ギアン×フェア 1



世の中には情だの恩義だので動く人間がいる。人は一人では生きていけないとご大層なご高説を述べる連中もいる。
こういう者達ほど動かし易いものはない。外面を使いこなし、信用させるよう仕向ければそれだけで忠実な手駒が完成する。
そしてその矛先は自分でなくともいい。
神輿は派手なほど、鮮やかなものほど人は夢中になる。
その点では我ながら良い「拾い物」をしたと思っている。
物静かで気弱な、しかし人目を惹く彼女は自分の目的にもその手段にも大いに役に立ってくれた。
過去の罪を悔いる老人。国から見離された将軍。そして呪われし獣人。
誰もが、我らが「姫」の為にと命を惜しむことなく動いてくれる。
自分はただ「姫」の側近として、後見として裏方に徹していればいい。
牙も爪も目的の為だけに研いでおけばいいのだ。これほど愉快な事はない。
舞台の役者になる必要はない。踊れ踊れニンゲンどもよ。自分が主役である事を疑わず、愚かにも三枚目を演じてみせろ。
華やかな夢を見て、叶わぬ願いを掲げて、戦って戦って――そして死ね。

「これは……!」
部屋で独り、手駒達に集めさせた資料を広げ、その全てに目を通し思わず愕然とする。
その内容は今の今までことごとく自分達の邪魔をし、竜の仔を匿う一団の中心にいるであろう少女についての事。
それでも今までは自分の描いた絵面図から大きく逸れたものではないため過小評価していたのだろう。
黒い雪を降らせればどう転んでも全てに片が付く。そう思っていた。この少女が光の雨を降らせるまでは――
「くくく…、驚いたよ。まさか彼女も私達と同じだとはね。だが…これで納得がいく」
我ながら不思議にも笑いが浮かんでくる。そして今まではなかった、彼女―フェアに多大な興味が湧いてくる。
「ここまで同じとはね。運命とは不思議な巡り合わせの連続、か…。誰が言ったか知らないが上手いことを言うものだ」
少女は幼い頃から独りで過ごしてきていた。様々な人からの援助があったとは言え、孤独への恐怖は他人が埋められるものではない。
自分がそうだったからこそ彼女の心が手に取るように分かる。
だからこそあれほど何かを失う事を恐れていたのだ。仲間を、友人を、竜の仔を――
だが彼女のような年端もいかぬ少女がそれに耐えられるものだろうか?
耐えられる訳がない。
暗闇での孤独という恐怖を味わった人間が、また大切なものを失えば絶望は十重二十重に襲い掛かってくる。
あのまま黒い雪で仲間を死なせていたら彼女の心は壊れてしまったことだろう。
「策の失敗に悔やみもしたが、結果としては万全、か。……いや、危うく同胞を失うところだったな。目的からは遠ざかろうとも、今は素直に彼女の力に感謝すべきなんだろうな…」
そして考える。フェアを自分の傍に迎え入れるにはどうすべきかを。
「不思議なものだな……こんなにも特定の一人に心を動かされるとは」
初めて会った時からずっと自分を恐れることなく真っ直ぐな想いをぶつけてきた少女。
ひたむきに、がむしゃらに戦い続けてきてどこか危なっかしい思いを感じてしまう。
そんな人間は今までいなかった。エニシアは護ってきたとはいえ、彼女には人形と舵取りの役目しか求めていない。
老人、将軍、獣人に至っては論外だ。ただクラウレが少しばかり踏み込んできたが、所詮は「正義」に囚われている愚か者でしかない。
元より自分は独りだ。それを否定する気はない。だがこのフェアへの親近感は何だ?
同情?哀れみ?好奇心?どれもが正解のようで、だが的を射ていない。
ザワッ……
今は顕現していない角が疼く。答えは出せないが、今はフェアに会いたいという想いが募る。まずは謝らなければならない。
「ごめんよ、フェア……」
中空に言葉を紡ぎ、今この場にはいない少女にまずは謝罪する。
その言葉は素直に口から出て、その表情は似つかわしくない微笑が浮かんでいた――

今は濁ってしまった泉の前、青年と少女が立ち会っていた。この場、この瞬間だけは敵同士である事を忘れながら。
「そんな……じゃあ貴方は子供の頃から虐待を……?」
雪のような白い髪を持つ少女は敵対する事など露にも思わず、ただ青年の過去に耳を傾け、そして驚きを隠せない。
「そうさ、あの祖父は狂ったように私をいたぶったのさ。実験と銘打ってはいたものの本当の所、
 ただ私に憎しみをぶつけたかっただけなのかもしれないがね。だから……殺したんだよ」
激しく燃える炎のような赤い髪を持つ青年は、その瞳にも憎悪の炎を灯しながら過去を語る。
「理解してもらえたかな?血が繋がっていようとニンゲンは異分子には容赦なくその刃を向ける。…君にそうなってもらいたくはないんだ。君に私と同じ道を歩んでもらいたくはないんだよ、フェア」
フェアは答えられない。眼前にたつ青年―ギアンが嘘をついていないと理解出来たからこそ答えられない。
顔をうつむかせる少女にギアンは尚も言葉を続ける。
「君も幼い頃から家族に触れ合うことなく独りで過ごしてきた。幼馴染の友人がいたようだが、それでも孤独感は隠せなかっただろう? 時折、寂しさが募っただろう?何故自分は独りなのか。どうして自分の傍には誰もいないのか。そんな自問が頭を何度もよぎっただろう?………こんな境遇を、世界を呪ったことがあるだろう?」
「わたしはっ…!そんな事……」
続ける言葉が出ない。否定など出来るはずがない。ギアンの言うことに何一つ間違いはなかったのだから。
言い当てられて悔しいのか、それとも自分を理解出来る人がいたことに嬉しかったからか。
どちらかはわからないが思わず涙が出てきて、それを見せたくなくて後ろを向く。
その一筋の涙を見て、ギアンの心にある感情が浮かび上がってくる。
  泣かないで
悲しませる為に来たわけじゃない、安心させる為に二人きりで話がしたかったのだ。それだけは嘘偽りがない。
どうか涙を見せないでくれ。あの時母さんも泣いていたんだ。もう涙は見たくない。
「…済まない。これでは君を不安がらせるだけだな…。こういう時に上手い言葉の一つでも言えればいいんだが…」
何故こんな心情を吐露するような事を言えるのだ。あの日、復讐を決意した日から心は捨てたと思っていた。
心は迷いを生む。自分がすべき復讐の為には心は邪魔なものでしかない。
だけど、何故か今は素直にこの感情に乗ってみようと思える。
「私はただ、君に傷付いてほしくないんだ。少し前まで敵だった者の言葉など信じられないかもしれないが、君が傷付いて、立ち上がれなくなるのを見たくないんだ」
その小さな背中から腕を回しそっと抱き締める。まずは拒絶されない事に安堵する。
そしてフェアの体が予想以上に小さい事に驚きを覚える。
この小さな体で、小さな腕であの将軍や獣皇と対等に渡り合っていたのか。護る為にそこまで出来るものなのか。
自分の体にすっぽりと収まるその少女は今は僅かに震えている。
そこにエニシアとはまた違う脆さが垣間見える。エニシアが柔らかく崩れそうな脆さなら、
フェアはギリギリのバランスで組み立てられたガラス細工のような脆さ。一度衝撃を与えればそれこそ――粉々に砕け散ってしまう。
「あの真っ直ぐな想いを迷う事無く私にぶつけてきた君の姿を見ていたいんだ。
 …もう傷付いてほしくない、体も、心も。私達はニンゲンじゃないかもしれないが君は女の子なんだから」
そう告げたあと、ようやくフェアがこちらを向いてくれる。恐る恐る、不安と驚きを抱えながら。
「わたしが……女の子……?」
そう扱われることに慣れていないのだろうか。それが少し可愛らしくて思わず笑いが出てしまう。
「ははっ、それ以外の何に見えるんだい?今私の腕の中に包まれてる君は戦士でも響界種でもない。ただ不安に怯える可愛い女の子だよ」
「ええっ!?そ、そんな事言われても…」
「だからお願いだ。もう…戦わないでくれ。私の傍に、居てほしいんだ」
言葉が終わると同時にその唇に近付いていく。
今は心に暗い復讐の念は存在しない。ボクが手に入れたかったのはこれだったのかもしれない。

二人の唇が合わさろうとしている。同じ境遇の、同じ傷を持つ二人が互いの隙間を埋めようとして。
だがそれは叶わない。決定的に違う所が存在する為に。
「だ…だめぇ!!」
フェアがギアンの腕の拘束を解き、突き放す。
あと少しで手に入れられたものが零れ落ちていく。掴んだと思ったのに、砂のように水のように手の平からすり落ちていった。
「…どうして。何で逃げるんだ、フェア?」
「…貴方が嘘を付いていないのはわかるよ。わたしの事を案じてくれてるのもわかる。わたしの事を真剣に思ってくれるのもわかるよ? でも……でもわたしにはまだ貴方がわからない。そんな優しい顔が出来るのに、どうしてあんな酷い事ができるの!?」
人間の醜さとおぞましさを知るギアンとそれを知らないフェア。その溝を埋めるのには時間がかかる。
そして何よりもフェアは今まで普通の人間として暮らしてきたのだ。
人間として感情を育ませてきたのだ。だからギアンの心の奥までは見えないのだ。
「…何で分かってくれないんだ。君なら…私の心情を理解してくれると思っていたのに」
だが今のギアンにそう考えられる余裕はない。あるのは拒絶されたという思いだけ。
「ただ傍に居て欲しいだけなのに、どうしてボクを拒絶するんだよぉ!?」
「ひっ…ギ、ギアン…?」
急に態度を豹変させる様子に思わず怯えてしまう。違う、違うのだ、先ほどまでのギアンとは。
「君もボクを否定するのか!?君もボクを苦しめるのか!?あの祖父のようにボクを幽閉して虐待するのか!? 望まれなかった命というだけでボクを世界から切り離そうとするのかっ!!」
感情を抑えることが出来ない。知ってほしかったから、理解してほしかったから。だからこそその反動は大きい。
「ギアン…貴方、そこまで苦しんで…」
ここでようやくフェアも理解する。今目の前にいる青年はまだ小さな子供なのだと。
何も与えられずに極限まで飢えてしまっているのだと。――だが遅すぎた。
「ははっ、ふははははっ!!そうか、そうじゃないか。…初めからこうすれば良かったんじゃないか!」
ギンッ!
同時にその赤い瞳から魔力が溢れ出す。
「うあああっ!?…か、からだ…が…」
邪眼を繰り出してフェアの動きを止める。そう、傍に居てくれないのなら手に入れるしかないではないか。
「ごめんよ、でも君がいけないんだよ?君が私の言う事を聞いてくれないから」
『私』――。戻った言葉遣いにフェアはギアンを見て、更に恐怖する。
初めて会った時に感じた暗く冷たい威圧感。その燃えるような赤い瞳からは世界への、父親への憎悪が込められている。
先ほどの優しい青年の面影はもうどこにもない。薄く笑った顔はもう他人を物としか見ていない。
「私は欲しいものは何だって手に入れてきたんだ。…たとえどんな手を使おうともね」
動かぬフェアの体を捕まえて顔を上げさせる。不安と恐怖に満ちたその顔がたまらなく劣情をかきたてる。
少女の同意を求めずにその唇を奪う。
ただ触れるだけでなく、舌を捻じ込み口内を弄び、自らの唾液を流し込み飲ませる。
最初の唇が触れ合おうとした瞬間の清廉さはどこにもない。人の醜さだけしかここにはなかった。

フェアの目から涙が零れる。悔しさからではない。哀しかったからだ。
目的はどうあれギアンは初めて自分の全てを理解してくれた。だが自分はそうしなかったのだ。
言葉では理解したと言っても心の奥底ではどこか疑念を持っていたのではないだろうか?
素直に最初から受け入れていればギアンを豹変させることはなかったのではないだろうか?
口内をギアンの舌が弄ぶ。舐め回され、流し込まれた唾液も息苦しさから飲み干さずにはいられない。
存分にいじられ、ねぶられてから糸を引きながらようやく唇が離される。
「ぷはっ!……はぁ、はぁ…ギアン、もうやめ…ひああっ!?」
後ろに回りこまれ、両手が体を這いずり回る。片方は乳房に、片方は股間の秘部に。
服の上からではあるが未知の感覚に思わず大声を出してしまう。
小振りな胸は手の平にすっぽりと覆われ形を歪ませられる。股間は割れ目にそってなぞられる。
知識はあれど経験などない。しかも他人に、男性に体を弄り回されるとあってはまともな思考など出来ようもない。
「ひぅっ、やだっ…こんな、の…あうっ!?」
それでも言葉とは裏腹に体は熱を持っていく。下腹部にもどかしい熱が溜まるのがわかる。
「やっぱりまだ小さいね。でも君の年頃ならこんなものかな?…大丈夫、怖がる必要なんかないよ。すべて私に委ねてくれれば気持ちよくしてあげるから」
こんなことしてほしくない!そう言葉に出来れば何かが変わるのだろうか。
しかしゾクゾクと体と脳を這いずり回る感触にまともな抵抗は出来ない。
「返事がないということは肯定として受け取るよ。…もう服も邪魔だろう」
ギアンの手によって衣服が引き裂かれ、局部が露になる。上半身も前面が破り捨てられる。
「いやぁ!!お願い、ギアン…もうやめて…!……うあああっ!?」
こんな青空の下で、そして母親がいるかもしれない泉の傍で肌を晒される。
だがそんな羞恥心も、拒絶の姿勢も今のギアンにはより興奮をさせるスパイスにしかならない。
女性である事を証明する二つの膨らみの頂点をコリコリとなぶられる。
胸全体を触られるよりも鋭敏な感覚が襲ってくる。そしてギアンの手は一つだけではない。
「ひんっ、はぅっ!?やぁ…だめっ…同時にだなんて、おかしく…なる…!ひああっ!?」
股間の薄い茂みをまさぐられ、クリトリスを弾かれる。胸への刺激と秘部への刺激。
味わったことのない感覚が二つも合わさり、本能として股間は濡れてくる。
「気持ちいいんだね、こんなにも濡らして。初めてだろうにいやらしい子だ」
「いやっ、ちがっ…ひゃあん!やだ、やだ…どうして、こんな…ひゃうんっ!」
手が擦れる度にズチュリ…ズチュリと卑猥な水音が辺りに響く。そして胸への愛撫に乳首も確かな固さを持つ。
嫌なはずなのに、こんな事を求めていないはずなのに体は正直に快楽を求めたがっている。
足はガクガクと震え、支えてもらわなければ座り込んでしまうだろう。
「さて、では一旦達してもらおうか。…そうなりたいだろう?」
「たっ…する…?なにを……ひぐっ!?ひぅっ、うあっ、だめ…はげし、ひああっ!?」
刺激がより強く襲ってくる。何も考える事すら許されず、ただはしたない声をあげることしか出来ない。
辺りを気にすることもなく、視界が白く染まっていく。
このまま進めば自分はどうなってしまうのだろうか?だが止まらない。ギアンは止まることを許さない。
「もう…だめ…っ!?ふああぁぁあぁっ!!!」
白い光に包まれた瞬間、嬌声が響き渡り、ギアンの手を盛大に濡らしていった。

フェアが絶頂に達する様子を一部始終見ながらギアンの心に復讐の時とは違う暗い情念がたぎってくる。
これだけでは足りない。フェアを自分のモノとするにはこれだけでは足りないのだ。
絶頂に至り、放心している少女をもっと汚して自分のモノとするのだ。
だらしなく力なく自らに体を委ねるフェアに自分のペニスを押し付ける。
「はぁ…はぁ…、なに、これ…いったい、なんな、の……」
押し付けられた物体に、息も絶え絶えになりながら尋ねる。その答えが恐怖を抱かせることもわからずに。
「君だけ気持ちよくなるのはずるいだろう?…だから僕も君で気持ちよくさせてくれ」
理不尽な返答。ただ欲望を満足させる為だけなのだと。
フェアとて子供ではない。男と女が何をするのかぐらいは知っている。
だがこんな場面でなど露にも思っていない。
「いや…やだやだ…!こんなのって、こんなのってないよ…!」
力の入らない体をばたつかせ逃げようとする。しかしその抵抗はあまりにも無力すぎる。
ズグッ
「あ………か、は………」
あまりの衝撃に言葉も出せないようだ。酸素を求めるように口をパクパクさせている。
辛そうな様子に少しばかり罪悪感が出てきたが、それ以上に達成感のほうが勝る。
求めていた少女をこの手で抱いたことに欲望は際限なく拡がっていく。
「ひぐっ!?うああっ!痛い…やだ、やめてギア……いぎっ!?」
一度絶頂に達し、濡れそぼっていたとは言えフェアにとっては初めての体験。
ましてや少女の身にギアンの物の挿入はいかほどか。熱く固いペニスがフェアの体を貫いているのだ。
「なんで、どうして…あぐぅっ!?助けて…助けてよぉ…」
貫いているだけではない。差し込まれては引き抜かれ、激痛は間断なく襲ってくる。
戦いの場での傷の痛みならば耐えられる。あのレンドラー、カサスの猛攻にも耐え切ったのだ。
しかしこれは次元が違う。まるで体の中身を破壊されているかのようだ。
涙を見せることなど殆どなかったが、ボロボロと大粒の涙が零れてしまう。そして助けは誰に求めているのだろう?
「くくっ、くはははっ!凄い、凄いよフェア!君の中はとても堪らない!」
我ながらおぞましい嗤い声を上げるものだと思ってしまう。それだけの充実感が今のギアンの中にある。
フェアを抱いている。それだけでなく、少女を征服したという愚かな考えまで浮かんでくる。
挿入しているペニスには破瓜の証の血がまとわりつき、押し込む度にズグリ、ズグリと音が聞こえる。
それは入れるというよりも抉る、という表現のほうがふさわしい。
求める少女を貫き、抉る。これほどの快楽が存在するなど考えもしなかった。
「うあっ、ひうっ、あぐっ、ひぎっ……うああっ!」
ギアンの興奮はより行為の激しさを増していく。速度は速くなり、一回一回が奥にまで届いてくる。
「フェア…出すよ。君の胎内で、果てさせてもらうよ…!」
「ひっ!?だめ、だめぇ!お願い、ギアン、それだけは……ひああっ!?」
絶頂に達するためにスパートをかける。早く射精させてくれと暴れているようだ。
フェアの悲鳴とギアンの嗤い声。二つの協奏が最も高まった時、ギアンの動きがフェアの最奥で止まる。それと同時に、
「いやああああぁぁぁあああぁ!!!」
肉欲の固まりがフェアの中に大量に流し込まれる。汚すように、そして自分のモノとしての証の為に。

膣に収まりきらなかった精液が結合したままの隙間から零れ落ちていく。
「いや…いや…なんで、こんな…いやぁ……」
半ば錯乱したかのように同じ言葉ばかりを呟く。それでもどこかこれで終わりなのだと安心していた。
今は犯されたという悲しみよりも、信じかけていた人物に裏切られたという悲しみよりも、
早くこの体を貫く苦しみから逃げたかった。だが――
「うあああっ!?そんな、また…ひうっ!あうっ、ひゃあんっ!!」
同じ態勢のままギアンが動き出す。出された精液を掻き分け、また奥に押し込むように律動を繰り返す。
「まだ、つづくの…?ふあっ、あぐぅっ、もう、やだっ…ひゃうっ!」
グチュリ、グチュリと精液と愛液が混ざり潤滑油となり卑猥な音を立てる。
掻き出された液体が糸を引き、地面に垂れ落ちる。フェアの下半身は既に様々な液体が絡み付いていた。
苦しみから逃げ出したい。なのに逃げ出せない。ここでようやくフェアはギアンの苦しみを理解する事になる。
こんな苦しみが何年も続くのならば自分も殺意を抱くだろう。
今まで存在すると思っていなかった暗い情念がフェアの中にも芽生えていく。だがそれ以上に生まれたものもあった。
「ふああ…ひゃうんっ、あうっ、ひゃんっ、…どうして、ギアン…ひゃああんっ!」
甘い声が時折混ざり始める。それはギアンが満足するまで付き合うと決めたから。
この人をここまで追い詰めたのは自分達人間なのだ。それを憎む気持ちが今なら分かる。
だからこそ聞かなければならない。行為が終わったあとに尋ねなければならない。
「ふあぁ……また、なかでぇ…たくさん、でてる…」
今の貴方はあんなにも憎んでいる父親と同じだよ、と。

どれぐらい経ったのか、何度目かの射精が終わりようやく二人の体は離れる。
フェアの股間からは大量の精液が溢れ出している。疲労も極限で正直このまま気を失ってしまいたいがそうは出来ない。
いま意識を失えば自分も、そしてギアンも後悔することになる。
「はぁっ、はぁっ…ふははっ、これで君は私のモノだ!これで君の憎しみの感情は私に向けられる! それで十分だ!君の中に私が存在出来る!くくっ、あははははっ!」
どこか壊れたような笑い声が鳴り響く。それが今は凄く哀しい。
「…そうやって力づくで手に入れれば十分なの?」
「…手に入らないのならばそうするしかないじゃないか。これはニンゲンに限った事ではないだろう?」
「何かを引き合いにして心を誤魔化さないでっ!わたしを手に入れたいんならどうして他の方法を探さないのよ!? …貴方の苦しみは理解できたよ?なのになんでその苦しみを増やすような真似をするの!? わたしの心に存在出来るからって…憎まれてもいいだなんて本気で思ってるの!?」
「それしか道がないのならばそうする他ないじゃないかっ!この私が、君に愛されるなどあるわけがないだろう!?」
やはりそうだったのか。今ならば納得できる。そしてそんな壊れた笑いを浮かべないで。
「なんで諦めちゃうの?初めから何もかも決め付けてたら…何も見えなくなるだけなのに」
「これ以外の方法があると思っているのか!?」
「わからない……わたしにはわからないよ。だってこれは貴方が考えなきゃいけない問題だから」
「………っ!」
「でもこれだけは言える。無理矢理私を屈服させるこの方法だけは間違ってる。…ギアン、気付いてないの? 今の貴方は、あんなにも憎んでいたお父さんと同じ事をしているんだよ?」
「う………あぁ……」
明らかに動揺している。自分が憎んでいた父親と同じ。それはギアンの存在意義を否定しかねないもの。
だが気付かなければいけないのだ。そうでなくては彼は進む事も戻る事も出来なくなる。
「違う…違う…こんなこと、したかったわけじゃない…。『ボク』はただ君に傍にいてほしくて…。なのに、なのにボクはこんな事を…う、うわああぁぁあぁぁ!!」
悲痛な叫び声を上げ、後ずさり体を丸まらせる。ガタガタと震えて、歯の根がガチガチと鳴っている。
まるで母親に叱られて怯えている子供。ならば今の自分がするべきことは一つ。迷いは微塵もない。
悲鳴を上げる体を無理矢理動かしてギアンの傍に行こうとする。
歩くたびに骨が軋んでいくようで、股間からは精液が垂れ落ちていく。
ようやくたどり着き、震えているギアンの体に手を触れる。その瞬間、ビクッと大きく体を震わせる。
叩かれたりするとでも思っているのだろうか?それが可愛らしくて笑みが浮かぶ。
そして小さな体で、ギアンの大きく震える体を抱き締める。
「大丈夫……大丈夫だよ?怒ったりしてないから。貴方を憎んでたりしてないから」
穏やかな笑顔と声で優しく諭させる。何も不安がることはない。ここは怖い場所なんかじゃない。
「だから…泣かないで?そんなに怯えないで?わたしはちゃんと貴方の傍にいるよ?」
震えが治まっていく。弱々しく顔を上げ、こちらを見つめてくる。この顔こそがギアンの素顔なのかもしれない。
「フェア……ボクは、ボクはっ…!」
「謝らなくていいよ?わたしは怒ってないんだから。…ただ教えて?貴方がしてもらいたい事は何?」
「して…もらいたい事…?」
「そう、したい事じゃなくてしてもらいたい事。今まで何も与えられてこなかったんでしょ? だからわたしが何かしてあげる。それで貴方の心の隙間を埋められるかはわからないけど…」
「そんな事はない!だが急に言われても…なぁ?」
二人で照れたようにはにかむ。これで終われるのかも。この時はそう思っていた。
「フェア、危ない!!」
突然体を突き飛ばされる。何が起きたのか。痛む体を起こしてギアンを見やる。
「ギアンっ!?」
先ほどまで自分が抱き締めていた場所に矢が刺さっていた。あのまま抱き締めていたら貫かれていたのは自分だったのか?
「フェア!大丈夫か…っ!?き、貴様ぁ…ギアン!こいつに何をしたぁ!?」
駆けつけてきたのはセルファンの戦士、アロエリ。頼もしい仲間なのだがあまりにもタイミングが悪すぎる。
「だめっ!お願い、やめてアロエリ!」
その足に抱きつき、なんとか攻撃を止めさせようとする。
「お、おい、お前何をしている!あいつは敵だぞ!?」
ギアンを見れば矢傷を押さえながら、悲しそうに笑ってから姿を消す。もう少し、もう少しタイミングが遅かったのなら。
「フェア!?アンタ、一体何やっ……え?くっ、男連中は…近付くなぁーーっ!!」
エレキメデスの帯電した空気が近くから感じ取れる。知っている声の悲鳴が聞こえたが、そんな事よりも今は後悔の念だけしか感じられない。
もう少しだったのだ。もう少しでギアンは人間に戻れるはずだったのだ。
それでもアロエリを責めることなど出来ない。彼女もまた自分を心配してくれただけなのだから。
涙が止まらない。その涙を周りがどう受けとったのかは分からないが誰も言葉を発さない。
ただミントに体をマントで包まれながら、ギアンのいた空間だけを見つめていた。


どこで道を間違えたのか。どこから自分は狂っていったのか。
幽閉されて虐待を受けていた時から?それとも初めから、生まれた時から?
それならば狂気にこの身をゆだねるしかないじゃないか。
フェアはまだ後戻り出来ると言ってくれた。だけどそんなの許される事じゃあない。
ボクのこの手はあまりにも多くの血に塗れてしまっている。ニンゲンを憎むあまりニンゲンと同じ事ばかりしてきたんだ。
だからボクの罪は許されない。優しい君はそれでも許してあげると言ってくれるだろう。
だけどボク自身が許さない。今更穏やかな暮らしなど望めるはずがない。
だけどありがとう。ボクを受け入れてくれて、ボクを認めてくれて。
君への想いをこの手に抱けたままならば心が壊れようと、魂が砕けようとボクは満足なんだ。
だから、ありがとう。そして――ボクを殺してくれ。

「おいおい……冗談きついぞ?こんな奴、どうしろってんだよ…」
グラッドのぼやきに異を唱える者はいない。正直、誰もがこんなものは人の手に余ると思っている。
巨大な竜。禍々しさを全身に身に付け、ギアンの狂気と哀しみが生み出した堕ちた竜。
圧倒的な威圧感はそれだけで人を無力たらしめる。殆どの者が死を覚悟した中、一人だけ足を前に出す者がいた。
「ごめんね、ギアン。今傍に行ってあげるから!今貴方を助けてあげるから!」
フェアが両手に剣を持ち、誓いを高らかに掲げる。諦めなどしてやらない。
どこまでも足掻いてもがいて…自分の想いを貫くと決心したのだから。
「はぁー……こんな状況でもそんな事言えるんだからホント、アンタって馬鹿よねぇ。ま、でもそれに付き合うあたしも馬鹿だよねぇ」
リシェルが傍らに立ってくれる。
「無理しなくていいんだよ?これは単なるわたしの我侭なんだか…あいたっ!?」
「だからアンタは馬鹿だって言うのよ。……幼馴染の親友にばかり無茶はさせられないっての!」
思わず涙が出そうになる。自分はやはり独りなどではなかった。
その時、堕竜の触手が二人を目掛けて襲ってくる。咄嗟のことで受けきれる自身はなく剣を構えて衝撃に備え目を瞑る。
ガギィンッ!!
鈍い音がしたが衝撃は来ない。何事かと思い目を開ければそこには、
「ははは…な、なんとか受け止められたか。まぁオレも可愛い妹分を見捨てるわけにはいかないしな」
「教え子にばかり無茶はさせられませんしね。こういう壁役には私達大人がやらなければ」
「そ、それでも四人がかりでやっとですよ!?それにおいら、まだ子供だって!」
「あるば、ガンバレ!ぐらんモ、ガンバル!」
堅牢な四人が一撃を受け止めている。
「お兄ちゃん…先生…アルバ…グランバルド…」
その身で、その武器で動きを封じる。次の瞬間には他の者が仕留めにかかる。
「怖くてたまらないけど…僕達がやるしかないんだよね」
「おおっ、少年もやりますねぇ。もう立派な戦士ですよ」
「おぼっちゃま…すっかり見違えましたね。わたくし感無量です!」
「あぁ〜、なーんでこんな遠い空の下まできて、またもやでかいのとやらなきゃいけないとは、とほほ…」
「お前ら!そんなふざけた会話している暇があったらとっとと止めをささないか!」
素早い動きを身上とした者達が手数で攻め、触手を沈黙させる。
「ルシアン…シンゲン…ポムニットさん…アカネ…アロエリ…」
「はっはっはっ、では周囲の雑魚退治は我らに任せてもらおうか」
「フェアちゃんに頼りきりじゃあ大人として情けないしね。あの人への道は私達が開けるから」
「魔力がもつかどうか心配ですが…今更弱音は吐けませんわ」
強大な魔力をもつ者達が召喚術で雑魚を薙ぎ払う。
「セイロン…お姉ちゃん…リビエル…」
「わ、私も精一杯応援しますから!私の力で皆さんをすこしでも楽にしてみせます!」
「姫の身はこのオレが保証する。翼なくともそれぐらいはしてみせよう。だから頼む…!ギアン様を救って差し上げてくれ…!」
「エニシア…クラウレ…」
「ほらな?ここにいる奴らでオマエを見捨てる奴なんていねーよ。ここだけじゃない。下にいる奴らだってみんなで支えあって戦ってるんだ。一人でなんて行かせねーよ」
「リューム…」
独りなんかではない。こんなにも自分の周りには自分を信じてくれる者達がいる。
そして支えようとしているのは自分だけではない。
「聞こえる、ギアン?みんなが貴方の事も心配してくれてるんだよ?だから待ってて。今すぐ傍に行って、ぶん殴ってでも止めてあげるから!!」

決戦は続く。嵐のような攻撃に耐え、雑魚達も片付けた。なのに遠い。
傍に近付けば近付く程、竜の攻撃は激しくなる。加えて雑魚の魔獣達は無尽蔵と言わんばかりに産み出される。
堕竜を形作る核はあと少しの距離。だが近付けないのだ。
「くそっ!近付いた途端、あんな攻撃されたんじゃあ手の出しようがないぞ!?」
こちらの力は無限ではない。体力も魔力もこのままでは枯渇してしまう。
みなが焦燥する中、フェアは一人違和感を感じていた。最初は偶然だと思った。だがそれが何度も続けば、違和感は確信に変わる。
「みんな…雑魚退治は任せたね。わたし…行ってくるから」
「フェアくん、行くとはどこへだ?まさか一人で核に近付こうなどとは…」
「ごめんね、先生。でもわかるの。わたしなら行ける、わたしならあそこまで近付ける。だってギアンが呼んでるんだもん。だから…行ってきます!」
魔獣が攻撃してくるが多少の傷は無視をする。自分が行かなければ仲間も、ギアンも助けられない。
「って本当に行きやがった!?くそ、俺達も…のわぁ!?」
「ぐらっど、ソレ以上ハムリ!サガレ!」
堕竜が一人近付くフェアを無視してグラッドに攻撃を仕掛ける。フェアが感じた違和感とはこれの事。
「何故だ…?何故、いち早く向かった店主殿を無視してグラッド殿に攻撃を…?」
頭脳の回転が速いセイロンがすぐに疑問に思う。
一方フェアはようやく核の前に辿りつく。これを包む殻を破壊して核を止める。それが唯一の方法。
両手に剣を構え、回転しながら連撃を加える。
「凄い…それに綺麗だ。まるで踊っているかのようだ…!」
正に剣舞。狂えるギアンを救いたい一心がための聖なる儀式。ギアンを目覚めさせるための妖精の舞踏。
誰にも触れる事は許されない。これは二人の間にだけしか許されない。
「っ!?まずい、魔獣がフェアに近付いていくぞ!」
それが例え堕竜が産み出した魔獣でさえも。
  GYUAAAAAHHHH!!
堕竜が咆哮し、愚かにも駆け寄ってきた魔獣を触手で握りつぶし喰らう。
「嘘…仲間を食べた…?」
「うえぇ…気持ち悪い…」
「喰って回復してるのかよ!?冗談じゃないぞ!?」
普通ならばこうとしか考えられない。だがそれを見て数人かはようやくフェアが感じた違和感を感じ取った。
「矢張り、そうなのか…。だからこそ店主殿はあんな事を言ったのか…」
「ギアン様…!まだ心が残っていたのですか…」
「おい、どういう事だよ!?何、素直に感心してるんだ!?あれをフェアがくらったら――」
「グラッドさん…多分それはないです。でもこんなのって…こんなのって酷すぎますよ!」
ミントが涙を流しながら嗚咽する。あまりにも愚かな行為で、あまりにも滑稽すぎる行為だから。
「…確認するぞ。リビエル、そなた一度でも店主殿を回復したか?」
「え?い、いえ、そう言えば一度も…」
「矢張りな。これで確信が持てた。…ギアンは一度も店主殿だけは攻撃していないのだ」
「そんな!?じゃあ最初の攻撃は――」
「リシェル殿がいたからだろう。確かに魔獣を喰らって回復はしているが、それはあくまでも二次的な作用に過ぎないのだろう。ただ店主殿を助ける為だけに。…そして二人の間に誰も立ち入らせないように、か」
セイロンは踊るフェアを見る。魔獣の血が降り注ぎ、食い損ねた肉が飛散する中、フェアはただ一心不乱に舞う。
「そんな……それじゃああいつに、ギアンにしてみたら苦痛が長引くだけじゃないか!?」
「それでも…あの人はフェアちゃんだけでも助けたいんでしょう。自分を理解してくれて、そして大好きな人を護る。それだけの為に…」
皆が二人を見る。おぞましい光景でしかないはずがどこか、荘厳な一枚絵に見えていた。

魔獣の血が顔に降り注ぐ。魔獣の肉が嫌な感触で体に触れる。
自分のすぐ後ろで惨劇が起きているのに、不思議と恐怖はない。
「護って…くれてるんだよね…!ありがとう、ギアン。ごめんね、本当にごめんね? すぐ終わらせるから…!すぐにわたしが助けるからぁ!!」
涙が止まらない。不浄なる魔獣の血を涙がすすぎ落としていく。
「こんな事しかしてあげられなくてごめんね?痛いよね、苦しいよね、辛いよね。これが終わったら何でもしてあげるから。貴方の望むこと、私が何でもしてあげるから!」
心が痛い。あれだけ偉そうな事を言っておいていざとなったら護ってもらうしかないのだ。
そしてその本人を攻撃するしかないのだ。今は自分がギアンに救ってもらっているのだ。
涙が止まらない。エニシアにあんな事を言っておきながら、泣き虫の自分は何も変わってはいない。
「だって痛いよ…苦しいよ…辛いよ。こんなのって、こんなのってないよ!」
  ナカナイデ
「っ、ギアン!?」
  ボクハ ウレシインダ キミヲ タスケラレルナンテ
「でもっ…でもわたしは貴方を助けられてなんかないんだよ!?」
  ボクノ タメニ ナミダヲ ナガシテクレテル
「だってわたし泣き虫なんだもん…ギアンの苦しみに比べたら…!」
  ボクハ イマ シアワセダヨ? ダイスキナ キミヲ マモレテルノダカラ
「いやぁ!!もう終わりみたいな言い方しないでっ!生きて…生きてよ!わたしも大好きだからっ!!」
  アリガトウ コンナボクヲ アイシテクレテ ……ゴメンヨ フェア ナカセルコトシカ デキナクテ
「ギアンっ!ギアンっ!!」
殻が破壊され核が露になる。最後の一撃。二本の剣を奥にまで腕ごと刺し込む。
ギアンに触れられるように、ギアンを救い出せるようにと。
堕竜が断末魔の咆哮を上げて、その巨体を地につける。沈んだその顎にフェアは駆け寄る。
今自分がしてあげたい事、それを行う為に。
「ギアン…!ごめんね、ギアン…!わたしはっ、わたしは…!」
キュアア…
息も絶え絶えな堕竜が小さな声を上げる。あまりにも弱々しい、初めてリュームと会った時のような鳴き声。
その大きな口に唇を触れさせる。あの時はこちらからすることが出来なかったから。
巨大な竜と少女の口付け。誰も立ち入ることの出来ない穢れなき清廉な一時。
敵として出会い、同じ響界種として身近になり、ようやく想いは通じ合う。
二人の楽園がここに存在していた――

つづく

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