本能・獣の宴



 血の匂いが一面に漂う砦。
 同胞たちの血肉を引き裂かれたことにより、地面には多くの赤い水溜りが亡骸と共に広がっていた。
 聞こえるのは獣の咆哮と、それらを呼び出した一人の少女の甲高い笑い声。聞いているだけで虫唾が走る。シャムロックは剣を握り締めると、その召喚士の少女――ビーニャのもとへと駆け出した。
 今はトリスたちが彼女の召喚獣を相手に奮闘している。彼女らの事はよく知らないが、あのフォルテが引き連れている連中なのだ。獣と渡り合うその腕は信用してもいいのだろう。
 とにかく今は、ローウェン砦の最後の生き残り――そしてここの守備隊長である自分が、同胞たちの敵をとらなければ。
 シャムロックは獣のあいだを素早く走り抜ける。こちらの様子に気づいて嘲笑するように目を細めたビーニャに、彼は渾身の一撃を振り下ろした。
 ザシュゥッ!!
 シャムロックの手に、肉を断つ鈍い感触が伝わる。眼前に飛び散る鮮血。
 ――だがそれは、憎き少女を断ち切ったものではなかった。
「……なっ……!」
「――おっとぉ」
 突然ビーニャの正面に召喚獣が現れたのだ。それは苦しげにうめき、大量の血を頭から噴き出している。
 まさか。
「召喚獣って便利だよねぇ。一瞬で呼び出す事ができれば、戦う道具からお手軽な盾に変身しちゃうんだもん。キャハハハッ」
 ビーニャは目の前に獣を召喚した事により、それを自分の身を守るために盾として利用したのだ。ドサリと崩れ落ちた獣は、いまだ息絶える事ができず手足を痙攣させている。
「……貴様は……何という事を……ッ!!」
 人間のやる事とは到底思えない、非道な行為。シャムロックの歯がギリリと音を立てる。
「ならば貴様がこれ以上犠牲を増やす前に……倒すまでだッ!!」
 再び彼の剣がうなりをあげ、空気を斬る。先ほどの獣の血が宙を舞い、シャムロックの白い甲冑を点々と赤く色付けた。
 ビーニャの濁った瞳に弧を描く剣が映る。口元に薄く笑いを浮かべると、腰に下げていた短剣を素早く抜き取った。
 二本の剣が耳触りな金属音を立て、火花を散らす。

「――なぁんだ、この程度の腕前なのぉ?」
 ビーニャは片腕で彼の剣を受け止めていた。だが剣の圧力に表情を歪めることなく、むしろ余裕を表す笑みさえその顔には浮かんでいる。
(馬鹿な……!)
 シャムロックは砦の守備隊長を任されるほどの器だ。その剣技も当然、誰もが羨むほどに優れている。このような少女が片手で軽々と受け止められるような代物ではないはずなのだ。
「くそッ!!」
 このままではらちがあかない。シャムロックはタイミングを見計らい、イチかバチかでビーニャの足を蹴り上げる。
「あっ……!」
 これには彼女も油断したのか、体をわずかに傾けた。それと同時に彼の剣を受け止めていた腕の力がゆるむ。シャムロックはその瞬間を見逃さなかった。
「覚悟!!」
 シャムロックの剣が、ビーニャの体めがけて素早く振り下ろされる。
 だがその程度の事で彼女にスキを作らせたと考えるのは浅はかであった。間一髪でビーニャは剣の弧を避け、後ろへと飛び退く。そしてペロリと舌を出すと、声高に笑い出した。
「残念だったねぇ!当たんなくてさ!キャハハハハ!」
 だがその時、わずかに剣先がかすっていたのか、ビーニャの服に細い線が走る。彼女の胸元を覆う生地が静かに割れた。それに気づいたビーニャは眉をわずかにひそめ、生地の切り口に指を差し込んだ。
「あ、ちょっとぉ!この服気に入ってたのよぉ!?台無しにしちゃってどうしてくれんのさ!」
 裂けてしまった事を確認するかのように切り口を広げるビーニャ。その指の動きで生地は大きく口を開き、そこから彼女の肌を露わにした。切り口からは、柔らかな胸の膨らみと、その中心に淡く色付いた突起が顔を覗かせている。
「ッ……!」
 その光景が目に飛び込み、シャムロックは思わず声を詰まらせた。
「ん?」
 彼の異変にいち早く気づいたビーニャが、生地を広げる指の動きを止めた。

「――アンタ、ここ戦場だよ?こんな状況で女の胸見てナニ動揺してんのさ」
「ふ、ふざけるな!誰が動揺など――」
 慌てて剣を構え直すシャムロックに、ビーニャは肩を震わせて含み笑いをする。彼は口では一人前の事を口走っているが、その頬はかすかに赤みを帯びているのだ。心なしか剣の持ち方もぎこちなく見える。
 ――結構楽しめそうかも、このオモチャ。
 ビーニャは突然おもむろに服の裾を掴むと、何の恥じらいもなく着ている服を脱ぎ始めた。
「もう、こんなパックリ切れた服を着てたらスカスカして気持ち悪いよ。脱いじゃったほうが気になんないね」
「ま、待て!何をしているんだ!?」
 思った通りだ。服を脱いでいる今なら簡単に自分を斬ることができるはず。それなのにシャムロックは何も仕掛けてはこない。戦いに関しては冷静に思考を巡らせる彼が、今は戦場のド真中でぼんやりと立ち尽くし、敵のストリップをただただ眺めているのだ。
 この男は戦士とは思えないほどに純情すぎる。
 頭から服を抜き去り、地面に投げ捨てると、ビーニャは程よい大きさに膨らんだ胸を露出しながらシャムロックに視線を向けた。シャムロックはいまだ剣を構えたまま動こうとはしない。
 ビーニャは軽く溜め息をつくと、人差し指で彼の顔を指した。
「あのさぁ、アタシの裸眺めてるのは構わないんだけど、周囲にも気を配っといたほうがいいんじゃない?」
「――――!」
 途端にシャムロックは背後の大きな気配にようやく気づく。獣のうなり声。慌てて避けようとするが、しかし――。
 ザッ!!
「ぐあッ……!!」
 さすがに気づくのが遅すぎた。獣の爪はシャムロックがわずかに動いた瞬間、その背中めがけて振り下ろされたのだ。
 背中が焼けるように熱い。熱を感じる部分から温かいものが溢れ出し、腰を伝っていく。シャムロックは握り締めていた剣を落とし、土の上に倒れこんだ。
 獣が舌なめずりをしながらとどめを刺そうと爪を振り上げる。
 ここで死ぬのか。シャムロックは固く目を閉じた。――だがその時。

「ストップ。まだ殺しちゃダメよ」
 獣を制する声が、彼の頭上で響いた。それと同時に自分の体を、少女の足が乱暴に蹴り上げる。全身に激痛を感じながら、シャムロックはその足に体を上向きに置きかえられた。
 見上げた視界には、自分を見下ろすビーニャが胸をさらけ出したまま、冷たい笑みを浮かべる姿が映っていた。
「アンタ、惨めねぇ。こんな事になっちゃって。大人のクセに女の胸見たくらいでオロオロしてるからだよ」
 言いながらビーニャは彼のそばに歩み寄り、その横にしゃがみ込む。そのまま彼女はシャムロックの甲冑を乱暴に外していった。
「防具全部剥ぎ取られても抵抗できないの?このまますっ裸にしたげようか?守備隊長サマが全裸で砦でくたばってるなんて最高の光景よねぇ。キャハ、アハハハハハハハッ!!」
 楽しくて仕方がないというように、ビーニャは腹を抱えて笑い続ける。だがその間も、シャムロックは唇を噛みしめ、目を閉じていた。人が恐怖に怯える姿を見る事こそが彼女にとっての最高の娯楽であるというのに、彼の地味な反応にビーニャは頬を膨らませる。
「……目ぇ開けなよ。閉じちゃってたらアタシがつまんないじゃん」
 そう言うと、ビーニャは手をするりとシャムロックの下半身へと伸ばした。そしてズボンの上から彼の股間を撫で上げる。
「!!」
 突然の彼女の行為に、シャムロックは慌てて両目を見開いた。その眼前にはビーニャの胸。下半身を撫でられる感覚も相成って、いつ殺されるかも分からないという状況にも関わらず、シャムロックはその頬を一気に紅潮させた。
 異様なまでに初々しい反応。それを見て、ビーニャはある事を確信した。
 口元を緩ませると、ビーニャは彼の耳元にそっと口を近づけた。
「アンタってさぁ、もしかして……まだなの?」
「な、何が……」
「とぼけないでよ。童貞かどうかって聞いてんの」
 あまりにも率直な、とんでもない質問。いきなり何を言い出すのだと、シャムロックは頬を染めたまま半開きの口を震わせている。だが下半身は彼女の愛撫によって確実に変化を伴っていた。

「わ、私は……一生を共に過ごせると思える女性に出会えるまでは、その――」
「言い訳なんかしなくていよ。結局セックスした事ないんでしょ?ちょっと撫でてあげただけでもう反応しちゃってるじゃない。アンタのここ」
 ズボンの膨らみを指で押しながら、楽しげにビーニャが言う。……言い返す事ができない。シャムロックはビーニャの言葉の屈辱に耐えながら、唇を噛みしめる。
 その時、ビーニャが「そうだ」とふいに声をあげた。わずかに含み笑いを漏らし、彼女はシャムロックの顔に自分の顔をぐいっと近づける。彼女の不自然に冷たい手が、火照った頬を撫でた。
「アンタどうせここで死んじゃうんだしぃ、その前に童貞捨てさせてあげるよ。……ヤらせてあげる」
「!?ふ、ふざけるな!誰が貴様などと!」
「こんなにアソコ大きくして何言ってんのよ。アタシも結構久し振りだし、いいでしょ?それにアンタ、あの方には足元にも及ばないけど、顔もまあ悪くないし。地味だけど」
 シャムロックの抗議の声も無視し、ビーニャは顔を彼の顔から遠ざけると、そのまま下半身の方へと視線を滑らせた。
 ファスナーに手を掛け、ゆっくりとそれを下ろしていく。するとシャムロックのペニスは彼自身の意思とは別に、待ちきれないとばかりに開かれたファスナーから顔を覗かせた。外気に触れた事で、シャムロックは下半身に視線は移していないものの、今自分の陰部がどのような状況に置かれているかを理解した。悔しいが、しかしどうする事もできない。
「結構いいモノ持ってるじゃない。今まで使った事ないなんて勿体無かったねぇ」
 そう言いながら、ビーニャはまるで子供が好物を頬張るかのように口を開く。
「ぐッ……!」
 冷たい舌が、シャムロックのペニスをアイスクリームのように舐め上げる。
 一瞬何で触れられたのかと思ったほど低い温度の舌に、シャムロックの肌が粟立つ。それが不快感からきたものなのか、快感からきたものなのかは彼自身にも分からない。
 ビーニャは唇をすぼめてペニスを咥え込むと、ゆっくりと唇を使ってしごき始めた。口内の粘膜に覆われ、刺激を与えられるたびにシャムロックのペニスは熱を帯び、硬さを増していく。
「う……うぅッ……!」

 シャムロックの手の平が砂を掴み、握り締める。直後に彼が一際大きく息を吸い込むと同時に、ビーニャの口内に熱い粘液が溢れた。突然の事にビーニャの目が見開く。
「ゲホッ!ゲホゲホッ!うえぇッ……!バカ、いきなりイク奴がある!?」
 咳き込みながら口元の白濁液を手の甲でぬぐい、ビーニャが怒鳴る。だがシャムロックも好きでこういう事をされているわけではない。何も言葉は返さず、ただ無言でビーニャの罵声を受けていた。
 ビーニャは反応しない彼に舌打ちすると、下着を脱ぎ、自身のスカートをたくし上げた。シャムロックはビーニャの青白い下半身の、恥部をうっすらと覆った陰毛を見て、この少女が思っていたよりも幼いという事を知った。だがその行為はとてもそんな年頃の娘がするような代物ではない。得体の知れない少女は、スカートを持ち上げたまま、彼の首へまたがった。
「アタシにもやってよ。アンタだけ気持ちいい目をするなんて不公平じゃん」
 そう言って、ビーニャは自らの陰唇をシャムロックの口元へと押し付けた。逃れられないように頭を手で押さえつけられ、シャムロックは頭を動かす事ができない。
「………っ」
 もうどうにでもなれというように、シャムロックは口を開くと、舌先でビーニャの秘部をたどたどしくなぞった。
「あッ……んん……」
 ビーニャの体がわずかに震え、シャムロックの髪の毛を乱暴に掴む。更に彼女は股間を顔へと押し付け、シャムロックは息苦しさにわずかにうめく。それでも舌を使い、ビーニャに奉仕を行った。愛液が溢れ、彼の口から漏れた分が頬を伝って地面へ落ちていく。
「……ふふっ、アンタ初めてのわりには結構上手いね。何ならアタシの奴隷として飼ってあげよっかぁ?キャハハハ」
「んはッ……、それは御免だ」
 ようやくビーニャは腰を持ち上げ、シャムロックは口を解放された。愛液のむせ返るような女の匂いに、顔をしかめる。
「それじゃあそろそろ本番にいこっかぁ」
 ビーニャはお待ちかねと言うように上機嫌で身を起こし、彼の腰の上へと再びまたがった。一度射精したにも関わらず、シャムロックのそれは今なお勃起し続けている。ビーニャは愛おしそうに彼のペニスを撫でると、先端に手を添え、自身の陰唇へあてがった。

「ちゃんと見ときなよぉ。今からアンタが童貞喪失する決定的瞬間をさ」
 先端に触れる花弁の感触に、シャムロックのペニスからは欲情の涙が滲み出す。もう自分自身にも性欲の暴走を止める事などできはしなかった。
 ビーニャの言葉に彼が頷くのを見ると、彼女はゆっくりと体をかがみ込ませていく。ビーニャの膣に自分のペニスが飲み込まれていく様子を、シャムロックはひたすら無言で見つめていた。
 舌が冷たければ、膣内も異様に冷たい。女と交わった経験は今までなかったが、この冷たさが尋常でないことくらいはさすがに彼にも分かった。だがそれが気持ちの悪い事だと言えば嘘になる。
 彼女の狭い膣に締め付けられ、彼女が動くたびに愛液が濡れた音を立てる。まだ幼さの残るビーニャの乳房が揺れ、快楽に顔を歪めるさまを見て、欲望を押さえろという方が無理のある事だった。
「あはぁッ、あんッ……!ホント意外だなぁっ……、アンタのアソコってぇ、本気になればすごく大きくなるんじゃない。ホラ、こんなに」
 ビーニャが言うも、ペニスは彼女自身の上下運動によって幾度も素早く膣の中へ姿を隠し、大きさなど見ることができない。だが、自分のペニスがそろそろ限界に達しようとしている事だけは理解できていた。額に汗を滲ませながら、シャムロックは浅い呼吸を何度も繰り返す。
「ッ……、ぬ、抜いてくれ。もう今にも、んッ、出そう、だからッ……」
「中で出せばいいでしょ。何遠慮してんの」
「な、中でって――ぐぅッ……!!」
 言い終わるよりも先にシャムロックの体が身震いした。結局早々と限界を迎えてしまったのだ。ビーニャの最奥に導かれた瞬間、シャムロックの先端から体液が溢れ、ビーニャの膣内を満たした。男の欲望に中を満たされる快感に、ビーニャは恍惚とした笑みを浮かべる。
「――はぁ……、よかったよぉ?アンタの使い心地……」
 ペニスを膣から引き抜くと、そこからシャムロックの体液が太ももの内側を伝い、トロトロと流れ出る。その卑猥な光景にシャムロックの体はまた、欲を秘めた熱を持ち始めた。
 兵士の亡骸の衣類で精液を拭き取りながら、ビーニャは下着を履き直すと、いまだ地面に寝そべったままのシャムロックに視線を落とした。

「――さて、結局アンタをどうしよっかなぁ?ねぇ、アンタはどっちがいい?今からアタシに殺されるのと、アタシの奴隷になるのと」
 ビーニャの背後の獣たちが、爪を光らせながら自分を睨んでいる。ここで自分が死ぬ事を望めば、彼らはものの一瞬でこの体を八つ裂きにするつもりなのだろう。
 死にたくはない。
 ……だが、だからといって同胞たちを無残に殺したこの少女の奴隷になることなどあってはならない事だ。
 虚空を見つめるシャムロックの眉が歪む。
「さあ、答えは出た?」
 腕を組み、上から覗き込んでくるビーニャを見上げ、シャムロックは重々しく口を開いた。
「――私は……」
 バサバサァッ!!
 その時突然、大きなコウモリがビーニャの肩へと舞い降りた。そのコウモリは耳元で何かを囁くと、再び飛び去っていった。――飛んでいった先にあるのはデグレアの軍隊。シャムロックの脳裏にその事が浮かんだ時、ビーニャはつまらなそうに溜め息をついた。
「ああもう、イイトコだったのにぃ!……ルヴァイドちゃんが戻って来いだってさぁ。戻ってこなきゃ容赦しないなんて、それがナカマに対する言い方?もうっ」
「……私を殺さないのか」
「アンタなんかいつでも殺せるよ。別に次の時でいいや……って、何?アタシの奴隷になる気はないってこと?」
 当たり前だ、とシャムロックは彼女を睨みつける。「残念だなぁ」とビーニャが笑うと、彼女はシャムロックのマントを拾い上げ、自分の体へとまとった。
「これは貰ってくよ。破れた服の替わり。アタシは別に恥ずかしくないんだけどさ、戻った時にアイツらが目のやり場に困るといけないでしょぉ?キャハハッ」
 背中の部分が獣の爪で大きく裂かれたマントを羽織った姿で、ビーニャはきびすを返す。軍隊の場所へ向けて戻ろうとした時、ふいに彼女は足を止めた。
 ちらりとシャムロックに視線を向け、ゆっくりと歩み寄ってくる。
 やはり今ここで殺す気なのか。何とか体を起こしたシャムロックが、尻餅をついたような態勢で彼女を見上げる。ビーニャは目の前でかがみ込むと、顔をシャムロックに近づけた。

「……アンタみたいな情けないくせに根性のある奴、アタシ嫌いじゃないよ。今度会った時は臓物引きずり出してメッタ殺しにしてやるから、覚悟しといてね?――シャムロックちゃん」
 シャムロックの唇に、ビーニャが唇を重ねる。それはやはり冷たかったが、シャムロックにはそれがなぜか熱く感じられた。唇を放したあともう一度彼の頬にキスをすると、バイバイ、とビーニャは手を振り、獣たちとともに立ち去っていった。

 ――アンタみたいな情けないくせに根性のある奴、アタシ嫌いじゃないよ。――

「……余計なお世話だ、あの子供ッ……」
 今だ感触の残る唇を指でなぞり、シャムロックは顔を赤らめる。
「おいシャムロック!!無事だったか!?」
 覚えのある大声に、シャムロックは慌てて顔をあげる。そこにはフォルテを筆頭に、彼の仲間達が自分のもとへと駆け寄ってくる姿があった。
「フォルテ様っ。私は何とか……、背中を多少やられてしまいましたがね」
 シャムロックは安堵の息を吐いた。もうしばらくは今回の事を考えずにいたいものだ。
 地面に脱ぎ捨てられた彼女の服をそっと手に取り、シャムロックは熱を帯びた自分の頬を片手で軽く叩いた。


おわり

目次

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