スカーレル×ソノラ



「はい、あたしの勝ち」
「………」
 スカーレルの手元に積まれたカードの束を、ソノラは苦い表情で見つめている。
 こんなはずではなかった。いつもの自分ならこんな事には。
 ソノラは引きつった笑顔を浮かべ、上目遣いで両手を合わせる。
「ね、ねぇ、スカーレルぅ……もう一回だけ!もう一回だけ勝負させてよ!お願い――」
「ダメ」
「……うぅ……」
 率直な返事にソノラは返す言葉もなく、うなだれながら双方のカードをかき集めると、それらを棚に戻そうと立ち上がった。――その時。
「あっ」
 突然横からスカーレルの手が伸び、ソノラの細い腕を無造作に掴み上げた。そのまま彼女の体は軽々と引き寄せられていく。身軽な彼女も、ふいをつかれてはそれを振りほどく事はできなかった。
 スカーレルの両手に肩を抱かれ、ソノラの背中はポンと柔らかい物の上へと寝かされた。押し倒された拍子に思わず目をつむったが、背中に当たるそれが何かは目で確認せずとも彼女には容易に理解できた。自分が普段使っているベッドだ。頬に吐息がかかる。自分の置かれている状況を理解して、ソノラは慌ててまぶたを開いた。視界には、スカーレルが覆い被さるように自分の体の上へまたがっている姿があった。
「後片付けなんてどうでもいいでしょ。それよりあたしとの約束、ちゃんと覚えてるわよねぇ、ソノラちゃん?……あたしだって今までルールはちゃんと守ってきたのよ」
 ギリギリまで顔を近づけ、スカーレルは獲物を捕らえた猫のような目でソノラを見下ろす。それを定まらない視線で見つめ返すソノラの視界の片隅に、部屋のランプに照らされたある物が映った。
 クロイツァー、スパイブレイク――銃が何よりも好きなソノラが喉から手が出るほど欲しがっていた銃。それは自分の懐から金を出して手に入れるには正直辛い代物だ。そしてそれは、ある事でソノラが手に入れた物であった。
 ……あんな約束さえしなければ……。
 ソノラは過去の自分を呪わずにはいられなかった――。

        *          *          *       

海賊の日常は暇だった。他の海賊が自分達の船を襲ってでも来ない限り、続くのは目的の場所への運航のみ。暇な時間を潰す為に、ソノラはよくスカーレルに得意のカードゲームで勝負を挑んでいた。
 勘の鋭いソノラはこの手の勝負にはめっぽう強い。ほとんど負け知らずで通ってきた彼女は、自分の勘に完璧な自信を持っていた。
 だが、ここまで勝ち続けていると、もはやただ勝利しただけではつまらない。その時ソノラはあるルールを思いついたのだ。
 それは、『三連勝したほうが負けた相手から好きな物を貰う』という単純明快なものであった。ただ勝ち負けを決めるだけでは勝負の意味がない。これくらいのルールを作ったほうが勝負に緊張感がでるだろうとの理由だった。
 だがそれは彼女の口実に過ぎなかった。ソノラは自分が負ける可能性などほとんどないと信じている。それを提案した理由は、自分が前から欲しいと思っていた銃を、懐から金を出すことなく手に入れるための考えだったのだ。
 彼女の作戦は面白いほどに上手くいった。最初はしぶっていたスカーレルも、四連敗目に達した頃には仕方なくルールに従い、銃をソノラのために購入した。そしてまた同じように連敗した時は、前以上に高価な銃をねだった。
 すっかり上機嫌なソノラは、いつも夜中に部屋を訪ねるスカーレルが持ってきた甘いワインを口にして、ほろ酔いの心地よさに浸りながら彼に尋ねた。
「ねぇ、スカーレル。もしあたしに勝てたら何が欲しい?」
「何が欲しいか、ですって?うーん、あたしは今のとこ何も考えてないけど……」
「……欲しい物ないのぉ?」
 驚いたソノラは身を乗り出し、スカーレルに近づく。そしてしばらく黙った後、ソノラはイタズラじみた笑顔を浮かべ、彼にささやいた。
「……じゃあ、スカーレルが勝ったら、あたしとえっちさせたげる」
「寝言は寝てから言いなさいよ。この酔っ払い娘」
「寝言じゃないよぉ。まあ、このあたしに三連勝できたらの話だけどね?アハハハッ……」
 赤ら顔で笑うソノラを、スカーレルはそう、と適当に流していた。

        *          *          *       

 まさか本当に連敗する日がくるなんて……。
 スカーレルに覆い被さられた状態のまま、ソノラは自分の提案したルールに初めて後悔することとなった。
 いくらスカーレルが普段女のような仕草をしているといっても、普段から剣を扱っている以上、その腕力は一般の男よりも明らかに勝っている。銃を使い慣れたソノラがいくら同世代の少女より力があるとしても、大人の男であるスカーレルに抵抗して敵うはずがないのは当然のことだった。
「約束は約束だからねぇ?大人しくしてなさいよ」
 想像以上の腕力で、両手首を頭上で押さえつけられ、身動きがとれないソノラ。
 スカーレルはそのまま片方の手で、ソノラの服をゆっくりとたくし上げた。
「や、やだ……」
 上擦った声でソノラが首を振る。だがそんな事でやめるならとっくに解放しているというものだ。
 鎖骨が覗くところまで服をめくり上げられ、ソノラは羞恥心に頬を染めて目を固く閉じる。服の下からは、年頃の少女にしてはまだ未熟な小さい二つの乳房が顔を出していた。
「あら、ソノラの乳首ってば意外と綺麗な色してるのね。嫉妬しちゃうわぁ」
 くすくすと楽しそうに笑うと、スカーレルは手の平でソノラの左の乳房を包み込む。やや温度の低い手の感触に、彼女の小柄な体はビクンと震えた。
 強引な行為にも関わらず、スカーレルの愛撫は優しい。日常で女の仕草を行っているせいか、そこには男の荒々しさがない。乳房をしばらく弄ばれたあと、突然指先で乳首を軽くひねられ、ソノラはわずかな声をあげた。
「結構敏感なんだ、ソノラのここって」
「う、うるさいっ!こんなことして……アニキに言いつけてやるからっ」
 力で敵わないなら言葉で、とソノラはこの船の船長・カイルの名を出す。彼の名を出せばさすがにスカーレルと言えど妙なマネはできないだろう。
 だが当人のスカーレルはそれがどうしたとでも言うような笑みで、平然と彼女のズボンのベルトに手を掛ける。
「ちょ、ちょっと聞いてんの!?」
「聞いてるわよ。でも、あたしがこんなことをしようとした理由を彼に話せば、貴方の立場も悪くなるんじゃないかしら?」
「うぅっ……」
 仲間内で賭博まがいの事をやっていた事などが知られては、カイルに酷く叱られてしまうかもしれない。そもそもこの賭けを持ち出したのは他でもないソノラ自身なのだから。他の誰よりも慕っているカイルにそんな事を知られたくはない。ベルトを外され、下着が下ろされていくなか、ソノラはそれをじっと耐える他なかった。

「あっ…、あぅ……」
 両足のひざ裏を持ち上げられ、敏感な部分を這う舌の熱い感覚に、ソノラは淫らな声を漏らしていた。すでに両腕は解放されている。だがソノラは逃げ出すことができない。今まで経験したことのない快楽の波が、彼女の正常な思考を抑制しているのだ。
「凄いわね……ソノラ。処女なのにこんなに濡らしちゃって」
舌では拭い取れないほど、愛撫をするたびにソノラの秘部からは愛液が溢れ出る。スカーレルがようやく口を離すと、舌と秘部のあいだを唾液と愛液の混ざった糸が線を引いた。

「はぁ、はぁっ……」
 恍惚とした眼差しで天井を見つめながら、ソノラは火照った体をだらしなくベッドに投げ出している。開かれた足も閉じる気にはなれない。その足のあいだを部屋の薄明かりが照らし、愛液の淫靡な光をスカーレルに見せている事など彼女は気づきもしなかった。
「………」
 スカーレルは再びソノラの上に乗ると、彼女の汗で貼りついた髪を手ぐしでとかし、耳元に口を寄せた。
「それじゃあそろそろ、いいわよね」
「な、何が……ひゃっ!」
 突然ソノラの内部に何かが入り込む。濡れていたおかげですんなりと受け入れることはできたが、奇妙な異物感に耐えられず、思わずそれを抜き取ろうと自分の股間に手を伸ばした。
「あ……」
しかしそこで掴んだのは、まぎれもなくスカーレルの腕。
自分の大事な所に他人の一部――指を入れられたことにソノラは顔を紅潮させた。
「ちょ、ちょっとヤダ!抜いてよっ!」
「バカ言ってんじゃないわよ。こういう約束だったでしょ?」
「あっ、でも、――んぅッ!」
 まだ何か言おうとするソノラの口を、スカーレルは無理矢理自分の唇でふさぐ。最初は息苦しそうにうなっていたソノラだが、彼が優しく唇を吸い、舌を絡めるたびに、次第にその力を失っていった。唇を解放し、眼前で見つめるスカーレルを、ソノラは悔しげに睨みつける。

「うぅ……この卑怯者ォ……」
「まあ。自分が勝負事に強いことを分かってて、わざと相手に賭けを持ちかける娘に言われたくないセリフだわね」
 的を射た言葉に、ソノラは黙り込む。
「そ、それを言われたら何も言い返せないじゃんか……」
「別に言い返さなくていいのよ。とりあえず今はあたしの言う通りにしててくれれば、それで充〜分」
スカーレルはようやく大人しくなったソノラの足のあいだに体を割り込ませる。そして自身のファスナーを下ろし、彼女の濡れた秘部を指で押し広げると、膨張した男性器を押し当てた。男の熱にひくり、とソノラの花弁が反応する。
 体を強張らせ服の裾をつかんでしがみついてくるソノラに、スカーレルは優しく笑みを浮かべると、彼女の腰を抱え上げより深く体を引き寄せた。
「力は抜いてちょうだいね。大丈夫、あんまり痛くないようにしてあげるから」
 そう言うと同時に、彼の亀頭がソノラの花弁をゆっくりとくぐり始める。
「くっ……うぅっ……!!」
 いくら優しくされていると言っても、ソノラの蕾が未開通であることには変わりはない。スカーレルの細身には不似合いな大きさの男性器が、彼女の狭い膣へ挿入されることが困難でないはずがなかった。
「ちょっとソノラ……力んじゃ入らないって」
「だって……っ」
 とても力を抜けるような状況ではないことは、彼女の様子を見れば一目瞭然だ。仕方ないという風に、スカーレルはソノラの腰を両手で掴み、半ば強引に男性器を埋める。
「ひっ……!」

膣内の処女壁をとつぜん熱い肉塊が擦り上げ、ソノラの内部に激痛が走った。同時に内壁が収縮し、スカーレルを締め付ける。今度は性器を引き抜こうと腰を引くが、ソノラ本人の意思とは別に、収縮した膣肉は名残惜しむかのようにスカーレルにまとわりつき、引き止めようとする。
「いっ、痛いっ!スカーレル、抜いてっ……」
「そんなこと言っても……ソノラが放してくれないんでしょ」
 抜こうと思えば抜くことは簡単だが、『それじゃあ面白くないじゃない』とスカーレルは心の中でほくそえむ。せめて、これまで賭けに負けて買わされた銃の代金分は取り戻せるくらいに楽しまなければ勿体無い。ゆっくりと根元まで飲み込ませ、先端までを膣に残して引き抜くことを繰り返し、ソノラの処女を味わい尽くす。
「ッ……んッ……!!」
 実際はそれほど長くは行われていなかったのかもしれない。だが、ソノラにとっては無限とも思えるような時間が続いた。傷ついた処女壁を何度も擦り上げられ、痛みのあまり目の際に涙が滲む。スカーレルは行為を続けながらもソノラの変化は見落とさない。やがて溢れてこぼれ落ちた涙を舌先で舐めとり、乱れた髪を撫でながら優しく口づけする。
「……スカー、レル……ッ」
 吐息混じりに彼の名を呼び、ソノラは腕を彼の背中へとまわした。頬にかかるスカーレルの熱い息が、なぜかソノラの気を昂ぶらせる。
「くッ……ふぅ……。ソノラ、あたしっ、もうそろそろ限界きたかも」
「え……」
 低くうめくと、スカーレルは素早く自身を引き抜いた。それと同時にソノラの秘部は彼の生温かい体液を浴びる。その光景と感覚にソノラは顔を引きつらせたが、スカーレル本人は気にもしていない様子で、絶頂の余韻に浸りながらぐったりと少女の上に倒れこんだ。
 彼はいまだに服を着たままだったので、ソノラにしてみれば暑苦しいことこの上ない。
「……はぁ……スッキリした」
ゴッ!
「あいたッ」
 スカーレルの後頭部にソノラの拳が振り下ろされた。
頭をさすりながら視線をソノラへ向けると、彼女は赤く染まった頬を膨らませながらスカーレルを見据えていた。
「……今度は絶対負けないからねっ」
 彼女の言葉に、スカーレルは「お互い頑張りましょうね」と笑みを向ける。
 この少女は本当に見ていて飽きない。スカーレルはそう思った。
 だからあたしはこの子が好きなんだ、と。

       *          *          *       

 まだ空が薄暗く青白む早朝に、ソノラとスカーレルは甲板へと足を運んでいた。
 手に抱えているのは一枚のシーツ。昨夜スカーレルのおかげで酷く汚れてしまったものだ。アニキに見つかるわけにはいかないというソノラの言葉に、スカーレルが強制的に洗濯させられ、乾かす為に持ってきたのだ。
「ねぇ、ソノラ。真ん中の汚れだけ洗って、これじゃあまるでおねしょの跡みたいね」
 半笑いのスカーレルの頭を平手打ちし、ソノラが素早くシーツを物干し竿へと掛ける。
「仕方ないでしょ!丸ごと洗ってたら時間かかるし、乾くのだって遅くなっちゃうんだから――」
「おっ、二人とも早いなぁ。どうしたんだよ」
「!!」
 背後から聞こえる男の声にソノラは硬直する。まさか――。
「ア、アニキ!」
「よお。ソノラ、スカーレル。何かいつも以上に早く目が覚めちまってな……っておい、こりゃあ何だ」
 物干し竿に広げられたシーツに、カイルは驚いた顔で歩み寄る。
 ――カイルに見られたくない為に早起きしたというのに、結局ものの数秒で気づかれてしまった。がっくりと肩を落としながら、ソノラはその場にぼう然と立ち尽くす。
「デカイ世界地図だなぁ。ここのどこかに宝のありかでも示されてるのか?ハハハッ!ソノラもまだまだ子供ってことかぁ」
「ち、違うよアニキッ!!これは……」
 否定するも、他に言い訳が思いつかない。ソノラは必死の形相で隣りに立つスカーレルに視線を送る。それに気づいたスカーレルは、こくりと頷くとカイルに近づいた。
「ああ、違うのよこれは。誤解しないであげて」
(スカーレル……)
「これは……世界地図じゃなくておねしょの跡よ」

ゴッ……

朝日の煌めく大海に鈍い音が響く。
海賊カイル一家の一日が今日も幕を開けた――。


おわり

目次

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!