コーラル×ライ 2



「は…ぅ…っ。」
口が自由になるのなら今すぐ舌を噛み切ってしまいたいほどに恥ずかしい。
けれど竜眼の効果はまだ全然有効で、というかむしろ上書きされており、ライは依然として、ドアに背中から寄りかかったままの姿勢で拘束されたままであった。
「お父さん?」
「う、くぅっ…。」
下半身から走る刺激に身を硬くして耐えることも出来ず、ライは声のままに悶える。
すでに自分のものはコーラルの手の内であった。
硬くなっているそれを、コーラルはなんてことなしに眺め、手で包み込んでいた。
少年だけあって、まだ剥けきってもいないそれは、しかしコーラルの手には余るもので、先が顔をのぞかせる。
「コーラル、やめッ…!」
「ねぇ、ライ、聞いてもいい?」
彼の制止など聞かず、性器を握ったまま、コーラルはライに尋ねる。
先ほどの妖しい笑みはなく、顔は無表情。問いかけに、拒否権は最初からない。
「ボクのこと考えて、一人でしたりしたの?」
「な…なんてこと聞いて、うぅっ!」
「誤魔化すの、いけないかと。」
握った手にぎゅう、と力を込められて、ライが顔を歪ませる。
「ね…どうなの?」
「…してねぇ。」
ぷい、と顔を背けてライは答える。コーラルは一瞬きょとんとしたあと、そう。とだけ短く答える。
「あ、あのなっ?コーラル。いくらお前の言うとおりだからって、俺が、お前でそんなことするような奴に見えるのかよ?」
その反応がなんとなく誤解を招いてるような気がして、ライは再度噛み付く。
「…硬くしてるくせに。」
「あぐ…。」
たった一言の反論に、ぐぅの音も出ない。ライは、情けないなら何やらでがっくりとなってしまう。
だがコーラルの方は、そうでもなかったようで、無表情に僅かながらいつもの笑みが灯っていた。
「…でもちょっと嬉しい。」
「え、なら…うっ!」
少しだけ緩まる拘束。
一瞬だけ甘い考えが頭をよぎったが、1秒もしないうちに訂正を余儀なくされてしまう。
「あ、うっ…!」
ライのを包み込んだ手が、指がゆっくり上へ下へとこすられはじめる。
「でもね、ライ、それじゃ嫌なんでしょ?」
「そ、そん…な。」
「言ったよね、してあげるって…。」
手の動きが少しずつ早くなっていく。
相変わらず身動きは取れないのに、下半身の感覚だけは残されていて、緩い刺激が、思考を痺れさせていく。
何より、コーラルが自分のものを愛撫しているという様が、ライを混乱させる。
「ふ…ぅっ…あ…、ほん…と、や、め…。」
「無理かと…。」
「あぅ…!」
根元から先端まで一気に、搾り取るように擦られる。
下半身から、背筋を這う刺激。ほかの感覚がない分、それは強烈なものになって、脳を犯す。
「だって、こんなにも気持ちよさそうだから。」
心の底から、満足したような声の色。
ぞくぞくとした表情を見せるコーラルを見て、ライは改めてこの子供が、嗜虐趣味であると思う。
(―だ、ダメだ、流されるな。俺。)
押し寄せる快楽に何とか飲まれないように、ライは歯を食いしばる。いっそ委ねてしまえばいい。
そう考える思考を隅へと追いやり。一度やったように…これと似たものを打ち破った事を思い出しながら、四肢に力を込める。
だって、こんなの絶対嫌だ。
自分はこの子の親なのだ。いつかは崩れてしまう関係でも、こんな形で無しになってしまうなんて認めたくない。
コーラルもきっとどうにかしているのだ。
そう、今すぐにでもこれを破れば元通りになる、そう思っていた。次の瞬間までは。
「ぅあっ…!?」
ぴちゃり。
滑らかな手とは違う、水気のある、生暖かい感触に、思考は無残にも吹き飛ぶ。
力こめる為、刺激を抑えるために閉じていた目を開くと、コーラルが、屹立したものの先端に、自分の舌先を這わせている所だった。
「ばっ…!何してんだコーラルー!?」
たどたどしかった言葉、麻痺した声帯がうそのように悲鳴を紡ぐ。
流石に驚いたのか、コーラルは目を丸くしてこちらを見て、答える。
「嫌い…?」
「好きとか嫌いとかじゃなくてだな…、コーラル!俺はお前の…げぅっ!」
「…。」
再び正面から魔力を浴びせられ、ライは悶絶する。しかも今までの中で一番強いといってもいい。
意識と視界が暗転するほどの一撃。くらくらする意識の中で、耳だけがコーラルの声を拾う。
「そう言うのなら…そういうふうに、して欲しい。」
「…え?」
あいまいな言葉の意味を、コーラルは説明しなかった。視線を逸らし、ライを見ようともしない。
「…何でもない。言っても、分からないから。」
いつか言われたことと同じような言葉を放たれる。
「―…するよ?」
言葉の意味を確認する前に、コーラルが再びライの性器に口をつける。
「ぁう…!」
「ん…れろ…ん。」
流石に口に含むのは抵抗があるのか、舌先で、先端をなでる程度のたどたどしい行為。
だが、それだけでライには十分すぎる刺激であった。
先ほど、手で擦られていたときの何倍もの感覚に、くらくらするどころか、頭の中を白く塗りつぶされる。
「ライの…おおきい…かと―…ん。」
その言葉に、熱を帯びた表情に、心臓がはちきれんばかりに鳴っているのが分かる。
痛いくらいに大きくなったものに、つたなく、懸命に奉仕を続ける、自分の子供。
色恋に疎いライにだって分かる、背徳的な光景が、理性を奪っていく。いつの間にか、四肢からは力が抜けていた。


「ふ…あ…ちゅ…。」
どれくらい経っただろう、
尚もつたない口付けは続いている。
それ以上のことを知らないのか、怖いのか、コーラルは先端を舐めるより先に踏み込もうとしない。
もどかしいような、切ないような攻めは、最初こそ鮮烈な刺激を伴っていたものの、緩急の無いそれは、体が慣れてさえしまえば、甘い波になってライをゆるゆると蕩けさせる。
「あ、ぅ…コーラル。」
「…気持ち、いい?」
「お…おぅ…。」
「素直なの、いいことかと…。」
濡れそぼった性器にはりついて絡む髪をかきあげながら、微笑むコーラルはとにかく可愛かった。
ああもう、どうして四肢が動かないのだろう。
動くのなら今すぐにでもこの子の頭を撫でてやれるのに。
先ほどまでは別の目的のために動かそうとしていた腕を、今度はそんな目的で動かしたくなる。
そんな事をぼんやりと思っていると、コーラルが不意に口を離す。
自分の口にたれた唾液をぬぐうと、再びライのものを手だけで撫でる。
「っ…?」
「もう、大丈夫だよね…?」
「な、何が?」
たずね返すと、コーラルは俯く。撫でていた手を離すと、立ち上がり、そして。
「挿れるの、貴方の、ボクの中に…。」
自身のズボンに、手をかける。
「ぐっ…!?」
押しつぶしたような声、とはこのことを言うのだろう。
そして、一気に目が覚めた。
いれる?何を?否、この状況でどうするかなんてライも知っている。
「ね、いいよね?ライ」
布と肌が擦れ合う音がして、ぱさりとズボン、そして下着は落ちた。
今、コーラルが着ているのはぴったりとした上着だけ、ギザギザにカットされた布の合間から、濡れたものが姿を見せる。
女性の、それだった。
「お前…。」
「…。」
コーラルは答えずにライの下半身にまたがる。
思い切って、腰を下ろせば、コーラルの割れ目のその中に、ライのものが入るだろう。
「ちょ、ちょっと待てぇ…!」
駄目だ。ここまでされておいてなんだが駄目だ。ライは力の入らない体に、再び力を入れようと歯を食いしばる。
「ぐぁッ…!」
即座に竜眼をかけ直される。容赦が無い。本気でこの子は、このまま自分を犯すつもりでいる。
冷や汗が流れる中、なんとかライは口を動かす。
「だ、だめ…だ、コーラル。」
「…なんで?貴方は、こういうことしたかったんじゃないの?」
冷ややかな目。何を今更といった物を言わない抗議。
「そう、かもしれねぇけどッ…!」
やましい気持ちがあったのは嘘ではない。
コーラルのことをそういう目で見て、そういう考えが頭をよぎったことも、やっぱりある。
だから、今の状況は、自分自身の気持ちよさとか、そういう一点を見れば、委ねたってかまわない、そういう状況だ。
「けど、だめだ…。」
ぎり、ぎり…
血が通うような、火が灯るような、そんな僅かな感覚。
コーラルが大きく目を見張る。
「ラ、ライ…?」
「こ、このさいだから言っておくッ…。」
もう言ってしまおう。ここまで来た事だ、ライは腹をくくる。
四肢に力が戻ってくる。尚も拘束は続くが、手ごたえが、確かにある。
「や、やめ…!そんな無茶したら。」
制止の声。聞こえない、うるさい。これだけぎっちりかけた奴がなに言ってんだ。
「俺はなっ…コーラル。」
「お、お父さんっ…やめ…。」
「そういう風に言うな!」
びくっ、とコーラルの体が一歩引く。それと同時に、拘束も心ばかりか緩む。
まるでぜんまい仕掛けのおもちゃのように、ライの体が少しずつ動き出す。
―いける、これなら。
そう思った刹那
「がっ…」
びしり、と体に亀裂が入ったような感覚。激痛が走る、身悶えることは、出来ない。
出来たとしても、この子の前では、そんな姿は見せたくない。
「お…おとうさ…。」
「だから、さ、コーラル。そういう風にいうなって言ったろ…。」
「…え。」
「コーラル、俺さ…。」
ああくそ、腕が動かない。伝えたいのに。伝えて、こいつの頭、撫でてやりたいのに。
せめて顔だけでも、ゆっくりと上げると、今にも泣きそうな顔のコーラルが、視界に入った。
―ったく、俺は馬鹿だ。
言いたいのなら、言ってしまえば良かった。こんな風になる前に、いっそ素直に。
「ごめんな。俺…お前が、好きみたいだ。」
親子としてではなく、人と人として、恋とか愛とか、そういう感情の。
「…っ!」
「うおっ!」
とたんに、拘束が緩んだ、裂くような痛みは消え、力を込めていた分。ライは前のめりになる。
そのまま、ぽすん、と、いっそ勢いのまま、コーラルを抱きしめる。
「好きだぞ…、コーラル。」
「…おとうさ…ん。」
「だーかーら、そういうなっつったろ、何度も言わせんなよ。」
ぽんぽん、と頭を撫ででやる。
「…そう呼びたいのなら、別にかまわねぇけどよ。」

「う…えぐ…ひくっ」
自分の中に預けられた小さな体が、震えだす。しゃくりあげた声はやがて大きくなって
「ひっ…うぇええっ…ひっく…ライっ…ライぃ…。」
とうとう、泣き声になる。
「う…ぅう…貴方が、悪いんだから…。」
「お、おい…」
「貴方が…お父さんが、ボクのことずっと子供って言ってくれるなら、ひくっ…それでもよかったんだ。」
「…っ。」
そう、それならそれで良かったのだ。
自分の中の親子の枠を超えた淡い気持ちは、黙っておけば、ライが自分をそう扱う限り、ずっと芽吹かないはずだったのに。
「ライが、ボクのこと、そういう風に見てくれてるって気づいて、うれしかった…なのに。」
あいも変わらない、行動とはまったく反対の子ども扱い。
ライがそういう目で見れば見るほど、コーラルの中の気持ちは大きくなっていくのに、ライはそれを否定するかのように、振舞っていた。
「うっ、うええぇんっ…バカ…バカぁっ…。」
それ以上は言葉にならずに、コーラルはひたすらライの胸で泣きじゃくった。
「―…ごめん…ごめんな。」
本当に、自分は馬鹿だ。
こんなにも小さな気持ちに気づけないでいた。いや気づこうとしなかった。
それで、ここまでになってしまった、気づいてやれば、こんな風に泣かせることはなかっただろうに。
本当につぶれてしまいそうな細い体。
それを精一杯抱きしめて、ライは、コーラルが、泣き止むまで、そうしていた。


「もう大丈夫か?」
幾分かの時間がたって。
ライが差し出したハンカチでコーラルはおもいっきり鼻をかむ。
二人は今ベッドのはじに腰掛けている。お互いに服は着なおし、流れてる空気も、穏やかそのものだった。
「うん…平気、かと。」
「ならいいけどよ、なんか飲み物もってくるか?」
そういってライが立ち上がろうとすると、その裾を、コーラルがぎゅっと握る。
「いい、おとう…貴方と一緒の方がいい。」
「…そうか。」
中腰になった自分を再びベッドにへと戻し、ライは前を向く。
少しばかりの沈黙
「…体、大丈夫?」
「ん、ああ…平気だぞ。っていうかお前がかけたんだろうがよ?」
「だから、心配。ごめんなさい…。」
しゅん、とコーラルが肩を落とす。そんな彼女をみてライはふう、とため息をつく。
「まぁいいけどよ、そもそも俺が悪いんだしな。」
「…うん。」
「…ちょっとは、否定しろって。」
思わぬ肯定に、ライはがくりと肩を落とす。まったく、この子は本当に容赦ってものがない。
「…しかしさ、お前、女だったんだな?」
ふと、思ったことを口にする。先ほどの光景を思い出すのは恥ずかしいことこの上なかったが。
コーラルを見ると、それは彼女も同じだったようで、顔を真っ赤にして、俯いている。
「ボクなんていうから男かとおもってたぞ?」
「別に、ボクはどっちでもない…、お父さんが、こっちのほうがいいって思ったから、人の姿のときはこうしてるだけだよ?」
「つまり、最初から性別ないってことか…。」
「違う、いらないの…ボクは、至竜だから。」
少しだけ寂しそうに、コーラルは言う。
そういえば御使いの誰かが、至竜は生殖行動で子孫を増やさない、とか言ってたことをライは思い出す。
そりゃ当然いらないのも道理である。
「…お父さんは、男の子のほうが好き?」
「…いや、流石にそれはないぞ。」
ライは首を振る。
あのとき目の前で脱がれたとき、自分の目の前に現れたものが自分と同じもの、とか考えるとそれだけで気分が暗くなる。
「…両方もできるよ?」
「それはもっといい…。」
げんなりとした顔で答える、両方ってなんだ。ライにはまだ想像がつかないことであった。
また、お互い一言もしゃべらなくなる。
「…あの、ライ。」
「ん?」
「続き、しないの?」
「…え?」
一瞬言葉の意味が分からなかった、続き。続きって事はつまり、さっきの行為の続き。
それはつまり…。
思考がまとまる前に、コーラルがぽすん、と体を預けてくる。力も入れていない、本当に自然に、ぽすりと、ライのひざに収まる。
くい、体をねじりながら、自分を見上げてくる。
その様は、今日見たどの表情よりも、可愛く殺人的なものだった。
ごくり、とつばを飲む音が、異様に大きく感じられる。
「…ボクは、いいよ?」
ライを見上げたまま、コーラルは言った。


つづく

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