アルバ×イオス(♀) 10



――とりあえず、この状態から抜け出さないと……。
考えをまとめている間も、イオスの柔らかい身体の感触が全身に押し付けられており、嬉しいのやら辛いのやら、もはや一刻の猶予も残って無かった。
抜け出すとして、問題なのはイオスが抱きついていると言うこと。
きつくは無いが、イオスの腕はしっかりとアルバを締め付けていて、このまま身体を抜くのはまず無理そうだった。
試しに、引き離せないかとイオスの細い腕をそっと掴み、持ち上げようとすると、
「………んんぅ」
身じろぎをすると同時に、ぱしっと軽く手を振り払われ。再び抱きつかれる。
しかも、先ほどよりも抱きしめる腕に力が入っており、結果としてイオスの身体がさらにアルバへと押し付けられることになった。
事態は急速に悪化。嫌な汗が背中をダラダラと滝のように流れる。
アルバとて、何も聖人君子というわけではない。
何度も肌を重ねてきた相手に擦り寄られて、欲情するなと言う方が無理がある。
「……んっ、アルバ……」
あまつさえ、寝言で自分の名を呼ばれたら、もうどうしようもなかった。
強引にイオスの腕を振りほどき、そのまま肩を掴んで一緒に身体を回転させる。
横に並んで寝ていた体勢は移り変わり、イオスに覆いかぶさるような形でアルバが上になる。
荒い息をつきながら見つめるその先、イオスの瞳がゆっくりと開かれた。
「……アルバ?」
ぱしぱしと瞬きを繰り返しながら呟かれた自分の名に、アルバの理性が少しだけ呼び戻される。
彼女の瞳に、今の自分はどう写っているのだろうか。
自身の安易な行動を悔いるアルバ。その時、無表情だったイオスの顔に穏やかな微笑が浮かんだ。
「まったく、強引な奴め。するならするで、ちゃんと起こしてくれればいいのに……」

「…………は?」
思わず漏れる間抜けな声。予想外の言葉に固まるアルバの首に、イオスの腕がそっとかけられる。
まるで誘惑するようなその行動に、あれほど身体を突き動かしていた性欲はあっさりと抜け落ちた。
代わりにアルバを支配したのは深い困惑だ。
「……してくれないのか?」
不満そうに口を尖らせるパジャマ姿のイオス。
「いや、その………するって、何を……」
「僕の口から言わせるな、馬鹿者」
やっとの思いで紡いだ言葉に、イオスは頬を染めながらこちらを睨んだ。
その姿がなんとも可愛らしく、普段とのギャップも相まって、アルバの鼓動が再び早鐘を打ち始める。
「だいたい、僕の身体をこんなにしたのは貴様だろう? 起きたばっかりだと言うのに、もう身体が熱くなっているんだぞ」
何かを暗示させるように、もじもじと太ももを擦り合わせるイオス。
下からこちらを見つめる視線は軽く潤んでおり、切なげな熱っぽい吐息が顔へと吹きかけられる。
これが夢だと言うことは確かな自覚があるのに、アルバはその誘惑から逃れることが出来なかった。
「イオス副隊長……」
「アルバ……、んっ……」
名前を呼ばれた途端、嬉しそうに微笑を浮かべたイオスの姿を脳裏に焼き付けてから、瞳を閉じてゆっくりと身体を落としていく。
唇同士が優しく触れ合った。啄ばむように角度を変えて、何度も繰り返しお互いを確かめ合う。
しばらくすると、首にかけられたイオスの腕に力が込められた。その意図を察して、キスを深く濃厚なものへと変えていく。
「んっ、ぴちゃ……、ちゅっ、ちゅく……、んっ、ふぅ……」
「はっ……、じゅぷ、んんっ……、んぅ、くぅん………」
イオスが積極的に舌を絡めてくるせいか、いつもよりも淫靡さを増した水音があたりに響く。
歯茎を舌先で擦り、唇を密着させ、お互いの唾液を交換し、混ぜ合わせる。
激しいキスのやり取りに、唇を離す頃にはもうすっかり息が上がっていた。

アルバがキスの余韻に浸っていたその隙を突いて、イオスが下からするりと抜け出る。
「イオス、副隊長……?」
怪訝そうに声をかけるアルバを無視して、イオスは手際よくアルバのズボンと下着を擦り下げた。
すでに半起ちになっていたアルバのペニスがぽろりと――
「……って、うわぁっ!?」
あまりの手際の良さに、思考が追いついていなかったアルバがやっと我に返り、外気に晒されたペニスを慌てて手で覆い隠す。
「い、いきなり、なにするんですか!?」
「何を言っている。同じようなことをいつも僕にしているくせに……」
ムスッとむくれながら、恨みがましい視線を向けてくるイオス。
そう言われると何も言えないのだが、いざ自分がやられる側になると、恥ずかしいことこの上ない。
今度からはあまりイジメ無いようにしようと心に固く誓うが、それでこの状況が変わるわけも無く、
「ほら、さっさと手をどけろ」
急かされて逃げ場を失ったアルバは、観念してゆっくりと手を退けた。
恥ずかしさで萎縮してしまったのか、ペニスは完全に萎えた状態に戻っている。
「ううぅ……」
不満そうなイオスの視線に耐えられず、思わず顔を背ける。
――夢の中なのに、なんでおいらがこんな恥ずかしい目に……。
「……んっ、ぴちゃっ……」
「……っ、うぁっ!?」
突然、ぬめりとした感触がペニスの先端を襲った。
現実逃避していたために何が起こったかわからず、混乱したまま腰を引く。
「こら、動くな。せっかく僕が大きくしてやろうというのに」
苦笑する声にそちらを見れば、膝立ちの姿勢になったイオスがペニスに手を添えていた。
声と共に吐き出される息を感じられるほどに、顔を近づけているのを見れば、何をされたのかは嫌でも見当がつく。
「……ちゅぷ、んっ、ふぅ……。ふふ、ちゃんと感じているようだな」
ねっとりとペニスに舌を這わせながら、イオスが艶やかな笑みを浮かべた。
時々、勃起具合を確かめるように、コスコスと手で撫でさするのがアクセントになり、絶大な快感をアルバに与えていく。

実のところ、口での愛撫はアルバもして欲しいと思ってはいたのだ。
だが、まず間違いなくそんな知識の無いイオスに、面と向かって頼むなど出来るはずもなかった。
だから、本来であればこの状況は喜んでしかるべきなはずなのだが。
「んっ、じゅぷっ、ずずっ……ふっ、はぁ……すごい、アルバの……熱くなって、きてる……」
唾液と先走りでてらてらと光沢を放つ亀頭に熱っぽい視線を向けながら、うっとりとイオスが呟く。
一方のアルバは表情を強張らせて、腰の辺りで爆発しそうな射精感を堪えていた。
「……っ、イオス副隊長……もう、止めてください……」
「……やだ、もっとする」
子供が駄々をこねるような口調でアルバの要求を跳ね除け、再びペニスに口付けるイオス。
亀頭の先端を唇で挟むと、ずるずると少しずつ飲み込んでいく。
濡れた唇がやんわりと周囲を圧迫するだけで、気が遠くなるような快感が生まれた。
完全に勃起したペニスが、イオスの小さな口に全て収まるはずも無く、口内に含まれたのはカリまでの先端部のみ。
だが一番敏感な部分はまさにそこなのだ。口内で蠢く舌が、あくまでも優しく亀頭を弄っていく。
「……ぐぅっ、ぁ……」
声を出そうとしても漏れるのはかすれたうめき声のみ。
限界まで膨らんだ亀頭の先端。その切れ込みにチロりと舌が這わされる。
「………っ!!」
腰が弾けた。そう思わせるほどの強烈な放出感。
溜めに溜められた濃厚な白濁液が、イオスの口内に次々と注ぎ込まれる。
数秒で収まるはずのそれは、しかし、一向に勢いを弱めないまま、先端から迸っていった。
「……んんぅっ、ふぐっ……、っはぁ……っ!?」
明らかに異常な射精量に、ついには口内が満たされてしまったのか、ペニスから口を離すイオス。
支えを失ったペニスは、先端を定めぬままに暴れ狂い、イオスの顔や胸元をどろどろに汚していく。
永遠に続くかと思われたそれが、やっとのことで出尽くすころには、イオスの姿は見るも無残な有り様になっていた。
粘着質の白濁液が髪にまで絡まっており、呆けたように開いた口からは、固まりと言ったほうがふさわしく思えるほど、多量の精液がだらりと垂れ落ちている。
あれほど可愛らしかったパジャマは、染みになってないところを探す方が難しく、開かれた胸元の谷間に、上から流れ落ちてきたものがたっぷりと溜まっていた。
その姿はまるで、複数の男に陵辱された後のようにも見える。
「イオス……副隊長………」
非常識な射精の余韻と、変わり果てたイオスの姿に、呆然と呟くアルバ。
目の前で展開されている出来事があまりにも現実離れしていて、自分が今何をすべきなのか、一向に考えがまとまらない。
そうこうしている間に、先に動いたのはイオスだった。
開いていた口がゆっくりと閉じられ、コクリと喉が鳴る。
「……んくっ……ふぁ、これが……、アルバの、味……」
熱の籠った呟きを口にした次の瞬間、糸が切れた人形のようにイオスの身体が倒れた。

規則的に胸元が上下するイオスの頭を膝に乗せながら、やりきれない思いとともにイオスは深く溜息をついた。
すでに身体の汚れは拭き取っており、ずっしりと重みを増したシーツは丸めて部屋の隅に放っている。
――おいら、こんなことをしたいと思っていたのかな……。
これは夢だ。つまり、ここで起こることは自分の願望の表れなのだろう。
振り返ってみれば、サイジェントの自室にいるのも、着せたいと思っていたパジャマをイオスが着ていたのも、さらには口による愛撫さえ、アルバ自身が心のどこかで望んでいたことだった。
気を失っているイオスに目を向ける。サラサラとしていた前髪が、今はじっとりと湿っていた。
拭い去ったところで汚した事実は完全には失われず、こうして見せ付けるように跡を残している。
自責の念に押しつぶされ、再び溜息を付こうとした、その時だった。

――バタンッ!!

沈んでいたアルバの憂鬱を吹き飛ばすかのような勢いで、子供部屋の扉が荒っぽく開かれたのは。


つづく

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