摘出して、適切な医療処置を施してから子宮に戻せば、安全に子供を産むことが可能なのよ。
マスターの時は無色の派閥がいたから、ラトリクスの施設を私事に使用することはできなかったの」
「……そうだったのか」
自分の心配が杞憂に過ぎなかったことに安堵し、レックスは大きく息を吐いた。
「責任、取ってよね」
そんなレックスに悪戯っぽく微笑みかけながら、あの時のようにアルディラが囁いた。


終わり。

目次

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!