ミルリーフ+フェア陵辱触手付



 何も無い部屋で、フェアは震えていた。
 寒いからではない。無機質な床は、暖かくも冷たくもない。
 自分で自分の身体を抱き締めたのは羞恥心からだ。フェアの身につけるのは僅かな下着、加えて髪留めや腕輪といった装飾品だけだ。どれも暖をとるには向かない。
 ―――足音がした。
 はっとして顔を上げるフェア、恐怖を無理矢理抑えこみ、音の方向を睨む。
 部屋の向こうは暗闇に沈んでいる。かろうじてフェアの背後に壁があるが、三方の壁そして天井はどう目を凝らしても見えなかった。どれほどの広さがあるのか、確かめることは出来なかった。
 曲がりなりにも光源―――何処から来るのかはやはり不明だが―――がある場所から離れ、そのまま戻れなくなったら。不吉な考えがフェアの足を萎えさせた。
 暗いのもひとりぼっちなのも、とっくに慣れていたはずなのに。
 拳を強く握る。
『ママ』
 そうフェアを呼んでいた竜の子が、夜寝る時に握っていた、手を。
「……大丈夫」
 足音、ということは、とにかく向こう側に人のいるスペースがあるということ。何にも恐がることはない。
「ママ」
 負けられない。
 ミルリーフを助けるまでは、挫けたりしない。
「ママ!」
「……え?」
 フェアの視界に桃色の愛らしいワンピースが映る。
 脳が視覚と聴覚からの情報を理解するより先に、ちいさくて温かいものがフェアの胸へ飛び込んできた。
 反射的に受け止める。
 何時も、そうしていたように。
「ミル、リーフ?」
「うん!」
 呆けたように訊ねるフェアに、ミルリーフは屈託なく頷いた。
「ほ、本当に……そうだ! 貴方どこに行ってたの?!」
「ごめんね、ママ、心配かけて」
 じっと見つめてくるミルリーフの瞳に何故だか居心地の悪さを感じ、フェアは身じろぎした。そもそも半裸のこの姿は恥ずかしい。
(……仕方ないか。それよりも、他の奴らに見つからないようにしないと)
「ねえ、ミルリーフ、出口はどこか……」
「ママ、ママはずーっとミルリーフと一緒にいてくれるよね」
 フェアの言葉を遮りミルリーフがしがみつく。フェアは戸惑いながらも、
「え……ええ。当たり前じゃない。だから」
 一緒に帰ろう、と言いかけて。
 フェアはようやく気がついた。
 ミルリーフが笑っている。その手には緑の光―――サモナイト石?
「良かった! ミルリーフね、勝手にいなくなっちゃったからママに嫌われたんじゃないかと心配だったの」
 甘い匂い。花の香。
 これは。
「ミルリーフね、ママのことが大好きだよ。だからママが痛いのはイヤなの」
「ミルリーフ、これ……!」
「今は平気だけど、ミルリーフも最初は痛かったの。でも、ママが痛いのはイヤなの。だから―――ミルリーフが、痛くなくしてあげるね!」
 くらくらと、思考力を奪う重いにおい。幽かな女の笑い声。
 そして、床を這うのは、大小さまざまな植物の蔓。
 蔓によく似た器官を持つ召喚獣、ドライアード。
「何……何、で?!」
 まだ少女の身体にのしかかる、更に小柄な肉体は、こんなにも重いものだっただろうか。
「大丈夫だよ、ママ」
 フェアの手首に蔓が絡む。
「ミルリーフが一緒だよ」
 殺到する蔓が、フェアを床へと引き倒した。


「いっ……?! ミルリーフ、やめて、やめなさいっ!」
 床の上で必死になって暴れるが、拘束は一向に緩まない。
「駄目だよ、ママが気持ちよくなってくれるまで、ミルリーフ頑張るからね」
 それはそれは純粋で真剣な面持ちで。だから却って怖かった。
 蔓がふたりを一糸纏わぬ姿にする。むき出しの肌が触れ合って、フェアは記憶と寸分違わぬ体温に泣きたくなった。
「ミルリーフ……っ」
「大丈夫だよ、ママ」
 よいしょ、っとミルリーフはフェアに跨って、にっこり微笑んだ。そうしてついと脇の蔓に手を伸ばすと。
 口元に持ってゆき、かり、と齧る。
 蔓は簡単に破れみるみるうちに樹液を滴らせた。透明度の高いそれは光の加減で薄桃色に輝いた。
 ミルリーフは樹液を口に溜めると、呆然とするフェアへと顔を近づけ、唇を合わせる。
「―――っ」
「ふ、っう、」
 次いで舌を這わせ、樹液をフェアの口内へ流し入れた。
 フェアは目を白黒させたまま、まさかミルリーフに噛み付くわけにもいかず、反射的に甘い液体を飲み込んでしまう。
 濡れた唇が離れ、フェアは激しく咳込んだ。
「ミルリーフ、ねえ、今の、何」
「えっとね、サイインザイになるんだって。よく分からないけれど、痛くなくなるんだよ」
 たどたどしい単語の意味を悟るより早く、フェアの身体に異変が訪れる。
 身体が熱い。鼓動が、早くなる。
 自分の感覚はこんなに鋭敏だっただろうか―――指の間に幾筋もの細い蔓が絡む。それだけでぞっとする感触が背中を通り抜ける。
 小さな手が乳頭に触れ、フェアは高い声を上げて仰け反った。
「ママはおっぱいが気持ちいいんだ」
 嬉しげな声に、抗議するいとまもあらばこそ。
 成長途中の乳房へ、甘い樹液を絡めた舌が這う。丹念になぶられ、突起に軽く歯を立てられて、フェアは唯ただ口を開閉させた。
 フェアの膝を割り、ミルリーフの華奢な身体がかぶさる。白い尻が高く上がって揺れている。長い髪が、フェアの身体を伝って床に流れた。
 振りほどこうにも、自由を奪う蔓と、与えられる感覚とが、それを許さない。
「あ―――え?」
 霞んだ視界に、不自然な動きの蔓が入る。
 他のと比べて一段胴回りのあるソレは、鎌首を上げ、誘うように揺れる小さな腰めがけて。
 フェアの意識が一気に覚醒する。
「ミルリーフ! 逃げてっ、逃げてえっ!」
 必死で叫び、力の抜けた手足をばたつかせ、
「……んっ」
 溜息のような喘ぎ声に、蒼白になった。
 蔓は、もう視界から消えている。
 圧し掛かる体温が、上がった。
 そして―――ミルリーフの顔に浮かぶのは、脂汗と、蕩けるような、悦楽。
「あ」
 フェアと、ミルリーフの、目線が、合い。
「あ…あ、あ…あああああああっ!!」
 引き絞るような叫びを上げて、フェアは手近な蔓へと爪を立てる。
「離れてよっ! ミルリーフから、離れろって言ってるのよ!」
 慌てたように重圧の増す拘束に、今度は自身の縛められた手足ごと床へと叩きつける。
 悔しかった。悲しかった。あんな姿は見たくなかった。
 だから、誤魔化したくて、無駄と知りながらがむしゃらに暴れて。
「ママ、ママ、大丈夫だから、ミルリーフ、平気だから……っ」
 しがみついてくる小さな身体に、ごめんね、と、何度も繰り返すことしかできなかった。
「ミルリーフね、こんなのへっちゃらだよ? 何回もやったもん」
 力が、消えてゆく。
 しゃくりあげながら、壊れたように謝罪を続ける。
「ねえ―――ママ、泣かないで」
 かぼそい身体が膝立ちになる。フェアの目に、ミルリーフを貫く異物がはっきり見えた。
「もう痛くないよ。ミルリーフだってできたんだから、ママも大丈夫だよ」
 異物の後ろ、ミルリーフの尻尾に、細かい蔓が次々絡みつきしなやかな一本と化す。
 フェアにいま少し異性に関する知識があれば、それを男性器に似ていると評することが可能であったろう。
「心配しないで―――ちゃんと痛くなくなるまでやるから、ね?」

 フェアの秘所に樹液が垂らされる。薄桃色の雫は粘膜に素早く吸収されてゆく。
 慎ましい色合いのそこは、男根を模した歪な器官―――ドライアードの触手とミルリーフの尻尾で構成された螺旋にて、入り口をこじ開けられていた。
 フェアの顔に苦痛が浮かぶ度、ミルリーフは貫かれた不自由な体勢にも関らず、たどたどしく新しい樹液を注ぎ足す。
 苦痛が和らぎ次いで感じるのは。
「ちが……そんなの、わたし……」
「ねえ、ママ、気持ちいい?」
 耳元で、囁き。
「キモチいい?」
 這入ってくる。太く縒り合わさったモノが、フェアのなかに。
「ママ」
「―――っ」
 引き抜かれると、幾重もの螺旋が膣壁を削り蜜を溢れさせる。其処を濡らすのは樹液だけではない。花の香りに混じるのは、間違えようもない雌の匂い。
「キモチイイ?」
 再びの挿入は、ぐるりと捻れを加えての。
 細い腰は哀れに跳ねて、フェアの口から空気が洩れる。
 ミルリーフが心配そうに覗きこんでいる。今にも泣きそうだ。
 蠕動。胎内を一際強く叩く、硬い尻尾の感触。
 一言。
 たった、一言さえあれば。
 ミルリーフが唇を噛む。幼い秘所を痛々しく拡げるのは太くしなやかな蔓だ。ミルリーフの呼吸が苦しげになるのにも構わず侵入を続けている。尻尾を掴まれているから動くこともできない。そして尻尾は、
「っか、は」
 フェアの胎内で弄ばれている。
「……ママ」
 呼びかけは掠れていた。なのに、フェアだけを案じていた。

 溢れてくる。涙が。そして別の体液が。
「ごめ…………い」
 この子が愛しい。もう終わらせたい。この子の為に。自分の為に。違う。関係ない。
 もう、かんがえられない。
「きもちいい―――」
 一度言葉に出すと、酷く素直な気持ちになれた。
 胎内から快楽が弾ける。触手がほどけ、微細な蔓は細かい襞へと潜り、太いものは弱い部分を乱打する。鋭い尾が最奥を突く。
 人間が、到底得ることのないだろう快感に身を委ね、フェアは自分の悲鳴を聞きながらようやっと安らぐのを感じていた。


 こつ、こつ、と、硬い足音が聞こえる。
 ドライアードの『女』の部分が、現れた男の気配に惹かれ擦り寄る。しかし男が腕を一振りすると、妖艶な女性の姿ばかりか床に這う触手の部分までも消え去った。
 男に気づいたミルリーフが上半身を起こす。その下では意識を失った健康的な肢体が快楽の残り火に跳ねている。
「もうこれで大丈夫だよね」
 男は肯定を返す。花咲くようにミルリーフは笑った。
「よかったあ!」
 果ての見えない虚ろの部屋に、無邪気な笑い声が響く。
 やがて。
 こつ、こつ、と、ひとつの足音が去り。
「おやすみ、ママ」
 ミルリーフは囁いて、ぐったりとなったフェアに寄り添った。

 ママが目を覚ましたら、いちばんに「おはよう」を言ってあげよう。
 そうして抱きしめてもらって―――そうだ! 美味しいごはんも作ってもらおう。それから今までの、たくさんの話をしよう。
 これからはずっと一緒にいるのだ。

 何時ものように。いつまでも。


おわり

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