ピュア童貞クンの妄想 1



「んっ…ンふぅっ!ん!……ふぁ…………てりゃ!!!」
何だか聞く者に因っては非常に卑猥な声が、「忘れじの面影亭」に木霊している。
だが、それは声の間にばしりばしりと何かを叩きつける音に因って淫らな想像を粉々にしていた。

(嗚呼、素敵だよフェア…!流石AT極振りだね…)
誤解されそうな息遣いとは裏腹に、フェアは雄々しくパン生地を板に叩きつける。
同じくパン生地をこねくり回すギアンは、ただひたすらに彼女の勇姿に見惚れるばかりだった。
鼻からは、赤い筋が見て取れる。

「ふぅ、じゃあコレを発酵させて……って、ギアン?!全然終わってないじゃない!!」
ぐい、と額に浮かんだ汗を拭い乍らクラス名:ヘタレバイトに視線を動かしたフェアは鼻血を垂れ流す彼と、血の飛沫が滴るパン生地を交互に見遣って非難の声を上げた。
「あっ…ごめん。つい君の声にハァハァしてしまって…」
「もぅ、パン生地作るのだけでヘバってちゃ何にも出来ないよ?」
明日の朝一番に焼き上げなくちゃいけないんだから、と呟き乍らフェアは自分がこね上げたパン生地を手早く紙に包んでぽい、と貯蔵庫に投げ入れる。「ハァハァ」部分は意味が分からないので無視したらしい。
「まだ慣れてないから大変なのは分かるけど…頑張ってね。私ちょっと倉庫片付けてくるから」
「あ、う…うん」
眼鏡に飛び散った小麦粉をハンカチで拭き始めたギアンをよそに、フェアは軽く手を洗い流して宿の入り口で彼に手を振る。


「…ふぅ」
眼鏡を掛け直して、ギアンは赤いまだら模様のパン生地に視線を戻した。
ばしりばしりと叩きつける度に血痕が伸ばされ、パン生地はストロベリーソースを混ぜ込んだ様になっていく。
ふと、フェアの胸の感触が気になった。
「………」
オレンジ色のネクタイをほんのちょっと上げる位の大きさ。
「……この位、かな?」

こねこねこね、むにゅむにゅ、こねこねこね。

パン生地でフェアの胸(想像)を作ってみる。小振りな双丘が出来上がった。
「うん、可愛い」
自分の毎日の視姦に狂いは無い、といった様子でギアンは満足気に頷く。
「越境者」だから弓を使うから、此位小振りなのが丁度良い。
いちいち乳房に弓の弦が当たって痛がるフェアなんて、想像がつかない。
だから、此で丁度良いんだ。


フェア本人からすれば、かなり屈辱的で失礼で無礼千万この上無い事を考えな乍らうんうんとギアンは頷いた。


つづく

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