鉄砲娘と幽霊娘のR&R



「ねえ、ファリエル。なんだかまた透けてきてない?」
「あら。そうみたいね」
 ふいにソノラは呟く。するとファリエルも気がつく。
 先程まで実体を伴っていたファリエルの身体。
 それが元の霊体の状態に戻ってきていた。
「またマナ不足?今夜も先生のところへ行く?」
「ダメよ。ソノラ。そんなに度々押しかけては先生にもご迷惑だわ」
 基本が霊的な存在であるファリエル。その実体化には制約が伴う。
 特に深刻なのはマナの消費だ。実体を維持するためには大量のマナを消費する。
 マナの枯渇はファリエルの存在自体の消滅にも繋がりかねない。
 そのため消費の少ない霊体のままでいる方が望ましい。
 定期的に十分な量のマナを補充することができればそれも問題ないのだが。
「そうだよねえ。流石に先生もクタクタだもんね。ここんところお勤め続きで」
「………………………………」
 ソノラがしみじみとそう言うとファリエルは赤く染まる顔を伏せて黙り込む。
 手っ取り早いマナの供給手段。それは高い魔力を持つ人物と性交することである。
 以前、ソノラにまんまと乗せられてレックスと三人でセックスを行って以来、
 ファリエルは時折マナをそういう形でレックスから供給してもらっているのだ。
 勿論、ソノラも一緒に。
「いやあ。一昨日の晩なんか凄かったよねえ。ファリエルったらあんなにもエロエロでさあ……」
「だからエロエロとか言わないでって言ってるでしょう!ソノラっ!」
 一昨日の逢瀬を思い返して囃したてるソノラにファリエルは顔を真っ赤にして怒り出す。
 だが事実、ソノラの言うとおりエロエロだった。あの晩はファリエルも相当に乱れていた。
 丁度、満月だったせいなのか。魂が昂ぶるままにファリエルはレックスと交わった。
 騎乗位で跨りながらそれはもう散々に腰を振って。ソノラが『そろそろ交代してよ』と
 何度も言ってもそう簡単には譲ってはくれないぐらいに。
「あはは。終いには先生、ミイラみたいになっちゃってたよねえ。あんだけ乱れたファリエル見たのってあたし初めて♪」
「うっ……うぅ……ソノラぁぁ……」
 羞恥に震えるファリエル。陽気な笑顔を見せながら言ってくるソノラを少し恨めしそうに睨む。
 元はと言えばけしかけたのは貴女の方でしょうにと言いたくて言いたくてたまらなかった。
 そんなファリエルの心中を察してソノラもゴメンゴメンと謝る仕草をする。
 ぷくっと頬を膨らませるファリエル。けれどソノラがペコリと頭を下げると微笑んでそれを許す。
 そんな感じにこの二人の友人関係もそれなりにこなれてきていた。
「でもさ、そんなんで本当に大丈夫なの?ファリエル。……って言ってる内にもっと透け透けになってるし」
「ふふ。大丈夫よ、ソノラ。私にとってはこれが普通なんだから」
「うーん。そりゃそうなんだろうけどさあ……」
 そうこうするうちに完全に霊体化したファリエルを釈然としない表情でソノラは見つめる。
 確かにファリエルにとってはこれが普通なのだろう。元々、とっくの昔に死んじゃって幽霊なんだし。
 ファリエル自身も割り切っていることだ。けれどムズムズムズ。ソノラのお節介焼きの虫が騒ぎ出す。
 なにか自分が友達としてファリエルのためにできること。それはないかと考えあぐねる。
「あの……ソノラ……?」
 そんなソノラにファリエルは怪訝そうに声をかける。この自分にとって初めての親友は基本的に優しい。
 今もきっと自分のために何かを考えてくれているのだろう。それはとても嬉しいことなのだけれど。
 ただ、その思いつきがいつもあまりにも突拍子がなさすぎて。
「よっし。そうだ」
「ソノラ?」
「うふふ。あたしってばいいこと思いついちゃった♪こっちついて来なよ。ファリエル♪」
「ちょっとソノラ……付き合うってまた何処へ……ってソノラっ!」
 ズルズルズル。そうしてまたしてもソノラに引きずられるように付き合わされるファリエル。
 拒もうと思えばいくらでも拒めるのに、いつもこうしてソノラに引きずられてしまうのは。
 それは私の弱さなのかそれともソノラの人徳なのか。いったいどっちなんでしょうね?兄さん。
 草葉の陰に眠るであろう兄にファリエルはそう尋ねかけた。



「仮のボディ?」
 機界集落ラトリクス。唐突に訪れにきたソノラとファリエルを前にアルディラは注文を反芻する。
「そうそう。ファリエルが普段から憑りついて動けるように」
「ちょっ、ソノラ……」
 実体化はマナの消費が激しいのならばなにか別のモノに憑りつけばいい。実に単純な思い付きだった。
 実際、ファリエルも普段はファルゼンの鎧に憑依している。憑り代となる仮のボディ。
「あんなごっつい鎧とかじゃなくてさ、もっとほらクノンみたいに可愛いの。そういうヤツ作れない?アルディラ」
「ごっついって……ソノラ。あんまりアルディラ義姉さんを困らせないで……」
 それを作ることはできないかとソノラはアルディラに尋ねる。ファリエルはすまなさそうにそれを制止する。
 あまり無茶な注文を義理の姉でもあるアルディラにふっかけたくはなかったのである。
「それは面白そうね。クノン。例のヤツのデーターすぐに用意できるかしら」
「はい。かしこまりました。アルディラ様」
「ね、義姉さんっ!」
 だが、ファリエルの予想に反してアルディラも乗り気だった。早速、傍らにいるクノンに指示を飛ばす。
 カタカタカタ。融機人お得意の情報処理。見る見るうちに仮ボディのプランが構築されていく。
「ちょうどよかったわ。貴方たち。今、偶然似たような研究をしていたのよ」
 キラリと光る眼鏡の奥から笑みを覗かせてアルディラはそう言う。ソノラは『やっりい』とはしゃぎ、ファリエルは『嘘でしょう』と呆然と呟く。そんな二人にアルディラが指し示すディスプレイの画面には
 機械人形用生体ボディ開発試作案というタイトルが表示されていた。
「元々はクノンのマイナーチェンジに用意していたものなのよ。実験サンプルの方から来てくれたのは好都合だったわ」
「実験サンプルって……義姉さん……」
「ふふふ。気を悪くしないで。ファリエル。それにここには生前の貴女の身体データーもちゃんと残っているし」
 そう言うとまたカタカタカタ。キーボードを叩くと画面に映し出されるファリエル=コープス身体記録。
 ファリエルの生前の身長、体重、スリーサイズ、諸々のデーターが網羅されている。
 ふんふんと頷きながらソノラはそれを覗き見る。すると勝手に見ないでとファリエルは透け透けの霊体の身体で画面を隠そうとする。そんな義妹とその親友の睦まじい姿にアルディラはクスクスと目を細めて笑う。
「外見調整さえすれば試作品はすぐにでも作れそうよ。貴方たちさえよければここで待っていても構わないのだけれど」
「それではお二人の分のお茶の準備をして参ります。アルディラ様」
「だってさ。よかったね。ファリエル」
「ああ、……なんだかもう……一生分の疲れがきた感じよ……ソノラ……」
 あまりにトントン拍子のこの展開。楽天的なソノラとは対照的についていけそうにないと眩暈を覚えて。
 溜息混じりにファリエルは呻いた。



「じゃじゃーん♪完成〜〜♪バキュン。バキューン♪」
 そしてラトリクス脅威のメカニズム。作業は滞りなく進んだ。試作完成を祝してソノラは祝砲を撃つ。
 すると研究室(ラボ)の中で銃を撃たないでと窘めるアルディラ。ソノラはテヘヘと謝る。
 出来上がった試作体。ファリエルはそれを呆然と見つめていた。
「これは……私……?」
 ファリエルの正面に位置する仮のボディ。それは生前のファリエルそのままの姿だった。
 過去に失ってしまった生身の身体。それを目の前にして憧憬の念にファリエルはかられる。
「そうよ。過去の貴女のデーターをそのまま再現したの。これは私の記憶の中にもある貴女の生前の姿」
「義姉さん……」
「さあ、試してごらんなさい。ファリエル。生きていた頃の貴女の姿。私にももう一度見せて」
「うぅ……はい……義姉さん……アルディラ義姉さん……」
 そうして涙ぐむファリエルにその手をとるアルディラ。かくも美しい姉妹愛。
「よかったね……うぐっ……本当によかったね……ぐすっ……ファリエル……」
「はい。私も同感に思います」
 その傍らでソノラはばっちり貰い泣きをしていた。クノンもそれに同意する。
 ややあって、正面にある仮ボディ。その中にすうっと霊体のファリエルが入り込んで。
「嘘……みたい……」
 憑依してファリエルは目をパチクリさせて呟く。実験は見事に成功した。
 急ごしらえの仮ボディはファリエルに見事にマッチした。クニクニと動く指先。
 まるで生きているみたいに。生身を得た実感。ジワジワと歓喜がファリエルを包む。
 嬉しくて。あまりに嬉しくて。ファリエルの瞳から涙が零れだす瞬間。
「やったあっ。やったじゃんっ。ファリエルっ!」
「きゃぁっ!ソ、ソノラっ!」
 ファリエルはソノラに抱きしめられていた。実験の成功をまるで自分のことのように喜ぶソノラ。
 そんなソノラに抱きしめられながらファリエルも喜んでいた。喜びを肌で分かち合える幸せ。
 仮初の身体とはいえそれをファリエルは実感する事ができたのである。
「うふふふ。本当に仲がいいわね。貴方たち」
 そんな風に抱き合って喜び合う二人にアルディラは優しく微笑みながら洩らす。
 アルディラにとっても喜ばしいことであった。自分の大切な義妹のファリエルに。
 こうして喜びを分かち合える素敵な友達ができたのだから。
 抱擁しあう二人。間を置く事しばらく、頃合を見計らってアルディラは手を叩いて言う。
「はいはい。貴方たち。はしゃぐの結構だけどまだ最終チェックが残っていることをお忘れなく」
「最終チェック?」
 そう尋ね返すのはソノラ。ファリエルをムぎゅっと抱きしめたままで。
 抱きしめられているファリエルは照れながら頬を染めてわたわたとしている。
「ええ、そうよ。この仮ボディとファリエルの相性を色々とね。ソノラ。貴女も手伝って貰えるかしら」
「ふふん♪そんなのお安い御用。じゃんじゃん手伝っちゃうよ。まっかせなさいって♪」
「あ、あの……ソノラ……義姉さん……」
 頼まれた手伝いを安請け合いするソノラ。そんなソノラとは裏腹にファリエルはなにか不安を覚えていた。
「ふふふふふ。楽しみね。色々な意味で」
「あはははは。そうそう。何するのか知らないけれど」
「ちょ、ちょっと待って!二人とも……あうっ!ク、クノン……」
「申し訳ありません。ファリエル様。準備が完了するまで意識を凍結させていただきます」
「そ、そんなぁ……あぁ……」
 妖しく微笑む二人に抗議しかけたところで仮ボディの動力源をファリエルはクノンに切られる。
 ボディと同調していたファリエルの意識も一緒に暗転した。かくて舞台は最終チェックへ。
 そこでファリエルの嫌な予感はものの見事に的中するのである。
 



「ふぁっ……あんっ……ソノラ……やめっ……ふぁぁっ……」
「んふふ♪……ほうら、ファリエル……ふにふに……」
 ファリエルが意識を取り戻すとそこは真っ白なベッドの上だった。
 気を失っている間に脱がされて素っ裸のファリエル。その柔肌をソノラは指先で愛でる。
 仮ボディとの相性チェック。それには性的な刺激を与えてその反応を見るのが一番手っ取り早いのである。
「だからって……こんな……ふぁぁ……ダメッ……そこは……あはぁ……」
「あはっ♪ファリエルったらカワイイ……んふふ♪……かぷ……」
 ファリエルは喘ぐ。するとソノラはノリノリでファリエルの耳たぶを後ろからカプリと甘噛みする。
 続けて耳筋にピチャピチャと舌を這わせて乳房は指で弄る。ファリエルは敏感に反応する。
 断続的に受けるソノラからの愛撫。その愛撫にファリエルの精神は早くも蕩けていた。
「ふふ。いいデーターが取れるわね。その調子で続けて。二人とも」
「ふぁぁ……あふっ……ね、義姉さぁんっ……あうぅ……」
 ベッドの上で絡み合う二人。そんな二人に微笑みながらアルディラは実験データーをとる。
 涙目のファリエル。よりによって親友から手篭めにされて、義理の姉にその様子をバッチリ見られて。
 どういう厄日だと心の中で思いながらファリエルは喘がされる。
 ソノラも手馴れていた。例のマナの補給の際にはこうしてソノラがファリエルを愛でることも多い。
 ファリエルの弱い部分とか色々。実地で理解している分、適役である。
「ソノラ。そこから指二本分右にずらしたポイントを刺激してもらえる?」
「えっと、ここ?そんじゃ早速……」
「ひんっ!ひぁぁぁあああっ!!」
 そこへ更に加わるアルディラからの指示。ファリエルの生前のデーターを元に作られた仮ボディ。
 どこが急所なのかは当然、アルディラは熟知している。まさに鬼に金棒。いや砲撃主に鉄砲。
 すっと指が入り込む陰唇。比較的高いTECを誇るソノラはファリエル相手にクリティカルを連発する。
 ピンポイントで弱点を責め立てるソノラの指にファリエルはもうメロメロであった。
「んひひ……ファリエルったら、もうこんなにも濡れてきてる……やっぱりエロエロぉ♪」
「っふ……エロエロって……言わないでぇぇ……」
 ぬちゅ。ぬちゅ。ソノラの指が動く度にファリエルの秘肉に愛蜜が滲む。
 普段、実体化しているときよりもファリエルは濡れやすかった。感度はいつもより良好だ。
 漠然としたイメージから構築される仮初の肉体と正確なデーターを元に再現されたボディの差か。
 ピクッ。ピクッと乳首をそそり勃たせながらファリエルは快楽を感じている。
「懐かしいわね。この娘ったら昔からそうなのよ。私とあの人がしているのを隠れてみながらこっそり……」
「ね、義姉さんっ!……バラさないでぇぇ……」
 そこへ暴露される過去。兄夫婦の営みをオカズに自慰してたことをアルディラから明かされるファリエル。
 あの頃もこんな感じでファリエルは濡れ濡れだった。生前からエッチなことにはすごく反応しやすいのだ。
「あははっ♪ファリエルってば、やっぱり昔からそうなんだ。やーい。エロエロぉぉ♪」
「うっ……ひぐっ……だから言わないで……エロエロって……お願い……」
 バラされて羞恥に震えるファリエル。恥じらいの気持ちは悦びの感度を更に高める。
 くちゅ。膣肉をかき回す指の感触。ぴくっ。乳頭の付近をなぞる親指。
 ピチャリと首筋を舐めてくるソノラの舌がものすごくいやらしく感じられた。
 くちゅ。くちゅ。くちゅ。クニクニクニ。ピチャピチャ。快楽まみれで頭がどうにかなってしまいそう。
「これまでのところ、実験のデーターはオールクリアーです。アルディラ様」
 盛り上がる他の三人とは別に、一人だけ冷静なクノンは解析を進める。今のところ相性に問題はない。
 ただ性的な感応値が通常より高い反応を示している。だがそれも誤差の範囲内。
 得られたデーターを元に修正をかければより完璧になる。着々とその作業をクノンはこなす。
「……っ……アルディラ……様……なにを……?」
 だがそんなクノンの作業をなぜかアルディラが邪魔をする。スッと差し込まれるアルディラの手。
 それはクノンの胸元に入り込んで弄る。クノンはピクッと反応する。
 クノンの反応を確かめるとアルディラは微笑を浮かべてそのまま続ける。
「ふふ。そういえば、貴女の方の最終チェックもまだだったわね。クノン」 
「ア、アルディラ様ぁ……」
 フッと息を吐いて呟きながら、クノンの平坦な胸板をアルディラは弄り続ける。
 より人間に近い生体ボディへのマイナーチェンジ。実はその換装をクノンも済ませたばかりなのだ。
 ソノラの愛撫に甘く喘がされるファリエルの姿。それにあてられてアルディラも昂ぶっていた。
「し、しかし作業の方が……あぁ……あっ……」
「いいのよ。そっちの方は焦らなくても。クノン。私達も……」
「あぁ……アルディラ……様……んむっ……」
 と、こちらもこちらで仲良くおっぱじめてしまう主従。
 クノンの唇を優しく塞ぎながらアルディラはその場でクノンを組み伏せる。
 ぷちん。ぷちん。互いの衣服のボタンを外す。そしてベッドの上の鉄砲娘と幽霊娘のように。
「ああ、クノン……私の可愛いクノン……あはぁぁ……」
「ふぁぁぁっ!アルディラ様ぁぁっ!」
 融機人と看護機械人形の主従も甘く睦み合うのであう。エロエロなのは義姉の方も同じなのだ。



「ああっ。いいっ!すごくいいわっ。クノン」
「はうっ……あうっ!ア……アルディラ様っ!」
 そうしてファリエルの最終チェックもそっちのけでおっぱじめてしまったアルディラとクノン。
 互いにぶつけあう機械混じりの身体の生身の部分。かん高い嬌声は響き渡る。
「……スゴイね。あっちも……」
「義姉さん……クノン……」
 エロエロに戯れる主従の姿にソノラも愛撫を中断して見入り、ファリエルは呆れて溜息をつく。
 ねっとりと睦まじく絡み合うアルディラとクノンの姿。それはもう見事にサマになっていた。
「あははは。どうしよっか?ファリエル。あっちの二人はあんなことになっちゃってるけど」
「どうするって……」
 本来はファリエルと仮ボディとの相性チェック。その当初の目的もかなりいい加減なものであるが。
 とはいえ解析担当の二人がこうなってはもはや続ける意味は無い。筈なのだが。
「ねえ、このまま続ける?それとももうやめちゃう?あれれれれ。どうしたいのかなあ♪ファリエルは」
「………………………」
 絶対分かってて言ってる。ソノラの意地悪と胸の中でファリエルは呟いた。
 既にソノラの愛撫で濡れほそったこの身体。そのうえこんな卑猥なBGMまで聞かされて。
 うずうずうず。身体の芯から疼いてる。もんもんもん。心が奥から火照っている。
 やめられるはずがないじゃない。本当にソノラは意地悪だ。だって、こんな台詞を。
 私の口から言わせようとするのだもの。
「つ、続けましょう……ソノラ……」
 真っ赤になった顔をプルプルと震わせて断腸の思いでファリエルは呟く。ソノラはニンマリとする。
 ちょっと、貴女またヒトのことをエロエロだとか思っているでしょうっ!
 事実そうなので言い返せないが心の中で突っ込むファリエル。するとソノラはあははと笑う。
 プスッと拗ね加減のファリエル。その少し膨らんだ頬に手をあててそのままソノラは。
「んっ……んむっ……んっ……」
「んちゅ……んぅ……」
 ファリエルにキスをした。ファリエルも素直にそれに応じる。軽く重ねる唇。舌先同士が突きあう。
 少し悪戯な気分の女の子同士で交わすキス。チロチロと触れあう舌先が気持ちいい。
「っふ……それじゃあここからは自由なお楽しみの時間ということで」
「もう好きにして……」
 どこまでもお気楽なソノラに対してファリエルはちょっとだけつれなかった。
 けれど身体は正直者。睦み合いの再開にトロトロのお蜜がまた垂れてきてる。
 やーい。エロエロ。囃したてるソノラの声が心の中に聞こえてきた。プルプルと震えだすファリエル。
 だけどまたソノラの指が肌に触れると今度は素直にファリエルは喘ぐ。それにソノラも気をよくする。
 親友同士の肌と肌のスキンシップ。ちょっと度が過ぎてる気がしないでもないがそれはそれ。
 こうしてねっとりと互いの友情をソノラとファリエルは深め合うのである。



「ああんっ……ふぁ……あふっ……んはっ……ソノラぁぁ……」
「あふっ……んふっ……はふっ……あっ……気持ちいいよぉ……ファリエルぅ……」
 ねちょ。ねちょ。ねちょ。先程の一方的な愛撫とは打って変り、ソノラとファリエルは互いに愛であっていた。
 互い違いになった二つの頭。お互いの女性器を二人は舐めあっている。濡れほそる陰唇に触れる唇。
 なんとも奇妙な形のキス。トロトロのファリエルの愛液。ねちょねちょのソノラの唾液。
 それとこちらもトロトロなソノラの愛蜜にファリエルの唾液がねっとりと混じり合う。
 舌先でほじくる肉ビラ。一枚、一枚。花びらを摘むように愛でる。すると香しき花の匂い。
 ピクン。陰核は硬く勃起していた。ピチャリ。舌先が触れるとビクッと仰け反る。
 互いに喘がされながら果敢に舌を這わせ続ける。どっちが先にイくかの競争。
 子どものように。そう、まるで子どものように二人は遊びあっていた。
 ちょっといやらしい大人のお遊びを。
「あふ……ぁ……ふぁぁぁぁあああっ!」
「わぷっ……あ、あたしも……はぅぅぅううう!」
 そうしてほぼ同時に絶頂を迎える二人。少しだけファリエルの方が早かった。
 ファリエルの噴水を顔に浴びながらソノラもまたプシュッと潮を噴く。
 互いに愛蜜にまみれた顔。その顔で淫水まみれの秘部をまたペロペロと舐める。
 舌で感じるファリエルの味。喉を滑り落ちるソノラのラブジュース。
 互いの味を確かめ合いながら舌で掬い取り口に含む。そして姿勢を変えて向かい合わせる顔。
 口に含んだお互いの蜜。それを受け渡す。口と口とを通じて。
「んむっ……んむっ……んちゅ……」
「んっ……むちゅ……んむちゅ……」
 さっき交わした軽いキスとは違って今度はディープに絡めあう舌肉。舌伝いに蜜も絡める。
 甘い蜜にまみれた舌がねっとり絡むディープキス。堪能していた。どこまでも。
 この甘くも儚い官能の世界を。
「ふふっ……ファリエル……」
「あっ……ソノラ……」
 蕩けあう二人。甘く見つめ合う。ここにきてもまだ陽気なソノラの方は少し余裕がありげ。
 ファリエルの方はいっぱいいっぱいだった。熱く疼く生身の身体。この疼きを止めて欲しい。
 視線でファリエルは切に訴える。目の前にいる親友に。
「あはっ♪任せて……」
 ソノラはニッコリ笑って頷く。そしてクチュ。お互いにもう濡れ濡れの肉と肉。その割れ目を重ねる。
 それはさながら貝合わせ。秘裂だけでなく、乳房と乳房、肌と肌。唇までもまた重ねあってそして。
「ふぁぁぁっ!」
「あはぁぁっ!!」
 密着した状態で二人は擦れあった。ズルリ。滑る粘膜。ヌルヌルの感触。それが凄く気持ちいい。
 愛蜜と汗に濡れた身体が。指と指を絡めあう手が。肌を通して伝わる体温が。
 悦びをこれでもかとばかりに伝達してくる。ヌチョ。ヌチョ。ヌチョ。なんてスゴイ。
 これが生きているという実感。気持ちよすぎる。
「あふっ……はぁ……ファリエル……ファリエルっ……」
「ふぁぁぁ……あっ……ソノラ……ソノラぁ……」
 喘ぎあいながら呼び合う名前。こうすることでより深い繋がりを感じられる。
 あは♪なんだかいいよね。こんな風に一緒に気持ちよくなれる友達がいるのって。ファリエル。
 ええ、そうね。私も本当にそう思うわ。ソノラ。
 悦びを分かち合うことで心が通じ合う。肉体同士のコミュニケーション。
 それはそのまま心と心のコミュニケーション。
 もっと仲良くなろうね。あたし達。あたし、ファリエルのこともっといっぱい知りたいからさ。
 私もよ。ソノラ。私も貴女ともっと仲良くなりたい。貴女ともっとこんな風に。
 親友の境地さえ飛び越えて睦み合う二人。混じり合う二人の精神はより高みを目指す。
「ふぁっ……ファリエルっ……ファリエルぅぅっ!!」
「あふぁぁぁっ……ソノラぁぁっ!」
 ぬちょ。ぬちょ。ぬちょ。当にオルガズムを迎えた身体を擦らせあう二人。
 噴き出る愛蜜を潤滑油により激しく擦れあう。パクッと口を開く陰唇はキスをしていた。
 肉ビラがねっとり絡み合うディープキス。それに合わせて唇も吸いあう。こちらも負けずにねっとり。
 汗まみれの身体。ペットリとくっつきあう。お臍のあたりもくっついていた。
 ぷにゅりと潰れあった乳肉。乳首と乳首の先っちょが擦れてそれも気持ちいい。
「ふぁぁぁぁっ……イっ……イっちゃう……あたし……もうイっちゃうよぉ……ファリエルぅ……」
「あぁ……逝きましょう……あはぁ……ソノラぁ……あふっ……一緒にぃ……」
 激しく続く交接にソノラも流石に余裕をなくしていた。喘ぐソノラを受け止めるファリエル。
 ヌチュヌチュ音をたてる膣肉をより激しく擦り合せて、そうして二人は絶頂に達する。
「ふぁぁぁぁあああああっ!あふぁぁあああああああっ!!」
「ひくぅぅうううううううう!んくふぁぁああああああっ!!」
 濡れ濡れの身体。ねちょねちょの心。抱きしめあいながらソノラとファリエルは大きく喘いだ。
 ビクッ。ビクッ。肉の悦びに身体は震える。ブルッ。ブルッ。それにつられて魂までも共鳴する。
 至高の快楽を通り抜けた後にある安らぎの境地。そこに到達する二人。クタリと共に脱力する。
 そのまましばらくはヘタっていた。営みの余韻を確かめるように。
「んっ……はぁ……ファリ……エル……」
 その余韻から一足早く抜けてソノラは声をかける。流石に息があがっていた。
 このまま眠ってしまいたくなるぐらい。けれどファリエルの身体を抱き起こしながらソノラは呟く。
「あはっ♪……すごく気持ちよかったよね……あたしもちょっと……乱れちゃったかなあって……」
 軽口を叩きながらファリエルを抱き起こすソノラ。けれどファリエルの反応はなく。
「っ?ファリエル……ねえ、ちょっと!ファリエルってば!」
 あまりにもファリエルがグッタリとしているのでソノラは肩を掴んで揺り起こす。
 するとガクッ。あっさりと崩れ落ちるファリエル。その口からモヤモヤモヤ。
 なんか白っぽいモヤの塊が抜け出てる。
「って!?魂抜け出てるぅぅぅっ!!」
 ガビーン!そんな擬音がソノラの頭の中ではじけた。ファリエルの口から漏れでたモヤの塊。
 それが次第にファリエルの形をとってフワフワ空中に昇っていく。まさに今にも昇天しそうな感じで。
「ちょ、ちょっとアルディラっ!クノンっ!なんとかしてぇっ!ファリエルがっ!ファリエルがぁっ!」
「あはぁ……あふっ……クノぉン……はふっ……」
「あふっ……んはぁ……アルディラ……様ぁ……」
 傍らの機界主従に助けを求めるソノラだがアルディラとクノンはまだまだお楽しみの最中だった。
 そうしている内に霊体となったファリエルがうわ言のように何かを呟く。
『ああ、兄さん。兄さんが川の向うのお花畑から手招きしてる……』
「ダメぇえええええ!まだそっちに逝っちゃダメだってばぁああああ!!ファリエルぅううううう!!」
 そうしてお楽しみの時間を終えてすぐにのドタバタ騒動。危うく成仏しかけるファリエル。
 それを引き止めるのにソノラは奮闘させられるのであった。



「ねえ、ファリエル。ファリエルってばあ……」
「………………………」
 ラトリクスからの帰り道。無言でノシノシ進むファリエルにソノラは懸命に呼びかける。
 あれからなんとかして引き起こしたアルディラとクノンの手によって事なきを得たファリエル。
 試作ボディにはどうも快楽が絶頂に達すると魂が抜けやすくなる欠陥があるみたいだった。
 この失敗を糧に改良の意欲をアルディラは示していたがファリエルは『もう、いりません』と拗ねていた。
 無理もない。実験と称してあんな恥ずかしい真似をさせられたのだから。
 そんなこんなで霊体姿のままのファリエル。ご機嫌斜めで口も聞いてくれない。
「だからゴメン。調子に乗りすぎちゃって本当にゴメンってば。ファリエル」
「………………………」
 ペコペコと頭を下げるソノラだがファリエルは膨れっ面だった。ソノラなんてもう知らない。
 そんな感じに拗ねた表情をみせるファリエル。ソノラはもう泣きそうだった。
「あ〜ん。あたしが悪かったぁ。謝る。謝るからお願い。いい加減に許してよぉ。ファリエルぅぅ」
 そうして泣き落としにかかるソノラ。けれどファリエルもなかなかに手ごわい。
 ちょっとやそっとでは応じてくれない。次第にソノラもマジ泣きになってくる。
「うわ〜ん!ファリエルがぁぁ……ファリエルがあたしのこと無視するぅぅうう!うわ〜〜ん!!」
 そうやってわんわん泣き喚くソノラ。そんなソノラにファリエルは心の中で呟く。
(ちょっと可哀想かしら……)
 実際のところファリエルはそれほどには怒ってはいなかった。確かに今日も散々なことになったけど。
 それを楽しんでいる自分にもファリエルは気づいている。この突拍子もない親友と過ごす日々。
 いつのまにかファリエルにとってすごく掛け替えのないものになっていた。
「ふぇぇぇぇぇ……えぐっ……ふぇぇぇぇん。ファリエルがいじめるぅぅ……」
 だけど今はもう少しだけソノラを困らせてみたい気分だった。たまにはこっちがお返しをする番。
 こんな意地の悪さも含めて友達というものだろう。
(兄さん。私、友達ができました。こんなにも素敵な友達が)
 わんわん泣きじゃくるソノラは他所に天国の兄にファリエルは語りかける。
(お節介焼きで……突拍子がなくて……だけどすごく優しい……私の一番の親友です。兄さん)
 そんな親友を死んだ後でも持つことができた。自分はすごく幸せ者だとファリエルは思う。
 もう少しだけ過ごしていたい。この親友、ソノラと共に過ごす日々を。
 だからもう少しだけ待っていてくださいね。兄さん。
(付き合うのにすごく疲れるのが玉に瑕だけれど……)
 そっと心の中で付け加えながらファリエルは微笑む。そろそろ泣いているソノラが可哀想になってきた。
 いい加減、許してあげよう。仲直りしてそして今度はもっと仲良くなろう。
 そんな感じに今日も二人の友情は育まれていく。二人にとってよりよい形を目指して。
 ヒクヒクすすり泣くソノラを適当に慰めながらファリエルは空を眺めた。
 とっくに日が落ちて、月明かりが照らす夜空。そんな夜空の星々の光が自分とソノラを。
 優しく包んでくれているようにファリエルには思えるのだった。


 〜fin〜

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