妖姫新妻(未定)奮闘記 7



 ん………

 あ、朝ですか…………?

 いけないいけない。クリュウさまの朝ごはんを作らないと………

 寝不足の為かどうかよく解かりませんけど、何だか重い頭をふって身体を 起こそうとしますが、私―――シュガレットの身体は動きません。むむ、 これはどういう事でしょう?サナレさまかコウレンさまが私を呪殺しようと シルターンの召喚術「ノロイ」とかを使役しているのでしょうか?

 でも、呪われているにしては暖かくて気持ちが……ん?

 頭が段々とハッキリしてきて、状況が何となく解かってきました。そりゃ 動けないのも道理です。私はガッチリとクリュウさまに抱き締められて いるのですから…………

 って、何ですか――――――???!!! おまけに私は素っ裸?!

 ああん、クリュウさまも裸だから裸のお付き合い☆なんて、言ってる場合じゃありません!兎も角、私はクリュウさまを起こさないように何とかクリュウさまの腕の中からって……なんで出なきゃいけないのでしょうか?
 ふと自分の胸元を…というか胸を見てみると、バッチリ虫に刺された様な跡があります。もーどう考えてみても、これはクリュウさまとヤりまくっ…じゃない、睦み合ったとしか思えません。

 そして、もぞもぞとお尻を動かしてみると、物凄い違和感がありました。これは…ウワサに聞く、何か挟まっているようなってヤツですか?! そんな事をきゃー♪きゃー♪と考えていると、どんどろどんどろ思い出してきました。

 夕べ…………私とクリュウさまが何を…ううん、どういう風にまぐわ…… もとい、一つになったか………
 ぷしゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!

 いきなり頭がタタラの様に熱を持ちました。あ、ああ、私って………ううん、クリュウさまも、なんてケダモノだったのでしょう!?(ぽっ…)

 自慢じゃありませんが、私は全くの初心者若葉マーカーで、“乗せた”のも “乗った”のもクリュウさまが初めてです。でも、ヤリ方…もとい、 女性の嗜みとしての知識は持っていました。その知識と照らし合わせても、 夕べのは…………濃厚過ぎです。たった一晩です。解かります?私の身体は たった一晩で、“初めての場所”が無くなってしまったんですよ? どーりで 胸もがびがびしてますし、顔も何かぱりぱりします。うしろも…その… ひりひりしてますし…前に至っては…………

 その、クリュウさま? そろそろ起きてくださいませんか?…ええと、 その〜〜〜そろそろ起きて“抜いて”ほしいんですけど〜〜〜〜?  ああ、勿論クリュウさまがこのままがいいとおっしゃられるのでしたら かまいませんよ? 私はクリュウさまのモノですし〜♪

 でも、幾ら明け方までしまくってたとはいっても、そろそろ“抜かない”と “ふやけて”しまいます。それに夕べのベット運動がスゴイものでしたから、 ご飯もちゃんと食べないといけません。私は良いとしても、クリュウさまが 大変なのです。お疲れでしょうし………(ぽっ) 生皮を剥がされる様な気持ちで、 私を抱き締めるクリュウさまの手をどかせます。

「う、ん……シュガレット………」
 はっとしてクリュウさまのお顔を拝見します。どうやら寝言のようでした。ああ、ビックリした。でも……夢の中まで私といっしょデスカ〜〜〜〜〜〜〜〜??!!
 いやん♪ クリュウさま。今夜もご奉仕はおまかせくださいませ♪夕べの如く、ゴクゴクしてさしあげますわ♪

 涙にくれつつ、恐れ多くも畏くも、偉大で愛するクリュウさまの手をどかし、今度は身体を…う、中々抜けない……

 私がクリュウ様を引き離すのに試行錯誤しているので、少し無駄話を。
 私は水の精霊の一種ですから処女膜なんてありません。ですから初めて身体を重ねた時にも苦痛もありませんでした。圧迫感と異物感は物凄かったですけど…///
 兎も角、初めてヤった事ですが、思ってた以上に上手くデキたという訳です。抜き差しならぬ、なんて言葉もありますが、抜かれ刺され、蹂躙されるわ、攻めさせられるわ、転がされるわ、四つん這いにされるわ、片足上げさせられるわ座らされるわ……でタイヘンでした♪
 それは兎も角として、こんなにキツキツで“みっちり”ぴったりジャストフィ〜〜ットされると、どーも……

「あン☆」
と、いきなり声が跳ねちゃいました。私の中でビクンビクンと動くんですもの。これが噂の“もーにんぐ・すたんど”ってやつですね? ダメですクリュウさま、今の私はちょっとした刺激でも……やぁン♪

 私のカラダは一晩でクリュウさま専用にチューンナップされてしまったのでした。やっぱり黒鉄の鍛聖は伊達じゃないてコトですね。「ひれの漏斗」の如く全方位から打ち抜かれましたから…///

 でも、それでしたらあの“得物”はなんでしょう?

 槍…う〜ん、ちょっと違いますね。どちらかと言いますと……ドリル? そう、まるで最凶のドリル<プラズマホーン>の様に、凄まじい攻撃力で抉るだけ抉ってくださいましたし…大体クリュウさまだっていけないんです。何なんですか“アレ”は?! こんなに愛らしくて美少年でそれでいてまったりとして…(中略)…で、優しくて麗しい方でらっしゃるのに、“ソコ”だけ超兵器超凶器なんて蝶・反則…じゃない、超反則ですわ。
 いえ、その…イヤって訳じゃないのですけど………癖になりそうで、その……あ〜〜ん、そうじゃなくて! 起きてくださいクリュウさまぁ!! お仕事に遅れちゃいま
「しゅがれっとぉ〜…」

 スリスリ…

 あ、やン☆

「ん……スゥ……」

 あ゛あ゛あ゛っ! クリュウさまの熱い息が耳元にぃ〜〜〜〜〜っ!!!

「はむ…」
 もごもご

 み、耳たぶダメで…くふぅ……あ、ですからぁ…ち、違っ、それ………っ!! 寝ぼけないで…って、ゆ、指ぃ〜〜〜っ!! 噛んじゃイヤで…ああっ あふぅっ ん………っ


 ま、まぁ、いいか……………あぅう〜〜///




「今日はお休みだって言ったじゃない」
「そうでした……申し訳ございませんクリュウさま」
「ううん、いいよ。シュガレットも疲れてるみたいだし」

 そう言って自分のパートナーを労わる銀髪の少年。史上最年少の鍛聖、クリュウその人。相手は彼にとって半身と言って良い護衛獣、サプレスの水の妖姫シュガレット。

 何だか疲労気味の彼女は心なしか力無くふよふよと浮いて、大切な主の朝食――時間的には昼食だが――の後片付けに入っていた。

 ウッカリと行為に酔いしれ、気が付くと昼になっていた。考えてみればクリュウと絡み合ったのは夜の帳が街を包み込んだ直後。気を失った時に朝日が眼に入ったのは記憶にある。

 そして何時もの彼の出勤時間手前に目が覚め、クリュウの甘い戒めから 逃亡するのを断念して昼まで腕の中にいた。夕べの途轍もない疲労から だろうか、クリュウは昼まで起きてくれなかった。まぁ、寝ぼけていろいろ されてた気もしないでもないが、外見はなんか弱っちいクセに中身は 鍛冶師の頂点位置。この街最強の七人の一人である。当然ながら体力も洒落の範疇でない為、元気に寝ぼけてくださったのだろう。反対に異界の住人であるシュガレットの方が精魂尽きて満身創痍だったりする。

 その少女の胸元に、蒼く輝くものがあった。深き海の蒼色を醸し出しているその装飾、水しぶきか波を模した銀細工に包まれている蒼い石、丹精込めて磨き上げられた深海の鉱石をはめ込んだ、シンプル且つ美しい装飾のブローチ。

 クリュウの作品で、シュガレットに対する感謝の想いの結晶だ。

 ボクと一年間苦楽を共にしてくれてありがとう―――
 これからも、ずっと一緒にがんばろうね―――

 その想いがギュッと詰まった彼女にとって世界一のアクセサリ。大切な 宝物であるからおいそれと出して置きたくないのであるが、それでも胸に 着けて見せびらかしたい気もする。

 へへんっ♪ どーでぃテメェら。このブローチ、クリュウさまが私の為“だけ”に作ってくれたモンだぜぇ〜? 見んな触んな、穢れるわアホ!!  私だけの宝モンじゃ。わはははははははははははははははははははははは

 何となくガラが悪いよーな気もするが、気分的にはこんなものだろう。

 夕べの睦事、そしてそのブローチの件が交じり合い、シュガレットをキケンなレベルにまで浮かれさせていたりなんかするが、幸いにもクリュウの世話を焼く事と、クリョウに迷惑を掛けないように行動する事はデフォなので皿を割ったり、味付けを間違えたりはしていない。
 原因はシュガレットにとっての救いが一つあった。それは……

「ねぇ、シュガレット」
「はい。何ですか?」

「ナツミさんが来るんだって」
「ナツミ……さま?」

 誰? という顔のシュガレット。いや、誰やねんっ!! その名前!? 女け?! という嫉妬バリバリの心を顔に塵ほども表していないのは感嘆に値する。

「忘れた? ホラ、サイジェントの……」
「え……! ああ『勇者様』の……」
 ぽんっとシュガレットが手を打つ。カグロ火山の調査の一件を思い出した。

 ナツミとは、現在はサイジェントにいるらしい“異世界の勇者”である。 クリュウ達は当時鍛聖の地位にいたウレクサとの火山の調査中、彼女と出会った。 強力な召喚術と戦士の力を併せ持ち、強い意志を持って戦う彼女の後姿に、 流石は勇者と言われるだけはあると感服したものだ。

 クリュウ曰く、そのナツミが一年という時を経て、ワイスタァンに来るというのだ。

 ……はっ?! まさか、ナツミさま。愛らしくも麗しく、そして逞しい イカス美少年クリュウさまを我が物にせんと画策し、侵略行動に打って 出たのでは?! 確かに、将来超有望株、鍛聖頭筆頭候補No.1の クリュウさまを我が物にすれば、必然的にサイジェントとワイスタァンを モノにするも同じ!!
 恐ろしい、恐ろしいですわナツミさま。無血侵略と言う訳ですね?!  犠牲は御自分のお身体だけで済みますし…ハッ?! 違いますのね?!  実はその侵略行為はクリュウさまを陵辱する為の口実なのですね?! 成る程、二つの街を占拠すると見せかけて本来の行動、『クリュウさま陵辱支配調教計画』を実行なさるのですね?! くっ、なんて鬼畜な……… 鬼! 正に鬼畜生に劣る行為…………

「…レット?」

 こ、これは早急に手を打たなければ………

「ねぇってば……」

 ああでも、私はクリュウさまの所有物。焦る必要は………ああっ!! でもクリュウさま以外の命令を受けるなんて屈辱で
「シュガレットッ!!!」
「きゃあっ!!」

 ハっと我に返る少女。スープも湯気を立てたまま。ムニエルもまだ熱い。時間的には短かったのであるが、意識的には行くトコ行ってた気がする。
「どうしたの? やっぱり疲れてる?」
「い、いえ、その……」
 流石にアホ妄想に入っていたとは言えない。実際、シュガレットらはあの事件以降もサイジェントの噂を良く聞いており、彼女にはちゃんと想い人がいる事を知っている。

 知っているのにスカっと忘れてイヤンな妄想かましてしまうのはシュガレットらしいと言えなくも無いが、それでも1%程度の可能性でも危惧するのは女心と言うものだ。口説きは得意だがそれが無自覚なクリュウには計り知れない。

 ぴと

「あ……」
「うん、熱は……あれ? 上がってきた?」
 少女の額に手を当ててみると、どんどん熱くなってくる。熱は熱でも “おネツ”なのであるが、恋愛経験がスカスカのクリュウが知る由も ないし、朴念仁且つ野暮の骨頂とまで言われている所以といえる。 その割に女心にヒットさせるのだから危険度は洒落にならない。

「ク、クリュウさま………」
「ん?」

きゅ……と抱きつくシュガレット。以前であれば真っ赤になって 慌てまくる少年であろう。だが今の彼は一夜にして変化を遂げている。

「どうしたの? 昨夜の…まだ辛い?」

 おっそろしく極普通に接するクリュウ。 そう、シュガレットにとっての救いは、クリュウの接し方が極普通の ままだという事である。尤も、あらゆる面で極普通なのはちょっと哀しいが、 お互いが真っ赤になったりすると何か気まずくなるので丁度良いと言える。

 今までのシュガレットはかなり大胆にクリュウにアタックを掛けていた。 だが、いざ関係を持ってみると、多幸感と歓喜で最愛のクリュウを見ると 二の句が出ないほど照れまくってしまっていた。確かに、いくら女を知った からとはいえ一晩でイキナリこんなに変わられたら戸惑いはある。

 それより、どうして唐突に夕べ“関係を持った”のか理由が解からない。 だが心の奥から“気ニシナクテイイヨ”と自分を無理矢理納得させるものがあり、シュガレットはその声に逆らえなかった。

 実はクリュウもそうなのだ。今のようにシュガレットの顔を優しく撫で、抱き締め、唇を重ねる事が“普通”だと何故か理解している。

 一緒に寝台を共にし、獣の如くお互いの身体を貪るのは“当然”だと“知っている”。

 朝目覚めた時、腕の中で真っ赤になっていたシュガレットを絶頂に導くのは“必然”である事も。

 何か変だなぁ…という気がしないでもないが、シュガレットの事が大切である事には全く変わりはない。

 かの大聖霊パリスタパリスと戦う時、彼の半身たるキュハイラの申し出、“シュガレットを武器に作り変える”というものを躊躇無く即答で拒否した。当然ながらそれは苦難の道だった。対パリスタパリスの為の至高の武器ではなく、父の剣四本を纏めあげて生み出した黒鉄の武器で戦う事となったのだ。
 だが、迷いは全く無かった。

 確かに、送還の武器を持ってすればパリスタパリスを倒せる勝機はあるかもしれない。だがその後、自分の横には彼女は居ないのだ。苦楽を共にし、今まで一緒にがんばってきたシュガレットの愛らしい笑顔が無いのだ。

 そんな未来に自分の笑顔は無い。クリュウはキッパリと拒否した。

 尤もその事は父の臨む形であり、シンテツは自分の魂で生み出した武器を持ち、護衛獣の犠牲を由としない息子を期待していたのである。

 結果は父の期待通り。クリュウはシュガレットと力を合わせてパリスタパリスを倒し昔の穏やかな心を取り戻させ、街を襲った災厄を手を取り合い解決した。

 正に父の思い描いていた通りの大団円だった。だからクリュウも生死を分かち合っていたシュガレットの事が大切であり、受け入れてくれた事を感謝して止まない日々を送っている。

 さらに昨夜―――

 確かに変ではあるし、イキナリの自分の行動に戸惑いがある。だが、間違いを犯したという気も更々起きなかった。大切な女の子と一緒に居られるのだから、それを間違いだなんて思う訳が無い。

 そして―――

 ちゅ

「ん…ク、クリュウさま………」
「嫌? だったら止めるけど……」

 そう言われ、真っ赤になって俯くシュガレット。

「ずるいです、そんな風に言われたら…シュガレットは拒否できません」
「あ、拒否したかった?」
「ち、違います! 全く持って間違いです! 私はクリュウさまのものですから、リュウさまの…その、お好きに……」
「うん、でも辛かったら言ってね。約束だよ?」
「ハイ………」

 カタン、とスプーンが皿からテーブルに落ちる音がした。だけどそんな音はう二人は全く気にならない。

 何か、すはすはと乱れた呼吸と湿った音の後、その姿は寝室へと消えていった。

 ああ、アマリエさま…私達の愛の結晶をお見せ出来る日は必要以上に早い気がします……

 等と考えているシュガレットと共に……………

「ああ、そうだ。今晩ラジィが泊まりに来るんだっけ。親方が言ってたよ」
「……………もっと早く言ってください」

 流石に今晩も、はムリの様だった………


To be continued.




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