マグナ×ミニス



「ミモザ先輩、なんですかそれ?」
先輩召喚師の持つ、明らかに怪しげな液体入りのコップを見ながら、マグナは訝しげに尋ねる。
「んふふ……何だと思う?」
ミモザは手に持つコップを揺らしながら笑みを浮かべた。
普通の笑いではない。人が気負いするような、悪戯めいた笑みだ。
マグナはその笑みが持つ意味をよく知っている。そして関わればロクなことにならないことも。
「いえ……いいです。それじゃ、失礼します……」
出来るだけ相手を刺激しないよう細心の注意を払い、さっさと退室しようとして、
「きゃあ!」
何かにぶつかり、そして聞こえる悲鳴。
慌てて下へと視線を移すと、そこにはミニスが尻餅をついていた。
部屋を出ようとしたマグナと、入ろうとしたミニスがぶつかり合っただけのことなのだが。
「ととと、大丈夫かミニス?」
「平気よ、前にもこんなことあったし」
マグナから差し出された手を掴み、ミニスは立ち上がる。どこにも怪我などはしていない。
「ところでミニス、先輩に何か用事か……」
だとしたら、今はやめておいた方がいいぞ。
そう言い切り終える前に、ミモザの声が再び響く。
「そうだミニスちゃん。これ飲まない? とっても甘いわよ」
言いながらミモザは、先ほどのコップをミニスの前に差し出した。

「いいの? それじゃあ、一口だけ」
遠慮がちな言葉とは裏腹に、ミニスは嬉しそうにコップに口をつけた。
コップ内の液体は薄桃色で透明度も高く、一見すれば確かに美味しそうに思える。
味も、かなり良いのだろう。一口だけと言っていたミニスだが、明らかに二口以上飲んでいる。
「何なんですか、あれ?」
派閥の違うミニスに飲ませているところを見ると、とりあえず人体に害はないのだろう。
マグナは観念しながら原材料を聞いてみた。
「花の蜜」
「何の?」
「ドライアード」
「へえ……ええっ!?」
あまりに淡々とした会話展開に、思わずそのまま通り過ぎようとしてしまう。
相手を魅了する術に長けたドライアードなのだ。そのものでないとはいえ、身体に影響が出るのは間違いない。
「それって、物凄い危険なんじゃ……」
「大丈夫よ、薄めてあるから」
「…………」
短い会話のやりとりと今までの経験からこれ以上の問答は無意味と悟り、結果を聞くことにする。
「それで、どういう影響が出るんですか?」
「どういう影響って……ホラ、見てわからない?」
言いながらミニスの方を指し示す。ミニスの様子は、明らかに平静とはかけ離れていた。
頬を赤らめ、激しい有酸素運動でも行ったかのように呼吸が荒い。
瞳は潤み、ミニスの年齢からでは想像もつかないほど淫靡な雰囲気をかもし出している。
「とりあえず、チャームポーションって名付けようかと思ってるんだけど」
マグナは、もう言葉も出なかった。

「それじゃあ、後は若い二人に任せようかしらね」
「ちょ!?」
「ベッドは好きに使っていいから。それじゃ、ごゆっくり」
そう言って、ミモザはさっさと部屋から出て行く。
台詞から、声色から、表情から、この状況を楽しんでいることがマグナには容易に理解できた。
「と、とりあえずミニスをどうにかしないと……」
落ち着こうと努力しながらマグナはミニスの方を向く。
ミニスは相変わらず味わった事のない体の疼きに苦しんでいた。
(どうにか……って、やっぱりアレだよな……)
心に決意を固め、一度深呼吸をしてからミニスに声をかける。
「ミニス、すぐに助けてやるからな」
熱を持った頬をしたままミニスは頷く。
マグナはミニスを横抱きに抱きかかえると、ミモザの示唆した通りにベッドの上まで運ぶ。
そしてミニスをベッドの上へとそっと寝かせた。
「マグナぁ……お願い、キス……して……」
寝そべった状態のまま、ミニスはマグナにそう懇願する。
「ああ、分かったよ」
そう言うとマグナは、ミニスの可愛らしい唇へとキスをした。
柔らかな感触が唇へと広がると、ミニスはマグナの首へと手を回してより深く繋がりあう。
「んっ……んんっ……」
ミニスの方から気持ち良さそうな声が漏れ、口の端からは涎が零れて落ちていった。
マグナは僅かに開いた隙間から、そっと舌を差し入れる。
不意に口内へと進入してきた感触を、ミニスは驚くことなく冷静に対処した。
自らの舌でマグナに答え、舐め合うように舌を動かす。
互いに感じあう未知の感触が、二人の興奮を高めていく。
そして、互いの味を十分過ぎるほど確かめ合った後で、唇は離された。

絡み合った唾液が糸を引き、二人の口が細い線で繋がれる。
その様子はさながら別れを惜しむ恋人のようだ。だが、それもやがてゆっくりと千切れる。
「マ、マグナ……あの、そのね……」
余裕なくそう言うと、ミニスは自分の短いスカートをそっと摘み上げた。
「ぬるぬるの……ぬるぬるしたオシッコが止まらないのぉ……」
奥から現れたパンティは、ミニスの言った通りの状態だった。
溢れるほどに流れ出てくる愛液によって、パンティはたっぷりと湿り気を帯びている。
それはもう受け止める限界を優に超えており、股布の部分など愛液が染み出すほどだ。
隙間から漏れ出た液体はベッドのシーツに染みを作り出すと同時に、ミニスの太腿近くまで濡らす。
「キスだけでこんなになるなんてな……」
耳元で囁くと、パンティの裾に手を掛けて一気に引き下ろす。
途端に塞き止められていた淫蜜が一気に流れ出て、淫らな匂いが室内に充満する。
そして、未だ産毛すら生えていない可愛らしい裂け目が露わになった。
裂け目の奥からはさらに蜜が零れ落ちている。
大人顔負けの乱れ具合に多少の驚きを感じながら、マグナは濡れそぼった秘部へと口を付けた。
「ひゃあっ!! はぁ、ああっ!!」
すぐさまミニスは敏感な反応を示す。
唇の感触を下半身に感じられるやいなや、火傷でもしたかのように大きく身体を震えさせた。
それに反応して、ミニスの秘部はさらに愛液を吐き出していく。
まだ動いていないというのに、マグナの口元はもうベトベトになっている。
「お、おねがい……マグナぁ……」
苦しそうなミニスの声。
マグナはその願いを聞きいれ、筋に沿ってニ度、三度と舌を這わせいく。
「あうぅぅ……はぁ、気持ちいいよぉ……」
舌が動くその都度吐息が漏れ出し、今まで感じた事のない未知の刺激にミニスは酔いしれる。
そしてマグナもまた、ミニスが分泌させる蜜の味に狂わされていた。

気持ちが大胆になってきたのか舌を激しく動かし、時折膣内に挿入して内壁に擦りつける。
「そこ……そ、そこもっとぉ……」
「ここか?」
ミニスの注文通り、ねだった部分を舌で刺激する。
「んああっ!!」
甲高いミニスの声が響く。身体を強く突っ張らせ、受け入れた舌は膣壁が強く締め付ける。
やおらその力も抜けると、ぐったりと身体を横たえたままミニスは小さな声で言う。
「マグナ……欲しいのぉ……」
「ああ」
そう頷くとズボンを脱ぎ、ミニスの秘穴に亀頭をあてがう。
「入れるよ」
そう言うと、ミニスの中へと進入する。
「あ……あ……あああっ!!」
内部に感じる初めての逸物の感触に、ミニスから嬌声が上がった。
十分過ぎるほどに濡れていた秘穴は、しっかりとマグナの逸物を受け入れる。
小さく手狭な膣は、受け入れるなり分身をきつく締め上げていく。
「ミニスの中、すごく気持ちいいよ」
窮屈な内部のせいでぎこちない腰の動きを開始しながら、マグナは素直な感想を述べる。
「本当……嬉しいな……私もね、気持ちよすぎて……ああん!」
ミニスもまた、蕩けそうな快感に心酔していた。
初めての経験にも関わらず、破瓜の痛みも出血も全く伴わないのは先ほどの薬のせいか。
だが、おかげでこの素晴らしい体験を余すところなく全身で味わう事ができた。
「あんっ! あはぁっ!! マグナ、好き……大好きぃ!!」
マグナが腰を突き入れるたびに、母親にカミナリで撃たれる以上の衝撃が全身を駆け抜ける。
その衝撃に後押しされ、口は心の中の想いを全て吐き出していく。
飾り立てることのない素直な感情だ。
「ミニス、俺も好きだ。大好きだ!!」
マグナもまた、ミニスの言葉に焚きつけられたかのように感情を露わにし、腰を打ちつけていく。
肉鎗が出入りするたびに水面を叩くような音が響き渡り、その度に愛液が飛び散り、泡立って流れ落ちる。

「ヤダヤダぁ!! まだヤなのに、わたしもう、もう!!」
赤ん坊のように呂律の怪しい言葉を口にしながら、ミニスは全身に襲ってくる快感に抗い切れずに身を任せた。
「く、俺も。ミニスのが滅茶苦茶いやらしく絡み付いてきて……イキそうだ」
気を許せば放出してしまいそうな誘惑を受けながら、マグナは一心不乱に腰を振る。
「マグナ、マグナぁ!! お願い、一緒に、出して、中にいっぱい出してぇ!!」
艶やかな金髪を、駄々を捏ねる子供を連想させるように振り乱しながら、ミニスは叫ぶ。
唇からはとめどなく涎が流れ落ち、それがまだ物欲しげだということを思わせる。
「ミニス……イクぞ、くうぅっ!!」
最後の瞬間ミニスとの身体の密着を一番深くまで強め、我慢することなく思い切り射精する。
「ひゃああああぁっ!! 入ってきてるよぉ……お腹の中、熱くて……スゴいたくさん……
いっぱい……いっぱいなのぉ……!」
内部に流れ込んでくるとてつもなく熱い精液の存在を感じながら、ミニスも快楽を存分に味わう。
全身が溶けてしまいそうな感覚。体中が激しく痙攣して呼吸を行うのも困難なほどの刺激。
錯覚だと分かっていても、二人は刹那の間、それを余すことなく堪能した。
ミニスを襲っていた耐えがたいほどの肉欲は、何時の間にか静まっていた。

「ねえ、マグナ。責任、とってくれるよね?」
「責任……?」
控えめなミニスの発言。だがその言葉にマグナは急激に意識を覚醒させられる。
ミニスは金の派閥議長家の娘なのだ。そんなミニスを傷物にしたとあっては当然のこと。
「ああ。ミニス、幸せにするよ」
ほんの一瞬だけ逡巡してから、笑顔で答える。
「本当!?」
大喜びするミニスを目にしながら、マグナの頭のにある考えが浮かぶ。
「なあ、ミニス」
「なに?」
「……いや、なんでもない」
聞こうと思ったが考え直し、その考えを必死で打ち消した。
これが全部、自分を陥れるために仕組まれた罠なんじゃないかって想像を。


おわり

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