グラッド×ミント 前編



「……参ったな…」
「ムイ!ムイムイッ!」

トレイユの駐在軍人・グラッドは、己の眼前にある難関を前に、頭をぽりぽりと掻きながら立ち竦んでいた。


ある晴れた日の午後。
町外れにある農園の召喚獣の事で、農園の経営者から相談を受けていたグラッドは、蒼の派閥に所属する召喚師であり、
召喚獣に詳しいミントの意見を仰いでみようと彼女の家まで足を運んだのだが。
屋敷のドアの前でまるで門番のように腕を組み、仁王立ちしているオヤカタによって門前払いをされているのである。
ミントには今日の午後屋敷を訪ねると予め伝えておいた筈だし、ここに来る前に道でポムニットとすれ違ったのだが、
彼女はつい先程までミントと一緒に彼女の屋敷でお茶を飲みながら談笑していたらしい。
行き違いで出掛けてしまったのだろうか。
「なあオヤカタ、ミントさんは居ないのか?」
「ムイィィ!ムイッムイッムイィ!」
ジェスチャーで必死に何かを伝えようとしているようだが、残念ながらグラッドにはオヤカタの言葉が通じない。
不毛なやりとりをずっと続けていても仕方ない、もう一度出直そうかと踵を返したその時、彼女の部屋の窓にちらりと人影が写った。
「なんだ、ちゃんと居るじゃないか。邪魔するぞ、オヤカタ。」
「ムギャァァァァ!」
ジェスチャーを続けるオヤカタの横をすり抜け、グラッドは軽くノックをし、ドアを開ける。
「ミントさん?」
居間から彼女の部屋へ向かって呼びかけてみるが、返答は無い―――――が、何処かからくぐもったような人の声が聞こえてくる。
「……?」
無作法かとは思うが、声が気になったグラッドはミントの部屋へと足を運び、薄く開いていたドアから中を覗く。
…そして、其処に広がる光景に思わず手にしていた書類を取り落とした。
「……んな……っ!」
大声を上げそうになり、慌てて手で口を押さえ、グラッドはドアから離れる。


「は……ぁ……っ…。」

聞こえてくる声の主はミントだった。
彼女はベッドに仰向けに横たわり、己の手をスカートの中へと忍ばせ、其処を弄りながら甘い声を洩らしていた。
「ん…ふぅ…っ…ん、む……」
もう片方の手の指を口元へと運び、唾液を絡ませながら舌を這わせ、音を立ててしゃぶる。
頬を紅に染め、指を舐るその表情は、普段の清楚な彼女からは想像も付かない程、艶かしい。
自慰に没頭する彼女の上空に、淡い紅の光と、少女の姿をした召喚獣が陽炎のように浮かび上がっている。
「ド、ドライアード……」
先程窓から見えた人影の正体は、どうやらドライアードだったようだ。
ドライアードに媚薬のような憑依効果があったなど聞いた事は無いが、乱れる彼女の瞳は何かに憑かれたかのように虚ろだった。
「ァ…っ…あぁ…っ…ん……ぅ……。」
グラッドの存在に気付いていないのだろうか、甘い嬌声は益々艶を帯び、スカートの中を弄る手が大胆な動きに変わる。
膝下までショーツをずり下ろすと、薄い布地は愛液に塗れ、大きな染みを作っていた。

―――――ミントさん…!そんな、破廉恥な…!

今引き返して見なかった事にしてしまえば、お互いの関係の為ではある…が、ここで黙って引き下がるのは勿体無い気もする。
立ち去るべきか、この状況を受け入れるべきか。
理性と本能と良心と背徳感が脳内で激しくぶつかり合い、その場にしゃがみこんで頭を抱えながら悶々と考え込むグラッドであったが、
ぽつりとミントが呟いた言葉にふっと我に返る。

「…ん、くぅ…っ…セクター、さん…っ……。」

あの戦いの最中で、ミントの想い人がセクターであるという事を知らされたのだが、その後二人の仲は進展する事は無いまま
セクターはゲックや機械人形達とともにこの町から旅立っていった。
ミントが触れたくても、彼のあの身体では触れる事は勿論、抱かれる事など叶わなかったのだろう。
ずっとこうして、寂しさを紛らわせていたのかもしれない。
「…ぁあ……っ…セクターさんっ……はぁ…っ…セクター、さ…っ…ん……!」
湿った音を立てて秘所を弄る指の動きが性急になり、腰が淫らに蠢く。
熱に浮かされたように彼の名前を呼び続け――――そして果てた。
絶頂を迎えるとともにドライアードは姿を消し、光を失ったサモナイト石が乾いた音を立てて床に転がる。
開放の余韻に浸り、ぐったりとベッドに身体を投げ出していたミントであったが、自身の身体を両手で抱くように身を屈め寝返りを打つ。
グラッドに対して背を向けているためその表情は伺えないが、細い肩が震えているのは――――泣いているのだろうか。
「………っ!」
ぎり、と奥歯を噛み締める。
迷う事無く、グラッドはミントの部屋のドアノブに手をかけた。


*    *    *


―――――何やってんだろう、私…。
掌をべっとりと塗らす愛液を見つめ、ミントは嫌悪する。

きっかけは、何気ない日常の会話だった。
ポムニットがミントの元を訪れて、お茶の飲みながら何気ない世間話や、愚痴をこぼしていくのはいつもの事だ。
彼女の大好きな色恋話に付き合っているうちに、気がつけばセクターの事を思い出していた。

―――――駄目だなぁ、まだ…。

触れたくても触れられない、彼の融機の身体。焦がれてもどかしい夜を、何度ドライアードの魅了を使って慰めた事か。
彼はもう、この町にはいない。
その寂しさを紛らわそうとつい自慰に耽ってしまうのだが、行為の後は虚しさと嫌悪感で一杯になる。
「……うっ……く……っ…。」
ミントの蒼い瞳から大粒の涙が溢れ、嗚咽が漏れる。堪えようと唇を噛み締め、己の身体を抱きしめた。
「……セクターさん……。」
小さくその名を呟き、脳裏に彼の姿を、声を思い浮かべてみる。


…と、其処へ予期せぬ来訪者がドアを開けた。


「………!!!??」
突然開かれたドアの音に驚愕し、ミントは慌てて飛び起きる。戸口に立っていたのは、見慣れた陣羽織姿の青年。
「え…っあ…っ…えっと……グ、グラッド、さん!?」
捲し上げられていたスカートを急いで下ろし、何事も無かったように…振舞おうにも、ショーツは膝下までずり下げたままだった。
「えーと、あの…その…何時から、そ、そこにいたんですか?」
あはは、と乾いた笑いを浮かべながら、ミントはそそくさとローブの裾で足元を隠す。
一生懸命笑みを取り繕おうとするが、頬を伝う幾筋もの涙の痕が痛ましい。
「…ミントさん。」
「は、はいっ!何ですか?」
早足でずかずかと部屋に入り込んできたグラッドは、そのまま勢いまかせにミントを抱きしめる。
「どうしたんですか、グラッドさん?ちょっと、きつ……んっ……。」
ミントの抗議は、何かに唇を塞がれ途切れた。
己の唇に重ねられた暖かい感触が、グラッドの唇であると気付いたのは一瞬間を置いてからだった。
「んんっ…!……んっ……んぅ……。」
グラッドの身体を押し退けようとするが、確りと抱きしめられて身動きを取る事すらままならない。
息苦しさからか、ミントの抵抗が和らいだ頃合を見計らってグラッドは腕の拘束を緩め、唇を離した。
「は…ふぅ……っ……。」
やっとの事で開放され、大きく息を吐くミントの頬に手を添えて、真直ぐに見つめる。
「…忘れたいのなら。」
「え?」
「忘れたいのなら自分が…いや、俺が、忘れさせてやりますから…だから、こんな風に一人で泣かないで下さい、ミントさん。」
「グラッドさん……ん…っ…。」
再び、唇を重ねる。今度はミントは抵抗しなかった。それを諾と受け取り、グラッドは更に深く口付ける。
角度を変え、柔らかく唇を吸い上げながら、頬に添えた手でミントの涙を拭う。
「…ふ…っ…ん……ん、ぅ……。」
口付けの合間、薄く開いた唇の隙間からするりと舌を潜り込ませ、ミントの口内へと侵入させる。
「んぅっ…!」
生々しい舌の感触に、一瞬ミントの身体が強張った。宥めるように彼女の髪を撫でながら舌で口内を辿ると、
おずおずとミントの舌が差し出される。
互いの舌と舌を絡めあわせ、溢れる唾液を嚥下し唇を離すと、名残を惜しむように銀色の糸が引いていた。
再びミントの身体を抱きしめると、そのままベッドへと押し倒した。


きっちりと着込んだ帝国の軍服は案外脱ぎにくい。
逸る気持ちと緊張のせいか、グラッドが手甲を外すのに手間取っていると、ミントの手が伸びてきて外すのを手伝う。
四苦八苦しながら漸く軍服を脱ぎ終えると、今度は彼女の衣服に手をかける。
上着を捲くりあげると、常日頃から目を引く程の豊満な彼女の乳房が、ぷるん、と弾けるように露わになった。
「あ……。」
恥ずかしそうにミントが腕で胸を隠そうとするが、その腕を制止し、圧倒的な肉質感に思わず見入ってしまう。
「あの、あまりじろじろ見ないでください…恥ずかしいですよ…。」
「え?あ…す、すみません!」
赤面しながら俯くミントの言葉に我に返り、グラッドは乳房へと手を這わせた。
「…ぁ…ふぁ…っ!…あ…っぁ…っ!」
たっぷりと唾液を垂らしながら乳輪を舌でなぞり、乳首に音を立ててしゃぶりつく。
もう片方の乳首は指先で摘まみ、くにくにと弄りながら、揉む度に掌の中で形を変えていく乳房の柔らかさを愉しむ。
まるで自分の物だと主張するかのように、グラッドは白い乳房のあちらこちらに唇を這わせ、吸い付いて赤い痕をつける。
「はぁ…くすぐったい…ですよ、グラッドさん…。」
夢中になって乳房を愛撫するグラッドの頭を、ミントは優しく抱き込んだ。

一頻り乳房を愛でた後、スカートと膝に絡まるショーツを取払いながら、グラッドの舌が乳房から鳩尾、臍へと降りていく。
豊満な乳房と対象的な、きゅっとくびれた腰のラインを掌で辿り、内腿をさわさわと撫でる。
閉じられた足の間に身体を割り込ませて開くが、彼女は抵抗をせず、されるがままになっていた。
そしてグラッドの眼前にミントの秘部が曝される。
其処は先程の自慰の名残を残し、たっぷりと愛液を蓄えていた。鼻腔を擽る女の香りに、グラッドの下半身が疼く。
「ミントさんの此処…すごく濡れてる…。」
「そんな、事…っ言わなくても…っ…ひゃぁあんっ!!」
花弁を指で押し開き、じゅるじゅると卑猥な音を立てながら愛液を啜る。ぷっくりと熟れた肉芽を摘んでやると、彼女が小さく悲鳴を上げた。
その声がもっと聞きたくて、秘裂に舌を潜り込ませ、肉芽を剥いて親指の腹で強く擦って刺激する。
「ひ…ぁ…っ!は…ぅん…っ!だ、駄目…ぁん…!そんなに…しちゃ…!あぁ…っ!」
グラッドの頭を引き離そうとする手は、寧ろその先を強請るかのように押し付けられる。
「…だ…っ…めぇ…!あぁ…っん!また…おかし、く…な…っぁ…ぁあ!あ…っ!あぁあぁぁぁっ!!」
紅に染まる頬を更に紅潮させ、ミントの身体が大きくびくりと震えて脱力する。
内壁がきゅ、とグラッドの舌を締め付け、とろとろと奥から溢れてくる愛液が口元を汚した。
十分潤った其処は、まるで彼を誘うかのようにひくひくと蠢く。

―――――もう大丈夫…だよな?

痛いくらいに張り詰めた己の怒張を持ち、ミントの秘肉に押し当て馴染ませるように二、三度擦り付ける。
「ミントさん、入れても…?」
「あ…待って、ください…」
ミントは力の入らない上体を起こすと、四つん這いになりグラッドに向けて腰を突き出す。
「その……後ろから……ね?」
獣のような体制で彼を受け入れようとするミントの痴態に――――グラッドの理性は擦り切れる寸前だったが、
同時に彼の心に暗い影を落とす。

―――――やっぱりまだ、彼の事が忘れられないのか。


つづく

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