制裁編〜橋本夏美〜その5



『んふひぃぃぃ!!あふぃぃぃ!!ひゃふぅぅぅ!!はむぅぅぅぅぅ!!』
ただひたすら調教され続けてきた。意思の壊れた人形と化すために。
『んひぃぃぃぃぃっ!!ひゃぁぁぁぁぁ!!ふぎやぁぁぁぁぁ!!』
休息などない。意識があるうちは犯され続けた。気を失っても叩き起こされた。
『んんんぅぅぅぅっ!!んぐっ!!……ん…あぐぅぅぅぅぅ!!』
毎日のように輪姦され、白濁を注がれ、脳が溶解するほどの刺激を断続的に与えられ、もう自分がただの肉便器に過ぎないと思い込むようになったころである。彼女に出会った。
『綾…先輩……?』
彼女はただの親しい上級生でしかなかった。だがそのときの絵美にとって彼女、樋口綾の姿は眩しく映った。なぜならそれは絵美が失った日常の一部であったから。もう戻れない世界。家族のいる家。友達のいる学校。何気ない平穏な日常生活。もう二度と帰らぬ者たち。精液便所と化した絵美にとっては。そんな失われた日常の一部分が絵美の目の前に立っていた。帰りたい。戻りたい。あのころに。そんな感情が蘇ってくる。もう壊れたはずの絵美の心に。そのことは絵美にとっては新たな生き地獄の幕開けでもあった。
『先輩!……助け…えぐぅひぎぃぃぃっ!!いぎゃぁぁぁぁっ!!!』
現実は残酷なものである。その日、理性を取り戻した絵美に待ち受けたのは再調教であった。一度は絵美の心を完全に壊した陵辱。それが再び絵美を襲う。終わらない。絵美が完全に壊れて狂うまで。だから悪夢は延々と続く。
『へ…へへ…絵美は…奴隷ですぅ…ご主人様たちの…肉便器ですぅぅ……』
思い込もうとした。自分がただの肉便器であると。そうやってまた壊れてしまえれば楽になれる。何も考えなくてすむから。たが完全には壊れてくれなかった。未練だ。過去の自分。こんな肉奴隷とされる前の自分への。未練が絵美を苦しめた。肉の悦楽を楽しむ調教された雌奴隷としての自分。そんな自分を蔑む自分。絵美の心は二つに割れる。割れた心が摩擦を繰り返して軋む。狂おしいほどの苦痛が脳を焼く。壊れたままならば、あのまま何の意思も持たぬ肉便器のままでいられたならばこんな想いなど抱かずにすんだのに。

激痛にさいなまれる身体を押して彼女は立っていた。今にも倒れそうな頼りない足つき。まともに直立できないのだろうか。やや前かがみな姿勢で折れそうな膝がいつ床についてもおかしくない。それでも彼女は立っていた。後ろにいる綾をかばうようにして。
「…クッ…つぅぅ………」
「夏美さんっ!!」
はしる神経系を突き刺すような鋭い痛みに彼女は顔をしかめる。見かねた綾は彼女の名を叫んでいた。夏美。綾にとってもはやかけがえのない友人。
「やめて…いいんです…もういいんですっ!!わたしのことは…だから……」
すがるようにして綾は夏美に訴えかける。綾のアナルを犯そうとする絵美。覚悟はしていたが綾は内心恐怖に打ち震えていた。生々しい陵辱の記憶。それが再現される悪夢に。それを寸でのところで止めたのは夏美。嬉しかった。夏美が自分のことをこうまでして守ろうとしてくれることが。だが同時に分かってしまう。彼女が無理をしていることも。硬い床に叩きつけられた背中は確実に負傷している。起き上がることさえ苦痛だろう。二の腕に赤い痕を残している。骨に異常をきたしているかもしれない。そんな夏美にもう無理はさせられない。でなければ彼女の身体が壊れてしまう。
「わたし…嫌です…夏美さんが…夏美さんがわたしのためにこれ以上傷つくなんてっ!!だからもういいんですっ!!わたしのことはもうっ!!」
「やだっ!!」
綾の呼びかけをにべもなく夏美は拒絶する。
「絶対やだっ!そんなの嫌だっ!!綾があんな目にあうのを黙って見てるだけだなんて、そんなのは死んでも嫌だっ!!」
駄々っ子のように夏美はまくし立てる。
「だって約束したんだもん…綾のこと守るって…あたしが守るって……」
思い返される記憶。陵辱される綾を見ているだけだった自分。あんな想いは二度と。
「もういいだなんて…自分のことはもういいだなんて言わないでよっ!!約束したじゃないっ!!こんなところから一緒に帰ろうって…約束したじゃないっ!!言わないでよ…そんなこと言わないでよっ!!」
(夏美…さん……)
夏美の言葉、そこから伝わる想いが綾に染み込んでくる。大切な人が傷つくのを黙ってみていることなんて出来ないという夏美の気持ち。容易に理解できる。綾自身が同じ想いを抱いているのだから。
「ウァァァァァアアア!!!アァァァァァアアアア!!!!」
刹那、この世のものとも思えぬ叫びが響く。見やると声の主はむっくりと起き上がり殺気ばしった視線を夏美に放っていた。
「ヨクモォォォォォ!!オオォォォォォッ!!!!!」
完全に我を忘れた絵美が夏美めがけて突進する。夏美はかわせない。満足に動くことさえできないのだ。
「ウォォォォォォォォォッ!!!!!!!」
獣のように絵美は夏美に襲いかかる。振りかぶった一撃を解き放とうと。しかしその突進は寸でのところでピタリと止まる。絵美は目を丸くする。眼前に立つ人物に。
「やめて……絵美ちゃん………」
綾だった。咄嗟に間に入った綾が腕を広げて絵美を制止していた。
「綾先輩……どうして…どうして止めるんですかぁっ!!」
激白する。どうして綾は自分のことを止めるのだろう。絵美には理解できない。その女は絵美を殴ったのだ。絵美が楽しみにしていた綾とのひとときを台無しにしたのだ。許せない。その女だけは許すことが出来ない。
「その人、絵美のこと殴ったんですよぉぉぉっ!許せない…どいて下さい。先輩っ!!」
「やめて。これ以上夏美さんを傷つけたらいくら絵美ちゃんでもわたし許しませんっ!!」
激昂する絵美に対して綾は声を振り絞る。綾の大声に絵美は思わずビクッと退く。
「先輩………」
傷ついた子犬のような瞳で絵美は綾を見つめる。信じていたものに裏切られたような表情。そんな絵美に綾は心を痛める。だが言わなくてはいけないことがある。この娘に。
「絵美ちゃん…ごめんなさい。わたし…間違っていました…」
口を開く綾。言葉をつむぐ。目の前の絵美に伝えるために。
「わたし…絵美ちゃんがどんなに辛いのか…苦しいのか…わかります…わたしも…されたから…あの人たちに……」
後半はもう涙声である。思い出されるのは陵辱された日のこと。消し去ってしまいたいけれども消えてはくれない苦痛の記憶。
「だから…わかるんです…絵美ちゃんがそんなふうに…自分のこと…諦めてしまうのは…わたしもそうだから……」
犯されたあの日。汚された自分に心底絶望した。あのまま死んでしまいたいとさえ思った。悪夢しか訪れない未来。だから諦めかけていた全てに。
「でも…わたしには…夏美さんが…夏美さんが側にいて慰めてくれました…わたしのこと…元気付けてくれて…それで……」
(綾……)
綾の言葉に夏美は心救われるものを感じる。夏美にしてみればそうでもしないと自分を保っていられないからした行動だ。だがそれが綾の救いになっていた。そのことがたまらなく嬉しく感じる。
「絵美ちゃんは…ずっと一人で…あんな目に…ごめんなさい…本当にごめんなさいっ!」
頭を下げる。自分には夏美がいた。でも絵美には誰もいなかった。本当なら自分が絵美の支えとなるべきであったのに。
「だから…わたし…絵美ちゃんの好きなようにしてあげれば…それで…絵美ちゃんが少しでも癒されてくれるのならって…思ってました…だけど……」
それは間違いだったと気づく。なぜならそれは諦めだから。一生肉奴隷にされて終わるという絵美の言葉を心のどこかで認めて諦めてしまっていたから。
「絵美ちゃん…わたしがついてますから…わたしが絵美ちゃんのこと守りますから…だから諦めないで…そんなふうに自棄になるのはもうやめて…」

失われたもの。自分の日常。自分の幸せ。それはもう手の届かないところにあった。決して届くことはない。ただの肉便器に堕した自分には。こうして考えることさえ無駄だ。便器に思考など必要ない。ただ狂いよがりながら精液を吐き出され続ければいい。他は何も必要ない。それなのに。それなのに未練が残る。失ったものへの未練が。苦しい。息が詰まるように苦しい。未練が自分を苦しめる。そんなものは断ち切ってしまえばいいのに。でも断ち切れない。こんなに苦しいのに。楽になりたい。どうしたらいい?自問する。そうだ。思いついた。失ったものが手の届かないところにあるのならば。もうあの日々には戻れぬぐらい自分が堕ちてしまったのなら。こちらの方に堕としてしまえばいい。壊れてしまえばいいのだ。自分と同じように。そうなれば仲間ができる。自分と苦しみを分かち合う仲間だ。いや快楽だ。肉の悦楽を自分はもう知っている。もう抜け出せない。ただ過去への未練があるから苦しむのだ。仲間さえ出来てしまえばもう未練なんてない。ただ膣肉を抉られる肉の悦びに浸っていられる。それを仲間と分かち合うのだ。なんて素晴らしい。なんて素晴らしいのだろう。そうだ。そうなってくれればこんな惨めな自分も愛せる。毎日昼夜を問わず輪姦され続ける精液便所の自分。惨めになんて思うこともない。もう一人ではなくなるのだから。自分と同じ肉欲に溺れた雌が一匹仕上がるのだから。自分の相方となるべき人物の顔が浮かぶ。彼女は優しかった。いつだって後輩の自分に親身になってくれた。大好きな、本当に大好きな先輩だ。ついこの間あったばかりの。壊れた絵美にわずかばかりの正気を取り戻させてくれた人物。愛しくてそして憎らしくてたまらない。貴女がいなければあのまま壊れたままでいられた。ただの肉便器のままでいられた。彼女は失った日常の象徴。今、自分の手の届く距離にいる唯一の。だから彼女を堕してしまえばいい。自分と同じ場所に。
『あは…はは…綾…先輩………』
不完全に壊れた意識で、肉の悦楽と陵辱の苦痛を同時に味わいながら絵美は想い人の名を呟いていた。彼女が自分と同じになってくれる日を夢見ながら。

「絵美ちゃん…お願い……」
そういって綾は絵美に懇願する。先輩は何も分かってくれていない。諦めるなだの。自棄になるなだの。そんな話聞きたくもない。どうせ無駄なのだから。先輩は自分と同じになってくれない。堕ちた肉奴隷には。あの女のせいだ。陵辱される苦しみを味わったこともないくせにキレイごとばかりほざくあの女の。
「わたしも…夏美さんも…絵美ちゃんの力になるから……」
力になる?笑わせないでくださいよ。先輩やその女に何が出来るって言うんですか?絵美がずっと犯され続けて泣いてたときは誰も助けてくれませんでしたよ。大体先輩達も無力だからこんなところに捕まったんじゃないんですか?その女がどうしようもない阿呆なせいで先輩が犠牲になって犯されたんじゃなかったんですか?なんでそんな女を信じられるんですか?絵美はその女を殺してやりたいほど憎いです。こんな自分は何も知らないくせに偉そうなこという糞女が。
「だから…もう苦しまなくていいの…一人で……」
苦しめてるのは貴女じゃないですかっ!!貴女がいるから絵美は苦しむんですよ!どうして分かってくれないんですか。先輩なんて嫌いだ。壊れちゃえばいいのに。そうだ壊しちゃえばいいんだ。どうすればいいんだろう。そうだこうすればいい。
「絵美ちゃん……えっ?」
気づいたときには遅かった。絵美が手に持つ紫色の石。それが放つ光が綾を包み込む。
「綾っ!!」
衝撃に飛ばされる綾に向かって夏美は叫ぶ。吹っ飛ばされ床に叩きつけられる綾だったが意識はあった。身を起こそうとするが。
(……っ!?)
身体が動かない。金縛りにあったように身体が一歩も動かない。声すら出せない。
「ちょっと…綾に何をっ!…っ!かっ…はっ……」
夏美の鳩尾に絵美の拳が突き刺さっていた。崩れ落ちる。横隔膜の痙攣に苦しみ悶える。
「先輩…この女…先輩にとって大事な人なんですよね……」
金縛りにあって動けないでいる綾に絵美は恐ろしく冷たい目線を投げかけて言う。
「だから壊します。これから絵美がこの女を先輩の目の前で滅茶苦茶にします。先輩はそこで見ててください。この女が泣き叫び悶えて壊れ堕ちる姿を。」
邪悪な笑みを浮かべながら綾を見据えて絵美はそう言った。


つづく

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