レックス×クノン・1



「……ン、あれ?」
目を覚ますと、真っ白な天井が広がっていた。何故だ? 
自分は海岸で召喚獣達と戦っていたはずなのだが、
「目が、覚めましたか」
ふと声のした方向を向くと其処には、介護人形(フラーゼン)のクノンが注射を持って立っていた。光る注射の針が妙に似合っている。
「な、なんでクノンが此処に?」
「貴方が海岸で倒れていたのを見つけて連れてきたんです。その場で判断したところ、軽度の微熱があったので、此処に連れて来ました」
「あ、そうなんだ……あはははは」
クノンの話ではこうだ。クノンが海岸近くの森で薬草を採取している時に、海岸で爆発が起き、行ってみると俺が倒れていたということだ。
多分フリーバトルをしているときに召喚術の失敗して、爆破、そのまま倒れたんだろう。我ながらかっこがつかない。
「そっか、ありがとう」
俺は素直にお詫びを言った。助けてもらったのは事実だしな。
「どういたしまして、それでは、熱を測らせてもらいます」
「え?」
するとクノンは持っていたものを注射から体温計に変えて、俺の寝ていたベットに乗ってきた。クノンはそのまま手の平を俺の額に当てる。
何故体温計を持っているというのに自分の手で測るんだという質問は押し殺した。だけど、この体勢は辛い。寝ている俺の身体の上にクノンがまたがっている状態だ。クノンは自分の手を自分の額に当て、言った。
「……先ほどより熱が上がっています。どうしてでしょうか」
当たり前だ。こんな状態なら健全な男子ならドキドキして体の体温が上がるのは目に見えている。……まぁそれは俺の推測だが。
「それではレックスさん……ベッドに寝てください。タオルを持ってきますので」
「あ、ありがとう」

クノンはそのまま部屋を後にした。俺は息を深く吐いて気持ちを落ち着かせる。
何故こんなに胸がドキドキするんだろう。クノンは介護人形だ。
人間じゃない……なのに、この胸の高鳴りはなんだ?
そんな事を考えていると、クノンが氷水の入った洗面器みたいなものを持って戻ってきた。その洗面器を近くにあった机に置き、手に持っていたタオルを氷水の中に入れて絞る。冷たくないのだろうか。
そんな事が脳裏によぎる。
「クノン……冷たくないのか?」
不意に俺はそんな事を聞いてみた。クノンはこっちを向いて、
「私は介護人形です。冷たくてもそれは我慢します」
我慢するのか!? 俺は思わず心で叫んだ。それ即ち、冷たいということじゃないのか? 其処で俺は「タオルを絞るくらい自分でやるよ」と言った。しかし
「いえ、貴方は病人です。寝ていてください」
あっさり返された。だけど、例え介護人形としても女の子にそんな事をやらせるのは男として恥ずかしい。
「いやいや! 俺がやるって!」
「駄目です」
即答された。俺は氷水の置いてある机に手をかけてもう一度言う。
「俺が――どわ!?」
その時、机がガタンと倒れた。どうやら机が移動可能なローラー付の机だったらしく、力をいれたことで机は、
ガッシャーン。
あっけなく倒れた。それと同時に俺も床に倒れた。
「あたたたた、……ん?」
手の平にある柔らかい感触、目を開けると其処には、
「…………」
クノンが倒れていた。

多分倒れた俺を止めようと思ったんだろう。だけど、そのまま一緒に倒れてしまい、結局俺の手がクノンの胸に乗っているというとんでもない状態になっていることに俺は気がついた。しかも、倒れた氷水はクノンにかかったらしく、服の上から全身が透けている。もちろん胸も……。
「…………」
俺はそのまま制止していた。別に胸の感触を楽しんでいる訳じゃない。
ただ、唖然として動けないだけだ。だけど、いつまでもこの状態でいるわけにはいかない。
俺は自分の手をクノンの胸から離して、立ち上がった。
「クノン……大丈夫?」
俺はクノンに手を差し出した。クノンは手を取って起き上がり、
「だ……イじょウブです。これク、らい、どうとイウこ、トありマせン……」
俺は気がついた。クノンの音声が乱れている。それにほのかに頬が赤い。
もしかして、ぶつけた拍子に回路を傷つけたのか? 
その時、俺の手を借りて立ち上がったクノンがドサッという音をたてて、また倒れた。
「クノン!?」
俺は倒れたクノンを抱きかかえる。幸い俺はアルディラに
教えられて機械の直し方などを習った。だから、回路が切れたりしたり、オーバーヒートした機械を直すのは少しぐらいなら出来る。もし、アルディラがいるならクノンを直してもらうんだが、此処にはいないし、呼びに行く猶予もない。俺はクノンに聞いた。
「クノン、バッテリーの取替え部分は何処にある?」
クノンは苦しそうな顔をしながら答えた。
「ム……左胸のブぶんに、ホンたいのバッテりーが、下フク部のとこロにめいン電源とコーどが――」
その時、クノンの身体から煙が噴出し、ウィーンと音を立ててクノンの身体の力が抜けた。

「ク、クノン!?」
動きが止まったクノンを揺さぶる。だが反応がない。とにかく
俺はバッテリーを取りに行った。

ベッドの上にクノンを乗せ、近くの机に工具やパーツを置いて俺は立っていた。さっきの話ではクノンのバッテリーの一つは胸の部分にあるといっていた。だから俺はクノンの服のボタンを一つずつ外していく。
(興奮するな! したら最低だぞ俺!)
心の中で自分の欲望に規制をかける。そして、ボタンを外し終わると、水に濡れたシャツが其処にあった。
「これも、脱がさないといけないんだよな……」
俺は動かないクノンの腕を万歳の形にして、濡れたシャツを脱がす。
だけど、濡れたシャツは肌にまとわりついて、脱げにくい。
俺は少し力をいれて脱がそうとする。すると、ビリリッ! という音と同時にシャツが破れた。これじゃ強姦になってしまう。だが結果オーライだ。服が破けたことで、クノンの『作られた胸』が露になった。

「……え、えっと……此処だよな」
良く見ると、両胸の間の部分に薄く四角い線があり、煙が出ている。其処は螺子で止められていて、必要なとき意外は開かないようにあるのが製作者の意図なのだろうか? まぁ、そんな事はどうでもいい、俺はドライバーを手に取り、ビスを一本一本外し、蓋を開けた。
「うわ!?」
充満していた回路の中から煙が噴出した。俺は、数秒間煙が止むのを待った。10秒ほどたって充満していた煙は部屋に分散され、機械のコードに繋がれた青い電池みたいなものが顔を出した。
「これだな……一つ目の回路は」
指を置いて温度が残っているか確かめる。よし、冷めてるな。コードの接続部分のロックを外してバッテリーを取り外し、真新しい赤いバッテリーを新しく接続した。
「ふぅ、一つ目は成功……と」
俺は安堵の息をついた。だが、これだけじゃない。後は、
「下腹部のメイン電源と、切れたコードの接続だ」
だがこの作業は今の作業の何倍も難しい。だが実際作業が難しいというわけじゃない。俺の精神が持つかどうかだ。だけど今クノンを直せるのは俺しかいない。そう、やるしかないんだ。
俺はクノンの履いていた白いスカートのホックを外して脱がす。毛一つない綺麗な太腿とパンツ代わりのスパッツが露になる。これだけでも俺の意識がやばい。だけどやらないといけない。
俺はクノンの履いているスパッツを、ゆっくり、ゆっくりと脱がす。
其処には……。
「…………」
作られたとは思えない、綺麗な割れ目があった。
其処からは黒いオイルが流れ出しまるでそれは人間でいえば愛液に見える。
だがそんなことは考えてはいられない。
再び良く見ると、左足の太腿と割れ目の境目に蓋がある事を気がついた。
今度のはドライバーを使わないでいいタイプで、俺は少し力を入れて蓋を外す。
「これが電源だな」
真っ赤な大きいボタンが其処にあり、外れたコードが五本ほどあった。
これを順番良くかつ迅速に接続しないとクノンの意識は一生戻らない。
俺は一本一本慎重にコードを繋いでいく。
汗が流れてポタリとベッドに落ちる。そして、数分経って俺はすべてのコードをつなぎ終えた。そして、電源のボタンを押して蓋を閉めた。
「終わった」
俺は全裸状態のクノンをまじまじと見る。やっぱり人形とは思えない。
どうみても人間にしか見えない。その時、
「う、うん……」
クノンの口から呻き声が聞こえ、数秒の間の後クノンが目を覚ました。


つづく

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