成長ベル×レックスの両想い逆鬼畜・3



「全く、あの二人ったら何してるのかしら…」
木陰から野外プレイに勤しむ若い二人を見つめながらアルディラは憎々しげに口を開いた。
初めは冗談半分で始めたウォッチだが焦らしプレイを始めるベルフラウにアルディラもまた焦らされていた。さくっとビデオに収めて帰るつもりが、随分と長居してしまっている。他人の情事に欲情するような青さは捨てたはずであったが長時間そんな空気の中にいるとどうにも体が疼く。浅ましいとは思いつつもすぐにでも自室に戻り自分を慰めたい気分であった。
「アルディラ様、ご気分が優れないのですか?」
ビデオを片手にクノンが問う。そんなクノンを切ないような表情でアルディラは見つめた。
「そ、そんな事はないわよ…。一体どうしてそんな事を思うの?」
「いえ、何だか頬が上気しているように思われますので体温が上がっておられるのかと。ご気分が優れないのなら今すぐ検査いたしますが如何なさいましょう?」
「い、いいわ。大丈夫、だから…」
そう言ってアルディラはクノンから顔を逸らす。今体に触られるのは危険だ。すぐにでも快楽を求め、縋ってしまいそうな自分がいる。
「ですが、随分と苦しそうです。私に出来る事があればお助けしたいのですが…」
「クノン…」
クノンの真摯な表情にアルディラの心が揺れる。しかし弱い自分の心を強引に抑え込んだ。
「大丈夫、心配しないで」
そう口にしつつも本当は体に触れられたい。快感に溺れてしまいたい。
そんな欲求はプライドの高い彼女には敵にしかならなかった。
「アルディラ様がそう仰るなら私は何も致しません。ですが、私に何かお助けできる事があるのならいつでも仰って下さい」
「―……」
クノンのほんの少し切ないような表情はアルディラの精神を揺さぶる。主人の役に立ちたいと健気な彼女に背中を押される反面どこか背徳的な感情も湧き上がる。
「クノン、少しいいかしら?」
「はい、アルディラ様。何でしょう?」
ビデオを片手に純粋な瞳でアルディラを見つめるクノン。アルディラはその手をそっと自分の胸に持ってくる。
「ア、アルディラ様…」
「ごめんなさい…貴女にこんな事をする悪いマスターな私を許してね?手で、優しく擦ってくれる?」
「は、はい…」
アルディラの言葉にクノンはゆっくりとその手でアルディラの胸を服越しに揉み始めた。
「あ、ん…クノン、いいわ…。もっと、強く…」
「はい、アルディラ様。アルディラ様の胸はとても柔らかいのですね」
そう言ってクノンは夢中になってアルディラの胸を愛撫し始めた。手で揉む度に形を変える柔らかな胸に刺激が走るとアルディラの口から甘い吐息が漏れる。
「ああッ!あん、あ、は…クノン、お願い…服脱がせて……」
「はい、アルディラ様…」
錯覚であるとはいえ、アルディラの息が上がるにつれクノンもまた自分の体温が上がっているような気がした。ゆっくりと主人の服を脱がす。
「クノン…今度はこっちも気持ち良くして…?」
「はい、アルディラ様。今のアルディラ様はとてもお綺麗です…」
「そんな事言わないで。恥ずかしいわ…」
眼鏡越しの目元が赤く染まってクノンはそれに鼓動を早める。鼓動、と言っても人とは違い心の臓を持たない彼女はそれすらもプログラムの一つにすぎないのかもしれないが。
「あ、ん、はぁ…ッ!クノン、気持ちいいわ…もっと…」
「はい。アルディラ様のここは凄く濡れていらっしゃいます。快感を、感じておられるのですか?」
「ん…クノンが、気持ち良くしてくれるから…あぁんッ!」
クノンの指がアルディラの秘所を弄る度にアルディラの口から甘い悲鳴が上がる。快感に酔いしれる彼女はもうここが外であることを忘れていた。そして、側でベルフラウが情事に耽っている事も。
「お姉さま…?」
すぐ近くで声がしてアルディラはびくっとその体を震わせた。恐る恐る振り返ればベルフラウがこちらをじっと見つめている。
「ベルフラウ…」
「一体どういうおつもりです?まさかずっとここで私達の事を見ていたんじゃ…」
「そ、そんな事ないわ…」
アルディラは必死に誤魔化そうとするがそれも今の彼女の格好を見れば説得力に欠ける。ベルフラウはそんなアルディラを見つめながら唇の端を吊り上げる。
「お姉さまったら嘘ばっかり。本当は私と先生の事、ずっと見ていたんでしょう?それに欲情してクノンにエッチな事しちゃうなんていやらしいわ。本当はいつもの知的な姿からは想像出来ないほどに淫乱なのね」
「違うわ、私はそんな…」
「いやらしい場所を濡らしておきながら言われても説得力に欠けますけど。観賞代はきちんと払って貰いますわよ?」
「な、何言って…あ、ダメ、そこは…あん、ふあッ!」
「お姉さまったらエッチ。外なのにこんないやらしい声出しちゃうなんて」
そう言ってベルフラウはアルディラの体を攻め立てる。女性を相手にした事は今までなかったが自分がされていいようにすればアルディラの口からは簡単に喘ぎが漏れた。

「ダ、ダメよ、ベルフラウ…!あは、んああッ!」
「くす、お姉さまったら感じやすいのね」
「―…何だかなぁ」
ベルフラウが声のした方を見に行ったことで独りその場に放置されたレックスは大きく溜息を吐いた。標的が自分からアルディラに変更されたのはいいがどうにもこの状況はヤバすぎる。一回の射精で興奮してしまった体は聞こえてくるアルディラの喘ぎだけでもう反応してしまうのだ。男ってのは単純な生き物だとどこか乾いた気持ちで思いつつもこの歯痒い状況をどうにかしたかった。体は興奮しているのに腕が拘束されているせいで自分で扱く事すらできない。
まさに生殺しである。
苦しくて仕方ない。何ていうかせめて腕の拘束だけはどうにかして欲しかった。そんな事を思ってもどうしようもないのだが。
「ベルって好きな子虐めて楽しむサドっ気あるんじゃないかなぁ…」
「それはご自分の経験と今の状況からのお言葉ですか?」
「うん、まあそうなんだけど…ってクノン…。いつの間に……」
いきなり返事が返ってきて、レックスは驚いてそちらの方見る。そこにはいつもと変わらぬ表情のクノンがいた。こんな状況なのに彼女は冷静だ。機械人形だから当然なのかもしれないが。
「ベルフラウ様がアルディラ様と情交を結んでおられますので私はお邪魔かと思いましてこちらに避難させて頂きました」
「情交って…ベルは一応俺の恋人なんだけどな……」
アルディラに憧れていることは知っているけど。そう付け足してレックスは溜息を吐いた。その顔を覗き込みながらクノンは言う。
「レックス様。レックス様は今私の助けを必要としているのでしょうか?」
「え、あ…どうしてそう思うんだい?」
クノンに純粋な表情で問われ、レックスは返答に困る。幾らなんでもこの娘に素直に欲求を伝えるのはどうにも心が痛む。
「いえ、レックス様の性器は先程から性的興奮により勃起したままの状態になっていますので。男性はそのような状況が長く続くと精神的苦痛を感じ、射精による開放を求めると聞いた事があります。射精をする為には性器に刺激を与えるのが一番だそうですがレックス様は今手の自由が利かない状態なので私の助けが必要かと判断したのですが」
「いや、まあ正解なんだけど俺は何て答えたらいいか分からないよ…」
クノンが余りに淡々と答えるのでレックスは何だか返事に困ってしまった。純情そうな顔をしていても看護医療用機械人形である。その手の知識は一応あるらしい。
「では、私の助けが必要という事ですね?ご希望があれば奉仕をしたいと思うのですが」
「ほ、奉仕!?」
意味は分かっても余りに突然の申し出に、レックスの声は思わず裏返ってしまった。何だか格好悪いなぁと思いつつクノンに返事をする。
「クノン…確かに俺は今君に助けて貰えればとても助かるんだけど流石に君にそういう事を要求できないよ。君はフラーゼンの義務だって言うかもしれないけど、こういう事はやっぱりきちんと好きな相手とした方がいいと思うんだ。そうじゃなきゃ後で絶対後悔する。君は確かにフラーゼンであるけどそれ以前に一人の女の子なんだ。もっと自分の体を大切にして」
「レックス様…」
レックスの返事にクノンは複雑そうな表情をする。それは何だかとても人間的であった。彼女は紛れもなく機械人形なのだが。
「そのような事を言って頂けたのは初めてです。ですが、私は機械人形です。こういう事以外でお役に立てる方法を知らないのです」
「クノン……ッ、く!」
不意にクノンがレックスの性器に舌を這わせ始めた。たどたどしいそれは慣れていないのかどこか初々しさを伴う。
「すみません…レックス様の意志を無視した形になってしまいますがフラーゼンの義務として奉仕をさせて頂きます。私はこういう事は初めてですので至らない点もあるかと思いますが善処いたしますので」
「いや、善処、とかでなくて。さっきの俺の話、君聞いてないだろ?」
「それなら問題ありません。私はレックス様の事はとても好きですので。アルディラ様と同じくらい」
そう言い終わるとクノンはまた舌を這わせた。指先で裏筋を撫でながら先端を軽く吸う。舌先で根元から先までをなぞりながら袋を手で撫でたり、彼女は初めてながらに必死に奉仕をしてくる。そのたどたどしさが逆に興奮に繋がる。
「ぅ、ぁ、クノン…汚いよ……」
「私は特に汚いとは思いませんが?レックス様の体はとても正直ですね。私の奉仕に反応して下さっているのを見るととても嬉しくなります」
そう言ってまた懸命に奉仕を始めた。マルルゥの時といい、好きな相手以外にして貰うこういう行為とはどうしてこうも背徳的で罪悪感が湧くのだろうか。割り切ってしまえば楽だと思いつつそれができないのがレックスという男であった。快感を得ると同時に申し訳なさや罪悪感に潰されそうになる。これが好きな相手であるのなら純粋に嬉しいだけなのだが。
「っ、あ、クノン、顔、離して…俺も……」
「そのまま射精されても大丈夫です。口内に精液を出されても私のプログラムは異常をきたしませんから」
何だかこうもハッキリと言葉にされると逆にこちらが恥ずかしくなってくる。そう思いつつもレックスは込み上げる快感に身を預けた。
「く、あ…ッ!」
「ん、んふ…」
体を震わせて吐き出されたレックスの精液をクノンは咽喉で受け止めそれを飲み下す。クノンの咽喉が鳴るとレックスは少し慌てたようにクノンに問い掛ける。
「ク、クノン大丈夫かな?」
「はい、ご心配には及びません。最初は少し吃驚しましたがいずれ慣れるでしょう」
「慣れるって…」
何だかなあと思いつつクノンの方を見れば何かを言いたそうな顔をしていた。
「えっと、何かな?」
「いえ、その腕の拘束も解いた方が宜しいのかと思いまして」
「…お願いします」
ああ馬鹿だ。最初からそうして貰えばこんな居た堪れない気持ちにもならなかったんだ。気が回らない自分の無能っぷりに激しく落胆しながらレックスはクノンにその腕の拘束を解いてもらう。
「ありがとう、クノン。正直両腕が使えないのは凄く困ってたんだよね」
「お礼には及びません。それよりもレックス様、先程の奉仕は気持ち良かったでしょうか?」
「あ、うん、き、気持ち良かったよ…」
何となく気恥ずかしくてレックスはクノンから目を逸らし答えた。こんな事くらいでうろたえる自分の青さに嫌気を覚えつつも。
「でもどうしてそんな事を聞くんだい?」
素朴なレックスの問にクノンは俯く。そしてゆっくりと口を開いた。
「私達フラーゼンは性的な知識を持ち合わせていても生殖能力はありません。必要ないと判断された為生殖器も用意されていません。ですから私はどんなに望まれてもレックス様やアルディラ様の体をお慰めする術を持ちません。だからせめてああいった事だけでも満足して頂けたらいいと不相応にも思ってしまうのです…」
「クノン…」
その言葉を吐くクノンはどこか切なげでレックスの心が痛む。彼女はどんなに望もうとも、好きな相手とその身を繋げる事すらできないのだ。
「傲慢だという事は分かっています。それでも私はたまにこの事がとても寂しくなります。何の役にも立たない私は本当は誰にも必要とされていないんじゃないかと…」
「それは違うよ、クノン」
寂しげに紡がれたクノンの言葉をレックスは否定する。
「クノンはさ、もしアルディラが生殖器をなくしたら嫌いになるのかい?」
「いいえ。そのような事は有り得ません。どんな事があろうとアルディラ様はアルディラ様で私の主人である事に変わりはありませんから」
レックスの問にクノンは躊躇いなく即答した。レックスはその答えを予想していたのかそのまま言葉を続ける。
「じゃあもし俺が子供が出来ない体になったらベルは俺のことを見捨てると思うかい?」
「…いいえ。お二人の絆はそんなに簡単な事で切れるとは思いませんし、ベルフラウ様がレックス様をお嫌いになる所など考えられません」
クノンはまた即答した。それにレックスは微笑みを向ける。
「つまりはそういう事なんだよ。君も同じだ。どんな事があってもクノンはクノンでちゃんと必要とされてる。たとえセックスができなくてもアルディラや俺が君を嫌いになるなんて事ないよ。君は君だ。誰にも代わりはできない。君が君である限りここに必要とされてるんだからもっと胸を張ってもいいんだよ?自分に自信がないからといって後を見て背筋を曲げてるのは損だ。胸張って笑ってる人はそれだけで人生変えるだけの力をもってるんだから。もっと傲慢に生きてもバチは当たらないよ」
「レックス様…」
笑顔で言われたその言葉は酷く輝いているようでクノンにはとても眩しかった。こういう言葉を飾り気なしに言える人だからこそベルフラウは惹かれたのかもしれない。クノンはそんな事を思った。
「はは…何だか説教臭くなっちゃったね。しかもとても自分勝手な理屈だ。でもね、クノン。この世界に生きる人は皆それぞれ少しずつ違ってみんないい所も悪い所も持ってる。それは誰もが同じで、それを認めて生きていくからこそ成長できる。君はきちんと自分と向き合う事ができるからきっとこれからもっと魅力的な女の子になれるよ。それぞれ違う形を持って生まれてくるという事は少しだけ寂しいけど、それでもそれはとても凄いことだと、俺は思うよ」
悪意も善意もなく純粋な想いで紡ぐ言葉。この言葉を聞いて育つ子供はきっと優しい大人になれるだろう。そう思ったらクノンの胸が少しだけ温かくなった。
「何だかレックス様が先生として慕われる理由が少しだけ分かった気がします…」
「あはは…慕われてるといいんだけどそれはまだ希望だよ。俺は今まで生きてきてその答えを出すのに随分と時間が掛かってしまった。一人ではない時間ってのは大事だね。俺にその事を気付かせてくれたのは紛れもなく彼女だ」
そう言う彼の目はとても優しい。その眼差しが一人の為だけに向けられていると考えるとクノンは少し羨ましくなった。いつか、そういう感情を誰かに向けられるような人になりたいと思った。
「それじゃあそろそろ彼女を止めに行かなくちゃ。アルディラは責任持って君が連れて帰る事。それと今の事は二人だけの秘密だよ?いいね?」
「はい、分かりました。レックス様もベルフラウ様を怒らせないようお気をつけ下さい」
「はは…気をつけるよ、ほんと」
クノンの忠告にレックスは苦笑いで答えた。そしてアルディラの喘ぎがする方に向かう。
「ベ、ベルフラウ…もうこれ以上はダメよ…。私、もう…」
「ふふ、お姉さまったら先生と同じくらいエッチな体してるのね。女の子に手に感じるなんて。普段もクノンとこういう事してるの?」
「ち、違うわ…」
「女の子まで誑かせちゃうなんて悪いお姉さまね」
「はい、そこまで」
「ッ!?」
後からいきなり抱き締められ、ベルフラウの体がびくっと震えた。アルディラの目も驚きに見開かれる。
「せ、先生…」
「これ以上俺を嫉妬させるような事してどうする気だい?」
「嫉妬って…あッ」
ふっと後から耳に息が吹き掛けられベルフラウの体が震える。アルディラはそれを呆然と見つめていた。
「あれだけ俺にエッチな事しておいて放置するなんて…ベルは冷たい子だね。俺のこと好きって言ったくせに。俺をエッチな気分にさせた責任、どう取るつもりだい?」
「あ、あ…先生……」
服越しに胸が手で撫でられ、唇が首筋を這う。熱い吐息は近い。それにベルフラウの体が素直に反応した。こうして彼の方から積極的に迫る事は初めてで、こういう事態に慣れない彼女は酷く戸惑った。
「アルディラ様、今の内に帰りましょう。ここに居ても二人のお邪魔になるようですから」
「え、ええそうね」
クノンに手を引かれ、呆然としたままだったアルディラは急いで服に手を掛けるとそれを素早く身に付け、そそくさをクノンを連れてその場を後にする。その場に居るのが何とも居た堪れない気分になったからだ。
「さあ俺の前で自分で服を脱いで。いっぱい、愛してあげるから」
「う、うん…」
恥ずかしさに頬を染めながらベルフラウは自ら服を脱ぎ捨てた。白い裸体が外気に晒される。
「せ、先生…」
「先生、じゃなくて今はレックス、でいいよ。君は俺の恋人だろう?」
「レ、レックス…」
普段呼び慣れない名前で呼ぶというのは何だか気恥ずかしくていつもの調子が掴めない。けれど、それがどこか嬉しくもあった。
「ねえ、ベル。先生じゃない俺をもっと知りたい?」
「ええ…。貴方の事沢山知りたいわ…。私の知らない所なんてない位に、貴方の事なら何でも知りたい」
そう言ったベルフラウをレックスがくすりと笑う。そしてそっと掛けたままであった眼鏡を外した。それだけだというのに随分と雰囲気が変わったように思う。
「ベルは正直だね。凄く可愛いよ。さあ、どうして欲しい?先生に教えてくれなきゃ分からないよ」
「せ、せんせ…レックスに愛してもらいたい……」
「たとえば?」
「キスとか…」
ベルフラウがそう言い終わると同時にキスをされた。荒々しいそれは先程まで自分の下に組み敷かれていた人と同じ人物だとは思えないほどに情熱的だ。主導権を握ると人格が変わるタイプなのかもしれない。いや、今まであえて主導権を譲り渡していてくれたのかもしれないのだが。口内を弄る舌は酷く卑猥で頭を熱く溶かす。体が火照る。
「ん…先生……」
ベルフラウはその体にギュっと抱き付いた。
「ベル?」
「貴方から…キスしてくれたの初めてよね?本当はずっとこうされたかったの…。貴方にこういう風に愛されたかったの…。でも貴方ったら全然手を出してこないし…。正直私に魅力がないんじゃないかって凄く不安になったのよ?」
そっと呟くベルフラウの体をレックスは微笑みながら強く抱きしめ返してやる。「馬鹿だなぁ、ベルは。好きでもない女の子にあんな事されたら誰だって怒るよ。君だからこそあんな扱いを受けても納得できたんだよ。俺にあんな屈辱的な思いを味合わせるのは君が最初で最後だ」
そう言ってレックスはベルフラウの体をそっと草の上に押し倒す。ここが教室だろうが何だろうがもう関係ない。屈辱的な思いをさせられ、痴態を晒させられた事は逆に開き直る切っ掛けになってしまった。もとより彼女と一緒になる覚悟は決まっていたのだ。切っ掛けさえあればその先に進むのは容易かった。
「でもね、私胸も小さいし、それに我侭でプライドも高いし凄く不器用だから…本当は貴方に嫌われたらどうしようっていつも不安だったのよ?だから我侭言っても許してくれたり、無茶な事言っても笑ってそれに応えてくれる貴方を見ると凄く安心するの。まだ貴方に見捨てられてないんだって…」
「君が不器用な分俺が器用だから問題ないよ。君はお嬢様だから苦労を掛けるかもしれないけど、それでも頑張るから、俺に付いてきて欲しい。幸せに、するよ」
「馬鹿…何でもっと早くにそれ言わないのよ……」

飼い犬は飼い犬でもお嬢様が飼った犬はたまに飼い主の手を噛む癖がある
人肉の味を知った去勢のされていない忠犬で、
追い詰められると逆に自己防衛本能が働いて開き直ってしまう大型犬だったらしい。
赤い毛並みのその犬はついに立場の逆転に成功したのであった。


つづく

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