とある誓約者の生活



「ふぁぁぁ……もう朝か」
 ちちち…。外から聞こえる小鳥の囀りにふと目を覚ました。
 此処のところ、どうも早起きになってしまう。いや、それ自体は良いことなのだが、それにはあまりよろしくない事情がある。
「………リプレ?」
「んふぁ、なぁに?」
 訝しげに彼女の名を呼ぶと、それは自分の下半身――つまりは布団の中から聞こえてくる。
 がばっと勢いよく掛け布団を剥ぐと、そこには一糸纏わぬリプレの姿があった。最近暖かくなってきたとはいえ、流石に寒いんじゃないか――などという野暮なつっこみができるほど、今のハヤトは冷静ではなかった。
「んふ、おいひ……」
 それもそのはず、彼の大事な部分を、リプレが口に含んでいたからだ。
 ただでさえ、朝勃ちという男の子特有の現象が起きているというのに、生暖かい彼女の口腔は唾液も混じり、下半身は、ただでさえ寝起きでハッキリしていない理性と共に、どろどろに蕩けてしまいそうだった。
「……ってそういうことじゃなくて! 朝から何してんだよっ!」
「ふぅ? …んは、見ての通りよ?」
「いや、分からないからっ!」
 己の欲望から、唾液を垂らしつつ唇を離す様はとても淫靡に映る。思いとは裏腹に、ハヤトのそれは敏感に反応してしまう。
 ええい、俺の正直者っ。などと、恥ずかしい気持ちになりながらも、きちんとリプレにはつっこみを入れておく。
「だって、負けてられないもの」
 誰に。何に。
 ―――と、リプレの答えに問う程、ハヤトも間抜けではなかった。…似たようなことをされているから。
 つまりは、そういうことである。彼が早起きになってしまったのも、これが一因となってしまっているのだ。
 毎朝毎朝、このような起こし方をされては自然と起きてしまうのも仕方がないだろう。

「…だからって、こういうやり方じゃなくてもいいと思うんだけどなぁ」
「でも、ハヤトは喜んでくれてるでしょ?」
「うっ……」
 つんつんと立派に硬く天井を向いている自身を突かれて反論も出来ない。だが、このような習慣を許してしまっている
 時点で、文句は言えないのかもしれない。ああ、俺って本当流されやすい性格だよなぁと嘆きつつ。
「だったら、素直になりなさい」
 こういうときに、リプレママモードに入るのは卑怯だと思う。思わずその言葉に甘えてしまう。
 彼女には包容力がある。幼い子どもたちの母親代わりとして暮らしてきたその母性が。
 だが、ハヤトは知っている。同時に彼女もまたひとりの少女だということも。
 ついつい彼女を母親的存在として見てしまいがちだが、時折見せる少女らしい立ち振る舞いははっとさせることがある。
 そんな彼女を愛らしく思っているのは事実なのだが。

「ほら…最近、わたし、おっぱい大きくなってきてるんだよ?」
「うわっ……」
 ハヤトは手を引かれて、リプレの乳房に触れる。ふにゅとそこには揉み応えのありそうな感触が走る。
 確かに彼女の言うとおり、どうも最近胸がよく目立って成長しているような気がする。
 ハヤトの手は男の子らしく、それなりに大きいと思うのだがそれに収まらないほど大きく成長していた。
 普段は露出の少ない服を着ているため、さほど目立たないが着る服次第では、見違えてしまうのではないかと思った。
 それだけ、彼女のスタイルは良い。…もっとも、それは自分だけが知る秘密であって欲しいと願うのは、傲慢だろうか。
「おっぱいが大きいとね、こういうこともできるんだよ……?」
 どこか色づいた声色でそう呟くと、リプレはその質量のある乳房をハヤトの肉棒に挟んできた。まるでホットドッグか、ハンバーガーみたいだなぁ、と間抜けなことをぼんやりと考えながら、その感触に自身を跳ねさせる。
「……リプレのおっぱい、温かい。それに…すべすべしてる」
 思わず素直に呟いてしまった。
 流石女の子と言うべきか、あれだけ母親代わりとして忙しい毎日を送っているというのに、肌には気を使っているのか、男のそれとは違う滑らかな感触に欲望は素直に反応してしまう。

 そんなハヤトに気を良くしたのか、リプレは双眸を細めながら硬く折れそうもない彼の肉棒をこね回す様に、自身の乳房をより押し付けてぐにぐにと淫猥に形を歪めさせて、圧迫していく。
 乳房からはみ出した先端を、ちろちろと舐める様は、言葉にしがたいほど淫靡で魅力あるものだった。
「んふっ…ちゅ、ちゅうっ……んろ…ん……ふふっ、ハヤトのおちんちん、びくびくしてて可愛い…」
 すりすりすり。圧迫感を与えるリプレの乳房の与える快感もさることながら、飴のようにちゅばちゅばと唾液の音を交えて舐めたり吸う彼女の唇と舌の感覚は、ただでさえ興奮して敏感になっているハヤトの感覚をさらに研ぎ澄ませる。
 ましてや、こんなことを言われてしまえば、我慢しろと言う方が無理である。
「ごめん…リプレ、そろそろ……」
「あ……ちょっと、待って」
 限界を告げようとしたその時、きゅっと彼女はハヤトのその先端を軽く摘む。
 どくどくと熱を持ち、今にも暴発し、跳ね回りそうなそれを抑えられると、逆に早く解き放ちたいという欲望に駆られる。
 自然と吐息もあがり、無言のまま、訴えるように腰を動かして彼女の乳肉に肉棒を擦らせる。
 そんなハヤトの欲望に喜んだのか、あきれたのか、笑みを漏らすと彼の股間に跨るように膝立ちになる。
 そして、自ら秘めたる場所をハヤトに見せるように、指で押し開く。そこからは貪欲に涎をこぼす姿があった。
「射精すなら、此処に……ね?」
 にっこりとリプレは頬を紅潮させながら、囁いた。

「んあぁっっ……!」
 リプレは甘くこぼれる嬌声を噛み殺した。……流石に早朝とはいえ、他のメンバーが起きないという保証はない。
 だが、それでも耐えられない快感が彼女の肉体を走る。
 ずぶりと深く突き刺さる肉棒に、どこか愉悦の表情を浮かべながら求めるように体を上下させる。
「あは…ハヤトのおちんちん…凄く熱ぃ……あ…んんっ…!」
「リプレのなかだって……ぎちぎちって締め付けてくるっ」
 だが、快感に耐えられないのはハヤトも同じであった。
 ただでさえ、先ほどの乳戯に興奮し快感を高められていたのだ。
 少しでも気を緩ませたら、あっという間にその堤防は崩されそうだった。

 だからこそ、少しでもその快感を味わうように、自然とリプレを突き上げる勢いは強くなっていく。
 対するリプレもまた、その豊満な乳房をぷるんぷるんと柔らかく淫らに弾ませながら、腰を動かしていく。
 お互いがお互いの快感を高めるように、そして相手への快感もまた与えるようにふたりは本能に従った。

 ――ぐぶっ、ぐぶっ、ぐぽっ

 淫らな音が、静かな朝の部屋にふたりの淫声と共になり響く。
 このアジトは、お世辞にも良い造りの建築物とはいえない。薄壁の防音効果については推して知るべしだ。
 だが、その声や音が仲間に聞こえるかもしれない。そんな背徳的なスリルもまた彼らに興奮を与えていた。
 気がつけば、ハヤトは揺れる豊かなリプレの乳房を捕まえて、乱暴に揉みしだく。
 先ほどより強く握ったためか、より歪に形を変えてしまう。多少の痛みはあるものの、リプレはそんなのお構いなしに、ハヤトの肉棒を求める。いや、むしろ卑猥に形を変えられる自分の淫らな乳房、そしてその姿に興奮しているのか、肉棒を銜え込む肉壁はさらにそれを締め付けた。

「ふぁっ…ああっ! わたしのおおきいおっぱいっ…いやらしい…っ…はやと、もっと、揉んでっ…! おちんちんも、もっとちょうだいっ……はやとの欲しい……もっと、ほしいのっ…!!」
 もう、淫声を抑えることは諦めたのか、リプレは思うがままに欲望を口にしていた。
「あ、ああっ……リプレ……っ!」
 ハヤトはその願いに答えるかのように、握る乳房を更に揉み解し、リプレの体が跳ねるほど強く突き上げた。
 指は不思議なほどに、リプレの乳肉に吸い込まれ指の食い込みがはっきりとする。何度も強くリプレの乳房を、秘所を、指で肉棒で犯し彼女の欲望を、そして自身の欲望を満たしていく。そして、ついに、その限界が訪れる。
「り、ぷれ……も、おれ、限界……っ…!」
「う、うんっ。いいよ、来て。来て…はやとっ! ハヤトの熱いの、たくさん、ちょうだい……!」
「あぐっ……いっ、イクっ……! うぁ、ぁああああああっ……!!」
「ふぁああぁ、あ、ぁっ、……あ、あぁぁぁあああ!!」
 ふたりの声がシンクロすると同時に、ハヤトの竿先からは先ほど我慢させられたせいか、どくどくと弾丸のように、あるいは濁流のように大量の精液が放たれ、リプレの膣内を支配していった。
「あは……はやとの熱いの…きたぁ……」
 リプレはそう呟くと、ふらっとハヤトの身体に圧し掛かり、そのまま気を失ってしまった。



 その後、大変だったのはハヤトだ。
 汚れてしまったシーツを、まだ寝ているリプレの代わりに洗濯しなければならないし、かと言って、自分の部屋で寝てしまっている彼女をそのままにしておくわけにはいかず、仲間の目に触れないよう自分のパジャマを着せた彼女を、部屋まで運んだりと、兎に角大変だった。
「……あーあ、疲れた。いろんな意味で……」
「え、そう? わたしは、大満足だけど?」
「それはなにより……」
 でもまあ、いいか。流されているような気はするものの、喜んでくれているようだし。
 ハヤトはようやく朝食作りをはじめたリプレに苦笑いを浮かべながら、自身も顔を洗いに洗面所へと向かった。
(今日は外に出よう。中にいたら、またああいうことになりかねないし)
 そう決意した。……だが、そのせっかくの決意も数時間後に裏目に出るとは、まだこのときのハヤトは思っていなかった。けれども、それはまた別のお話。

おわり

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