淫靡な放課後遊戯 1



「は?」
「だから、ここでしようと言ったんです。新堂くん」

 夕暮れの陽光が差し込む放課後の教室に、ふたりはいた。
 新堂勇人と樋口綾。二人は所謂、『恋人』と呼ばれる関係であった。
 リィンバウムの向こう側から、某召喚師四兄弟や某ママたちからは文句が飛んできているが気にせずに。
 ゲーム本編開始時では、同じクラスメイトというだけで、何ら共通点のない二人がどうして後輩を差し置いてこんな恋人同士になったかは、その経緯は省略させていただきます。むしろ、誰か書いてください。

 ともかく、綾の目は真剣だった。いや、真剣というよりは獲物を狩る時のガレフの目と言った方が正しいか。
 幸か不幸か、教室には誰一人残っておらず、廊下にもひと気は全くない。
「ちょ、ちょっと待てよ? しようって…アレ、か?」
「ええ、アレです」
 きっぱりと断言する綾。もちろんアレと言えばアレです。
 18歳未満のお子様は視聴禁止のファンタジー要素のある物語では魔力や霊力の供給やら何やらの理由付けでよくされるアレのことです。

 ふたりともこれがはぢめて、というわけではなかった。とは言え、それほどやり慣れているという訳でもない。
 だからこそ、勇人は驚いているわけで。
 しかも、学校という公共の場でそんな提案をしてくるとは、まさに背後から斧でバックアタックされたような衝撃である。
「……新堂くんは、いや、ですか?」
「えっ!? い、いや、そんなことは全くないけど!! 流石にここでやるのは…」
 まずいんじゃ、と言葉にする前にとんと勇人より一回り小さく華奢な綾の身体が飛び込んできた。
 いくら、アレをやったからと言って、勇人はこういうことには奥手だった。
 思わず身を硬くしてしまい、どうしたら良いかうろたえながら彼女の身体を抱きしめる。
「私の胸の音…聞こえますか?」
「え、あう、うん…」
 制服の上からとは言え、柔らかな乳房が押し付けられては頷くしかなかった。
 綾は目を伏せがちに俯くと、そっと小さな声を漏らした。
「…新堂くんのことを思うと、切なくて、少しでも触れていたくて……。その、…えっちな、ことも……したく、て」
 二人だけの放課後の教室。最後の言葉は綾自身声を控えたつもりなのだろうが、この静けさではしっかりと勇人の耳にも届いてしまっていた。
「け、けど…誰かに見られたら……」
 生徒なら兎も角、教員が見回りに来る可能性がある。
 それに見つかれば良くて厳重注意、最悪停学処分に課せられるかもしれない。もしかしたら退学ということも…。
 だが、そんな葛藤は次の綾の言葉ですっ飛んでしまった。

「わ…私は、新堂くんと一緒なら見られても平気、です…」
 別に厳重注意されればいいだとかそういう意味ではない。
 ただ恥ずかしいところを見られても、平気だと。仲がいいところを見せ付ければいいではないか、と言わんばかりに。
 少なくとも恋人を自負している勇人だ。そんな可愛い恋人から、そんなことを言われてしまうと葛藤なんて消えてしまう。
「……こんな、えっちな女の子…、新堂くんは嫌い…ですか?」
 嫌いだなんて言える男がいるだろうか、いやいない。
 それだけ、今の綾は艶かしく思えた。

「んふっ…ん…」
 空気に溶けていきそうな甘い吐息が唇と唇の間から漏れる。
 結局、腹を括った勇人は彼女の華奢な身体を抱きしめながら、口付けを交わしていた。
 取り敢えず鍵もかけたことだから、隠れればすぐにバレると言うことも無いだろう。

 柔らかくい小さな唇に吸い付きながら、その感触を楽しむ。
 そこで、綾の舌が唇の間から伸びてきて、勇人の唇を舐めたことに気づく。
 ちらりと目を向けてみると、視線が合い綾は気恥ずかしそうに視線を逸らした。だが、決して舌を戻そうとはしなかった。
(今日の樋口、積極的だなぁ……)
 はぢめての時だって、そこまで漕ぎ着けるのに大変苦労した。
 それから二、三回ほど彼女と肌を重ね合わせたが、その時でさえ緊張してなかなか誘うのに苦労していた。
 なのに、今の彼女は積極的に自分から求めてきている。まるで『我慢をする』ということを忘れたかのように。
 いつもは穏やかで物静かな彼女がこれほどに求める姿は、ギャップがあり尚更勇人の欲望を刺激した。

「んむっ!?」
「本当、樋口ってエッチな女の子だよな。 でも、俺はそんな樋口が好きだぜ」
 突き出す舌を指で挟み、捉えると指先で舌の腹を摩り愛撫する。
 さらに彼女の舌を引っ張り出すと、その舌の腹で濡れる唾液を塗り広げるように指を滑らせた。
 綾も満更でもないのか、自分から勇人の指に舌を絡ませると、ぺろぺろと子猫がミルクを飲むようにその指を丹念に舐め始めた。
 生温く、ねっとりとした感覚が妙に心地よい。そして、こんなにも尽くしてくれる綾の姿に興奮してしまう。
「はむ…んっ、ちゅるっ…」
 勇人の言葉に頬を赤らめながらも、嬉しくなったのか、綾は更に強く指を舐めしゃぶる。
 ぺちゃぺちゃと唾液の音が静かな教室に響き渡る。綾が唇を離した頃には、勇人の指先は全て綾の唾液で濡れていた。
「熱心にしゃぶってたけど…美味しいか? 指……」
「新堂くん…、勇人くんの、なら……」
 かぁっと真っ赤になって俯く。そんな初々しい表情もまた可愛らしくて、思わず抱きしめたくなる。
 そこで、俯いていた綾が何か気がついたのかしゃがみ込んだ。
「勇人くんのこれ…、苦しそう……」
 気づけば股間部はズボンの上から分かるほど大きく隆起しており、そこをじっと眺められて勇人は気恥ずかしい思いに捕られていたが、当の綾はどこかぽぅっとしておりそっと手を伸ばしそこに触れた。
 ズボンの上からとはいえ、敏感な部分であるには違いなく、彼女が触れることで先端が下着と擦れ快感がぴりっと流れる。
「くっ…綾…っ」
 声を漏らす勇人を気に留めず、綾はさらに頬を擦り付けて上気した表情で微笑む。
「勇人くんのこれ……もうこんなになって」
 いつになく積極的な彼女に妖艶さを感じて、ますます勇人の欲望は高まるばかりであった。

 そこで何かを思いついたのか、にこぉ、と微笑むと、綾は立ち上がりちょいちょいと勇人の席を指をさした。
「勇人くん、ちょっと席について貰えますか?」
「え、なんで……」
「いいから、早く早く」
 笑顔のまま勇人を促すと席に座らせて綾はその前に立った。
 勇人の席は窓際の一番後ろ。こういう状況でなければ違和感のない座りなれた席ではある。
 すると、綾は机の前側から潜り込んで、机の下から勇人の股間に顔を埋めるという姿勢を取り始めた。
「あ、綾っ!?」
 流石にこれには勇人も面食らってしまった。
 することは何となく察知できていたが、いざその姿を見ると驚きを隠すことはできない。
「ふふっ、こういうの、興奮しません? いつも授業を受けている教室の…自分の席でこんなことされるなんて」
 股間に頬ずりしながらそう問いかける綾は、やはり淫靡であった。
 もし、本当に授業中にこんなことをされたら。
 きっと授業どころではなく、みんなの前で痴態を見せても気にならないぐらい熱中してしまうかもしれない。
 そんなバカな妄想をしながら、ズボンの膨らみは更に目立ち始めた。

 綾もそれを察知し、ズボンのチャックを引き下げると手探りで目的であるそれを引っ張り出す。
「はぁ…、勇人くんのおちんちん…ぴくぴくしてる…」
 とろんと目尻が下がり、温かい吐息を猛々しく勃起している肉棒に吐きつける。
 そして、フルートを吹くようにその細い指先をその肉棒に添える。
 清廉な綾の顔とそのギャップが、肉棒を綾の手の中で跳ねさせた。
 それも嬉しそうに綾は微笑み、それこそ笛を吹くように唇を独特の臭気を放つその先端へと唇を触れさせた。
「んっ、ちゅっ……ちゅるっ、ぷちゅ……」
 先から溢れる汁も全て啜りとり、むしろ吸い出そうとせんばかりにちゅうちゅうと吸いはじめる。
「はぁっ、くぅ…、綾ぁ…!」
 先ほどの指先のように貪欲にしゃぶって来る綾の唇と舌の柔らかさの快楽に耐えるように、勇人は机に突っ伏した。
 意識せまいとすればするほど、敏感に感触を味わい、彼女が自分のものをしゃぶっている音が耳に入ってくる。
 綾はというと、ひたすら無心に勇人の肉竿を左右上下から舐め、唇で銜え、唾液をまぶし淫らな演奏を披露させた。
「勇人くんの、おちんちん…あむっ、んっ、ちゅうっ…ぷふぁ…硬くて熱い…ん、ちゅうううっ…!」
「くふぁっ…! あ、や、…もう、だめだ! …出ちまう…!」
「ふぁい…、勇人ひゅんのおひんひんの、おふぃる、だふぃてくらふぁい…」
 肉竿を銜えたまま喋る彼女の口に、くすぐったさを覚える。だがそれ以上に淫らな言葉を使う目の前の少女に興奮していた。
 遅れてすぐさま、どくん、とした鈍い衝撃が下半身の奥から走った。
 咄嗟に綾は喉奥まで銜え込むと、熱い白濁液の塊を受け止めて、ごくり、ごくりと喉を鳴らして飲み下していく。
 やはり精液は飲みにくいのか、綾は眉をしかめさせながらゆっくりと喉に通していった。
 そして射精と飲み込む速さがつりあわなくなってきて、終いには蒸せてしまった。
「だ、大丈夫か? 綾……、そんなに無理しなくても」
「大丈夫……、勇人くんのなら、飲んであげたい、から……」
 こほこほと蒸せ、目尻に涙を浮かべながらも勇人へと微笑みかけた。そんな彼女の様子がたまらなく愛おしかった。

「それじゃあ、その……そろそろ…」
 綾は、窓の淵に手をかけると、自らスカートを捲り上げて、愛液に濡れたショーツをずり下げた。
 ぷるんと、まるで乳房のような柔らかさを視覚的に訴え突き出された尻肉は、いつもは清楚な彼女からは想像できないほど

いやらしかった。
 綾は振り返り、気恥ずかしそうながらも、どこか期待に満ちた表情を浮かべ強請るようにその尻肉を軽く揺らしてみる。
 まるで娼婦のような仕草と彼女の人間性とのアンバランスさが更にその卑猥さを引き立てていた。
 しかし、やはり当人としてもこんなことをするのは恥ずかしいのだろう。勇人と視線を合わせようとはしなかった。
(でも、どうして急に…?)
 こんなに積極的になったのだろうか。口にはしなかったが、不意に疑問を持った。
 だが、それを長考できるほど、彼は目の前の淫靡な少女に対して我慢は出来なかった。


つづく

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